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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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ノルウェー紀行;第2日目(2);車窓の風景を楽しみながらイェンデスハイムへ

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                     <車窓から;美しい湖が沢山ある>

ノルウェー紀行;第2日目(2);車窓の風景を楽しみながらイェンデスハイムへ
           (アルパインツアー)

2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第2日目;2013年8月20日(月) (つづき) 晴・冷涼

<ルート地図> オスロ→イェンデスハイム


※前掲地図と同じ

<沿道の風景を楽しむ>

■ツアーリーダーからの説明を聞く景
 レストランKROで昼食を終えた私たちは,再び専用車に乗り込んで,13時47分にレス治乱前から出発する.
 川の名前は分からないが,綺麗な川の右岸沿いの道を,専用車は北に向かって走り続ける.
 ツアーリーダーから,2008年に,同じトレッキングとガルホビッケン登頂を案内したときの様子の紹介がある.
 「…今から5年前,2008年に同じコースを歩いたことがあります.そのときの様子をしょうかいします.
 トレッキング第1日目(ツアー3日目)は,9時にイエンデスハイム小屋から歩き出して,12時頃標高が最も高い地点に到着しました.そして,14時頃コルを通過して,17時30に目的地のメルブー小屋に到着しました.途中,急な岩稜の登り下りと,クサリ場が何カ所かありました.結局,9時間ほど歩きました.
 2日目(ツアー4日目)は,9時にメルブー小屋を出発して,16時頃,宿泊地のイェンデブー小屋に到着しました.従って歩行時間は7時間ほどでした.天気が悪くて雨の中を歩きました.稜線からイェンデ湖まで急な岩稜下りがあります.
 前回は3日目(ツアー5日目)のイェンデブー小屋での休養はなく,今回の4日目のコースを歩きました.
 イェンデブー小屋を9時に出発して,ライルバスブー小屋に17時30分に到着しました.歩行時間は8時間30分でした.
 (他のツアーリーダーが担当した)前回の記録を見ると,3日目の休養日に,希望者だけオプションのイェンデストゥンカ峰に登ったようですが,登らずに小屋で休養をしていた人も何人か居たようです.
 5日目(ツアー7日目)はライルバスブー小屋を8時40分に出発して,15時30分にスピターストゥーレンに到着しました.
 ツアー5日目のガルホビッケン登頂には,参加者の内2人は脱落しました.山小屋を9時に出発して,ガルホビッケン山頂に到着したのが13時50分,結局,登りに6時間ほどかかりました.往路を下山して山小屋に到着したのが18時を過ぎていました.今回は残雪が多い可能性がありますので,小屋へ戻るのが,もっと遅くなるかも知れません.…」
 ツアーリーダーの説明を聞きながら,
 “これはエライ,シンドそうなツアーに参加してしまったな”
と多少不安になる.

■だんだんと山岳地帯に入る
 ツアーリーダーの説明を聞いている内に,専用車はだんだんと山岳地帯に差し掛かっているようである.
 何時の間にか,暗い雲が上空を覆い始めている.
 “雨が降り出すのかな”
と心配になる.
 そういえば,ツアーリーダーのOGさん(若い方)が,
 “私は晴れ男です.お天気は任せて下さい”
と言っていたので,神頼みならぬOGさん頼みで,お天気に恵まれるよう期待することにしよう.

<雲が低く垂れ込めている>

■凄い岩山が連続する
 14時41分頃,進行方向左手に,ゴツゴツとした岩稜の尾根が見え始める.裾はオーバーハングになっている.崩落した大きな岩塊が至る所に転がっている.これは危険だ.凄い迫力.
 “なるほど! ダイナマイトが欲しくなるな”
と合点する.
 14時48分,ツアーリーダーが,マイクを使って,
 「…そろそろヨートゥンハイメン国立公園に入ります」
と説明する.
 辺りはだんだんと荒涼とした風景に変わり始める.
<岩稜の尾根>

■荒涼とした残雪の山
 14時53分,突然,道路が渋滞する.
 14時56分頃,専用車は湿地帯と思われる平原の中を走っている.平原の向こうには残雪の山脈が続く.荒涼とした風景が続く.
 私はエアコンが利いている車内に居るので外気温がどの程度か知る由もないが,どうやらかなり寒そうである.
 相変わらず上空には分厚い雲が垂れ込めている.でも,雨は降っていないようである.これも晴男の“OG効果”とでも言うべきだろうか.

<残雪の稜線>

 
<メモ帳より>                  ↑                         ↑
                         工事現場                     山小屋到着

■ベッセン尾根と湖だ!
 15時08分,車窓から川の向こうにベッセン尾根が見え始める.明日,つまりトレッキング1日目に登る尾根である. 
 眼下にはイェンデ湖が見え始める.今夜の宿泊地イェンデスハイム小屋も間近である.
 上空には青空が見え始めている.どうやら天気が好転しているようである.こういうのを“OG効果”というのだろうか.とにかく若いツアーリーダーが頼もしい.

<イェンデ湖を見下ろす>

<イェンデスハイム小屋>

■イェンデスハイム小屋に到着
 15時15分,専用車は漸くイェンデスハイム小屋に到着する.オスロのラディソンブリュプラザを出発してから6時間05分(休憩時間込み)の長旅であった.
 ツアーリーダーから,チェックインに時間が掛かるから,暫く待っているように指示がある.

<イェンデスハイム小屋に到着>

■イェンデスハイム小屋の全景
 ツアーリーダーのお二人は,山小屋のチェックインのために少々時間が掛かっている.
 待ち時間を利用して,明日登るベッセン尾根の登山口付近を散策する.登山口から少し登ると,イェンデスハイム小屋の全景が良く見える.
 なかなか規模の大きな小屋である.私たちは,下の写真の左下に写っている別棟にある部屋が割り当てられる.

<イェンデスハイム小屋の全景>

■イェンデスハイム小屋の内部
 16時頃,チェックイン手続きが終わる.
 私は兵庫県在住のKSさんと同室.別棟.本棟より一寸低いところに建っている.入口から中に入ると,一寸した広間がある.向かって右側に男女別々のトイレ,シャワー室などのユーティリティがある.
 シャワーは男女別.ここの小屋では,10クローネで4分間シャワーが使える仕組みである.シャワー室の中を覗く.3人が一度にシャワーを浴びることができるが間仕切りはない.3人がスッポンポンで浴びる仕掛けである.
 広間から扉を開けると中央に廊下がある.その両側に2段ベッドが備え付けられた客室が並ぶ.
 私たちが割り当てられたのは1階の山側に面した109号室.
 受付でシーツ,布団カバー,タオルなどを貰って,割り当てられた部屋に向かう.
 大きなバッグは,どなたかが別当入口まで運んでくれる.感謝.
 内部は,勿論,登山靴は厳禁である.

<中央の廊下>

■部屋に入る
 宛がわれた部屋に入る.
 左手には2段ベッドがある.反対側には大きな棚がある.大きな荷物を広げるには一寸手狭だが,ここは山小屋である.山小屋だと考えると超贅沢である.何しろ2段ベッドとは言いながらも,十分な広さの寝床が確保されている.それに洗濯仕立てのシーツやカバーなども宛がわれている.反対側には大きな整理棚も付いている.
 電気は終日自由.消灯時間なんて,うるさいものなない.
 トイレに行ってみる.ちゃんとトイレットペーパーは付いているし,水洗である.嫌な臭いなど全くない.清潔そのものである.
 水道の水は,そのまま飲めるし,冷たくて美味しい.要するに山小屋としては至れり尽くせりである.
 同室のKSさんは,“長幼の序”とやらを力説され,恐縮ながら,私は下段のベッドを使わせて貰う.
 
<宛がわれた部屋の2段ベッド>                                                                      <ベッドの反対側に棚が2個>

■部屋のレイアウト
 私たちが宛がわれた部屋の平面図は以下の通りである.一寸したペンション顔負け.山小屋としては十二分な広さと設備である.

<初ミーティングと夕食>

■初ミーティング
 18時丁度に本館の談話室に全員集合.
 まずは参加者全員の公式初顔合わせ.簡単な自己紹介を行う.出身地,現住所,年令など実にバラバラ.今回の特徴は夫婦で参加は1組だけ,あとは単独参加だという.前歴など敢えて伺う必要もないし興味もないが,どうやら色々な前歴の方が参加されているようである.いかにもモサ風の方も居られるので,一寸脅威である.
 自己紹介で,私と同じ長野県人が3人居ることが分かる.安曇野,伊那,それに作久出身の私の3人である.同郷の方には,やっぱり親しみが湧くのが人情である.

<自己紹介>

■明日の行動予定
 ツアーリーダーから,明日の行動予定についての説明がある.
 明日は9時に歩き出す予定とのこと.目的地のメムルブー小屋には18時頃到着予定とのこと.
 途中にかなり難度の高い岩稜歩きと,クサリ場の下りが何カ所かあるというので,今から脅威である.

■夕食:まずは偉いさんのご挨拶
 19時05分から夕食である.
 私たちは食堂の中央から少し端に寄ったところに陣取る.私たち以外にも沢山の宿泊客が居る.
 山小屋の責任者らしい方が来て,何やら挨拶をしているが,現地語なので難を言っているのかサッパリ,チンプンカンプンである.どうせ,ようこそお出でくださいました.ゆっくりおくつろぎ下さいというようなことを言っているんだろう.まあ,どうでもいいや.
 それよりも,ビックリしたのは,ここは山小屋にもかかわらず,棚に沢山のワインらしきボトルが並んでいることである.

<意味が分からないご挨拶を神妙に伺う>

■美味しいスープ
 まず最初にスープがサーブされる.これがまた実に美味しい.一寸塩分が多そうだが…でも,思わずお代わり.私は外国に来ても卑しいのである.

<美味しいスープ>

■メインディッシュ
 メインディッシュは下の写真の通りである.
 ジャガイモがとても美味しい.それに味付けが私たち日本人にも良く合うので,大満足である.ちなみにジャガイモは幾つでも頂戴することができるが,私はジャガイモ2個で十分.

<メインディッシュ>

■デザート
 最後はデザート.甘い.
 コーヒーを賞味しながら,デザートを頂戴する.

<デザート>

■今日一日も無事だった
 20時40分,夕食が終わる.
 20時50分,部屋に戻る.この辺りは高緯度である.もう20時を過ぎているのに,外は未だ昼間のように明るい.何となくちぐはぐな気分である.
 当初は夕食後シャワーを浴びようと思っていたが,どうも面倒である.それに今日は全く汗をかかなかったので,シャワーは省略して,着の身着のままで,下段のベッドに潜り込む.
 まだ,時差を引きずっていて,体調は良くない.血圧も随分高いようである.
 “これは…ちと,マズイかな”
と心配になる.

<第2日目のまとめ>

■ラップタイム 
 9:10  ラディソンブリュプラザ発(専用車)
10:47  KLOIモーテル(11:15までトイレ休憩)
12:28  KRO(13:48まで昼食)
15:15  イェンデスハイム小屋着

■所要時間
 ラディソンブリュプラザ発     9:10
 イェンデスハイム小屋着     15:15
         所要時間         6時間05分(6.1h)
                                  (第2日目おわり)
                                  (第3日目に続く)

「ノルウェー紀行」の前の記事
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「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)





ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(1);ベッセゲン尾根

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                              <最初の岩場を通過する>

ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(1);ベッセゲン尾根
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第3日目;2013年8月20日(月) トレッキング第1日目 晴

<ルート地図> 

■全体図(イェンデスハイム→メムルブー)


■拡大図(1);イェンデスハイム→鞍部


<プロフィールマップ>

※プロフィールマップは,後刻,投稿します

<イェンデスハイムの朝>

■体調が良くない
 私は昔から時差に弱い.昨夜も,夜中に3回もトイレに立つ.平素は夜寝てから朝起きるまで1回もトイレに行かないのに…どうしたことだろう.
 5時40分頃,起床する.相変わらず,どうも血圧が高めである.後頭部から首の付け根辺りが凝っていて,首を回すとゴリゴリと音がする.
 また,トイレに立つ.幸いなことに通じは正常のようである.トイレの窓から外を眺める.もう,辺りはすっかり明るくなっている.もう明るくなっているとはいえ,まだ,朝は早いのに.イェンデ湖畔で釣をしている人が居る.
 一寸,外に出てみる.
 寒いが,晴れている.遠くの雲が朝日を浴びて,茜色に輝いている.俗に朝焼けは雨というが,今日の天気は大丈夫だろうか.

<早朝のイェンデス湖>

■荷物の仕分け
 持参した荷物を,5日間のトレッキングで使用するものと,それ以外のもに仕分ける.トレッキングでは使わないものは全部大型バッグに入れて,トレッキング最終日に宿泊するスピターストゥーレン小屋に直送して貰う.
 トレッキングに使用するものは,さらに2種類に小分けする.着替えなど,今日の行動中に使用しないものは小さな袋に入れて,船便で今日の宿泊地,メムルブー小屋に送って貰う.そして,今日の行動中に必要なものだけをリュックに入れて背負うという仕組みである.
 大型バッグは,宿泊した建物入口近くの広間にバゲージダウン.

■ロビーへ
 7時頃,そろそろ本館の食堂へ行こうと思う.昨夜,使い終えたシーツ,枕カバーなどを抱えて,本館に向かう.もう,ツアーリーダーが本館に来ていて,いろいろと私たちに応対してくれる.大忙しである.
 朝食が始まるまで,少し間があるので,ロビーに向かう.もう大半のメンバーが談話室に集まっている.ここが本棟に山小屋なのかと疑うほど立派な応接セットが置かれている.女性群が賑やかに雑談をしている.

<山小屋の談話室>

■朝食
 7時30分頃から朝食.バイキング方式である.ここで朝食だけでなく,昼食の分も取って,自分でランチボックスを作るという方式である.
 朝食はともかく,昼食の量をどの程度にするか,何を昼食にするかで,少々戸惑うが,まあ,適当に色々な食材を取り分ける.

<バイキング方式の朝食>

■朝食はこんなところか
 とにかく,先に朝食を済ませる.
 昨日の夕食は少々カロリーオーバーなような気がしたので,朝食は,まあ,こんな所だろうと思って写真のようなメニューにする.
 オレンジジュースと林檎の丸かじりで,何となく気分がスッキリする.2枚のパンにソーセージやチーズを挟んで食べるが,パンがバサバサしていて食べにくい.パン2枚は少々多すぎたかもしれない.キュウリやトマトは新鮮でなかなか美味しい.

<朝食>

■自己流のランチボックス
 パン4枚を使って,そこらにある食材を適当に挟んでサンドイッチを作る.それにオレンジ,ゆで卵などをひとまとめにして,備え付けの防水紙で包む.さらに,昨日,ツアーリーダーから支給されたポリエチレンの袋に入れれば,即席のランチボックスができあがりである.
 “何だか勝手が良く分からないが,こんなところで十分だろう…”
と多寡をくくる.
 朝食を終えて,ランチボックスをリュックに詰め込む.
 リュックは随分と持参するものを厳選して少なくしたつもりだが.それでも,水を1.5リットルほど入れると,結構な重さになっている.でも,多分,7キログラム以内には収まっていると思う.

<自己流のランチボックス>

<トレッキング開始>

■男性群は何となく後ろだ
 8時30分,本館前に集合する.
 ツアーリーダーの音頭で,出発前のストレッチを行う.
 8時40分,いよいよトレッキング開始である.
 「足の弱い人は,前に来て下さい…」
とツアーリーダーが指図するが,まだ,お互いの脚力が分からないので,誰が強くて,誰が弱いのか分からない.
 こんなときは,どうしても女性優位,というよりは多勢に無勢で,何となく男性群が後ろになってしまう.何となくふてくされた感じで,男性群6人は最後になる.
 先頭は現地ガイドのオラさんである.そして中間に若手ツアーリーダーのKYさんが入る.そして一番後ろは,ツアーリーダーのIBさん.私は何となく男性群の先頭になる.
 そうそう…,夫婦で参加された旦那さんは,奥さんとピッタリで行動されるようなので,女性群の中に混じっている.だから,最後尾のグウタラ男性群は5人である.
 歩き始めると,後ろから悪魔の囁きが聞こえる.
 「長丁場だから,ユックリ歩きましょうよ…」

<女性群を先頭にトレッキング開始>

■出だしはユックリと…
 あまり体調が良くない私にとって,列の後ろからの悪魔の囁きは大変有り難い.自分の体調を注意深くチェックしながら,初めは,ごくユックリの速度で歩き始める.
 今日のコースは歩き始めから,かなり急勾配である.男性群の囁きもあってユックリ登れるのは大変有り難い.でも,ゆっくりとは言いながらも350メートル/時位の速度で歩いているので,決して遅いというわけでもないと自分では思っている.
 始めチョロチョロの歩き出しだったので,10〜20分と歩く内に,平素の塔ノ岳登りと同じ様な感じになってくる.
 “これならば,今日1日は大丈夫だな…”
と確信する.
 その間,出だしの暫くの間は.私と私の前の方の間隔がどうしても,5メートル,10メートルと広がってしまう.渡しの心情としては,この程度の開きなら,その気になれば直ぐに詰められるので,大して気に留めていなかったが,列の真ん中にいるKYさんには,私がへばっていると思えたのかもしれない.
 9時03分,衣服調整のために5分ほど休憩を取る.

<見晴の良いところで衣服調整>

■FHさん,先頭に来て下さい…
 小休止を終えて,再び歩き出す.KYさんが私の所に来て,
 「どうぞ,先頭に来て下さい…」
という.
 「いえ…,別に…,疲れていませんので,後ろで良いですよ…」
 「でも,前に来て,自分の速度で歩いて下さい」
 「いえ,男連中で『初めはユックリ歩きましょう』と言うことだったんで…」
と私は懸命に言い訳をするが,
 「まあ,そう言わずに先頭へどうぞ…他の人のことは構わずに,ご自分の速度で歩いて下さい」
 多分,今回の参加者の中で私が最高年齢である.そんなことも気遣ってのご配慮である.有り難いことだが,本棟は私はガンガン歩けるということを示して,早くツアーリーダーに安心してもらうことも必要かと思う.
 「本当に自分の速度で歩いて良いですか…」
と私は念を押して,列の先頭に入る.
 私は生来天の邪鬼でへそ曲がりである.心の中で,“エヘヘ…”とほくそ笑みながら,何時も大倉尾根経由で塔ノ岳へ登るときの速度で歩き始める.すぐに,私の後ろの方との距離が開き始める.別に自慢する気はないが,週2回のペースで塔ノ岳に登っているので,怖いところは別として,普通の登山道なら,一般の方よりは.多少は速く登れる.もっとも塔ノ岳常連の中では,決して速い方ではないが…
 後ろの方から,
 「速すぎます…」
という声が上がる.
 私の天の邪鬼も,この辺で引っ込めなければならない.私は先頭を2番目を歩く女性に譲ってから,KYさんに,
 「私は十分に歩けますので,あまり心配しないで下さい…」
とお願いする.
 “それにしても,早く信頼を回復しなければ…”
 ついでに,暫くの間,KYさんと雑談しながら歩く.雑談で,KYさんが某難関大学ワンゲル部出身だと分かる.雑談しながら素晴らしい青年だなと思う.私のことを気遣ってくれたことに深く感謝する次第である.
 進行方向左手に,イエンデ湖が見下ろせる.素晴らしい眺望である.

<イェンデ湖を見下ろす>

■最初の分岐
 9時24分,ようやく最初の分岐に到着する.地図で確かめると,まだ,まだ,歩き出して序の口.標高は漸く1,260メートル付近である.まだ,まだ上り勾配の山道が続くし,先はまだ長い.
 この分岐辺りから進路が少し北西の向きに変わる.

<最初の分岐>

■滝が見え始める
 私たちは次第に高度を上げていく.
 暫くの間は,太った尾根(ヤセ尾根の反対の意味)の南西側の斜面沿いのトラバース道を進む,緩やかな上り勾配の歩き易い道である.辺りには,もう樹木はない.岩礫が退席した高源が続く.草木のことはからっきし分からない私には,とても説明のしようがないが.苔のような草が僅かにへばり付くように生えている.
 9時50分頃,前方に横たわる断崖がだんだんと近付いてくる.目の前に,岩を削る滝が見え出す,小さいながらなかなか迫力のある滝である.私たちは滝の手前で右方向に進路を変えて,ほぼ真北の方向に歩き続ける.この辺りから幾分きつい上り勾配になる.

<前方に滝が見える>

<突然の岩登り>

■いきなり岩場になる
 9時58分頃,いきなり岩場に突き当たる.
 特に難易度が高い岩場というわけではないが,これまでハイキング気分で歩いてきたので,
 “ありゃりゃ〜っ…岩場だ!”
とビックリする.丹沢の大倉尾根や表尾根では,お目に掛かれない本格的な岩場である.
 私は高い所が大嫌いだが,この程度の岩場なら,高度感もない.返って変化があって面白いなと思う.
 勿論,全員,何の問題もなく通過する.

<予期しない岩場に出会ってビックリする>

■岩稜を行く
 10時21分,岩場を通り抜けると,幅が広い(つまり太った)岩稜にでる.ここから暫くの間はなだらかな稜線歩行が続く.
 前方に見えている高い所を眺めながら,どなたかが,
 「あそこが,今日のコースの最高地点かな…」
という.すると,他の人が,
 「いや,いや,…まだまだ,最高地点は,もっとずっと先ですよ…」
と言っている.
 私も,まだ,まだ,ずっと先という意見に賛成である.

<広い岩稜尾根を行く>

■“ありゃ〜っ…”また岩登りだ
 10時30分頃,またもや予期しない岩登りになる.
 私は事前に地形図を良く眺めていたが,地形図だけでは,どこに岩場があるかなかなか分からない.
 トレッキングと言えば一般のハイキングと大差ないと思い込んでいた私は,頻繁に現れる岩稜の登り下りの多さに驚かされる.
 とにかく,参加者全員が何の問題もなく,岩場を通過する.

<また岩場だ>

■展望を楽しみながら休憩
 10時35分,岩場を登りきった所で,今日2回目の休憩を取る.
 手許の温度計では,気温は10℃.冷たい風が吹いている.少し立ち止まっていると,寒くなる.リーダーが,
 「何か羽織って,体温が失われるのを防いで下さい」
と注意している.
 前方には素晴らしい展望が開けている.実に良い眺めである.

<展望の良い所で休憩>

<絶景を楽しむ>

■高原歩き
 休憩を終えて,10時45分,再び歩き出す.
 やがて,広々とした高原の真っ直中を歩く.時間に余裕があれば,ノンビリと歩いてみたいなと思うほど,長閑な道である.
 遙か向こうにすそ野がなだらかな山が見えている.後ろの方から,
 「あそこが一番高いところかな…」
 「」いや,いや,未だ先だと思うよ」
と言っているのが聞こえてくる.

<なだらかな尾根道が続く>

■素晴らしい眺望
 11時15分,進行方向左手前方に湖が見下ろせる場所に到着する,前方には残雪の山脈が見えている.素晴らしい展望を楽しみながらユックリと歩き続ける.
 今朝,歩き始めてから,すでに3時間ほど経過している.丹沢の大倉尾根に例えるならば,大倉を歩き出してから,もう十分に塔ノ岳に到着しているだけの時間を歩いていることになる.いくら時差で調子が出ない私でも,3時間程度歩いていれば,それなりの順応ができる.
 “これからも,今の歩行速度程度で歩くのなら,連日歩き続けても体力的には問題なさそうだな…”
と,何となく確信し始める.ただ,高度感のあるところや,岩場は苦手だが…


<絶景を堪能しながらノンビリ歩く>

■賽の河原のような平原を行く
 その後も,1ピッチ約50分,休憩10分のペースを正確に守りながら歩き続ける.
 11時46分,右手前方の尾根伝いに高い山が見え始める.山頂には雲が掛かっている.さらに残雪も見えている.周囲から,
 「ありゃ〜っ!…まさか! あんな所を登るのかな.こりゃ大変だな」
と言っている声が聞こえる.
 地図で確かめると,右手に見えている山はBesshoeという山.私たちは,この山には登らずに,向かって左手の低いところにある尾根道を辿るようである.
 「いや…まさか! もっと左手の低いところを通るんでしょう」
 “良かった!!”

<賽の河原のような平原を行く>

■最高地点を通過する
 11時46分,大きなケルンに到着する.ここが,多分,今日のコースの最高地点(標高1743メートル)だろうと勝手に想像する(間違っているかも知れない).
 手持ちの温度計によると,気温は摂氏10℃.冷たい風が吹かなければ,トレッキングに最適な気温である.

<最高地点を通過>

<いよいよ核心部;岩稜地帯>

■イェンデ湖を見下ろす
 12時20分,眼下にイェンデ湖を見下ろす地点に到着する.
 ここで,絶景を眺めながら,10分間休憩.その間にソソクサと昼食をつまみ食いする.気温はそれほど低くはないが,冷たい風が少し吹いているので,ジッとしているとすぐに寒くなる.
 ツアーリーダーが,
 「体温を奪われないように,何か羽織って下さい…」
と子どもを諭すように注意する.

<イェンデ湖を眺めながら休憩>

■さあ…いよいよヤセ尾根岩稜大下りだ
 休憩を終えて,いよいよ本日のコースの核心部,ヤセ尾根の大下りに差し掛かる.
 ツアーリーダーが,皆に注意をする.
 「ストックは仕舞って下さい.紐など引っかかりそうなものは全部片付けて下さい.ポーチもリュックの中に入れてしまいましょう.事故の原因のかなりの部分は,ほんの一寸したことが多いです…」
 噛んで含めるようなツアーリーダーの注意に,私も,
 “なるほど! ツアーリーダーの言うと通りだ…!”
と共感する.

<いよいよヤセ尾根の大下り>

■高さの違う二つの湖
 ヤセ尾根の大下りの起点に立つと,眼下に二つの湖が見える.それぞれの標高にかなりの違いがあるのが面白い.
 左下に見えているのが,お馴染みのイェンデ湖(標高984メートル),右に見えるのがベス湖(標高約1,360メートル)である.二つの湖の標高差は約370メートルである.
 私たちは,これから,この二つの湖に挟まれたヤセ尾根を一気に下る.

<イェンデ湖とベス湖を見下ろす>

■ヤセ尾根岩稜大下りを一気に降りる
 いよいよ急な下り坂の岩稜に差し掛かる.
 下り始めは,まだそれほど急傾斜ではないので,余裕のある内に写真を撮っておく.
 この写真中央の少し前の方に青いリュックを背負った人の後ろ姿が小さく写っているが,その先が大下りになっていて,写真には写らない.
 大下りは,丁度,中央アルプスの宝剣のような感じである.そう難しい岩場ではないが,高度感があるので結構緊張する.私も足許に注意をしながら無我夢中で下り続ける.
 私は心の中で,
 “トレッキングというから,ハイキングに毛が生えた程度と思っていたのに…これでは本格的な登山だな…”
とブツブツ.でも,こんなのイヤだと言っているわけではない.予想と違っていたというだけのことである.

<いよいよヤセ尾根の大下りが始まる>

■大下りを振り返る
 大下りの核心部を過ぎると,勾配が幾分緩やかになる.
 13時24分,緩やかになったところでひと息入れる.大下りの核心部を振り返って見上げる.私たち以外にも沢山の登山者が登り降りしている.なかなか壮観な風景である.
 “なかなか壮観な眺めだな.”
 私は一人悦に入っている.

<核心部はヤセ尾根の岩稜下り>

■“ホッ”とひと息一休み
 14時03分,岩稜大下りを終えて,鞍部に到着する.
 ここで,10分ほど休憩を取る.気温は12℃.少し暖かくなっているが,冷たい風が吹いている.
 何はともあれ,緊張の岩稜大下りが無事終わったので,何となくホッとした気分である.下っている最中は緊張しっぱなしだったが,終わってみると,面白かったなと思えるようになるから不思議である.
 でも,油断は禁物.ここから先,岩稜の登り返しがある.さらに,今日のコースの終わりの方には,クサリ場の下りが何カ所かあると聞いている.
 トレッキングとは言いながら,結構,本格的な山登りだな”
というのが,私の偽りのない感想である.

<岩稜大下りを終えて一休み>
                                      (つづく)

「ノルウェー紀行」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/cdc3a53a4cceedd19a43417c60112dea
「ノルウェー紀行」の次の記事
(編集中)
「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)

ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(2);メムルブー小屋を目指して

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                     <残雪の山脈を眺めながら>

ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(2);メムルブー小屋を目指して
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第3日目;2013年8月20日(月) トレッキング第1日目 晴

<ルート地図> 

■全体図(イェンデスハイム→メムルブー)


■拡大図(2)



<プロフィールマップ>


<岩稜の尾根道を行く>

■ベス湖の畔
 14時14分,鞍部近くで休憩を取った後,ふたたび歩き出す.大きな石がゴロゴロと転がっているベス湖の畔を廻り込むように進む.登山道などないと言っても良いほど自然のままである.従って極めて歩きにくい.
 ゴロゴロ石を伝って数分歩いたところから写真左手に見えている斜面を登り始める.

<ベス湖の畔を通過する>

■うぇ〜…また岩登りだ
 ベス湖を離れると,また岩登りになる.結構長い登り返しである.
 ルートが余りはっきりしていないので,先頭を行く現地ガイドの赤いジャンバーを目印にして,後を追う.
 “これはもう,ハイキング所ではない.完全に登山だな”
と思いながら,私も後を付ける.
 岩場の急坂を登り切ると,今度は岩稜の短い下り坂になる.そして,下り坂を過ぎると,再び緩やかな登り坂に変わる.

<登り返しの岩場>

■荒涼とした風景
 14時43分頃,長い登り坂を登り切る.後ろを振り返ると,イェンデ湖が大分低い位置に見えている.
 私は風景写真を撮っている内に,列の一番後ろになってしまう.一番後ろは気兼ねなく写真が撮れるので,とても都合がよい.
 ここから,暫くの間,緩やかに登り下りする稜線歩きが続く.

<少々単調な稜線歩きが続く>

■断崖の上のガレ道
 15時19分,歩き始めから水平距離で9キロメートルほどの地点を歩いている.進行方向左手の崖下にイェンデ湖が見えている.断崖のトラバース道である,一寸高度感がある.
 ここで足を踏み外したら,イェンデ湖まで真っ逆さま.まずは助からないだろうなと思いながら慎重に通過する.

<断崖のトラバース道を行く>

■小さな湖の畔を通り抜ける
 15時28分,トラバース道を抜けると,小さな湖が見え出す.この湖を地図で確かめると,Bjorobeltjonne(スペルが間違っているかもしれない)と書いてある.何て読むのか分からないが,この湖の標高は1,475メートルである.
 左下に見えているイェンデ湖の標高は994メートル.したがって,両方の湖の間には約400メートルの標高差があることになる.…ということは,後で少なくとも400メートル下らなければならないと目的地のメムルブーには到着しないことになる.
 下の写真でも分かるとおり,湖を廻り込むように痩せた岩稜尾根が続く.

<標高差のある二つの湖の間を抜ける>

■格好いいピラミッド状の山が見える
 小さな湖の畔をから離れると,やや急な下り坂になる.相変わらず石や礫だらけの歩きにくい道が連続する.
 続いて,小さな登り下りが連続する岩稜を通過する.
 15時40分,振り返るとイェンデ湖の対岸に,姿形の良いピラミッド状の山が見えている.なかなかの絶景である.
 地図で確かめると,Veslloyfttinden(標高約1,540メートル)という名前の山である.足許が余り良くないので,注意をしながら絶景を写真に納める.

<姿形の良い山を望む>

■緩やかな登り坂が見えている
 15時53分頃,10キロメートル地点と思われる場所を通過する.
 前方には,小さな湖と雪渓が見えている.これらの湖と雪渓を廻り込むように登山道が続いているのが良く見える.
 「あそこの道の先に見えている尾根辺りから,イェンデ湖に下るのかな…」
と私の後ろに居る誰かが言っている.
 「いや,未だでしょう,多分もっと先ですよ…」
と誰かが反論している.
 私としては,近いに越したことはないが,地図を見ていると,どうやらもっと先へ行かないと降りられないような気がしている.
 “う〜ん…それにしても長い登り坂だな.”

<小さな湖と雪渓が見える>

■いよいよ急な下り坂だ
 登り坂を登り切ると,今度は緩やかな下り坂になる.まあまあ歩き易い道が続く.やがて11キロメートル地点を通過する.
 暫くの間,少し痩せた尾根沿いの下り坂がつづく.
 16時10分,稜線の広いところで休憩を取る.気温8℃.結構寒い.私は,現地ガイドのオラさんに,地図を見て貰いながら,現在地を確かめる.
 16時20分,休憩を終えて,再び歩き出す.今までと同じように単調な稜線下りが続く.
 16時32分,緩やかな稜線下りの末端に到着する.ここからはイェンデ湖に向けての急な下り坂になる.
 末端の見晴の酔うところで立ち止まる.
 前方には,これから下るイェンデ湖や,その向こうに広がる山脈が見えている.
 オラさんが,左前方に見えている鋭い尾根を指さしながら,
 「明日は,あの山に登るんだよ…」
という.
 実は,当初の計画では,明日のコースはムル川を遡ることになっていたが,オラさんが,
 「尾根筋のコースの方が,もっと良いよ…」
という意見である.そこで,明日は,予定を変更して,稜線コースを歩くことになった(当初予定のコースは予稿参照).

<なだらかな稜線歩きの先端で景色を愛でる>

■見るからに凄い明日のコース
 オラさんの指し示す方を見ると,明日,最初に取り付く山は,下の写真に示すように,もの凄い急な登り坂のあと,尾根伝いの登り下りが連続するコースである.見るからに凄いところである.
 「う〜ぇ…,あんな急坂,登れるかな」
と何人かがため息をつく.でも,だれも,こんなコースはイヤだとは言わない.
 私も,この山を見て,今から緊張する.
 “今回はトレッキングではないな…完全に登山だ”
 今日の終点,メムルブーは,この写真の左下に隠れている.地図を見ると,ここから先,左に廻り込むようにして,急な断崖を降りるらしい.これは大変だ.

<明日登る山が目の前に見えている>

<イェンデ湖畔へ下る>

■急坂が始まる
 16時35分,いよいよ下り坂に向けて歩き出す.
 でも,下り始めは,思ったほどの急な下りではない.前方の山脈を眺めながら,良い気分で下り続ける.女性群のどなたかが,
 「そんなに大した下りではないね…」
と楽観的なことを言っている.私は,
 “この方,地形図を見てないんじゃないの”
と思うが,そんなことを言うと角が立つので,ジッと黙っている.



<急坂の筈だが…>

■眼下にメムルブーが見える
 相変わらず,思ったよりなだらかな下り坂が続く.
 17時25分,眼下にメムルブー小屋が見える.
 「あら,もうそこが山小屋なのね.もう大したことないね…」
と同行のTBさんが大きな声で言う.
 それを聞いたツアーリーダーが,
 「いえ,いえ,これからが大変ですよ…」
と言う.
 私も,直ぐそこに小屋が見えているのに,まだ大変なのかといぶかしく思う.

<山小屋が見える>

■予期しないクサリ場
 ところが,湖面までもうすぐと思っていったが,そうは問屋が卸さない.
 間もなく,クサリ場が現れる.私は岩稜下りなど暫くやっていないので,ドギマギする.ツアーリーダーが一人ひとりの様子を見ながら適切なアドバイスをする.私もアドバイスを受けながら,
 “やっぱりチャンと資格を持ったガイドは頼りがいがあるな…”
と感心する.
 こんなクサリ場が,しつこく4回も現れる.
 いくら高所がイヤだと言っている私でも,これまでにも何回となくクサリ場を経験しているが,このところは,サボっているわけではないが,クサリ場のない山にしか登っていない,久々のクサリ場で結構緊張する.
 緊張すると,どうしても身体を岩から離して真っ直ぐ立てなくなる.理屈では分かっていても,なかなか上手くいかないので情けなくなる.
 そんな中,クサリなど一切使わずに上手に降りていく男性が居るのにビックリする.
 それにしても,クサリ場を怖がる人がほとんど居ないのにも驚く.

<クサリ場> ※ツアーリーダーから頂いた写真の一部をトリミングして引用

■メムルブー小屋に到着
 直ぐそこに見えているのに中々辿り着けないもどかしさを感じながら,17時44分,漸くメムルブー小屋に到着する.
 “やれ,やれ,…やっと着いたな.とんでもないトレッキングだったな.”
というのが私の率直な感想である.
 実際の所,トレッキングというよりは,完全な登山,縦走だったと思う.ただ,体力的には,大倉尾根経由の塔ノ岳往復とほぼ同等,あるいは,今回の方が少し楽だったかも知れない.でも,スリル感は大倉尾根とは比較にならないほど強烈だった.
 平素,大倉尾根を歩いていて,階段が多すぎると愚痴を言っているが,逆に階段ほど歩き易いところはないとも言える.今日一日歩いてみて,階段の有り難さが分かったような気がする.





<メムルブー小屋に到着>
                                   (つづく)

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ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(3);メムルブー小屋

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                                    <イェンデ湖畔>
       
   ノルウェー紀行;第3日目(トレッキング第1日目)(3);メムルブー小屋
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第3日目;2013年8月20日(月) トレッキング第1日目 晴

<メムルブーの船着場>

■船着場へ
 ベッセン尾根を無事踏破した私たちは,17時44分に無事メムルブー小屋に到着する.その足で,メムルブー小屋の直ぐ下にある船着場へ向かう.
 船着き場には,イェンデスハイム小屋で船便に託した荷物が到着しているはずである.
 小屋からは一寸した坂道を下って,5分ほどのところに船着場がある.
 船着場には人の気配はなく,船も居ない.
 “あれ〜っ…荷物は何処かな”
と多少気になるが,桟橋の片隅に私たちの荷物が纏めて置かれている.

<荷物を受け取りに桟橋へ>

■私が預けた荷物
 船着場から往路を戻る.船着場から山小屋までは,ほんの一寸の登り坂だが,疲れた身体には,結構,堪える.
 私が預けた荷物は,たったこれだけ.スリッパと着替え一式だけである.これだけでもリュックが軽くなれば有り難い.
 早速,軽登山靴を脱いで,スリッパに履き替える.
 そうこうしている内に,山小屋へのチェックインが終わり,各自に部屋が割り当てられる.私は昨夜と同じKSさんと同室になる.

<私が預けた荷物>

<まずは夕食>

■ド〜ンと運ばれるご馳走
 時間が押しているので,部屋に入る前に夕食となる.
 18時を少し廻った頃,食堂に入る.私たちは奥まった場所の2列に分かれて座る.私たちの脇には子供達の集団が座っている.中学生ぐらいだろうか.何処の国へ行っても,子供達は皆可愛い. 
 メインディッシュは,数人分の食材を大きなお皿にド〜ンと載せて運ばれてくる.このお皿から各自が自分の分を取り分ける仕組みである.まずは,圧巻のボリュームに驚く.

<大盛りの夕食>

■ジャガイモがとても美味しい
 大皿から自分の分を取り分けながら,美味しく頂く.
 私は大食いでも小食でもないが,ここで出されている1人前の食事は量が多すぎて,とても全部は食べられない.まあ,下の写真ぐらいの量で十分である.
 食べ物には,人それぞれ好みがあるので,一概に何が美味しいとかマズイとか言えないが,私には特にジャガイモが美味しく感じる.日本で何時も食べているジャガイモに比較すると,舌触りがすべすべしていて,ほのかに甘くて,とても食感が良い.実に美味しい.
 私は,好んでアルコールを嗜む方ではないが,周囲の方々が生ビールを注文するのにつられて,35クローネのオレンジジュースを所望する.ついでオレンジジュースを飲んだ後のペットボトルを,明日は水筒代わりに使おうと思う.
 実は,容量1リットルのペットボトルを持参しているが,乾燥した所を1日歩くには,水1リットルでは心細いなと思っている.

<美味しい夕食>

<素晴らしい部屋>

■素晴らしい部屋
 19時30分頃,夕食を終えてお開きになる.カウンターでオレンジジュース代を支払ってから,割り当てられた部屋に入る.山小屋にしては素晴らしい部屋である.
 部屋に入ってすぐの右手がユーティリティになっている.ユーティリティには洗面台,トイレ,シャワー室が揃っている.
 その奥に2段ベッドがある.反対側にはクローク,応接セットがある.
 シーツ,毛布カバー,枕カバーは勿論洗濯済み.
 個室にトイレからシャワーまである山小屋に泊まるのは,私にとって初めての経験である.勿論,電気,暖房も完備していて,消灯時館などなどの制限はない.それに水道の水はそのまま飲料水として使える.

■二段ベッド
 今夜は私がベッドの上段を使いますと提案するが,KSさんは,
 「いえいえ私が上段を使います…」
と言われる.平素,“長幼の序”などクソクラエと思っている私の本音では,どうも違和感があるが,敢えて自分の主張を貫くことはしない私は言われるままに,今夜も下段のベッドを使わせて貰うことにする.
 写真でも分かるように下段のベッドは,上段のベッドより少し幅が広くて.ダブルベッドサイズになっている.そこに2人分の枕と毛布が置かれている.
 二段ベッドの反対側には丸いテーブルと安楽椅子(古くさい表現だな)が2脚置かれている.

<二段ベッドと安楽椅子>

■ユーティリティ
 山小屋にしてはユーティリティも凄い.
 まず目に付くのがシャワー室である.ここでは,10クローネ支払わなくても自由にシャワーが使える.お湯も十分に出る.
 それに,一寸したホテルと同じトイレと洗面台が付いている.
 この設備を見ながら,日本の山小屋のことを思い出して,思わずため息が出てしまう.余談になるが,富士山が世界遺産になるのは,とても嬉しいことである.でも,最近格段に改善されたとはいえ,一般に日本の山小屋は,とても,とても,メムルブー小屋とは比較にならないほど貧弱である.
 メムルブー小屋のような設備の良い山小屋にしか泊まったことがない外国人が,日本の山小屋に宿泊したら,どんな感想を持つだろうか. 

<立派なユーティリティ>

■時差ボケは解消したようだ
 同室のKSさんは,どこかへ出掛けて,宴会を始めたらしく,部屋には居ない.私は先にシャワーを浴びて,21時頃,就寝.
 終日,日光を浴びながら歩いていたので,時差ボケはどうやら解消したようである.また,血圧もほぼ正常値に戻っている.体調もほぼ平常通りに回復したようである.
 今日は歩き出しこそ体調が悪かったが,今は全く疲労感は残っていない.この分ならば,明日も問題なく歩けそうである.
 良かった,良かった.

<第3日目(トレッキング第1日目)の纏め>

■ラップタイム
  8:10  イェンデスハイム小屋歩きだし
  9:22  衣服調整(8:30まで)
  9:24  分岐
  9:58  最初の岩場
 10:35  休憩(10:45まで)
 11:46  最高地点
 13:24  休憩(13:34まで)
 14:03  ベス湖畔鞍部通過
 15:28  小さな池を塚
 16:10  展望の良い所で休憩(16:20まで)
 16:35  急な下り坂に差し掛かる
 17:44  メムルブー小屋着

■水平歩行距離      13.5キロメートル

■累積登攀高度(概算)  1,250メートル

■累積下降高度(概算)  1,250メートル

■所要時間
 イェンデスハイム小屋発   8:10
 メムルブー小屋    着  17:44
 (所要時間)       9時間34分(9.57h)
 水平歩行速度    13.5km/9.57h=1.41km/h
                                   (第3日目おわり)
                                   (第4日目に続く)

「ノルウェー紀行」の前の記事
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「ノルウェー紀行」の後の記事
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「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)

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久々の丹沢;シカとネコに出会った塔ノ岳(今年43回目)

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                                    <霧の花立山>

  久々の丹沢;シカとネコに出会った塔ノ岳(今年43回目)
           (単独山行)
       2013年9月7日(土) 曇

■未だに時差ボケで調子が悪い
 早いもので,8月30日にノルウェーから帰国してから,もう10日ほどになる.帰国してからなるべく早く塔ノ岳に復帰しようと思っていたが,天気が多少良さそうな日には,ちょっとした雑務があったり,折角出掛けようとしても荒天が続いたりで,結局,今日まで塔ノ岳はご無沙汰だった.
 今日の天気予報も決して良くない.とうてい晴天は望めないが,雨が降り始めるのは午後のようなので,思い切って塔ノ岳に出掛けることにする.
 今日は土曜日.小田原駅での慌ただしい階段二段跳び乗換はしなくても済む.これはラッキーである.
 帰国してからグウタラ生活を送っている私は,未だに時差の後遺症に悩まされている.とにかく昼間に堪らなくなるほど眠くなる.
 “しょうがないな…じゃあ15分程うたた寝するか”
となるが,結果は,決まって2〜3時間寝込んでしまう.ついに私はうたた寝する前にコーヒーを飲むことにしたが,それでもダメ.本当は日光に当たりながら鎌倉の天園でも一回りしてくれば,時差など立ち所に解消するんだが…
 そんなわけで,今朝も,家を5時10分に出発したが,昨夜は碌すっぽ寝ていない.寝不足である.生あくびをかみ殺しながら,自宅近くのモノーレール駅へ向かう.9月ともなると夜明けはすっかり遅くなり,辺りはまだ薄暗い.でも,昨日の日中の暑さが道路に残っていて,気温は24℃にも達している.

■ご常連のYUさんYDさんと一緒に登山開始
 小田急線渋沢駅に到着する.
 大倉行バスの乗り場には,20人ほどの登山客が並んでいる.バスは数人の立ち席が出る程度の混雑だが,何時もの土曜日に比較すると,大分空いているように思える.
 バスに乗ってから車内を見回すと.TGさん,YUさん,NGさん,YDさん,ここでは若手のIIさんなどご常連の顔を揃っている.私が前回塔ノ岳に登ったのは8月14日である.もう,かれこれ3週間以上も間があいての塔ノ岳である.
 “果たして塔ノ岳山頂まで行けるかな…”
といささか不安である.
 バスは7時頃大倉に到着する.ご常連の皆様も前後して大倉から歩き出す.
 7時06分,私はたまたま一緒に歩き出したYUさん,YDさんと一緒に雑談をしながら歩き出す.歩きながらの話題は,ノルウェーのこと,安全登山のこと,登攀技術など多方面にわたる.ただ,私自身は理屈は一通り習っているが,なかなか実践がともなわないのが玉に瑕である.
 「この頃,私は3時間ほど掛けてユックリ登っています…」
とYUさんがいう.ご一緒している私にとって願ってもないことである.
 ごくユックリペースで登りながら,ときどき後ろを振り返りながら,
 「あれぇ〜…,なかなかIIさんと,TGさんが現れないな…」
と訝る.
 7時28分,観音茶屋を通過する.もうすぐ分岐のところでYUさんが,路傍の草花の写真を撮るというので,私は先に行かせてもらう.これから先,暫くの間,私の一人旅になる.もっとも,私から数メートル後ろにYDさんが居られる.

■濃い霧の見晴階段
 登山道の足許は,濡れていて滑りやすい.でも,ノルウェーの山旅を終えたばかりの私には,大倉尾根の登山道は実に素敵に思える.要所要所には土留めや階段が設置されている.大倉尾根というと,とかく階段ばかりで大変だと言われがちだが,階段も何もないノルウェーの踏み跡のようなゴロゴロ道を連続6日間も歩き続けた私には,人の手が加えられた階段道が,とても歩き易く貴重なもののように思えてくる.
 私は大倉尾根はスバラシイと思いながら,7時46分に見晴山荘を通過する.
 その先,見晴階段の下から上を見上げた写真を,いつも撮るようにしているが,今日は何となく気分が高揚している内に.写真を撮るのをすっかり忘れてしまう.実に残念.とはいえ,今日は濃い霧が辺り一面にかかっていて,ほとんど見通しが利かないが…

■富士山は霧の中
 やがて駒止階段に差し掛かる.私のすぐ前に鎌倉在住の男性(お名前失念)が歩いている.
 こんなところで追い越すのも気が引けるので,10メートルほどの間隔を開けて,駒止階段を登る.ユックリペースの歩き出しだったので.当初心配していたような疲労感もなく,余裕を持って登り続ける.
 8時36分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間12分.調子の良いときに比較すると4〜5分遅いが,時差を引きずる今の私の実力は,まあ,こんな所だろう.
 続いて堀山の尾根道に入る.平坦なところではどうしても歩く速度が速くなる.晴れていれば富士山が見える場所で,申し訳ないと思ったが,鎌倉の男性に追い付く.
 雲で見えない富士山の写真を撮ってから.
 「今日は富士山が見えないので残念ですね…平らな所だけ先に行かせてもらいます」
と挨拶をして,男性の前に行かせてもらう.

<堀山で見えない富士山を撮る>

■霧の萱場平
 8時36分,堀山の家を通過する.まだ,朝が早いのに,もう開店しているようである.ちょっとだけ山荘の中を覗いてみる.もし何方か居られたら,
 「下山のときにお寄りします…」
と挨拶するつもりだったが,一寸見ではどなたも居られないので,そのまま登り続ける.気温は20℃.涼しいはずだが湿度が高いので,かなりシンドイ.
 後ろから来られるYDさんが私に追い付いたら,先に行ってもらうつもりで,相変わらずユックリペースを保ちながら登り続ける.後ろに居られるYDさんは,相変わらず私との距離を一定に保ちながら定速で登っておられる.
 8時56分,萱場平に到着する.相変わらず濃い霧が辺り一面に立ちこめている.木道の先端は霧に隠れて見えない.
 ここまで歩いた感じでは.久々の塔ノ岳だが,なんとか無事に山頂まで辿り着けそうである.
 足許で元気よく繁茂するアザミの写真を撮ってから,先へ進む.
 “思ったより体調は良いぞ…”

<霧の萱場平;写真に写っている男性は無関係の方>

■花立山荘
 萱場平を過ぎてからも,定速で登り続ける.後ろからYDさんが,ずっと同じ間隔を保ちながら登っている.
 “そういえば,IIさんとTGさんが一向に現れないな…”
 やがて,後7分坂に差し掛かる.
 “今日は8分ぐらい掛けて登ろう…”
と自分のペースを再確認する.
 ここの階段道は,登るのがイヤになりそうなほど長い.
 “ユックリでも登っていれば,その内に上まで登れるさ…”
と開き直って,登り続ける.
 後もう少しで階段が終わる頃,後ろに俄に人の気配を感じる.TDさんとYUさんである.何時の間にかお二人に追い付かれ,追い抜かれる.
 9時19分,お二人の後を追って,ようやく花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は2時間13分.結構,遅いラップである.堀山の家からの所要時間は43分.私の標準所要時間より3分遅い.後7分坂に置き換えると,この坂を3分の1登るのに必要な時間だけ遅いということになる.
 霧がますます濃くなる.花立山荘まで登れば,山頂まで後30分程度である.私は前方を行くお二人に付いていくことにする.その結果,写真を撮りながら登ると,花立山荘から花立山まで9〜10分掛かるのに,今日は8分で乗って,9時27分に花立山山頂を通過する. 

<お二人にくっついて花立山を登る>

■突然シカの親子が現れる
 9時32分,金冷シを通過する.ここまで来れば山頂まで後15分.
 金冷シから最初の階段を登っていると,突然,何か“ものの気配”を感じる.すぐ目の前に鹿の親子が居る.眼がつぶらで可愛い.2頭のシカの写真を撮ろうと思う.カメラを出している内に,オドオドしていたシカが動き出してしまう.その結果,沢山の足が生えているようなシカの写真になってしまう.
 写真を撮った後も,お二人の後ろに付いて登り続ける.
 そう言えば,先ほどまで私の後ろに居られたYDさんの姿が何時の間にか見えなくなっている.どうされたんだろう.

<オドオドとしているシカ>

■塔ノ岳山頂
 9時47分,3人一緒に塔ノ岳山頂に到着する.気温20℃.ジッとしていると実に心地よい気温である.風もほとんど吹いていない.
 大倉からの所要時間は2時間42分.時差ボケでグウタラしている私の状態を考えると,まあ,こんな所だろう.
 山頂にも濃い霧が立ちこめている.霧のため,ほとんど何も見えないが,私は馬鹿みたいに霧だけの写真を数枚撮る.そして,
 「尊仏山荘に立ち寄りますか…?」
とYUさんに伺う.
 「立ち寄りましょう…」
ということなので,2人で尊仏山荘に向かう.

<霧の塔ノ岳山頂>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.見馴れない2人の男性が先客.今日の小屋番はW田さんとF屋さん.私の顔を見るなり,自動的に300円也のお茶の準備が始まる.いつもワンパターンの注文ばかりしているから,「私=お茶」になっている.
 どうやら1番バスの常連は,まだだれも尊仏山荘に来ていないようである.暫くの間,お茶を飲みながら,YGさんと雑談.
 今日はどういう風の吹き回しか,華伊達美弥雄さん(ミャア君のこと)がどこからともなくフロワーに現れる.そして,W田さんに向かって一声,
 「にゃ〜…」
と澄んだ鳴き声で何かを訴えている.そして,テーブルの下に入り込んで温和しくしている.
 華伊達美弥雄さんは,この頃,少し太り気味だが,どうやら元気なようである.
 今日はネコとシカに出会ったラッキーな日のようである.

<ミャア君は元気なようだ>

■霧の中,下山開始
 その内に10時を大分廻ってしまう.YUさんは丹沢山方面に少し下ってみるとのことで,山荘を出発する.
 それにしても,IIさんとTGさんが未だ現れない.
 “途中で下山したのかな…それともどこか別の所へ行ったのかな…”
 10時16分,私もそろそろノンビリ一人旅で下山しようと思う.
 山荘の外に出る.山頂で休憩を取っている人が,先ほどよりずっと増えている.相変わらず濃い霧が掛かっているが,気温は20℃.暑くなく寒くなくとても気持ちがよい.山頂でちょっと道草をしてから,下山を開始する.
 山頂から木道に差し掛かったところで,IIさんとTGさんとすれ違う.あと5分,山荘で待っていれば良かったが後の祭りである.
 「…途中,(山小屋を)各駅停車しながら先に降りています…」
ということにして,お別れする.
 山頂直下の急階段で,2本ストックを使って登ってくるNGさんとすれ違う.
 「今日は湿度が高くて大変ですよ…」
とNGさんが愚痴を言う.
 金冷シ手前の階段を下っていると,大きな荷物を背負ったチャンピョンが霧の中からヌッと現れる.
 「やあ,こんにちは…ご苦労さん」
ですれ違う.
 その頃,どこからともなくTDさんが現れる.正に鬼神出没という感じである.先ほど一緒に塔ノ岳山頂まで登ったが,その後,TDさんは丹沢山の途中まで往復されたとのこと.

<霧の中からチャンピョンがヌッと現れる>

■萱場平のアザミ
 その後も,TDさんには私の遅速に合わせて頂き,一緒に下山し続ける.
 今日は土曜日.登ってくる人が結構沢山居る.登り優先なので,何回も立ち止まって,道を譲りながら下山し続ける.
 10時45分,花立山荘を通過する.山荘前には「氷水」の幟がはためいているので,ちょっと気がそそられるが,TDさんと一緒に下りたいので花立山荘はパス.早くも「各駅停車で下る」は崩れてしまう.
 その後も,TDさんには申し訳ないが私のペースでノンビリ下りを続ける.
 11時02分,萱場平に到着する.
 「…私,ちょっとアザミの写真を撮ります…」
ということで立ち止まる.そして,TDさんに先に行ってもらう.アザミは木道に大きくはみ出るほどに成長している.
 私は何時もこのアザミから勇気をもらっている.でも,このアザミ,後2〜3ヶ月,冬が来れば完全に涸れてしまう.だからこのアザミに人生の縮図を見るような気分になる.

<萱場平のアザミ>

■堀山の家でコーヒーブレーク
 アザミお写真を取っている内に,TDさんからはすっかり遅れてしまう.私は早々とTDさんに追い付くのを諦める.そして,だらしなくノタノタと下り続ける.でも,このノタノタ歩きが結構気に入っているから困る.
 11時18分,堀山の家に到着する.小草平のベンチは登山客で一杯である.堀山の家の入口近くのベンチに座っている女主人と目線が会う.
 「おや…FHさん…」
ということで,堀山の家に立ち寄る.
 今日は堀山の家のご常連は富士山に行っているとかで,先客は誰も居ない.
 何時ものように300円也のコーヒーを所望する.暫くの間,コーヒーを賞味しながら,ご主人,女主人と雑談に興じる.雑談をしながら,
 “こんな長閑な時間の流れも良いものだな”
と思う.
 「さきほど,NGさんが降りていきましたよ…」
と女主人が言う.何時も土曜日に登ってこられるNGさんと会っていないので,不思議に思っていたが,多分,私が尊仏山荘で油を売っている間に,塔ノ岳山頂に到着して,そのまま下山したんだろうと想像する.
 “それにしても,IIさんとTGさん,中々現れないな…”
 私は間が持てなくなり,11時48分,堀山の家にサヨナラして下山を開始する.

<堀山の家のコーヒーはお値打ちだ>

■俄に腹痛
 ルンルン気分で堀山の尾根を歩く.丁度晴れていれば富士山が良く見える付近に差し掛かったときに,急に胃と腹が猛烈に痛くなる.多分,今朝コンビニで適当に買った昼食の食べ合わせが悪かったんだろう.悪かったのは,久々に飲んだ牛乳かな?
 私は,痛みに耐えられなくなり,近場にある切り株をベンチ代わり座り込む.そして,どうにも我慢できなくなり,近くの茂みに入り込んで,用を足す.勿論,その跡には土を盛る.その上を枯れ枝でカバーをする,でも,どうせシカが件(くだん)のものを見付け,掘り出して,ペロペロなめるだろうと想像する.シカにとっては.貴重な塩分補給源だから.
 もとの切り株に戻って,常備薬の「ツムラ17」を服用する.薬効実にあらたか,服用してから2〜3分で胃の痛みは嘘のように簡単に治まる.途端に“今啼いたからず”で,正常な状態に戻る.
 “どうせだから,IIさんやTGさんが来るのを待とう…”
ということで,お二人の到着を,木に座ったまま待っていることにする.

■IIさん,TGさんと一緒に下山
 待つことほんの数分,TGさんが現れる.
 「お待たせしました…」
とTGさんが私に言う.すぐ後ろにIIさんも居られるとのこと.
 「堀山の家で『FHさんは今し方,出たばかりですよ』と言っていました…」
 ここから大倉バス停までお二人に同行する.お二人とも快調に下山し続ける.お二人に付いて行くのが大変だが,元気よく下山するのも爽快感があって気持ちがよい.私も.つい先ほどまで胃の痛みで四苦八苦していたなんて嘘のように,元気に歩けるのが嬉しい.
 12時44分,観音茶屋に到着する.茶屋の女主人が,
 「お帰りなさい」
と挨拶する.TGさんが,
 「…直りましたか?」
と女主人に聞く.
 「いえ…未だなんですよ」
と女主人が答える.私には何を話しているのか分からない.
 そして,そのまま観音茶屋を通過する.
 「…この前,(観音茶屋に)立ち寄ったら,かき氷の機械が故障していて,食べられなかったんですよ.まだ機械が故障したままでは,かき氷が食べられないので,通過ですよ」
とTGさんが言う.
 “なるほど…”
 12時55分,登山口を通過する.大倉発13時11分のバスに乗るのには丁度良い時間である.野菜の無人スタンドを覗きながら,大倉バス停に向かう.今は時期的に野菜の端境期らしく,無人スタンドに並ぶ野菜の種類は少ない.もしキュウリがあれば買いたいなと思っていたが残念ながらキュウリはない.
 13時01分,無事,バス停大倉に到着する.

■渋沢で一寸一休み
 靴を洗ってから,バス停の列の後ろに並ぶ.どこからともなく,先に下山していたNGさんとYDさんが現れる.鬼神出没のTDさんも,またヒョッコリ現れる.
 今日は土曜日.登山者が多いので,バスはほぼ座席が埋まるほどの混雑である.
 13時25分頃,バスは渋沢駅に到着する.
 「お茶を飲んでいきましょう…」
ということで,駅ビル1階にあるミスタードーナッツに入る.NGさん,TGさん,IIさん,TDさん,YDさん,それに私の6人.ここで一休みするのが,この頃,土曜日の定型パターンになったようである.
 私は,本当はコーヒーを飲みたかったが,先ほどの異変(“胃変”と書いた方が良いかな)が気になるので,可愛らしくカルピスを注文する.

<温和しくカルピスで乾杯>

■睡魔に悩まされながら帰宅
 30分余り雑談を楽しんでからお開きになる.
 渋沢駅から,大半の方は新宿方面へ,YDさんと私は小田原方面へ.
 電車に乗った途端に,猛烈な睡魔が襲う.ウトウト,ハツ!を何回も繰り返して,14時19分,小田原駅に到着する.ここでYDさんとお別れして,ちょっとの間,駅構内の売店をウロウロ.14時24分発快速アクティに乗車する.
 車内でまた睡魔.ナントカ乗り越さずに,14時56分,大船駅に到着する.
 大船駅前は,そよ風が吹いていて,実に心地がよい.余りに心地がよいので,自宅までバスを使わずに歩いて帰ろうかとも思った.でも,それよりも,バスに乗って早く家に帰ってシャワーを浴びた方が良い.そしてバタンキューで昼寝しよう…
 バスを使って,15時22分に自宅に戻る.
 シャワーを浴びると眠気も洗い流したらしく,スッキリ眼もパッチリ.この分だと,20時過ぎまで睡らずに頑張れば,頑固に私を悩ませていた時差ボケも解消されそうである.
 良かった! 良かった!

<ラップタイム>

 7:06  大倉歩き出し
 7:28  観音茶屋
 7:46  見晴山荘
 8:36  堀山の家
 9:19  花立山荘
 9:32  金冷シ
 9:47  塔ノ岳山頂着(20.0℃)
10:16       〃  発
10:30  金冷シ
10:48  花立山荘
11:18  堀山の家(11:48までコーヒーブレーク)
12:21  駒止茶屋
12:13  見晴山荘
12:44  観音茶屋
13:01  大倉着

 [山行記録]

■水平距離         7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:06
  塔ノ岳  着       9:47
   (所要時間)  2時間42 分(2.70h)
  水平歩行速度   7.0km/2.70h=2.59km/h
  登攀速度    1269m/2.70h=470.0m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      10:16
  大倉   着      12:07
   (所要時間)  2時間45分(2.75h)
  水平歩行速度     7.0km/2.75h=2.55km/h
  下降速度     1269m/2.75h=461.5m/h
                                  (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ad199cbf61b6bdc084942a6d3f2f0d64
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

[編集後記]

2013年9月8日(日)

 昨夜は久々の塔ノ岳で,グッスリとよく眠れた.そして,2時過ぎにパッチリ眼が醒める.
 “2時か! 起床するには一寸早すぎるかな…”
と思いながらも起き出してしまう.
 そして,ノルウェー紀行の記事を書き上げる.すると,また,ちょっと眠くなる.
 “ちょっとうたた寝でもしようか”
と思って,机の上にうつぶせになったまま,眼を閉じる.
 途端に,また,グッスリと寝込んでしまい,目が覚めたときには,9時を過ぎている.これには驚いた.
 うたた寝をしている間に,次々回のオリンピック開催地が東京に決まったようである.2020年とは大分先の話である.その頃,私はこの世に居るんだろうか?
 前回の東京オリンピックの時は,私は新婚ホヤホヤ.借家でビンボー暮らしをしていた.
 でも,まだ技術屋として現役だった.オリンピック見たさに,秋葉原でブラウン管,真空管,抵抗,コンデンサーなどの部品を買ってきて,仕事から帰った後で半田付け.1ヶ月ほど掛けて,粗末な白黒テレビを作った.映りは余り良くなかったが,それでも手造りのテレビで,数年間は我慢して使っていた.
 オリンピックと聞くと,そんな甘酸っぱい新婚時代のことを思い出す.
 夕方,孫娘が我が家を訪れてくる.孫と一緒にオリンピック関連のニュース番組を見ながら,夕食を楽しむ.そういえば,前回の東京オリンピックのときは,この孫娘の親も,まだこの世には居なかった.
 改めて,随分長い歳月が流れたなと実感する.
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 天気予報では,今日一日雨の筈だったが,実際は薄日が射すほどの曇り空で終わった.そう言えば昨日も予報では午前中曇,午後から雨だったが,実際は終日曇で午後薄日が射した.
 天気予報で一喜一憂しながら山登りをしている私にとって,天気予報が外れるのが一番困る.もう少し予報の精度が上がらないかなと思うこと頻りである.
                                    (愚痴おわり) 
 

ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(1);尖鋒の山頂を目指して

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                              <最初の山頂からの眺望>

ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(1);尖鋒の山頂を目指して
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第4日目;2013年8月21日(火) トレッキング第2日目 晴

<ルート地図> 

■全体図(メムルブー→イェンデブー)


■拡大図(1)

※これらの地図は,筆者が現地で購入した地図に,ルートや里程を独断で記入したもので,
 アルパインツアー社から提供された地図ではありません.
 正確性は全く保証しかねますのでお含み置き下さい.

<プロフィールマップ>



<メムルブーの朝>

■今日登る山が見えている
 昨日,日光を浴びながら終日トレッキングをしたので,私を悩ませていた時差は何とかクリアしたようである.
 昨夜は夜中に一度トイレに行っただけで,朝までグッスリと眠ることができた.
 7時37分,朝食に向かう前に,同室のKSさんと一緒に外へ出てみる.
 西の方を見ると,今日,これから登る岩山が天高く聳えているのが見える.地図で確かめると,写真の左上に見えているナイフエッジを直登するようである.
 “エッ…エエェ! あそこ,登るの?”
 私たちは,ピラミッド状に峨々と聳える岩山を見て,本当に,あんな所,登れるのかなと心配になる.
 “でも,まあ,なるようになるさ…”
で開き直るしかない.
 今日のコースは,最初にピラミッド状のピークに登った後,写真に見えている凸凹とした稜線をそのまま辿って,この稜線の裏側の彼方にあるイェンデブーまで向かう.
 内心では,ツアー会社が企画した山行なので,そんなに凄いところはないだろうと思っている.
 余談になるが…写真に写っている建物が,メムルブー小屋の本館である.ここには,食堂,売店などがある.
 山の写真を撮った後,一旦部屋に戻る.そして,メルムブーからイェンデブーまで船便で運んでもらう荷物を纏め,さらに昨夜支給されたシーツ類を持って,食堂のある本館に向かう. 

<山小屋前から今日登る山が見えている>

■朝食と昼食の準備
 朝食には少々早いが,7時40分,食堂に向かう.
 例によってバイキング方式である.ここでは,朝の食材を利用して,各自が自分の昼食を用意する仕組みになっている.
 私はトレッキング第1日目の経験から,パンはなかなか喉を通らないので,今日はパンの量を少なくして,野菜類を少し多く挟み込んだサンドイッチを作ることにした.それを大きなお皿に朝食と一緒に載せて,自分のテーブルに戻る.その結果がこの写真である.つまり,ここに写っている食材が,私の朝食と昼食になる.
 サンドイッチを作るとなると,パンにバターやジャムを塗り込んだり,間に挟む食材を取り分けたりで,結構時間が掛かるし,食材の周りが随分と混雑する.どうも慌ただしくて,セカセカしていて,私の性分には合わないが,これも致し方ない.
 私はこの写真に写っているサンドイッチの下半分をランチ用に選ぶ.その他に林檎,オレンジ,ゆで卵1個を昼食用として確保し,これらを備え付けの包装用紙に来るんだ上で,ビニール袋に納める.
 この一連の作業を終えてから,いよいよ朝食である.まずはオートミール.これは食べ慣れた味である.その他の食材も新鮮で大変美味しい.

<私の朝食+昼食>

■本館前に集合
 朝食後,一旦部屋に戻る.改めて忘れ物がないかをチェックして,リュックを背負って本館前に向かう.
 8時30分頃,全員が揃う.
 全員の支線が,当グループの若手の女性の足許に集中している.実は,トレッキング第1日目の途中で,彼女の靴の底が剥がれそうになった.当日は剥がれそうな底を紐で固定する応急処置で済ませたが,昨夜の内に若手ツアーリーダーのKYさんが,実に可愛く修理してくれたようである.余りに可愛いく修理してあるので,皆の視線を集めたという次第である.
 何人かの方々が,代わり番こに修理済みの靴を写真に納める.

<修理済みの靴の写真を撮る>

■ツアーリーダーの傑作
 私もご相伴にあずかる.禿げそうな部分に白い布テープが貼ってある.布テープにはポンチ絵と2人のツアーリーダーの署名がしてある.
 これはツアーリーダーの傑作だ.お二人の人柄がにじみ出ていて面白い.

<ツアーリーダーの傑作>

<船着場を往復>

■船着場へ
 各自,船便でイェンデブーへ送る荷物を持って,船着き場へ向かう.
 船着き場は山小屋より少し低い位置にあるので,ちょっとした散歩気分である.碓氷ピンク色の花と湖水が見渡せる長閑な散策路である.

<長閑な散策路を下る>

■荷物を纏める
 8時44分,船着き場に到着する.船着場には人だかりができている.
 ツアーリーダーが各自の荷物を,大きな袋に纏めている.ツアーリーダーは大忙しである.ツアーリーダーの仕事は本当に大変だなと実感する
 
<船着場に到着>                            <荷物を纏める>

■船着場が賑やかになる
 船から沢山の乗客が降りてくる.途端に船着き場の周辺が賑やかになる.
 写真で船の反対側に写っているのはトイレ.昨日,人気のないときに,荷物を取りに来たときは,トイレの鍵が閉まっていたが,今は使えるようである.どうやら,船が到着するときだけ,使えるトイレのようである.

<船着場が賑やかになる>

■青空が広がる
 荷物を預けてから,山小屋に向けて往路を引き替えず.
 雲一つない抜けるような青空が広がっている.今日も行楽日和のようである.

<抜けるような青空が広がる>

<いよいよ出発だ>

■今日はどんなコース?
 8時45分頃,本館前の広場に集合する.
 ツアーリーダーから今日のコースのあらましと注意事項が伝えられた後,下半身を中心としたストレッチを行う.
 8時58分,いよいよ歩き出しである.例によって,現地ガイドのすぐ後ろに女性群の1集団が続く.もっとも一部の女性から,
 “何時も同じ人ばかり先頭にいるのはおかしい…先頭は交代すべきです”
という不満も出始めている.
 前方を見上げると,これから登る山(Sjugurdtinden;何て発音するのか分からない)が聳えている.私は地図と見較べながら,多分,こんなルートだろうなと,予想コースをイメージする.
 それにしても,鋭く尖った山である.一応,このブログでは,この山を尖鋒と呼ぶことにしよう.
 でも,忽ちの内に,
 “何でこの程度の山が尖鋒なんだ! 尖鋒とはモンブラン山群に林立する針のような山のことを言うんだよ…”
とクレームが来そうである.
 でも,でも,である.怖いところが大嫌いな私には,今見あげている山も心情的には十分尖鋒なのだ.だから,私の勝手でこの山を,これから尖鋒と呼ぶことにしよう.

<こんなコースを辿るのかな>

■ムル川の木橋を渡る
 9時07分,ムル川に架かる木橋に到着する.ここでムル川沿いのコースと分岐して,私たちは木橋を渡って川の右岸に出る.もともと,計画に示されていたコースはムル川の左岸沿いの道を遡るコースだったが,現地ガイドの判断で,私たちは計画にはなかった別コースを歩き始める.

<木橋を渡る>

■ムル川の美しい流れ
 木橋の上からムル川の写真を撮る.
 グレイシャーブルーの美しい川が,滝のように激しく流下している.私はこの川の流れから,以前訪れた北アルプスの「下の廊下」を連想する.

<ムル川の美しい流れ>

<最初のピークを目指して>

■岩稜の急坂
 9時14分,早くも衣服調整のために.最初の休憩を取る.ただし,たった3分の休憩時間だけで,直ぐに歩き始める.
 ほんの5〜6分歩いたところから,岩稜の急坂が始まる.トレッキングと言いながらも,本格的な岩稜登山になる.クサリ場こそないが,北アルプスの難所を歩いている感じである.

<岩稜の急坂が始まる>

■メムルブーとイェンデ湖を見下ろす
 急峻なガレ場の坂道を登り続ける.麓から目の前に迫るキピークを見上げたときには,あんな所登れるかなと危ぶんだが,登り始めてみると,三点確保を余儀なくされる難所も殆どなく,案外楽に登れることが分かる.
 9時41分,見晴の良い場所に出る.
 振り返ると,眼下に先ほど歩き出したメムルブーの建物群が見下ろせる.その右側にイェンデ湖が広がっている.
 メムルブーの向こうには,トレッキング第1日目,つまり昨日踏破したベッセゲン尾根が連なっているのが見える.
 「ふぇ〜…,昨日はあんな凄いところを歩いたんだ…」
と誰かが言っている.
 私も確かに凄いところだなと思う.小屋群の直ぐ左側の崖を,何カ所ものクサリ場を辿って湖面まで降りたんだと思うと,背筋が寒くなる.

<メムルブーの建物とイェンデ湖を見下ろす>

■もうすぐ最初のピークだ
 9時52分,前方にピラミッドの様に見えていた山のピークが間近に見える所を登っている.
 これから左手に伸びる尾根沿いの道を登って,もう一度右手に曲がれば,山頂に到着できると予感する.
 相変わらず天気は上々.雲一つない青空が輝いている.どうやら紫外線も強そうである.

<前方に最初のピークがハッキリ見える>

■尖鋒のピークに到着
 10時丁度,遂に尖鋒のピークに到着する.ここで10分ほど休憩を取る.
 尖鋒から北を望むと大きな雪渓が残る山脈が見えている.地図でこの山を確かめると.どうやら“Sjuguratindjeonne”という名前の山らしいが,どう発音したら良いのか分からない.
 この山の眺めが良いので,交替でこの山をバックに自分の写真を撮る.

<尖鋒から雪渓が残る山を望む>

■四方の風景を眺めながら休憩
 山頂は丁度私たちがユッタリと座れるほどの広さがある.私たちは360度に広がる風景を眺めながら,思い思いに休憩を取る.
 登ってきた方向を眺めると,昨日通過したベッセン尾根が,ずっと向こうまでゴツゴツと続いているのが見える.
 メルムブーから登り始めて,ここまでの水平距離は,やっと1キロメートルである.本日のコースの全歩程は約10キロメートルである.まだ10分の1しか歩いていない.まだまだ先は長い.

<尖鋒の頂上で休憩>

                                  (つづく)

「ノルウェー紀行」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/080e2dcc35a8e563e1b75f2be722c7d9
「ノルウェー紀行」の後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b996bcc3ce9998b11a700f3fce919b6a
「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)

※お断り
 記事の正確さは保証しません.

ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(2);湖沼とトナカイの尾根道

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                 <素晴らしい眺望を楽しみながら…>

ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(2);湖沼とトナカイの尾根道
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第4日目;2013年8月21日(火) トレッキング第2日目 晴

<ルート地図> 


※再掲

<プロフィールマップ>


※再掲

<断崖沿いの尾根道>

■切り立った断崖
 私たちは,メルムブーを出発してから,急坂を登攀し,水平距離1キロメートルのところにそびえ立つ尖鋒の頂で,10分間の休憩を取る.
 山頂からの見晴を堪能した後.10時10分に再び歩き出す.山頂から西南西の方向に伸びる尾根道を辿る.
 進行方向右側は切り立った断崖である.前方を見ると,私たちがこれから歩く道が断崖に沿って,ずっと向こうまで続いているのが見える.遙か前方には雪を頂く山脈が見えている.相変わらず青空が輝いている.

<断崖沿いの尾根道を辿る>

■展望の良い尾根道
 断崖沿いの道は,意外に歩き易い.私たちは眺望を楽しみながら,ごくユックリとした歩行速度で,尾根道歩きを楽しむ.気温は10℃.無風.
 前方には,これから登る小ピークが見えている.
 10時58分から11時10分まで,展望を楽しみながら休憩を取る.下の写真は休憩を終えて歩き出したところである.

<展望の良い尾根道>

■小ピークを越える
 抜けるような青空をバックに小ピークが目の前に見えている.この小ピークはトラバースするのかと思ったら,そのまま直登するようである.
 短いけれども,結構な急坂で,歩きにくいガレ場が山頂まで続く.
 11時25分頃,この小ピークを越える.

<目の前に小ピーク>

■ヤセ尾根からムル川を望む
 小ピークを越えると,ほんの暫く下り坂を歩いて,ヤセ尾根に入る.進行方向右手を振り返ると,雄大なU字谷が広がっている.メムル谷である.谷底を流れる川はムル川.谷の向こうにはイェンデ湖が見えている.
 当初の計画では,今見下ろしているムル川の畔を歩くことになっていた.もし,計画通りの歩いていたら,今頃どの辺りを歩いているんだろうと想像しながら絶景を見ながら歩き続ける.

<メムル谷を見下ろす>

<湖沼が連なる台地>

■段違いに並ぶ二つの池
 歩き出しから水平距離で3.5キロメートルほど歩いた地点から,登山道の周辺の様子が一変する.これまでのヤセ尾根から沢山の湖沼が点在する台地に変わる.ここから先は,ニュージーランドのルートバーントラックに良く似た風景になる.
 段違いの二つの湖沼の向こうに,鋭く尖った残雪の山々が連なっている.正に絶景.

<二つの池と残雪の山脈>

■鏡のような湖
 11時54分,歩き出しから4キロメートルほどのところにある鏡のような池の畔を通過する.地図で確かめるとGru****と一寸発音できない難しくて長い文字の湖である.
 池の向こうに連なる残雪の連峰が,池で反射して逆さに見えている.
 “こりゃあ〜…良い風景だな”
 時間が許すならば.一寸道草したくなるところである.

<鏡のような湖>

■残雪の尖鋒を長めながらランチ
 心地よい高原歩きが続く.ご機嫌である.
 進行方向左手,目の前に残雪の尖鋒が連なっている.これらの山々はイェンデ湖の対岸に聳えている山である.したがって,今私たちが歩いているところと,山の間にはイェンデ湖があるはず.でも谷が深いので,イェンデ湖は全く見えない.

<残雪の尖鋒を眺める>

■湖沼群と残雪
 出発地点から,水平距離4キロメートルから6キロメートル付近までは,湖沼群の中の散策路が続く.
 私たちは展望を楽しみながら,湖沼群を縫うようにして,西南西の方向に歩き続ける.気温は相変わらず10℃前後で,天候は安定している.実に気持ちが良い.

<湖沼群を縫うようにして歩く>

■ピクニック気分で昼食
 12時05分,残雪の尖鋒を眺めながら,ランチ休憩を,少々長めに取る.私たちは思い思いの場所に腰を下ろして,今朝方自分で作ったランチを食べる.残念ながら,パンはどうもバサバサしていて食べにくい.結局,パンだけは時間内に食べられず残してしまう.
<素晴らしい眺望を楽しみながら昼食>

<ワタスゲとトナカイの高原>

■岩稜を超えて
 12時40分,昼食を終えて,午後の部が始まる.
 登山道は,何時しか湖沼群から少し離れた賽の河原のようなところを西南西に続く要用になる.大きな石や礫が転がる道である.
 前方には,相変わらず残雪の山脈が見えている.

<石と礫の登山道>

■ワタスゲの群生地
 13時20分頃,ワタスゲの群生地を抜ける.その先は相変わらずの賽の河原である.緩やかな登り下りが連続する.
 気温は相変わらず10℃前後である.ほとんど無風,ノンビリとした調子で歩き続ける.実に心地がよい.

<ワタスゲの群生地を抜ける>

■幾筋もの小川を徒渉する
 13時23分,幾筋にも分かれて流れる小川を徒渉する.目の前の山脈が一層近くに見えるようになる.


<小川を徒渉する>

■起伏のある展望小径
 やがて石の平原が一面に広がる場所に到着する.この辺りの登山道はとても歩き易いので,有り難い.
 私たちは展望を楽しみながら,ユックリとしたペースで歩き続ける.

<石の公園のような平原を歩き続ける>

■トナカイが見える峠で休憩
 13時30分,小高い峠で今日5回目の休憩を取る.
 後方を歩いていたツアーリーダーが,
 「皆さん,トナカイが見えますよ…」
と教えてくれる.
 トナカイに興味のある人は,峠に立って辺りを見回している.
 「私…?」
 面倒くさいので,わざわざトナカイを探す気にならない.
 午後になって,少し雲が湧いてきたようである.

<峠で休憩>

<分岐点を越えて険しい岩稜へ>

■峠の湖と山の絶景ポイント
 10分間の休憩を終えて歩き出す.
 すぐに湖と山が見える絶景ポイントに到着する.ここは歩き出してから水平距離約5.5キロメートルの地点である.
 地図で,この池の位置を確かめる.langti****という標高1255メートルの湖である.例によって湖のスペルは分かっても発音が分からない. 

<山と湖の絶景ポイント>

■ムル川コースと合流
 14時46分,先ほどの絶景ポイントを少し過ぎたところで,ムル川コースとの合流点に到着する(冒頭の地図では分岐と表記されている).ムル川のコースは,もともとこのツアーで歩く予定になっていたコースである.
 何れのコースにしても,ここから先は,同じルートを辿ることになる.
 合流点は案内板があるから良く分かるが,辺りを見回しても,何処にムル川からのコースがあるのか,一寸眼には全く分からない.踏み跡の痕跡すらないように思える.このツアーの始めに,ツアーリーダーが,
 「現地の案内人が居ないと,ルートは分からない…」
と言っていたが,ここでその意味が良く分かる.
 とにかく私たちは,確かに合流点を通過する.

<ムル川コースとの合流点>

■再び険しい岩稜コースだ
 合流点を過ぎると,これまでの野趣溢れるコースの様相がだんだんと険しい岩稜のコースに代わり始める.
 行く手にはどこが道かハッキリしない尾根が連続する.また登り坂である.

<どこが道か分からない尾根をひたすら歩く>

■トナカイの群れ
 進行方向左手の山裾にトナカイの群れが居るのを発見する.10頭ほどの集団である.先頭を行く1頭のトナカイの後を他のトナカイが追っている.瞬く間に私たちが歩いている両川を越えて,今度は進行方向右手の斜面を下りはじめる(下の写真).
 トナカイの群れの行く手には小さな池がある.トナカイたちは池の水を飲みに行くのかなと思っていると,突然方向転換して,再び尾根を登り始める.正に行く方向は先頭のトナカイ任せである.
 私はトナカイの群れを眺めながら,妙な連想をする.
 「オレ達も,あのトナカイと同じだな…ガイドの後に付いて黙々と歩いているだけだから…」
と独り言を言う.それを聞いた私の後ろの方が
 「トナカイと一緒ですか,ハハハ…」
と苦笑する.
 なお,この辺で見掛けるトナカイは野生のものではなく,家畜だとのこと.

<荒野をトナカイが行く;トナカイは保護色なので良く見ないと何処にいるのか分からない.>

■イェンデ湖を眺めながら一休み
 16時20分,一寸した坂を登り終えたところで,今日7回目の休憩を取る.休憩時間は,10分間.
 写真の一番手前で足膝の屈伸運動をしているのが若手ツアーリーダーのKYさんである.
 写真の左下に,チョッピリとイェンデ湖が写っている.

<イェンデ湖が見え出すところで休憩>

■イェンデ湖を見下ろす
 休憩を終えて,14時35分に再び歩き出す.
 歩き出して1分も経たないうちに,眼下にイェンデ湖を見下ろす展望の良い場所を通過する.
 ここからイェンデ湖の湖尻も見えている.あの湖尻に今日の宿泊地であるイェンデブー小屋がある.
 微風が吹いているのか,湖面にさざ波が立っている.日光が波頭で反射して湖面が光り輝いている.
 ここから,イェンデブー小屋を見下ろすと,直ぐにでも到着できるような錯覚に陥る.ところが,実際には,ここから湖面まで降りるのに,幾つもクサリ場を通過しなければならない.さらに,湖面に降りてからの湖畔沿いの道も,結構な山道で,決して楽なコースではないと,ツアーリーダーが言う.リーダーとしては,イェンデブー小屋を見て,ついつい気が緩みそうな一同の気持ちを引き締める必要を感じたのだろう.

<峠からイェンデ湖を見下ろす>
                                (つづく)


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ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(3);イェンデブー

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                       <イェンデ湖の船>

ノルウェー紀行;第4日目(トレッキング第2日目)(3);イェンデブー
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第4日目;2013年8月21日(火) トレッキング第2日目(続き) 晴

<ルート地図>



<プロフィールマップ>



<イェンデ湖の断崖を下る>

■皆さん安全対策は万全ですか?
 14時25分,私たちはイェンデ湖を見下ろす場所で休憩を終えて歩き出す.
 ほどなく,稜線歩きの最終地点に到着する.ここから,標高差400メートルほどの断崖を,イェンデ湖畔まで一気に下る予定である.
 一同,稜線歩きの最終地点で立ち止まる.ツアーリーダーから,これから急な下り坂になるので覚悟するように注意を受ける.
 「…一寸注意したら防げた事故た大半です.事故の原因になりそうなものは,事前に極力排除しましょう…」
 私は,
 “なるほど,ツアーリーダーの言う通りだ…”
と感心する.
 とにかく,岩角などに引っかかりそうなものは全部なくす.例えばポーチなどは厳禁.リュックに仕舞い込む.引っかかりそうな紐などもすべてなくす.ストックも仕舞い込むが,リュックにストックを取り付ける際に,ストックの先が岩に引っかからないように十分に注意する…等々.
 ツアーリーダーが全員の服装,装備を目視でチェックする.不備がある人には,すぐに注意をしている.
 いよいよ下山開始である.

<イェンデ湖を見下ろしながら下山体制を整える>

■トラバース道に入る
 稜線から別れを告げて,下り坂に入る.
 下り始めは,断崖沿いの緩やかなトラバース道である.

<断崖沿いのトラバース道が始まる>

■イェンデ湖を眼下に
 暫くの間,左手にイェンデ湖を見下ろしながら,断崖の上のトラバース道を下る.前方には,今夜の宿泊地,イェンデブーが見えている.
 ここから見ていると,イェンデ湖までそれほどの距離はなさそうに見えるが,実は,これからが大変である.
 トラバース道を歩いていると,イェンデ湖の後方から小さな船がイェンデブー港へ向けて走っているのが見える.船の舳先で静かな湖面に綺麗な波紋を作っている.波紋が太陽の光を反射して幻想的な情景を醸し出している(冒頭の写真). 

<イェンデ湖の断崖をトラバース>

■いよいよ断崖下りだ
 15時10分頃から,緊張の断崖下りが始まる.
 まずは,長いクサリ場だ.
 “トレッキングだというのに…こんなにクサリ場があるとは…”
想定外の成り行きに,内心でブツブツ…でも,そんなこと言っていられない.順番に慎重にクサリ場を通過する.
 驚いたことに,20人を超える参加者が居るのに,クサリ場でたじろぐ人が一人も居ない.私は,今回の参加者は意外なほどモサ揃いだなと感心する.

<いよいよクサリ場>

■またまたクサリ場
 クサリ場が連続する.今度は進行方向右手が崖にになっているクサリ場である.左手遙か下方にはイェンデ湖が見えている.
 結構な高度感あり.

<クサリ場を下る;ツアーリーダーから頂いた写真をトリミング>

■さらにクサリ場
 さらにクサリ場が連続する.ちょっと,勾配が急である.ここは後ろ向きになって,一歩一歩慎重に下る.
 ツアーリーダーKYさんが,先頭に立ってクサリ場を降りる.私と同室のKSさんは,クサリを頼らずに下っている.手慣れている.凄い!

<イヤになるほどクサリ場が連続する>

<イェンデ湖畔を船着場へ>

■やっとイェンデ湖畔に降りる
 4ヶ所のクサリ場を無事に通過する.
 でも,その後も,暫くの間,急な下り坂が続く.岩礫や浮き石がゴロゴロしていて滑りやすい下り坂である.こんなガレ場の方が,かえってクサリ場より危ないとも言える.
 “湖面が見えているのに,なかなかそこまで降りられないな”
と焦れったい思いをしながら,ガレ坂を下り続ける.
 14時20分,やっとの思いで,イェンデ湖の湖畔に到着する.
 “やれやれ…やっと湖畔か”
とホッとする.
 湖畔で10分ほど休憩を取る.
 湖の先には滝と残雪の山脈が連なっている.
 ツアーリーダーが,
 「これから,イェンデブーまで,まだ1時間ほどかかります.湖沿いの道ですが,完全な山道です.充分注意して歩いて下さい.」
と注意を促す.
 湖畔まで下って,少々気が抜けた私たちの気持ちを引き締めようとしている.
 残念ながら,ここでの写真は撮り忘れた.手許に残っているのは15秒ほどで書き殴ったメモだけ.こんな乱暴なメモでも,多少なりとも雰囲気だけは分かるだろうと思うので掲載しておこう.
 10分ほど休憩した後,14時30分に歩行開始.
 ツアーリーダーが指摘したとおり,湖畔沿いの道は滑りやすい濡れた石と礫,それに泥濘の道である…というより,日本の山の間隔で言うと,ここは道ではない.自然のままの踏み跡さえ定かでないただの湖畔である.
 “歩きにくいったら,ありゃしない…ブツブツ!”
と言葉には出さずに,ブツブツ言いながら,ひたすら前を歩く人の後を追う. 

<湖の向こうに滝と残雪の尾根が見える;残念ながら写真はない>

■イェンデブーの船着場に到着
 石がゴロゴロ転がる道(道とは言えないけど…)を歩くのは焦れったくて本当にイライラするが,我慢して歩いている内に,16時08分,漸く,イェンデブーの船着場(波止場)に到着する.
 船着場付近の広場は綺麗に整備されているので,ゴロゴロ道からいきなり街中に飛び出したような安堵感と違和感を感じる.
 船着場には船はおろか人の気配もない.小さな桟橋は空ッポ.私たちの荷物もない.
 「あれ〜っ!…荷物,ないですね…多分,どなたかが小屋まで運んでくれたんでしょう…」
とツアーリーダーが言う.

<イェンデブーの桟橋>

■桟橋近くで一休み
 崖下りとゴロゴロ道歩行で疲労したのか,桟橋近くのベンチにヘタヘタと座り込む.ここで,数分,成り行き休憩になる.
 …で,私?
 正直なところ,崖下りで緊張はしたが,体力的にはまだまだ十分に余裕がある.ほとんど疲労感はない.今日のコースの疲労度は,まあ,大倉尾根経由で塔ノ岳を往復したのと同じ程度かと思う.

<船着場広場で一休み>

<あと少しで今日の終点だ>

■可愛いヤギにイヤされる
 5分ほど成り行き休憩を取って,17時19分に,また歩き出す.
 船着場から先の道は,草道ながら良く整備されているので,とても歩き易い.私たちは,ルンルン気分でイェンデビー小屋までの道を急ぐ.
 途中,ヤギ飼育場の脇を通る.若いヤギが頻りに,
 “メエ〜…,メェ〜…,”
と大声で啼いている.明らかに私たちを意識して啼いている.
 可愛い.
 八木の声に随分と癒される.

<子ヤギに癒される>

■もうすぐイェンデブー小屋だ
 湖畔の砂利道を,イェンデブーを目指して歩く.もう,目の前にイェンデブーの建物群が見えている.
 “もうすぐ山小屋だ! 今日の歩きもこれで終わりだ!”
と思うと,歩きも勢いづく.先頭グループの足取りがだんだんと速くなる.置いて行かれそうである.
 前方にはオーバーハングした崖の山が屹立しているのが見える.氷河で削られた段丘だろうと想像する.

<もうすぐイェンデブーだ>

■昔のイェンデブー小屋
 16時21分,昔のイェンデブー小屋に到着する.
 現地ガイドのオラさんが,
 「ここが昔のイェンデブーです.家畜と一緒に,この小屋の中に入ったんです…」
と説明する.
 小屋の中を覗いてみる.中は薄暗い.
 ちなみに“ブー”は小屋という意味である.したがってイェンデブー小屋という言い方は,小屋が二重になるので正確な表現とは言えないかも.でも,まあ,イェンデブー小屋と言った方が収まりが良いので,このブログでは,厳密な詮索は止めておこう.

<昔のイェンデブー小屋>

■やっとイェンデブー小屋に到着
 17時38分,私たちは漸くイェンデブー小屋に到着する.
 ツアーリーダーがチェックイン手続が終わるまで,その辺りで各自クールダウン体操をしながら待つ.
 今日もKSさんと同室である.部屋は別棟の211室.

<イェンデブーに到着>

<イェンデブー小屋>

■木の香り豊かな4人部屋
 船便で送った荷物は,無事,イェンデブー小屋まで運ばれていた.
 各自自分の荷物を持って,指定された部屋へ向かう.部屋に向かう途中で,部屋の鍵を受け取っていないことに気がつく.ツアーリーダー経由で管理人に確かめると,
 「過去に,ここでは,盗難事故など全く発生していないので鍵はない」
という返事だった.
 広い.2段ベッドが2基備え付けられている.4人部屋である.4人部屋を2人で使うという贅沢さである.有り難い.

<木の香り豊かな4人部屋>

■窓外には残雪の山
 部屋の窓から外を眺める.目の前にイェンデ湖,その向こうに残雪の山が聳えている.気温は8℃.少し寒い.
 “ふむ,ふむ,…,良い部屋だ!”

<窓外はイェンデ湖と残雪の山>

■まずはシャワーと洗濯だ
 部屋に入って一段落してから,シャワー室を訪れる.もちろん男女別々.シャワー使用料は1回,10クローネ.ただし,チェックアウトのときに自己申告で支払う方式である.
 シャワー室は,一度に3人がシャワーを浴びられる方式になっている.ただ,お互いの間には間仕切りがないに等しいから,お互いのスッポンポンが丸見えである.
 3基のシャワーが横に並んでいる.その手前で脱衣して,長い椅子を乗り越えて,シャワーの蛇口に向かう仕組みになっている.
 シャワーからはタップリと熱いお湯が出るから,快適である.
 シャワーから出たついでに,2日間,来たままだった下着を洗濯する.
 乾燥室はとても広くて,干し場に苦労することもない.随分と至れり尽くせりだなと感心する.

■トイレ
 トイレを使ってみる.
 トイレはシャワー室の先にある.トイレに入ると,まず男女別の仕切られた部屋がある.男性の方の部屋に入ると,洗面台2台とトイレが3ヶ所ある.残念ながら女子用のトイレの構造は和歌穴井.
 どうやら,ここは水洗ではなく,ボットン方式である.しかし壺は真っ暗になっていて何も見えない.また臭気も全く感じない.勿論,落とし紙はそのまま棄てられる.まあ,清潔である.ただ,腰掛け方式なので,少々戸惑う.

<夕食と団欒>

■美味しいスープ
 18時30分から夕食.
 私たちは奥まった場所に固まって座る.大勢の宿泊客が居て賑やかである.私たちの関野近くに中学生ぐらいかと思われる子供達が陣取っている.先生が何やら盛んに話している.子供達は神妙な顔をして先生の話を聞いている.第一印象では,躾が良くできている子供達だなと思う.
 最初にスープ.これが結構美味しいので,おかわりをする.

<トマト味の美味しいスープ>

■メインディッシュ
 続いてメインディッシュ.
 味付けは日本人好み.ジャガイモが特に美味しい.もし,これにご飯があれば,完全に日本食と同じだなと思いながら美味しく頂く.
 食事が美味しければ旅の印象はますます良くなる.気に入った.

<メインディッシュ>

■デザートとコーヒー
 最後はデザートとコーヒーである.
 デザートは,私にとっては少々甘すぎるが,イチゴなんか乗っかっていて,なかなかなものである.

<デザートとコーヒー>

<今日一日も無事に終わった>

■夕暮れのイェンデ湖
 20時15分頃,夕食はお開きになる.
 私はツアーリーダーから,敷布,枕カバー,掛け布団カバーを貰って,一旦,部屋へ戻る.
 ここは高緯度の国である.今は,まだ8月,下旬である.20時を過ぎたとはいえ,外はまだ十分に明るい.このまま寝てしまうのは何とも惜しいので,暫くの間,小屋の周辺を散策する.
 湖の畔まで近付いて見る.湖の中には,小さな島が沢山ある.まるで小さな船が浮かんでいるように見える.
 対岸の山には,まだ夕日が当たっている.それが反射して湖面を茜色に染めている.
 “綺麗な風景だな.見事な風景だ”
私は独り言のようにつぶやきながら,美しい風景を堪能する.

<夕暮れのイェンデ湖>

■今日一日も無事で良かった
 20時40分頃,自室へ戻る.
 同室の男性は,どこかへ出掛けていて,部屋には居ない.多分,アルコールがお好きな方と,どこかで祝杯を挙げているのだろう.下戸の私には良く分からないが,アルコールの魅力は,好きな人にはたまらないんだろうなと想像する.
 私は支給されたシーツや枕カバーを使って,実にアラっぽくベッドメーキングをする.そして,21時少し前に就寝.
 今日も良かった! 良かった!

<第4日目の記録>

■ラップタイム
 8:58  メムルブーから歩き出し
 9:14  衣服調整(9;17まで)
10:10  休憩(10:10まで)
10:58  休憩(11:10まで)
12:05  昼食(13:40まで)
13:30  休憩(13:34まで)
14:32  峠で休憩(14:35まで)
16:20  イェンデ湖湖畔で休憩(16:29まで)
17:05  船着場(17:19まで休憩) 
17:38  イェンデブー着

■水平歩行距離    10.0km

■累積登攀高度(概算)  後刻記載

■累積下降高度(概算) 後刻記載

■所要時間
  メムルブー 発      8時08分
  イェンデブー着    17時38分
 (所要時間)          8時間40分(8.67h)
 水平歩行速度   10.0km/8.67h=1.15km/h
                                  (第4日目おわり)
                                  (第5日目に続く)

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コオロギが鳴き一寸涼しくなった丹沢:塔ノ岳(今年44回目)

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                                  <堀山の尾根道>

   コオロギが鳴き一寸涼しくなった丹沢:塔ノ岳(今年44回目)
           (単独山行)
      2013年9月11日(水) 曇・頂上付近は霧雨

■コオロギが鳴き始めた
 この所,秋雨前線が停滞しているためか,どうもお天気がスッキリしない,でも,何か特別な予定がない限り,私は水曜日と土曜日には塔ノ岳に登りたいと思っている.ところが,今日の丹沢地区の天気予報は午前中は曇,午後から雨が降りそうだという.どうしよう?
 ついでに有料サイトの「山の天気」を見ると,今日の塔ノ岳は,午前中はピーカンの晴,午後から曇という予報である.どうも本当のところ,今日の天気がどうなるか良く分からないが,まあ,ともかく,出掛けることにする.
 出掛けるにしても小田原駅での階段二段跳び乗換は,どう考えても身体に良くない.でも,それを避けるには,大船から東海道本線下りの初電,5時10分発熱海行に乗らなければならない.
 眠れない夜を過ごした私は,4時10分,山の尾根にある自宅を,早々に出発して,大船駅に向かう.まだ,9月中頃だというのに,随分と日の出の時間が遅くなっている.私は薄暗い住宅地を抜け,山を下って,大船駅に向かう.
 住宅地内のあちこちに点在する草むらから,哀愁のあるコオロギの啼き声が聞こえてくる.でも,道路が昨日の熱気を蓄えているので,外気温は24℃にも達している.

■バス停大倉から歩き出す
 東海道本線の下り初電に乗車したので,小田原駅で小田急線に乗り換える時間は,超フックリである.何時もより数本早い電車で渋沢駅へ向かう.6時19分に渋沢駅着.
 大倉行バス乗り場へは1番乗り.暫くボンヤリと待っている内に,ボツボツと乗客が集まり始める.ご常連は,韋駄天のNMさん,TGさん,TDさん,それにNGさんとMTさん,名前は分からない女性1人.何時もの水曜日より乗客はかなり少ない.
 7時04分,たまたま居合わせたTGさん,TDさん,NGさんのお三方と一緒に大倉から歩き出す.気温は23℃でそれほど高くはないが湿度がかなり高いようである.今朝程までの雨で路面はベタベタに濡れている.
 「今日はヒルに気を付けなければ…」
とTGさんが言う.
 克董窯付近までは,4人ほぼ一緒に歩いていたが,TGさんが歩行速度を速める.つられてTDさんと私も少し歩行速度を上げる.その結果,丹沢ベースを過ぎる頃には,4人がバラバラになる.私は,暫くの間,TDさんと付かず離れずの速度で歩き続ける.
 萱場平の手前で,先発のMTさんに追い付く.
 「どうぞお先に…」
ということだったので,平らな所だけ先に行かせてもらうことにする.
 7時43分,見晴山荘を通過する.
 いよいよ見晴階段である.階段を見上げながら定点観測用の写真を撮る.坂の遙か上の方に,黄色い雨カバーのリュックが小さく見えているが,先ほどまでご一緒していたTGさんの後ろ姿である.もう,これだけの差が付いている.
 この坂道をTDさんと一緒に登るのは私には無理.そこで,TDさんに先に行ってもらうことにする.その後,TDさんの後ろ姿もジワリジワリと小さくなっていく.正直なところ,健脚のお二人が羨ましい.

<見晴階段>

■霧の堀山の尾根道
 見晴階段から上は,私の一人旅になる.
 顔見知りの方と一緒に登るのも,勿論楽しいが,一人マイペースで登るのも,また,楽しい.
 今日はあいにくの曇り空だが,ネットリと身体に纏わり付く空気にも,何となく初秋を思わせる気配がある.
 やがて駒止階段に差し掛かる.木道はびしょびしょに濡れている.見るからに滑りやすそうである.こんな所は,全く無理することはない.私はウンコラショ,ウンコラショと頭の中で掛け声を挙げながら,階段を登り続ける.
 8時18分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間12分.
 「…まあ,こんなものか.今のオレには…」
と自分自身に捨て台詞を浴びせる.わずか4〜5年前までは,大倉から駒止茶屋まで1時間が目標だったのに…オレも随分と落ちぶれたものだ.
 堀山の尾根道に差し掛かる.今日も曇り空.晴れていれば富士山が良く見えるところを通過する.勿論,今日も富士山は雲の中.でも,癪だから富士山が見えているつもりになって,見えない富士山の写真を撮る.
 堀山付近ではマルバダケブキが沢山咲いている.

<堀山の尾根道から見えない富士山の写真を撮る>

■夏草が繁茂する萱場平
 ボンヤリとしたまま,堀山の尾根を歩いていると,いきなり,
 「おはようございます…」
と声を掛けられ,ビックリする.韋駄天のY沢さんである.何時ものように2本ストックで,走り降りていく.
 8時36分,堀山の家を通過する.
 小草平には誰も居ない.辺りには全く人の気配はなく静まり返っている.
 “今日の目標は,ここから花立山荘まで40分で登ることだな…”
と頭の中で復唱して,堀山の家からの坂道に差し掛かる.私は,大倉尾根の中で,この辺りが一番山らしくて好きなところである.
 坂道を登り始めて直ぐのところで,後ろに何となく人の気配を感じる.振り返ると,10メートルほど離れたところに,先ほど追い越したMTさんが迫っている.これは毎度のパターン.どこか適当なところで,MTさんに先に行ってもらうつもりで歩き続ける.
 8時56分,萱場平を通過する.
 例によって定点写真を撮る.木道の真ん中辺りで,大きく繁茂するアザミが写っている.このアザミも秋が深まれば涸れる.アザミの元気な姿が見られるのも後2〜3ヶ月というところかな.
 気がつくと,先ほどまで私のすぐ後ろに居られたMTさんの姿が見えない.

<夏草が繁茂する萱場平>

■花立山荘
 全くの一人旅のまま,後7分坂(花立階段)に差し掛かる.長い登り階段なので,何時も途中で登るのがイヤになるところである.
 “登っていればその内に会談も終わるさ…”
と半ばふてくされて登り続ける.
 9時11分,もう少しで階段を登り切るところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.
 「今日は涼しくて良いですね…」
とNMさんがいう.
 9時13分,花立山荘を通過する.大倉からの所要時間は2時間13分.堀山の家からの書状時間は38分.予定の40分より2分速い.
 山荘前のベンチには誰も居ない,静まり返っている.そのまま通過.勿論,富士山は雲の中である.

■塔ノ岳山頂は雲の中
 花立山荘を過ぎる頃から,霧雨が降り出す.山の天気予報では晴の筈なのに…
 9時22分,花立山を通過する.ますます霧雨が強まる.
 9時26分,金冷シを通過する.ここまで来れば,塔ノ岳山頂まで後15分だ.気が抜ける.あとはノンビリと三つの階段を登るだけだ.
 一つ目の階段を登り切る.特に写真を撮りたいものもない.9時36分,二つ目の階段で,下山してくるTDさんと,続いて9時39分,もうすぐ木道のところでTGさんすれ違う.
 9時41分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間37分.山頂の気温は17℃.山頂には濃い霧が掛かっている.誰も居ない.
   

<塔ノ岳山頂>

■露に濡れたホタルブクロ
 遠くの風景は何も見えないが,儀式として周辺の写真を撮る.足許には霧雨に濡れたホタルブクロが咲いている.可憐な花だ.
 山頂に屯していたシカが駆除されてから,塔ノ岳山頂にも花が戻ってきたようである.

<霧雨に濡れたホタルブクロ>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.
 今日の小屋番はオーナーのHDさん.先客は誰も居ない.華伊達美弥雄さんもどこかへ雲隠れしているようである.何時ものように,300円也のお茶を所望する.
 暫くすると,ご常連らしい男性が到着する.続いて戸沢から登ってこられた顔見知りの男性2人.お茶を飲みながら,早めの昼食を摂る.
 私が山荘に入ってから10分ほど経った頃,MTさんが到着する.
 MTさんはロシアに観光旅行に行っていたとのこと.お土産に下の写真のようなお菓子を頂戴する.早速頂戴する.甘いけれども,同時にハッカのような清涼感のある香料が入っている.ちょっと日本で味わえないような独特の味である.無理に例えるならば,歯磨きをした後,口を良くすすがないうちに,甘いお菓子を食べたような感じの味である.
 10時頃,私より1本遅いバスで来られたFTさんが早々と山荘に到着する.

<ロシアのお土産のお菓子と300円也のお茶>

■大きなカエルを見ながら下山
 私は大倉発12時52分のバスに乗りたいと思う.今日は路面が濡れていて滑りやすいので,下りの所要時間を2時間15分程度と見込む.逆算して,10時20分に下山開始.
 尊仏山荘を出るときに,丹沢ベース辺りまでご一緒していたNGさんが,入れ替わりに山荘に到着する.
 山頂直下の階段道を降りていると,道端の笹がガサガサと音を立てている.笹の下には体調が10センチメートルを優に超えるかと思える大きなカエルが1匹動いている.
 “今日は良いものに出会えたぞ…”

<大きなカエル>

■予定通り無事帰宅
 その後も完全な一人旅.
 予定通り,12時40分に大倉に下山する.
 12時52分のバスに乗車したのは私1人.渋沢までの途中で乗車した人は,たった2人.
 渋沢駅では,何時も乗車する電車には間に合わず,電車は1本後になるが,小田原での接続は逆に円滑になり,14時30分頃,無事大船に到着する.
 今日も良かった! 良かった!

<ラップタイム>

 7:04  歩き出し
 7:25  観音茶屋
 7:43  見晴山荘
 8:14  駒止茶屋
 8:35  堀山の家
 9:13  花立山荘
 9:26  金冷シ
 9:41  塔ノ岳山頂着(17.0℃)
10:20      〃  発
10:35  金冷シ
10:50  花立山荘
11:20  堀山の家
11:40  駒止茶屋
12:05  見晴山荘
12:19  観音茶屋
12:40  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発      7:04
  塔ノ岳  着      9:41
  (所要時間)  2時間37 分(2.62h)
  水平歩行速度   7.0km/2.62h=2.67km/h
  登攀速度    1269m/2.62h=484.4m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      10:20
  大倉   着      12:40
  (所要時間)  2時間20分(2.33h)
  水平歩行速度     7.0km/2.33h=3.00km/h
  下降速度     1269m/2.33h=544.6m/h
                                   (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c4252998964c286f2502d585a1c9d94b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

ブログを日曜日まで休みます

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       お知らせ

 今日(9月13日)から日曜日まで,北アルプスへ行っております.

 その間ブログはお休みです.
 悪しからず…

 

 

初秋の鎌倉;大船から鎌倉まで里山4座と2大公園を縦走する

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                             <宝積寺跡付近の高台から天神山を望む>

   初秋の鎌倉;大船から鎌倉まで里山4座と2大公園を縦走する
       (山旅スクール5期鎌倉トレッキング会)
      2013年9月12日(木) 晴・暑い一日

<散策地図>



 もう9月も中旬だというのに,今日から急に夏のぶり返しで,今日は蒸し暑い1日になった.
 こんな暑い日にもかかわらず,参加者は私を含めて,何時もの通り5名が参加する.
 9時30分に大船駅から歩き出して,まずは天神山へ向かう.
 途中,妙法寺に立ち寄るが,今日はどういう訳か山門が閉まったままで,境内には入れなかった.
 つづいて,天神山に登る.山頂にある北野神社を参拝した後,裏道を通って宝積寺跡,江の島道標などを見物して.鎌倉中央公園へ向かう.その途中で,地元の人以外,まずは知らないだろうと思われる山崎の天神社を参拝する.
 鎌倉中央公園疎林広場で昼食.例によって野菜漬物さん他,皆さんが美味しいネーベンを持ち寄って,楽しいランチを楽しむ.ここは丸山.本日二つ目の里山である.
 昼食後,三つ目の里山である大平山(天園ハイキングコースにある大平山とは別の山)を経由して,山之内配水池から源氏山公園に向かう.ここが四つ目の山.
 葛原岡神社境内で一休み.この辺りまで来ると一般の観光客の数も増える.
 その後,宇賀福神社参道を経由して,鎌倉駅に向かう.
 一旦解散後,東急デパート内の喫茶店で氷水を食べる,身体が十分冷えたところで解散.
 私は市役所前から鎌倉中央公園行きのバスに乗車,日が高い内に帰宅する.

■妙法寺


■北野神社


■山崎の稲荷社


■鎌倉中央公園疎林広場


■楽しい昼食


■葛原岡神社


■宇賀福神社


■鎌倉駅前東急デパートの氷水


<ラップタイム>

 9:48  大船発
10:15  妙法寺
11:25  鎌倉中央公園(12:40まで昼食)
13:25  源氏山公園(葛原岡神社で30分休憩)
14:20  鎌倉駅着

[散策記録]

■水平歩行距離    7.5km

■累積登攀高度    239m

■累積下降高度    234m

■所要時間(休憩時間込み)
  大船駅発     9:48
  鎌倉駅着    14:20
  (所要時間) 4時間30分(4.5h)
  水平歩行速度  7.5km/4.5h=1.67km/h
                                                                          (おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/45faa83c6933c7f20691269b7e5d4d26
「鎌倉あれこれ」の次回の記事
(なし)

北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走(概要編)

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                      <常念小屋付近から槍ヶ岳を望む>

     北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走(概要編)
       (アルパインツアーサービス)
2013年9月13日(金)〜15日(日)

<コース地図>



 久々に北アルプスの旅を楽しんだ.
 前回,北アルプスを訪れたのは2011年のこと.昨年は夏に白内障の手術を受けたため,折角の夏のハイシーズンにもかかわらず近場の丹沢へ登るだけで我慢していた.
 今年は…
 是非,北アルプスへ行こうと前々から思っていた.それも,入門的な山で,しかも,まだ登ったことのない山はどこかなと,思いながら…
 勿論,私も山は駆け出しの素人である.したがって登っていない山は沢山あるが,北アルプスの有名所で,登っていないのは蝶ヶ岳と乗鞍山に2座である.
 …で,乗鞍山はさて置いて,蝶ヶ岳に行ってみたいなと思っていた.そんな折,たまたま何時も海外登山でお世話になっているアルパインツアー社のツアー登山の中に,常念岳と蝶ヶ岳を縦走するコースがあったので,早速,申し込んだ.参加費は結構高いが,10年前の私ならいざ知らず,この年になると,「安全」を「お金で買う」ことがとても大切だと思っている.
 安全については,別途,このブログ記事で触れたいと思っているが,事前に一言.
 たまたま登山中に,西日本に甚大な被害をもたらした台風18号が,もうすぐ北アルプスにも襲来しそうになった.そのとき,ツアーリーダーが気象会社やアルパインツアー社と連絡を取りながら,実に適切な対応をし頂いた.その結果,早め早めの行動を取って,所期のコースを完全に踏破し,かつ,天候が悪化する前に,1人の落伍者もなく,無事に下山することができた.
 これは,一見,何でもないことのように思えるが,私にはとても凄いことのように思える.改めてツアー登山の良さを再確認した次第である.

 さて,詳細は次回以降のブログ記事に譲るとして,ごく簡単に今回の登山を振り返っておこう.
 第1日目は,10時30分,松本駅に集合.参加者は男性5人,女性6人,合計11人.同行するツアーリーダーは3人,ガイドレイソはガイド1人に対して参加者3.7人という理想的な割合である.
 まずは専用車で,ヒエ平登山口(標高1323メートル)へ.
 ストレッチをしてから,11時53分,登山開始.途中,4回休憩を取って,16時17分に常念小屋に到着する.小屋からは鋭く尖った槍ヶ岳が見える(冒頭の写真).

<常念岳山頂>

 第2日目は.常念小屋から蝶ヶ岳までの縦走コースである.
 出発に先立って,台風18号の影響で天気予報を確かめながら行動する…場合によっては常念岳に登頂した後,往路をヒエ平らに下るかもしれない.あるいは,予定通り蝶ヶ岳まで行って,3日目は暗い内に下山を開始して,天候が悪くなる前に下山してしまうという選択肢もあり得る.詳細は常念岳山頂で,気象会社とツアー会社とに相談して決めると伝えられる.
 何れにしても常念岳までは登ることとなる.
 常念岳山頂での検討結果は,
 “今日は天候が安定しているので予定通り蝶ヶ岳まで行くが,明日は朝食を弁当にして貰い5時に下山開始,天気が悪くなる前に三股まで下山する”
ということになった.
 そうなると,2日目のコースは,距離も短いし,高低差もそれほど大きくないので,ユックリと尾根歩きを楽しむことができる.
 私たちは,安定した天気の中,槍ヶ岳や穂高連峰の素晴らしい展望を楽みながら,のんびりと尾根伝いの道を楽しんだ.

<穂高連峰の雄姿>

 3日目は,まだ暗い5時10分に下山開始.
 雨が降り出す時間が,当初の予報より少し早まって,もう出発時には霧雨が降り出している.やや冷たい風も吹いている.私たちは雨具など完全装備で下山を開始する.
 ところが,谷間の下山道に入ると,風は止み,雨も収まる.
 雨具を着ていては蒸し暑いので,途中で雨具の上だけを脱いで下山を続ける.足許は濡れていて滑りやすく,急坂が連続するところもあったが,全員無事に下山し続ける.途中で再び雨が降り出す,やむなく雨具をまた装着する.
 9時丁度に山麓の三股に到着する.
 タクシー相乗りで松本駅に向かう途中で,温泉施設「四季の里」に立ち寄って,3日間の汗を洗い流す余裕もある.11時45分,松本駅で解散.台風が吹き荒れる前に無事帰宅することができた.

<蝶ヶ岳付近で出会った雷鳥>

 今回の登山の記録は,引きつづき,このブログで連載する予定である.
 ただ,現在連載中の「ノルウェー紀行」も,まだ,終わっていないので,「ノルウェー紀行」と「常念岳・蝶ヶ岳縦走」の記事を交互にブログに掲載していくつもりである.
 お陰様で沢山の方々に「ノルウェー紀行」の記事をご愛読頂いている.以上のような次第で,色々な記事がチャンポンになって掲載されるが,ご容赦頂ければ幸いである.
                                        (つづく)

「北アルプスの山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5b80e7e2178071163e7cd066393849b1
「北アルプスの山旅」の次の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1e4030ec743ea5b885571ca17d083902

ノルウェー紀行;第5日目(トレッキング第3日目)(1);今日は休養日だ

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                              <朝のイェンデブー小屋近くの牧場>

 ノルウェー紀行;第5日目(トレッキング第3日目)(1);今日は休養日だ
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第5日目;2013年8月22日(水) トレッキング第3日目 晴

<ルート地図>


※2種類の地図を合成したので正確ではない.あくまで概念図.

<プロフィールマップ>



<イェンデブー小屋の朝>

■身体がまだ本調子ではない
 昨夜は早々に就寝したが時差ボケのためか,加齢のためか,良く分からないが,とにかく,どうもよく眠れない.まずは12時頃,トイレに行く.平素は,一旦寝てしまえば,朝までトイレに行くことは滅多にないが,やっぱり体調がどこか本調子ではないのかも知れない.
 またウトウトとするが,今朝の2時頃,またトイレに行く.こんなに頻繁に目が覚めてしまうんじゃ,どうにもならないなと思いながら,ついでに乾燥室を覗く.昨夜の洗濯物がすっかり乾いているので,ついでに取り込んで持ち帰る.
 さらに4時頃,またまた目が覚めてしまう.その後は,また,睡っているような起きているような曖昧な状態のまま,6時を迎える.
 “もう睡眠ごっこはヤメタ!”
で起床する.そして,またまたトイレへ.ついでに,飲料水を水筒に入れて自室へ持ち帰る.
 同室のKBさんも,もう起床している.
 部屋の窓を開けると,冷涼で新鮮な空気が部屋の中に流れ込む.今日も上天気のようである.窓からはイェンデ湖と対岸の山稜が見えている.
 “素晴らしい眺めだな…”
 今日はトレッキング3日目.休養日である.昨日,一昨日のロングトレイル歩きで疲労した身体を休めるために,今日は終日,ここイェンデブー小屋に連泊,ゆっくり過ごすことになっている.ただ,希望者があれば,イェンデブー小屋近くにあるイェンデストゥンガ峰(標高1,516メートル)を約4時間掛けて往復するとのことである.

<部屋の窓から外を眺める> 

■今日登る山が見える
 朝食は8時過ぎからである.
 7時40分,朝食前に,小屋の周りを少し散策しようかと思って,外に出てみる.今日も天気は上々.雲一つない青空が上空に広がっている.振り返ると,今日,オプションで登る予定になているイェンデストゥンカ峰が良く見えている.
 “ありゃ〜っ…! 結構な岩山だな”
というのが,私の偽りのない第一印象である.
 “さて…,どうしよう? あのイェンデスなんとか山に登るのも良いが,湖畔をブラブラしながら一日を過ごすのも満更棄てたものじゃないな…さて,どうしようかな?”
というのが私の率直な感想である.

<小屋(別棟)の向こうに今日登頂予定のイェンデストゥンガが見えている>

■バイキング方式の朝食
 8時10分から朝食である.
 例によって,昼食用にランチボックスも自分でこしらえなければならない…オプションツアーに参加するしないにかかわらずである.
 朝食は,例によって,バイキング方式である.朝食昼食両方の食材を選ばなければならないので,食材選びに時間がかかる.そのため,相変わらず大変な混雑である.
 山小屋とはいえ,素晴らしい食材が揃っているので,何の不満もない.ただ,パンは口の中でゴソゴソするので,私はランチのときにどうもうまく食べられない.そのため,ここのところ折角の手造りランチだけれども,パンだけはどうしても残してしまう.
 その反省もあって,今日のランチは,パンは少しにして,煎餅のような歯触りの板状の食べ物(名前が分からない)を少し多く持参することにする.その他に,ゆで卵,果物,野菜類を中心に,やや少なめのランチを準備する.
 さて,ランチの準備が終えてから,いよいよ朝食である.
 写真は朝食とランチを撮ったもの.奥に写っている左側のビニール袋が私のランチ.右奥に写っているビニール袋は,私の前の席に座っている方のランチである.
 手前の大皿と,オートミールのようなものが私の朝食である.野菜果物類が新鮮でとても美味しいので,食事が楽しくなる.
 朝食の仕上げは,コーヒーである.
 8時半頃,朝食を終える.

<バイキング方式の朝食;ついでにランチも自分で準備する>

■日向ぼっこに丁度良い天候だ
 朝食を終えて,8時30分頃,食堂を引き上げ,一旦,自室に戻る.そして,洗面とトイレを済ませる.どうやら,身体も大分こちらの時間に合ってきたらしく,通じも順調なようである.ただ,血圧は,まだ,少し高めのようである.しかし,まあ,総じて言えば体調は,まあ,まあ,良好と言えよう.
 オプションツアーに参加する人は,9時30分に山小屋の玄関前に集合することになっている.
 “さて,オプションツアーに参加するか,それともスケッチでもしながら湖畔でゴロゴロしていようか…どっちも良いな.さて,どうしよう?”
 正直なところ,内心では少々迷っている…さきほどツアーリーダーには,
 「私? 勿論,(オプションツアーに)参加しますよ」
と勢いよく返事をしたが…
 9時少し前に,もう一度,外に出てみる.快晴.気温16℃.日向ぼっこに丁度良い気温である.8月も下旬となると,いくら高緯度のノルウェーとはいえ白夜にはならない.でも,21時頃までは明るい.それならば,オプションツアーに参加した後でも,十分に日向ぼっこが楽しめるではないか.これで私の意思は固まった.絶対にオプションツアーに参加するぞと.

<いそいそとオプションツアーに>

■ノンビリ気分で歩き出す
 オプションツアーに参加する人は,9時30分,集合である.結局,全員が集合時間に顔を揃える.ツアーリーダーが,
 「今回は全員参加ですか…毎回,2〜3人は居残りますが,今回は居残りなしですね」
と言う.
 私たちは骨休み代わりの.オプションツアーなので軽いハイキングに参加するつもりである.装備も,ランチ,飲料水,雨具,懐中電灯,カメラ,地図程度しか持っていない.
 まずは,ツアーリーダーが音頭を取って,ストレッチを済ませる.
 9時33分,一同,いそいそと,ハイキングにご出発である.
 例によって先頭は現地ガイド,その後に若手ツアーリーダーのOGさん,OGさんは私たちの体力,力量を勘案しながら,適切な歩行速度を維持している.その後に例によって大多数の女性群が続く.さらにその後が少々ひねた男性群である.一番後ろがツアーリーダーのIBさんである.
 「今日のコースは,どんなところですか?」
とIBさんに伺う.
 「…さあ? 特に決まったコースはないようですが,多少の岩稜はあると思いますよ」
とハッキリしない.
 ここは特に決まったコースがあるわけではないので,どこを通るかは現地ガイドの裁量に任せているようである.
 私たちは,歩き出してから暫くの間,柔らかな朝日が当たる牧場の中を西へ向けて,ノンビリと歩き続ける.前方には氷河に削られたと思われるU字型の谷,ストラー谷が続いている.明日,私たちはこの谷を遡る予定である.

<朝日が優しい牧場の中をノンビリと歩く>

■長閑な牧場
 氷河で削られて出来たストラー谷は幅が広い.イェンデブー近くの谷間には牧場が広がっている.私たちは,牧場でノンビリと屯している牛を眺めながら,谷を遡る.
 川面に映る牛たちの姿と,向こうに見える峨々とした山脈との対比がいかにもノルウェーらしい.実に良い風景である.

<長閑な牧場の情景>

■川沿いの散策路
 牧場を過ぎると,川沿いの散策路になる.
 “この辺りで,一日中,ノンビリしていても良いなぁ…”
と思いながらも,歩き続ける.

<川沿いの散策路>

■橋を渡る
 10時08分,歩き出してから2本目の小さな橋を渡る.水が何とも綺麗な川である.端の途中で,思わず立ち止まって,川の写真を撮る.
 川の上流には,まるでピラミッドの様に尖った山が見えている.
 10時10分,川から少し離れたところで,5分間休憩を取る.

<清流に架かる橋を右岸に渡る>

■川から離れて次第に高度が増す
 2本目の橋を渡ってから,暫くの間,川沿いの雑木林の中を歩き続けるが,高度が高まるにつれて,登山道は川から離れる.
 12時25分,雑木林が途絶えて,次第に見晴が良くなる.そして,振り返ると眼下にイェンデ湖が見え始める.
 気温は暑くもなく寒くもない.実に心地よい.ただ,歩き進むにつれて,登り傾斜が次第に増していく.高度が増すにつれて,前方の三角形の山が良く見えるようになる.

<小川から離れて次第に高度を増す>

<素晴らしい眺望>

■ピクニック気分で休憩
 10時42分,見晴の良い台地に到着する.ここで展望を楽しみながら,10分余り休憩を取る.
 行く手前方にはゴツゴツとした山並み続いている.私たちは,ピクニック気分に浸りながら,思い思いの場所に座り込んで,飲食を楽しむ.

<ピクニック気分で休憩>

■マウントクックのような山
 休憩を取りながら進行方向右手前方を見ると,ニュージーランド南島に聳えるマウントクックのような尖鋒が聳えている.旅行社から支給された地図で確かめると,どうやらキルキャ山というらしい.実に優美な姿,形の山である.私は,
 “切り立った凄い山だな…オレには到底登れそうもない山だ…”
と馬鹿なことを考えている.勿論,こんな馬鹿なことを考えているとは,誰にも話さない.

<優美な姿のキルキャ山>

■眼下にイェンデ湖
 キルキャ山と反対側に眼を転じると,眼下にイェンデ湖とイェンデブー小屋が見えている.
 先ほど橋を渡った川が蛇行しながらイェンデ湖に流れ込んでいるのが良く見える.
 私たちは,美しい風景を堪能しながら,束の間の休憩を楽しむ.

<眼下にイェンデ湖とイェンデブー小屋が見える>
                                       (つづく)

「ノルウェー紀行」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4dc7b72615f71b6ae2bc419f8c36e6d1
「ノルウェー紀行」の次の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/877cae5fdcfe93bf16d1960a0cf414b7
「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)

※記事の正確さは保証しません.

北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走:第1日目(1);ヒエ平から常念岳を目指して

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                           <登山道に日が射し始める>

 北アルプス:常念岳・蝶ヶ岳縦走:第1日目(1);ヒエ平から常念岳を目指して
          (アルパインツアーサービス)
      2013年9月13日(金)〜15日(日)

<コース地図>

■コース全体図


■第1日目のコース(ヒエ平登山口→常念小屋)



<集合場所の松本へ>

■久々の北アルプスだ
 今回の山行は,私にとって久々の北アルプスである.実は,昨年は白内障の手術を受けた事もあって,一昨年の夏に燕岳から常念岳まで縦走したのを最後に,北アルプスからは遠ざかっていた.その間,私の心の中のどこかで,
 “もう年なんだから,好い加減に北アルプスに行こうなんて,思わないようにしなさい.他の人の迷惑になるよ…”
という声が聞こえないわけではないが…私は入門的なコースでも良いから,是非,北アルプスに行きたいという気持ちを抑えきれなくなっていた.
 私は山登りについては全くの素人.でも,何時の間にか,主だった北アルプズの山には,ほとんど登ってしまった.中には登った回数が直ぐには分からないほど繰り返して登っている山がある一方で,どういう風の吹き回しか分からないが,蝶ヶ岳と乗鞍岳には,未だに登ったことがない.
 そんな折,図らずもアルパインツアー社主催の常念岳・蝶ヶ岳縦走コースがあることを知った.
 “これはもう,絶対申し込むしかない!”
 そんな次第で,今回は常念岳と蝶ヶ岳を縦走するツアーに参加することにした.
 そして,ツアー第1日目の今日を迎える.

■早々と新宿駅へ
 今日は,10時30分,松本駅改札口前集合である.
 私は新宿発7時00分スーパーあずさ1号に乗車することにする.そのために,自宅近くのモノレール駅初電5時26分発の電車に乗って大船に向かう.大船から品川経由で,6時03分に新宿に到着する.まだ,スーパーあずさ1号の発車時間まで小1時間もある.何時ものことながら,目的地に早く着きすぎて,時間を持て余す.いくら何でも早すぎるので,駅構内のコーヒーショップで,200円也のコーヒーを賞味する…が,この店,立ち席だけで座席はない.まだ,ラッシュアワーではないのに,店から出たり入ったりする人が多くて,なんとも慌ただしい雰囲気である.
 “こりゃ〜…,たまらん!”
 私は,ほんの10分ほどで,アタフタとコーヒーショップを出てしまう.
 少々早いが,あずさ号が出発するホームに向かう.私が乗るのは,勿論,自由席である.まだ,十分に早い時間なのに,世の中には,私よりもっとせっかちな方が居るらしく,もう3〜4人の乗客が列を作っている.私もその後に付いて並ぶ.この位置ならば,どこの席でも自由に選んで座れる.
 暫くすると,次々に乗客が並び始める.私と同じようにリュックを背負った人達が次から次へと現れる.この人達に行き先は北アルプス? それとも八ヶ岳? 中央アルプス?…そんなことを想像するだけで楽しくなる.
 6時45分頃,スーパーあずさ1号が入選する.私は甲斐駒ヶ岳の雄姿でも見ようかなと思って,進行方向左手の窓側の席に座る.
 次から次へと乗客が乗り込んできて,座席はたちまちの内に満席になり,発車時刻には立ち席の人も何人か出るほどの混雑になる.

■松本駅到着
 7時00分,列車は定刻に発車する.
 立川,八王子を過ぎる頃には,沢山の方々が,列車の通路にも溢れるほど乗車している.
 車窓から,ごく最近,歩いて巡る甲州街道の旅で,歩いた街道は,どの辺りだろうと思いながら,辺りの風景を興味深く眺める.今月末にも,先日歩いた甲州街道の続きを歩く予定になっている.そんなこともあって,車窓の景色を興味深く見続ける.
 列車が甲府に到着すると,沢山の乗客がドッと下車して,車内には空席もチラホラ見えるほどに空いてしまう.
 列車が,小淵沢を過ぎて,信濃路に入ると,信州で生まれ育った私の血が,俄に騒ぎ始める.ついつい脳裏に浮かぶのは,
 “信濃国は 十州に…”
の歌である.
 車窓から中央アルプスの山々を見渡す.ところが雲が垂れ込めていて,折角の稜線は全く見えない.今日は視界の利かない山道をひたすら登ることになりそうな気がしてくる.
 列車は9時39分に松本駅に到着する.集合時間は10時30分である,ここでも小一時間の待ち時間がある.駅構内のお店の開店時間は10時である,コンコースに面したコーヒーショップは開いてはいるが,先ほど新宿駅でコーヒーを賞味したばかりである.いくら何でも,そんなに立て続けに何杯もコーヒーを飲んだら,また胃がおかしくなるに決まっている.
 “どうにも,こうにも,しょうがないなあ…”
 私は仕方なく駅のコンコースを行ったり来たりを繰り返す.それでも,時間は確実に経過して,10時になる.それでは…ということで,開店したばかりの駅構内の売店をウロウロする.
 やっと,時間を潰して,10時20分頃,集合場所の改札口前に移動する.
 やがて,新宿7時10分発あずさ3号が松本駅に到着する.今日の参加者のほとんどは,この列車の乗車していたらしく,集合時間の10時30分には,参加者全員が揃う.

■今回のツアーは参加者11人
 今回の参加者は男性5人,女性6人,計11人.アルパインツアーからのガイドは3人と豪華である.ガイド1人に対して,ツアー客は4人弱のガイドレイショである.私がツアー会社が主催するツアーに参加する理由はただ一つ,「安全」を「お金で買う」のが目的である.だから,仮に参加費が多少高いなと思っても,安全に配慮されているツアーならば,高いとは思わない.
 私たちが駅コンコースで初顔合わせをしていると,コンコースの直ぐ隣に,私たちと同じ様な登山グループが集まっている.このグループの中に,山旅スクール5期の同級生,ノシイカさんが居られるので,ビックリする.ノシイカさんとは,つい先日,ノルウェーの旅でご一緒したばかりである.ノシイカさん達のグループの主宰者は「××総合案内所」.私も時々利用させて頂いているツアー会社である.ノシイカさん達のグループは2泊3日で霞沢岳にのぼられるとのこと.
 私たちは,受付を済ませてから,直ちに専用車に乗車する.
 
<松本駅到着>                                  <専用車に乗車>

<ヒエ平登山口から登山開始>

■松本駅からヒエ登山口へ
 10時35分,松本駅西口に駐車している専用車に乗り込む.バスは直ちに松本駅前から発車する.暫くの間は,何とも長閑な感じのする安曇野の平野を走っていたが,やがて専用車は山岳地帯に入る.車窓から見ていると,道路は深く切り込んだ谷を高巻きしながら,高度を上げていく.もし,車が谷へ転げ落ちたら,何百メートルも下の谷底まで一気に転げ落ちるだろうなとイヤな想像をする.
 走る車内で,3人のツアーリーダーの自己紹介がある.北海道にある某大学のワンゲル部出身の方,鎌倉で人力車の車夫をされたことのある方,植物に詳しくて芸術家肌の方,それぞれ個性豊かな方である.
 11時25分,専用車はヒエ登山口駐車場に到着する.
 まずは,最初のミーティングである.参加者が1人ずつ自己紹介をする.私の直ぐ脇に,ツアーリーダーのお一人が,参加者名簿を眺めながら,自己紹介の内容をメモしている.
 “何を書いているんだろう…”
 私は気になって,チラチラとこのメモを斜めから覗き込む.参加者の名前の直ぐ隣に赤いボールペンで,参加者の年令が書き込んである.それを見ると,私の所には,高齢者要注意のようなことが書かれている.私は,それを見て,
 “またか!”
とやり切れない気持ちになる.
 “年令だけで,烙印を押して貰っては困るよ”
と内心では思うのだが,だからといって,年令以外に客観的な尺度は,そう簡単に見当たらないから,やむを得ないと言えばやむを得ないのだが…でも,一寸でも失敗をやらかしたら,
 「年甲斐もなく梁などに登るからだ!」
と言われてしまうに決まっている.
 …ま,とにかく,私は自分の自己紹介では年令など言わずに,名前と鎌倉に住んでいることしか披露しなかった.

<ヒエ登山口に到着>

■ストレッチを済ませて登山開始
 ツアーリーダーの音頭で,一通りのウオームアップ体操を済ませる.そして,11時53分,私たちは,いよいよヒエ平から常念小屋を目指して歩き出す.
 「脚に自信がない方は,前の方に来て下さい…」
とチーフのツアーリーダーが言う.
 先頭がチーフリーダー,その後に数名の女性が続く.真ん中辺りにもう一人のツアーリーダーが入る.その後ろに,何となく男性群が続く.最後に3人目のツアーリーダーが付く.
 登山口の直ぐ近くに「常念岳登山口標高1260m」と書いた案内標識が立っている.

<登山口の案内標識>

<緑豊かな谷間の登り坂>

■森の中の登山道
 私は,なんとはなしに,列の後ろの方に付いて歩き出す.これも,人を押しのけてでも先に出ようとは決して思わない私の消極的な性格の現れだろう.でも,まあ,登っているうちに,だんだんとお互いの力量が分かってくるだろうと思いながら歩き続ける.
 先頭を行くツアーリーダーの歩行速度が,何時も一定していて,ゆっくりペースなので,歩き出して直ぐに私は,
 “この調子なら,いくらオイボレの私でも付いて行けそうだ”
と安心する.
 私には植物のことは“からっきし”分からないが,植生が豊かな森の中を緩やかな登り坂が連続する.私は“転ばぬ先の杖”として,ストックを1本持参しているが,平素はストックを使わないので,今日もストックはリュックにくくりつけたままにしている.
 今回は2泊3日の山行である.したがって,週に1〜2回登っている日帰りの塔ノ岳詣でのときに比較すると,リュックが若干重くなっている.多分,今日のリュックの重さは8〜9キログラム,何時もの塔ノ岳のときより2〜3キログラム重くなっていると思う.実は,リュックの重さの2〜3キログラムの違いが,実際に山道を歩いてみると,体感的にもかなり違って,しんどいことが良く分かる.
 鬱蒼と繁茂する木々の緑の下で,こぼれ日を浴びながら登り続ける.

<森の中の登り坂>

■山ノ神
 12時25分頃「,「山ノ神」に到着する.
 大きくて立派な鳥居が建っている.その奥に「山ノ神」の社殿がある.
 12時37分,山ノ神から少し先へ登ったところで,登り始めてから最初の休憩を取る.
 まだ,歩き出していくらも時間が経っていないのに,もう,いくらか汗ばんでいる.温度計を持参していないので,気温が何度あるのか分からないが,出掛ける前に予想していたよりは,大分蒸し暑く感じる.

<山ノ神>

■最初のレクチャー
 ツアーリーダーのお一人から,休憩時間を利用して,5分ほど,最初の野外レクチャーを受ける.ヤマブドウなどの試食.
 私は信州の山の中育ち.戦後,大人達に連れられて,しばしば,ヤマブドウ採取に出掛けた.でも,ヤマブドウを食べたという記憶はほとんどない.当時は戦後の混乱期.多分,葡萄酒でも密造していたんだろうか.山で催すと,その辺りで,ネーチャーコールスミーでしでかした.そんな経験から,高い所の木の実ならいざ知らず,登山道の周辺に落ちている木の実などは絶対に口にしない.
 …で,今回も幼少の頃の記憶から,試食はパス.
 とはいえ,ツアーリーダーの博識には脱帽.草木のことはからっきし分からない私には,ただただ,彼の博識がうらやましい.

<最初のレクチャー>

■川の左岸沿いに登る
 最初の休憩を終えて,12時51分に再び歩き出す.
 列の順番は,休憩前とほぼ同じである.
 歩き出してから間もなく,登山道は川岸近くを通るようになる.地図を見るが川の名前は良く分からない.大きな石がゴロゴロと転がっている滝のような川である.私たちは流下する水の音を聞きながら登り続ける.
 登山道は,ところどころで,大きな石伝いの歩きにくいところや,どこが登山道かハッキリしないところもあるが,つい先日歩いたノルウェーのガルホビッケン山に比較すれば,まだまだずっとマシな登山道だなと思いながら登り続ける.

<川の左岸沿いの道を登る>

■エボシ沢
 13時47分,エボシ沢に到着する.ここで今日2回目の休憩を取る.
 エボシ沢の標識を見ると,ここはヒエ平登山口から水平距離2.8キロメートルの地点ようである.常念小屋までは,水平距離で,あと2.9キロメートル.水平距離で見れば,今日の行程の約半分を歩いたことになる.
 「水平距離で言えば半分歩いたことになりますが,おしまいの方になると急な登り坂が続くんで,まだまだですよ…」
とツアーリーダーが私たちの気を引き締める.
 ここの標高は1,750メートル.ヒエ平の標高は1,260メートル.ここまでの標高差は490メートル.ヒエ平の歩き出しが11時53分だったので,標高差490メートルを休憩時間込みで1時間54分(1.90h)掛けて登ったことになる.したがって,登攀速度は約258メートル/時ということになる.これは,かなりユックリペースである.これならば私でも十分に付いて行けるなと確信する.逆に,もう一寸速く350メートル/時ぐらいでもなんとかなりそうである.
 この時点で,私は今回のツアーには間違いなく付いて行けるなと確信する.
 休憩時間中に空を見上げる.
 依然として,上空には雲が多いが,だんだんと日が射し始めている,どうやら天気は好転しているようである.
 
<エボシ沢標識>                            <エボシ沢で一休み>

■笠原沢
 13時50分,休憩を終えて,また,エボシ沢から歩き出す.
 暫くの間は,単調な登り坂が連続する.
 14時24分,笠原沢の道標前を通過する.ここの標高は1900メートル.ヒエ平登山口からは3.5キロメートル,常念小屋までは後2.2キロメートル.エボシ沢から約150メートル登ったことになる.
 14時40分,沢の畔で,第3回目の休憩を取る.
 川向こうの右岸に,かなり急勾配の階段が2本見えている.
 「どっちの階段を登るんですか…?」
とリーダーに伺う.回答は左側の階段を登るとのこと.
 
<笠取沢を通過>                               <河原で3回目の休憩>
                                        (つづく)

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(編集中)

ノルウェー紀行;第5日目(トレッキング第3日目)(2);ありゃりゃ! 岩場だ

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                          <イェンデストゥン峰山頂付近からの眺望>

 ノルウェー紀行;第5日目(トレッキング第3日目)(2);ありゃりゃ! 岩場だ
           (アルパインツアー)

        2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第5日目;2013年8月22日(水) トレッキング第3日目 晴

<ルート地図>


※再掲

<プロフィールマップ>


※再掲

<イェンデストゥンカ峰を目指して>

■いきなり岩登り
 イェンデブー小屋から2キロメートル余り歩いたところで,イェンデ湖を見下ろしながら休憩を取った私たちは,10時55分,再び歩き出す.
 これまでは南に延びる稜線沿いの道を歩いていたが,休憩後は是までの尾根と西側の尾根の間の谷間…とは言えない程度の窪地に沿ってや,勾配がやや急になった登り坂を進む.
 すると,突然,前方の険しい岩稜に突き当たる.現地ガイドが10メートルほど岩を登って,岩ノ下にいる私たちに向かってロープを投げ下ろす.このロープにつかまって登れということらしい.しかし,ツアーリーダーの判断で,窪地の東側の岩伝いに登ることになる.
 ルンルンハイキングの積もりで,オプションツアーに参加したが,まさかこんなに本格的な岩場を登るようになるとは,まったく想像していなかった.でも,まあ,ここまで来たら引き替えさせない.幸い岩場としては難易度はそれほど高くはない…が,ルンルン気分は一変に吹っ飛んで,真剣に岩登りに取りかかる.もし,日本アルプスだったら,この程度の岩場だったら,クサリが取り付けられているだろうなと想像する.私は怖い岩場は大嫌いだが,乗りかかった船だ.まあ,仕方がない(でも,本音を言えば…面白かった!).
 11時18分,岩場に登り始める.岩場にはどの位の高度差があっただろうか.多分,20メートル程度だろうなと思うが正確なところは分からない.
 折角の岩場だから,写真に残したかったが,そんな余裕はないし,第一,こんな場所では安全第一.写真など撮ろうと思ったらダメ,と自分自身を諭す.

<突然の岩登りに戸惑いながら登り始める>

■視界が一気に開ける
 岩場を登りきってから,後ろを振り返ってみる.眼下にイェンデ湖が遠くまで続いているのが良く見えている.

<岩場を登りきる>

■見晴の良いところで一休み
 岩登りを終えてから,高度感のあるヤセ尾根沿いに登り続ける.11時46分,見晴を楽しみながら,岩稜の途中で休憩を取る.
 私は例によって小さなノートを取り出して,辺りの風景の印象を殴り書きなぐる.勿論,眼下にはイェンデ湖の絶景が広がっている.
 ここで,風景を堪能しながら,昼食を摂ることになる.
 例によって,私はここの景色の印象を,15〜20秒程度で,絵にして描きなぐる.
 さて昼食である.今朝ほど自分で適当に作った弁当だが,どうもパンがバサバサしていて食べられない.結局,パンは1枚食べただけで,2枚半のパンは食べられずに残してしまう.
 昼食を終えて,12時20分,再び歩き出す.

<昼食を終えて歩き出す>

<イェンデトゥンガ峰山頂>

■見晴の良い稜線
 やがて上り勾配も緩やかになり,山頂直下の稜線に出る.素晴らしい眺望である.私たちは,眺望を楽しみながら,イェンデストゥンカ峰山頂を目指す.

<素晴らしい眺望を堪能しながら山頂を目指す>

■イェンデストゥンカ峰山頂
 12時40分,イェンデストゥンカ峰山頂(標高1,516m)に到着する.山頂付近は,先ほどの岩場が嘘のようになだらかな丘になっている.
 山頂からの眺望は実に素晴らしい.振り返ると,今までより一層高い所から見たイェンデ湖が見下ろせる.反対側を眺めると雪渓が残る山並みが続いている.360度の素晴らしい眺望である.
 山頂の気温は10℃.少々寒いが,実に心地がよい.

<イェンデストゥンカ峰からイェンデ湖を見下ろす>

■集合写真
 ツアーリーダーが音頭を取って,山頂での集合写真を撮ることになる.2人のツアーリーダーが全員のデジカメを預かって,すべてのデジカメのシャッターを切る.これは大変厄介な仕事である.ツアーリーダーに感謝.
 「私?! 私が何処に写っているかって?」
 「まあ,どこでもいいでしょう.どこかに居ますよ」

<イェンデストゥンカ峰山頂での集合写真>

<岩場の裏側に下山する>

■広い凹地を下る
 12時58分,下山開始.
 下山は,登りルートとは違って,鋭くオーバーハングした岩場とは反対側,つまり西側に下山する.どうやら,ここが道路だという決まったところはなく,下山する方向を定めてから,適当に下山するようである.辺りは地面にへばり付くように生えている苔のような草があるだけなので,見通しはとても良い.実に広々とした凹地が広がっている.
 凹地の一番低いところは湿地帯になっているらしく,ところどころに沼が点在している.
 山頂から,やや急な坂を下るが,一時,現地ガイドとツアーリーダーが降りるルートとが少々離れてしまうが,まあ,私たちも適当に下山する.

<山頂直下の凹地帯に降りる>

■点在する小さな湖沼が美しい
 広々とした凹地帯の中をほぼ南に向かってユックリと下る.特に道はない.大まかに,南にある川の畔を目指しているというだけである.
 なだらかな下り傾斜の凹地帯を進む,辺りには小さな湖沼が点在している.何とも素晴らしい風景が連続する.正に癒しの凹地帯である.

<小さな湖沼が点在する>

■伸びやかな展望
 さらに凹地帯を南へ進む.私たちが歩いている所よりさらに低いところに沢山の湖沼が点在しているのが見渡せる.その向こうには雪渓が美しい山地が連続しているのが見える.空には沢山のちぎれ雲が浮かんでいる.
 気温は摂氏10℃.湿度も低いようでカラッとした天気である.私は,心の中で,
 “ああ…いいな,綺麗な景色だな…”
を繰り返しながら,写真を撮りまくる.

<伸びやかな展望>

<凹地帯の美しい花>

■黄色い花
 私は花オンチである.いくら花の名前を教えて頂いても,ちっとも頭に入らず,何時も寂しい思いをしている.花のことはからっきし分からない私でも,綺麗な花や可憐な花を見ると感動する.
 凹地帯を歩いていると,キスゲに似た橙色の可愛い花が沢山咲いている.花に詳しい同行の方に,一応は花の名前を教えて頂いたが,ものの10歩と歩かない内に,教えて頂いた花の名前は,私の頭の中から虚空に消えていく.
 でも,可愛い花は,名前を忘れても可愛い.私は何度も立ち止まって花の写真を撮る.こんなときは,列の後ろからショボショボ付いていくのが一番良い.なぜならば,写真を撮るのに立ち止まっても,誰にも迷惑が掛からないからである.

<可憐な橙色の花>

■群生する白い花
 小さな川を徒渉する.あちらこちらに綿のような白い花が咲いている.多分,ワタスゲの仲間だろうと思うが,何しろ花のことはからっきしダメな私が,そう思っているだけ,
 でも,花の名前は定かでないにしても,とにかく,とても綺麗な花である.

<ワタスゲの群生地>

■氷河を抱えたカールを眺めながら休憩
 13時40分,台地のような原っぱの真ん中で,休憩を取る.
 行く手には,谷があるようだ.その谷も向こうには,断崖の山に囲まれた大きな氷河を抱えたカールが見えている.
 休憩を終えたら,多分,私たちは行く手に見える谷を下るんだろうなと想像する.
<氷河を抱えるカールを眺めながら休憩>
                         (つづく)

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(編集中)
「ノルウェー紀行」の索引
(編集中)



ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(1);シティホールの壁画

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                                <シティホール正面の壁画>
 
  ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(1);シティホールの壁画
           (アルパインツアー)
      2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第10日目;2013年8月28日(水) 晴

<ルート地図>

■オスロ全体図

                       ↓
■オスロ中心部拡大図           (拡大図)    



<オスロ滞在の朝>

■今日も体調は良さそうだ
 昨夜は良く眠れたようである.
 4時30分頃,ごく自然に目が覚める.大きな客室を1人で占領しての連泊は実に気楽である.同室者が居ないので,遠慮なしに早朝からゴソゴソと起床してしまう.そのまま,テレビを眺めながら,これまでの資料を整理したり,旅行用品をチェックしたりしながら気儘な一時を過ごす.
 今日はノルウェーに来てから10日目である.体調もすっかりノルウェーに馴染んだらしくて,早朝の血圧もほぼ正常値の範囲内で落ち着いている.まあまあ体調も良さそうである.

■ノンビリと朝食
 6時40分頃,朝食を摂りに2階のレストランまで降りる,たまたま同じツアーに参加している信州安曇野出身の方の近くに席を取る.朝食を摂りながら,同郷のよしみで話が弾む.
 今日の朝食も勿論バイキング形式である.メニューは毎度の朝食と似たり寄ったりなので,わざわざ写真を掲載するのも冗長過ぎるので,ここでは掲載は止めておこう.
 とにかく,タップリ時間があるので,安曇野の方が引き上げてからも,私一人でコーヒーを賞味しながら,ゆっくり,のんびりの時間を過ごす.朝食にタップリと時間を取るのが私の流儀.現役時代にも,しばしば海外へ出張したが,そんなとき朝のコーヒーをゆっくりと味わいながら,今日一日をどうしようかを考える…こんな時間が私にとって至福の時ともいえるかもしれない.
 8時30分頃,ようやく朝食を終えて,一旦,自分の部屋に戻る.6時40分から朝食を摂っていたので,実に2時間近くもレストランでノンビリしていたことになる・

<まずは地下鉄を体験>

■ツアーリーダーの後にくっついて…
 ツアーリーダーがオスロ市内の見所を何カ所か案内してくれるという.オスロを観光するのは初めてなので,何もかも勝手が分からないので,まずはツアーリーダーのお尻について行こうと思う.午前中ぐらい一緒に歩けば,オスロ市内の地理も何となく頭に入るだろうし,迷ったらタクシーに乗ってホテルへ戻ればいいので,午後からの観光は改めて考えることにして,まずは参加しますと言うことで手を挙げる.結局は大半の方が,ツアーリーダーの後をついて歩くことに決定.
 希望者は,9時丁度に,ホテル1階のロビーに集合する.ホテルのフロントで,オスロパスという一日乗車券を購入する.ここで実物の写真を記録に残しておきたいのだが,残念ながらどこかに仕舞い忘れて出てこない.見つかったら,改めてこのブログに収録することにしよう.
 9時10分,キンギョのウンコのように,ツアーリーダーの後ろにくっついて,ホテルを出発する.
 
<ホテルロビーに集合>                  <キンギョのウンコ状態で市内を歩き出す>
 
■まずは地下鉄に乗ってみる
 9時16分,Jernbanetorget/Oslo Sという地下鉄駅入口に到着する.どうやら○印の中に“T”と書いてある赤色の標識が地下鉄のようである.駅の長たらしい名前.ジェルンバネトルゲット(って読むのかな?)は覚えにくいので,この駅をオスロステーションということにして覚えておこう.そうすれば,例え迷っても,近くの地下鉄の駅を探して,オスロステーションに戻ればいい.それにオスロパスを持っているので,いちいちキップを買う必要もない.
 地下鉄のホームに入る.東京や?浜の地下鉄に比較すると,照明は何となく薄暗いが,まあ同じような感じである.
 私は元鉄道マニアである.知らない土地の電車に乗ると,ついつい時刻表だの電車が何両編成だの,軌条が広軌かどうかなど,碌でもないことに興味を惹かれる.辺りを見回した所,近くには時刻表が見当たらない.一同から離れて探し回るわけにもいかないので,お得意の,まあ,いいか,ですぐに探すのを諦める.
 
<地下鉄の駅の入口>                             <地下鉄のホーム>

■綺麗な電車
 9時22分,電車が到着する.
 ツアーリーダーの指示で,何処行の電車か分からないが素直に乗車する.車内はボックス席である.ということはラッシュアワーでも日本の地下鉄のようには混雑しないのかもしれないが,その辺りは良く分からない.でも捉まる棒がやたらに目に付く感じがする.

<地下鉄の車内>

■地下鉄路線図
 電車の乗降口の上に地下鉄の路線図が掲示されている.私たちが,今,乗車したスベッタコロンダのオスロステーション辺りは,沢山の路線が集まってくる駅のようである.
 この路線図を見ていると,何となく東京の鉄道網に似ている感じがする.市内中央に山手線のように一回りする線路がある.もっとも終日グルグル同じ所を廻っている電車はなさそうだ.でも,こうしてみていると私たちが乗車した駅は,何となく東京駅に似ている.すると品川駅みたいに東海道線と山手線が分かれているように見える駅もあるし,新宿ににているような駅もある.
 何れにしても,今私たちが乗っている所は沢山の系統の電車が集まっている所なので,電車の本数は頻繁にあるようだ.
 路線図を眺めていると,ツアーリーダーから,
 「次の駅で降りますよ…」
とのお達しである.
 9時20分,National-theatret(「ナショナルシアター」でいいのかな?)で下車.オスロステーションから二つ目の駅である.

<地下鉄路線図>

<地下鉄の駅からシティホールへ>

■ナショナルシアター駅の駅前
 地下鉄ナショナルシアター駅から外へ出る.途端に東西南北の方向が分からなくなる.方向など分からなくてもツアーリーダーの後をくっついて行けばいいのだが,それではどうも気分がスッキリしない.早速地図を開いて,辺りの景色を見回しながら,東西南北を確かめる.そして,私たちが駅から南の方向に向かって歩き出そうとしていることを確かめる.そして,前方の見えている素晴らしい建物が,由緒あるシティホールのある建物らしいことが分かる.
 ここは観光地らしく,私たち以外にもかなり沢山の人達が,集まっている.
 



<シティホール駅の駅前>

■見事な噴水
 駅前広場の見事な噴水に思わず見とれる,そして,ついつい写真を撮る.何だかクジャクの羽を連想させる.
 写真など撮っているから,一行に置いて行かれそうになる.

<見事な噴水>

<素晴らしい壁画>

■正面の壁画
 9時35分,シティホールに到着する.重厚な造りの建物である.
 ここで自由行動の後,10時に波止場に集合するようにツアーリーダーから言われる.
 中に入ると,天井の高い広場になっている,正面2階の壁一面に大きな壁画が飾られている.すばらしい壁画である.
 この壁画にも,多分,何か宗教的な意味があるんだろうと思うが,何の下調べもしていない私は,絵の意味はサッパリ分からない.ただ,率直に素晴らしいなと感銘を受ける.
 意味が分からないので,これ以上のコメントをしようがなないので,四方の壁画の写真をコメントなしで,披露することにしよう.

<正面の壁画>

■側面の壁画(1)
 側面に廻るとそこにも,素晴らしい壁画が飾られている.とにかく凄い.
 描かれている人物は,一体,何をしているんだろう.宗教的な儀式のようにも見えるが…

<素晴らしい壁画>

■側面の壁画(2)
 こちらの絵は,とても派手で華やかな色調が眼をひく.市民の日常生活を描いた絵なのだろうか.

<華やかな色調の壁画>

■側面の壁画(3)
 この絵は何を意味しているんだろう.室内で何か宗教的な儀式をしているようにも見えるが,はて?

<宗教的な儀式のように見える壁画>

<船着場へ>

■大きな立像
 集合時間より少し前に,シティホールの裏手にある大きな立像の前に行く.これが誰の立像か私には全く分からないが,大人と子どもが手を繋いでいるどでかい像である.
 像の周囲は公園風に整備された広場になっている.その広場を半周するような感じで路面電車が走っている.広場の先は波止場になっているようである.沢山の観光客が広場を追う愛している.
 振り返ると,今し方内部を見物していたシティホールが聳えている.
 
<大きな立像>                       <シティホール>

■船着場前の広場に集合
 10時05分,ツアーリーダーが,右手を上げて大声で<
 「こちらに集まって下さぁ〜い…!」
と私たちを呼んでいる.
 丁度そのとき,ツアーリーダーの右手が,まるで軽々と起重機を持ち上げているように見えたので,急いでその様子を写真に撮る.それが下の写真である.
 目の前には何本かの船着場が並んでいる.いくつかの船着き場には小さな客船が停泊している.
 ツアーリーダーから,これからの観光ルート案の説明があるが,何しろ土地勘がないので,話を伺っても,まるでチンプンカンプンで,全く頭に入らない.とにかく,これから船に乗るようである.

<船着場前の広場に集合>

前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9f263723aeb5f7f81753f1709143d827
後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9b66785b59e94c141cb4457f04f59725



堀山の紅葉が素晴らしい丹沢:塔ノ岳(今年50回目)

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                            <馬の背の紅葉>

   堀山の紅葉が素晴らしい丹沢:塔ノ岳(今年50回目)
           (単独山行)
      2013年11月9日(土)  曇

■どうせだから大船駅まで歩こう
 毎度,同じ愚痴ばかり繰り返しているが,秋も深まると夜明けがグッと遅くなり,朝晩が寒くなる.いくら朝早く目覚めても,寒い最中にノコノコと起き出すのが億劫になる.でも,前夜就寝前に山用の衣服に着替えてしまうと,起き出すのもそれほど億劫ではなくなる.
 今朝も,この手法を使って,3時半過ぎにスッキリと起床する.
 "よお〜しっ…! 今日も丹沢へ行くぞ!"
と気分も早朝からハイテンションである.
 "ならば,家でグズグズしていても仕方がない."
 私は,4時10分に家を出発する.何時もより1時間早い時間である.まだ,何時も利用している湘南モノレールの始発まで1時間以上の時間があるので,自宅から大船までウォームアップを兼ねて歩く事にする.約2.5キロメートル,標高差約65メートルの山下りである.
 大船5時10分発熱海行の電車に乗車する.東海道本線下り初電である,今日は土曜日,初電から,もう,沢山の乗客で賑わっている.
 天気予報では,明日日曜日の天気は余り良くないようである.そのためか,子の時間なら,1番バスの乗客のトップに並べる筈なのに,先客がもう5〜6人並んでいる.その後も次々に登山客が並び始め,瞬く間に数十メートルの長蛇の列になる.満席の車内を見回すと,山岳マラソンのHさん,韋駄天のSTさん,TGさん,三角髭のTDさん,YUさん,KIさん,SSKさん,IIさん,STさん,HNさん,マドンナさん他多数のご常連,顔見知りの方が乗車している.

■ご常連と一緒に歩き出す
 バス停大倉は何時もの土曜日よりも随分と混雑している.
 待合室でモタモタしている内に,三角髭のTDさん,YUさん,KEさん達は次々に大倉から歩き出す.私は先発組から10分ほど遅れて,7時13分に大倉から歩き出す.SSKさん,NMさん,IIさんとそのお友達の若い2人の女性と一緒である.
 毎度のことながら,IIさんの歩き出しはかなりの高速,スロースターターの私には,IIさんに付いていくのは少々シンドイ.私たちの前後には,早朝にもかかわらず沢山の登山者が数珠繋ぎになっている.気温は16℃,湿度もそれほど高くなさそうである.ただ,足許は湿っている.
 雑事場ノ平辺りで,私は何となく一同の先頭になる.前方には登山者が数珠繋ぎになっている.歩みの遅い一見(いちげん)の方は,申し訳ないか追い越させて頂く.そんなことを繰り返している内に.7時36分,観音茶屋を通過する.そして,私の直ぐ後ろに居るはずの皆さんの姿が見えないことに,ようやく気がつく.
 "まあ,いいや…マイペースで一人旅しよう…"
と自分の気持ちに踏ん切りを付けて,この辺りから一人旅を続けることにする.
 
 
<登山客で賑わう大倉付近>                                                   <数珠繋ぎの登山者>

■見晴階段
 7時52分,見晴茶屋を通過して,見晴階段に差し掛かる.ここで例によって定点写真を撮る.階段の下から上まで登山客が切れ目なく続いている.何時ものように若い方々にはドンドン追い越されるが,逆に何人かの方を追い越しながら,終始マイペースで登り続ける.
 今日も気温がそれほど高くないので,気持ちよく登れそうである.
 7時09分,一本松を通過する.
 この辺りの紅葉が見頃になるのは,もう少し先のようである.

<見晴階段>

■駒止茶屋を通過する
 駒止階段に差し掛かる.まだ先が長いから,ユックリペースで1段,1段慎重に登り続ける.何時ものように,泊まり莊の速度で登っている方は追い越させて頂くが,ハイペースで登る何人もの若い人に追い越される.中にはハアハアと荒い息遣いをしながら,無理矢理私を追い抜く人も居る.
 ”ああ,この人は直ぐにバテるな”
と思っていると,案の定,駒止茶屋のベンチにへたり込んでしまう.
 8時22分,駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間09分.
 ”あれ,あれ…予想より2〜3分,遅いな…”
と思いながら駒止茶屋を通過する.
 堀山の尾根に入ると,だんだんと紅葉が綺麗に見え始める.

<堀山の尾根道の紅葉>

■見えない富士山を撮る
 堀山の尾根道に入る.この辺りが大倉尾根歩きで,一番楽しい所である.今日は結果的に一人旅なってしまったので,何方にも気兼ねすることもなく,適当に写真を撮りながらマイペースで歩き続ける.
 やがて,晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する.ここも私の定点観測shしんを取る場所なので,立ち止まって,見えない富士山の写真を撮る.
 後ろから来た登山者が,
 「何かありますか…?」
と怪訝な顔をして私に話しかける.
 「いえ…その…晴れていればここから富士山が良く見えるんです」
 道端で大きな切り株を幾つか背負子に乗せている男性が居る.いつも堀山の家で薪割りをしているKIさんである.
 「随分重そうですね.40キロぐらいですか…」
 「いや,それほどはないです…30キロぐらいかな?」
 何れにしてもご苦労様.

<見えない富士山を撮る>

■参ったナ!
 8時31分,堀山に差し掛かる.前方に大勢のグループが歩いている.それもメチャクチャ遅い歩きである.少人数ならサッサと追い抜いてしまうのだが,20〜30人も居られるだろうか.こでではどうにもならない.仕方なく列の後ろに付いて歩き続ける.
 その内に,列の後ろの方が
 「追い越しがありますよ…」
と前方に声を掛けてくれる.私は,
 「すみません,すみません,…」
と頭を下げながら,先に行かせてもらう.通りすがりに,
 「こう何回も追い越されるんじゃきりがないよ…」
と愚痴を言っているのが聞こえてくる.途端に私の頭の中のカチンスイッチが入ってしまう.
 ”なにいってやんでぇ…,てめえらだけの山じゃねえぞ….何十人もキンギョのウンコみたいに繋がって歩くな”
 これ半分本音である.大人数で歩くときは,5〜6人ずつの小グループに分かれて行動するのが山のエチケット.小グループに分かれれば,すれ違い追い越し追い越されがスムーズに行くのに…
 ”このグループのリーダーは,一体何を考えているんだ…”
 とはいうものの,小心者の私は,別に文句をいうわけでもなく,スミマセンだけを繰り返して,先に行かせてもらう.

<大人数のグループが歩いている>

■堀山の家
 8時39分,堀山の家を通過する.今日は,まだ朝が早いのに,山荘の前に「営業中」と画いた大きな赤い幟旗が立っている.小草平のベンチに堀山の家の主人が座っている.
 「おはようございます…帰りにお寄りします…」
で堀山の家を通過する.
 今日も堀山の家から花立山荘まで,40分掛けて登る積もりである.

<堀山の家を通過>

■紅葉が見頃
 堀山の家を通過して,長い急坂を昇り始める.この辺りの紅葉が丁度見頃を迎えている.ユックリと紅葉の写真を撮りながら登りたいが,それをやっていると登る気力がなくなるので,写真をユックリ沢山撮るのは,下山までお預けである.
 写真を撮るのはともかく,綺麗に紅葉した木々を眺めながらの登山は実に良いものである.

<堀山の家付近の紅葉は見頃である>

■萱場平
 紅葉で道草をしながら登っていたので,少々歩くのが遅くなったが,8時57分に萱場平に到着する.
 早速,定点写真を撮る.偶然,写真の中にマドンナさんの後ろ姿が写っている.萱場平で漸くマドンナさんに追い付く. 

<萱場平>

■また大人数のグループだ
 萱場平を過ぎてから,上機嫌で一人旅を続ける.
 ところが,またもや前方に大人数のグループが登っている.こちらも随分とユックリペースで登っているので,すぐに追い付いてしまう.
 グループの最後部の男性が,
 「追い越しで〜す…」
と大声を出す.
 「どうぞ,どうぞ,…」
と譲られるが,こちとらもトウネンフタツトッテ61歳のロートル,そう簡単には追い抜けない.
 「どちらからお出でですか…?」
と伺ってみる.
 「大坂からですよ…」
 「わざわざ大坂からですか!」
 「そう…夜行バスで来ました」
 それは大変だ.夜行バスで草臥れてからの塔ノ岳は考えただけでも大変なことである.

<前方に大きなグループ>

■花立山荘
 やがて後7分坂に差し掛かる.
 途中で人数の多いグループに2回も会ったこともあって,ユックリペースだった.そのため体力の消耗が少なくて済んだのか,割合に良いペースで後7分坂を登る.
 9時19分,花立山荘を通過する.雲の中に入ったのか,霧が出始める.
 大倉から花立山荘までの所要時間は,9時間06分.ちょっと遅いが,まあ,まあ,というところだろう.
 後7分坂を,ハアハアと荒い息で私を追い越した男性がベンチで休憩を取っている.これまで,2回追い抜かれた男性である.軽く会釈をして,先に行かせてもらう.
 花立山荘を通過して堀山に向かう途中で,下山してくるSTさんとすれ違う.STさんは相変わらず俊足である.

<花立山荘>

■塔ノ岳山頂
 9時26分,花立山を通過する.今日は余り写真を撮らずにサッサと歩いて,8時31分に金冷シを通過する.
 その後も惰性で登り続ける.
 山頂直下で,下山してくるYUさんとすれ違う.
 「おや,今日は随分と早い下山ですね…」
 「いえ…今日は(尊仏山荘には)立ち寄らずに,直ぐに降りてきました」
 9時45分,塔ノ岳山頂に到着する.山頂には深い霧が掛かっている.気温6℃.結構寒いが,沢山の登山客が霧の中で休憩を取っている.温度計を眺めたり,辺りの霧の写真を撮りながらで,何時もの定型的な儀式を終えて,尊仏山荘に向かう.
 山荘の手前で,いきなり,
 「FHさん,こっちへ行くよ…」
とどなたかが私を誘う.誰かなと確かめると,ご常連の方である.三角髭のTDさんが,
 「私も一緒に行きます…」
と言う.どうやら水場の方へ下るようである.私も同行したかったが,今日は孫が家に来ているので,速く家に帰りたい.残念.
 皆さんは,多分,紅葉を眺めながら,鍋割山北尾根を登るんだろうなと想像する.
 
<塔ノ岳山頂>                                  <水場方面に下山するご常連>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.入口で華伊達美弥雄さんが,お座りをして出迎えてくれる.
 今日の小屋番は,オーナーのH立さん,W林さん,F谷さん.私が山荘に入ると直ぐに300円也のお茶の準備を始める.いちいち注文しなくても所望のお茶が出てくるので便利である.
 お茶を飲んでいると,ハアハア息で私を2回追い越した男性が山荘に入ってくる.彼もご常連のようである.
 やがて,10時を過ぎる.
 大倉から一緒に歩き始めた皆さんが一向に現れない.
 「それにしても,遅いな…おかしいな?」
 皆さんが,今日は鍋割山に廻ると言っていたのを小耳に挟んだような気がする.
 「どうやら,金冷シから鍋割山へ廻られたらしいですね…」
と小屋番の皆様と雑談.
 今日は外が寒いので,山荘に入る客が多いようである.見知らぬ登山客で山荘が満席になる.あまり長居をしても営業妨害になると思った私は,10時08分に尊仏山荘を出る.

<山荘入り口できちんと正座したミャ〜君>

■真っ直ぐ下山
 山頂直下の急階段を下っているときに,登ってくるSSKさん,IIさん,NMさん達とすれ違う.
 「(FHさんが)痺れを切らして,下ってくる頃だと話していましたよ」
とNMさんが図星なことを言う.
 皆さんは,やっぱり,鍋割山経由で下山するというので,私は真っ直ぐ何処へも立ち寄らずに下山することに決める.
 沢山の登山者が次から次へと登ってくる,狭い登山道ですれ違うのに苦労する.
 萱場平を過ぎて堀山の家に近付く頃.周囲の紅葉が一段と綺麗になる.この辺りでは十分に時間を取って紅葉を写真に撮る.
 11時17分に堀山の家に到着する.小草平のベンチははち切れそうなほどの登山客が休憩を取っている.若い人が多い.
 堀山の家でコーヒーでも飲んで行こうかと思ったが,一人で珈琲を飲むのもシンキクサイ.小屋には申し訳ないなと思うが通過してしまう.
 一本松付近で,後から下ってきたマドンナさんに追い抜かれる.
 今日は大倉発12時40分のバスに乗るつもりなので,バスの時間と睨めっこしながら下山足とを調節する.
 バス停大倉の直ぐ手前で,STさん,UNさんに追い付く.
 大倉発12時40分のバスに乗車する.まだ時間が早いのにバスはほぼ満席になる.
 どこにも寄り道せずに真っ直ぐ家路を急ぐ.14時過ぎに無事帰宅する.
 今日も良かった.良かった.

<ラップタイム>

 7:13  大倉歩き出し
 7:36  観音茶屋
 7:52  見晴山荘
 8:22  駒止茶屋
 8:39  堀山の家
 9:18  花立山荘
 9:29  金冷シ
 9:45  塔ノ岳山頂着(6.0℃)
10:08      〃  発
10:22  金冷シ
10:30  花立山荘
11:17  堀山の家
11:35  駒止茶屋
11:58  見晴山荘
12:12  観音茶屋
12:34  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発      7:13
  塔ノ岳  着      9:45
  (所要時間)    2時間32 分(2.53h)
  水平歩行速度   7.0km/2.53h=2.77km/h
  登攀速度      1269m/2.53h=501.6m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      10:08
  大倉   着      12:34
  (所要時間)    2時間26分(2.43h)
  水平歩行速度   7.0km/2.26h=3.09km/h
  下降速度       1269m/2.26h=561.5m/h
                             (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8adab15bba5aff7377600fa568e9c0ce
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/03eff17308e2204e3b8b02d38a79b0c5

ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(2);コンチキ号・プラム号博物館巡り

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                         <FRAM博物館>
 
 ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(2);コンチキ号・プラム号博物館巡り
           (アルパインツアー)
      2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第10日目;2013年8月28日(水)(つづき) 晴

<ルート地図>



<船でビグドイ(BYGDOY)へ>

■小さな汽船に乗船
 ツアーリーダーの後ろにキンギョのウンコのようにくっついて,赤い字でBYGDOYと画いてある船着場へ行く.BYGDOYはこれから私たちが船で渡る場所の地名のようである.私たちも,沢山の観光客に混じって,小さな汽船に乗り込む.
 "こんなに沢山の客が乗り込んで大丈夫かな…"
 何時もながら臆病者の私は,船が定員オーバーで,転覆しないだろうかと少々気にはなっている.でも,私の周りには,そんな下らない心配をしている人は,一人も居なそうである.皆,何の屈託もなく笑顔で乗船している.

<BYGDOY行船着場>

■途中の港に寄港
 10時20分,私たちを乗せた船は,シティホール前の船着場から出港する.この航路もオスロパスを持っていれば乗船できるので,とても便利である.
 小さい船なので,客室もそれほど広くはない.
 10時30分,最初の寄港地に入港する.寄港した港の名称は良く分からない…が,バイニングジップ(?)と聞こえたような気がする.でも,私の耳にこう聞こえたと言うだけで,全く当てにならない話である.若干の乗客が乗り降りしただけで,10時33分,直ぐに出港する.
 


<オスロカードのスケッチ>                            <船内の様子>

<コンチキ号博物館>

■ビグドイの到着
 10時36分,船はビグドイに到着する.
 船着場を降りると,目の前に三角屋根の大きな建物が見える.コンチキ号博物館(KON-TIKI Museum)である.今から約1時間,自由行動である.
 天候は冷涼.手持ちの温度計では,気温12℃.
 私は最初にコンチキ号博物館を一回り見てから,時間があったらコンチキ博物館の隣にあるノルウェー民俗海洋博物館(こんな訳し方で良いのかな? Norwegian Maritime Museum)を見学しようと思っている.

<ビグドイ船着場に到着>

■コンチキ号博物館を見学
 三角屋根のコンチキ号博物館に入る.
 私は,コンチキ号という船の名前は,以前聞いたことはあるが,コンチキ号についてはほとんど予備知識はない.そのために,大いに戸惑いながら,博物館内部を見学する.
 資料1によれば,コンチキ号博物館は,「民俗学者トール・ハイエルダール(Thor Heyerdal)の探検についての展示をする博物館.ハイエルダールは,有史以前に南アメリカからポリネシアに文化の伝播があったことを証明するために ペルーからラロイア島まで101日間の航海をした太平洋探検などで知られています.博物館にはこの太平洋探検のほか1953年のガラパゴス島探検, 1956年のイースター島探検,1970年の大西洋探検で使用された筏船ラー2世号とコンチキ号や,探検で発見された品々が展示されています.ラー2世号 はパピルス,コンチキ号はパルサ材で造られています.また,ハイエルダールは『コンチキ号漂流記』や『アク・アク』などの書物を著していますが,数ヶ国語に翻訳された著書も販売されています.」とのこと.
 下の写真はコンチキ号博物館の内部で撮影したものだが,フラッシュを差し控えたので,いずれもボケた写真になってしまった.でも,博物館内部の様子は何となく分かるだろう.
 博物館には沢山の人が入って居るので,心なしか空気が淀んでいてムッとした雰囲気である.階段を登ったり降りたりの見学コースで,平素歩いていない人には,少々辛そうなところである.
 このような船で大洋を渡ったとは…とてもではないが,私などには想像すらできないことである.
 幾つもの船を見て回ったが,どの船が,どの航海に使われたのか,混乱して良く分からないまま,コンチキ号博物館の見学を終える.
 
 
<コンチキ号博物館の内部>

■フラム号博物館
 コンチキ号博物館の隣にあるフラム博物館に入ってみる.
 資料2の説明では,フラム博物館は「極地探検船フラム号を展示する博物館.フラム号は1892年にコリン・アーチャー(Colin Archer)が設計した船で,フリチョフ・ナンセン(Fridtjof Nansen)の北極探検(1893〜1896年),オットー・スヴェンドラップ(Otto Svendrup)のカナダ〜グリーンランド間の海流調査(1898〜1902年),ローアル・アムンゼン(Roald Amundsen)の南極探検(1910〜1911年)といった歴史に名を残す探検隊に使用されました.1936年に陸に引き揚げられ,その翌年からは博物館として公開されています.フラム号はいまも当時のままの状態で保存され,実際に内部を見てまわることが可能です.探検に使われた器具や生活用品などもそのままに再現されており,隊員たちの船中生活の様子を垣間見ることができます.」と紹介されている.
 「百聞は一見に如かず」,まずは館内で撮影した写真を以下の通り,4枚披露することにしよう.
 プラム号の中に入って見る.閉塞感がある船内である.こういう所で長期間暮らすのは,私には到底無理だなと思いながら,船内を一巡する.
 館内にはいくつかのジオラマがある.なかなかリアルである.
 二つの博物館を見て廻った印象は,
 "やっぱりノルウェー人はバイキングの末裔だけあって勇猛果敢な民俗だな…"
ということである.
 
 
<フラム号博物館内部>

■広場でひと息
 混雑する博物館は何となく息苦しい.
 博物館の外へ出ると,ホッとした気分になる.大きなスクリューが飾られている広場の一角で,一休みする.
 その内に,何となくコーヒーが飲みたくなる.どこかにコーヒーショップでもないかなと思いながら,近くを歩き回る.
 すぐ隣のビルにそれらしいお店があることが分かったが,残念ながら今日は定休日のようである.ならば仕方がない.心地よい太陽の光を浴びながら,広場で休憩を取る.
 
<スクリューが飾られている広場>                    <コーヒーショップは定休日>

<路線バスを乗り継いで戻る>

■路線バスバス停へ
 そろそろバスに乗車する時間である.
 私たちは,博物館近くのバス停ビグドイネス(?)(Bygdoynes)というところに集まる.私たち以外にも沢山の観光客がバス待ちをしている.
 
<バスの停留所>

■バスで移動
 11時36分,ツアーリーダーの指示に従って,路線バスに乗車する.結構沢山の観光客が乗車するので,かなりの立ち席が出る.もちろん,動作がのろい私は立ち席である.
 ほんの数分バスで移動したHUKという所で,訳の分からないまま,ツアーリーダーの指示で.違う路線バスに乗り換える.

<路線バスに乗車する>

■バス停ナショナルシアター
 12時06分,バス停ナショナルシアターでバスから下車する.賑やかな所である.ここから,東へ向けて歩き出す.
 どうやらシティホールの方向へ歩いているようである.ツアーガイドの案内で,シティホール近くにあるレストランで昼食を摂るようである.
 もう,こうなったらすべてツアーリーダーにお任せである.

<賑やかな通りを歩く>

<ピザ屋で昼食>

■ピザ屋LUNSMENT
 12時06分,ピザ屋LUNSMENTに到着する.入口に"ペッパーズピザ”と大きな赤い字が覆い被さっている…勿論,日本語ではなく英語で…
 何となくクシャミが出そうな店名である.

<ピザ屋の入口>

■ピザを美味しく戴く
 店内はなかなかシックな感じである.
 メニューはツアーリーダー任せで気楽である.その代わりに何が出てくるか分からない.それがまた楽しい.
 店内の席に適当に座る.
 食事のメニューは,下の写真の通りである.ピザは,日本で食べ慣れているものと同じ味である.
    
<昼食はピザ>
                                 (つづく)

[参考資料]
資料1;http://www.visitscandinavia.org/ja/Japan/Norway/Oslo/sightseeing/Kon-Tiki-Museet/
資料2;http://www.visitscandinavia.org/ja/Japan/Norway/Oslo/sightseeing/Frammuseet/

前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d3226c39aed18fe97ed43e869f2310e9
次の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1b18e75de8157ea9f796ce2fc55a0576

ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(3);王宮衛兵交替と国立ギャラリー

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                         <国立ギャラリーにて>
 
 ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(3);王宮衛兵交替と国立ギャラー
           (アルパインツアー)
      2013年8月19日(月)〜8月30日(金)

第10日目;2013年8月28日(水)(つづき) 晴

<ルート地図>


※前掲図

<市内散策>

■ピザ屋を出発
 13時05分,LUNSMENYというピザ屋での昼食を終える.これから午後の観光である.
 その前に,まずはトイレへ.
 ブログ記事の冒頭にトイレの写真を載せるのは,”ちょっと…マズイナ”とは思ったものの,あまりに意外なトイレだったので,掲載することにしよう.
 トイレ前の男女の区別マークを確認して,男性用のトイレに入る.トイレにはステンレス製の長い洗面台のようなものがある.洗面台にしてはバカに奥行きが狭い.上の方には蛇口のようなものが並んでいる.
 ”あれ…ここは一体何だ? 洗面台?”
 どうも洗面台にしては変だ.その証拠に入口近くに,チャンと洗面台がある.ようやく,ここが小用をしりするところだと気がつく.
 私も,それほど多くの国を訪れているわけではないが,外国で度々変わったトイレに遭遇して,まごつくことがある.”背高トイレ”,”流し台のようなトイレ”,”前後がハッキリしないトイレ”,”水浸しのトイレ”,”林の中で適当に済ませるトイレ”等々.その内にトイレの写真だけを集めた記事を書きたいほどである.
 
<ピザ屋の不思議なトイレ>                           <ピザ屋を出発>

■素敵な市街地
 ピザ屋から,先ほど歩いた道を地下鉄ナショナルシアター方面に向けて,ブラブラと歩き続ける.
 この辺りは,オスロの観光スポットらしく,広々とした道路に沿って,立派な建物が並んでいる.その中を蒸気機関車の形をした観光自動車が走っている.昔懐かしい路面電車も走っている.
 路面電車を見ながら,フト,昔,昔のことを思い出す…私の母の実家が駒込神明町というところにあった.上野公園近くの停留所から都電に乗って,何回となく,母の実家を訪れたことがある.そんな昔々の甘酸っぱい記憶が沸々と蘇ってくる.続いて,戦争で,母の実家付近も焼け野原になってしまった…上野駅の地下通路は焼け出された人で一杯になっていた…でも,一緒に歩いている人達にはこんな回想は無関係で迷惑なこと,私の胸の内にだけ納めておこう. 
 
<整然と美しいオスロの市街地>                        <路面電車>

■花いっぱいの歩道
 歩道の一角が花いっぱいである.花のことはからっきし分からない私には,何という名前の花か全く分からないが.赤,紫,白の花が沢山咲いている.これらの花を眺めているだけで,こころが和んでくる.
 ”花のことはサッパリ分からないけれども,花はやっぱり良いな…”
と率直に思う.

<歩道の花>

<王宮で衛兵交替を見学>

■王宮に到着
 やがて,辺りが大きな公園のような場所に入る.そして.13時28分,私たちは王宮(The wImperial Palace)の前に到着する.沢山の観光客が集まっている.お目当ては衛兵交替の見学である.
 私たちも,沢山の観光客に混じって,何時衛兵が現れるか期待を持って待ち続ける.
 やがて,私たちが待っている場所から柵を隔てた道に衛兵が現れる.黒い制服を着た兵士が数十人隊列を組んで歩いている.
 ”ははあ…これが童話”訛りの兵隊(チンゾルダーテン)の原型か.”
と思いながら,兵隊の行進を眺める.
 今は,王宮のどこかを改修中なので,通常とは違う場所で衛兵交替が行われるようである.

<柵越えに衛兵の隊列が見え始める>

■衛兵交替式
 見物客が,ぞろぞろと移動を開始する.多分,衛兵交替式が行われる場所に移動しているんだろう.私たちも観光客が行く方向に移動する.
 13時30分,衛兵交替式が始まる.兵隊が対面2列に並んでいる.どちらがどちらに交替するのか良く分からないが.最初に一番エライ人同士が敬礼して何やら言っている.その後,数名ずつ何処かへ消えている.そして最後に任務を終えた兵隊が隊列を組んで,先ほど交代要員が歩いてきた道を引き替えす.
 14時丁度に,一連の儀式が終える.
 21世紀の現在でも,このような儀式が行われていることに,私は驚くが,こういうのも伝承文化なのだろう.比較してはいけないかもしれないが,英国の衛兵交替式に比較すると,こちらは衛兵の仕草が.何となくダラダラとしているなという印象を受けてしまう.

<衛兵交替式>

<国立ギャラリー>

■国立ギャラリーに到着
 衛兵交替式を見学してから,地下鉄ナショナルギャラリー駅方面へ引き返す.緩やかな下り坂である.駅前付近から北の方向に緩やかな登り坂を歩いて,14時38分に国立ギャラリー(オスロ国立美術館;The National Gallery)に到着する.
 
<国立ギャラリー>

■ムンクの作品に圧倒される
 ギャラリーの中に入る.
 2回にはムンクの絵が多数飾られている.残念ながら2階はフロアー全体が撮影禁止なので,手許には1枚も写真はないが,下手なのか上手なのか良く分からない絵を見ている内に,ある種の狂おしさで頭の中がかき回されてしまう.そんな混乱した自分の頭の中の状態から,
 ”やっぱりムンクは偉大な芸術家だ…”
と実感する.
 時間があまりないので,ユックリとは見られなかったが,一連の作品を見ている内に,何か自分の心の奥底に潜んでいる”おののき”や”不安”が表に噴き出してきたような錯覚に陥る,
 また,これまでムンクと言えば,あの有名な『叫び』の絵しか知らなかったが,実にいろいろな絵があることを,ここを訪れて初めて知った.
 資料1には,「エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch, 1863年12月12日〜1944年1月23日)は,19世紀〜20世紀のノルウェー出身の画家.『叫び』の作者として有名で,ノルウェーでは,国民的な画家である.現行の1000ノルウェークローネの紙幣にも彼の肖像が描かれている.生と死の問題,そして,人間存在の根幹に存在する孤独,嫉妬,不安などを見つめ,人物画に表現した.表現主義的な作風の画家として知られる.また,数多くの浮名を流したことでも知られ,恋を「昔の人が愛を炎に例えたのは正しい.愛は炎と同じように山ほどの灰を残すだけだからね」と語っている.」と紹介している.
 2階の展示を見て回る.ムンクの『叫び』も展示されている.
 なお,会場にはムンク生誕150年記念のポスターが貼られている.資料2によると,今年はムンク生誕150年に当たるので,いろいろなイベントがあるようである.これらについては,後ほどムンク記念館を訪れるので,そこで触れることにしよう.

<ムンク生誕150年記念のポスター>

■1階の見事な絵画
 あまり時間がないので,適当な所で1階の展示室に降りる.1階の展示室は撮影可なので,フラッシュを焚かないように注意をしながら,気に入った写真を何枚か撮る.ただ,これらの作品の作者がどんな人なのか全く分からないままである.
 ムンクも確かに偉大である.でも,作品を見ている内に,何となく妙な気分になってしまう.何だか焦れったいような,むかつくような,不安に襲われたような,狂わしいような…とにかく気分が”へんてこりん”になってくる.
 そんな不安感で一杯な気分のまま,1階に飾られている絵を見ると,言いようもない清涼感,安堵感を感じる.どの絵も素晴らしい.これらの絵を見ていると,率直に,
 ”凄いな”,”描き方を真似したいな”…
というような感動を覚える.
 …ま,何れにしても国立ギャラリーでは,電気ショックを受けたような感動を覚える.
 14時45分,国立ギャラリーの正面玄関に集合する.
 ”もう,一生のうちで,ここを訪れることは二度とないだろう…”
と思いながら,振り返って美術館の建物を見上げる.
 これからツアーリーダーの案内でムンク博物館を訪れる予定である.
 
 
<感銘を受けた絵画の幾つか>

■国立ギャラリーの見取図
 入手したパンフレットに掲載されている館内の見取図を山行のために転載しておこう.
 下の見取図の左側にはムンク生誕150年のイベントが紹介されている.


 
資料1;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%B3%E3%82%AF
資料2;http://www.visitscandinavia.org/Documents/JP/Munch/

                              (つづく)
前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9b66785b59e94c141cb4457f04f59725
後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2ff4a179bd39108314d28a1eea3eb712




ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(4);ムンク博物館

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                              <ムンク博物館に到着>
 
    ノルウェー紀行;第10日目;オスロ観光(4);ムンク博物館
           (アルパインツアー)

第10日目;2013年8月28日(水)(つづき) 晴

<ルート地図>

■オスロ全体図

                          ↓
■ムンク博物館付近地図              拡大図


<ムンク博物館>

■地下鉄で移動
 国立ギャラリーの見学を終えた私たちは,地下鉄ナショナルシアター駅から地下鉄に乗車して,15時02分にトーエン(Toyen)駅に到着する.
 私たち全員がオスロ市街地図を持っているのに,すべてツアーリーダーに任せっきりで,ひたすらツアーリーダーの後ろに付いて歩く.地下鉄の駅から外へ出た途端に,私など東西南北がサッパリ分からなくなる.ツアーリーダーが通りすがりの人に,ムンク博物館への道順を聞くが,要領を得ない.結局数分迷ってから,再び元の地下鉄駅まで戻る.
 良く辺りを見回すと,地下鉄構内に入る所にムンク博物館の案内板がある.最初からこの案内板に気がつけば,迷うことはなかった.
 案内板の指示に従って,住宅街の中を暫く歩いて,15時18分にムンク美術館に到着する.周囲は閑静な住宅地のようである.
 
<地下鉄トーエン駅入口>            <ムンク美術館>

■ムンク博物館見学
 博物館の中に入る.
 ガラス張りの明るい建物である.入口近くに一寸した売店がある.見学時間は約40分である.長いような短いような見学時間だが,まあ,これだけの時間があれば,一通りは見学することが出来るだろう.ここも内部の撮影は禁止されているので,ここで撮影した写真は,入口付近で写した写真1枚だけ(下の写真).

<博物館入口の壁画>

■多様なムンクの絵
 ムンクの絵を眺めながら,館内を一巡する.
 館内にはさまざまなモチーフで画かれた絵画が並んでいる,美術館入口で入手した資料によると,館内には自画像3枚,風景画多数,その他様々なモチーフで画かれた絵が展示されている.
 館内の見取図は以下の通りである(ムンク博物館のパンフレットより引用).

■ムンクの自画像と『叫び』の絵
 館内に於いてあるパンフレットにムンクの自画像の写真が載っているので引用する.パンぬレットの右側に画かれているのは,館内の説明である.
 また,その下の資料は,オスロ案内(日本語)に掲載されている『叫び』の絵である.ここにはムンクの生涯について簡単な説明文が載っている.

<ムンク博物館のパンフレットより>


<ムンク関連のアトラクションと『叫び』の写真>

<手工芸美術館へ>

■これからは自由行動
 15時57分,ムンク博物館の外に出る.なんだかホッとした気分になる.何かから解放されたような気分である.
 集合時間の16時に全員が揃う.
 ここで,ツアーリーダーの案内による観光は終わり,これからは自由行動である.
 グループは,大きく二つに分かれる.ツアーリーダーと一緒に,一旦ホテルに戻ってから,一緒に夕食を食べる組と,夜のオスロ湾内クルーズ組である.私はオスロ湾内クルース組に入っているようである.というのも,昨夜,クルーズに行きたいという方からお誘いを受けたときに,曖昧な返事をしている内に,
 「もう,クレジットカードでキップ購入してしまいました…」
と言われてしまう.これにはいささか驚くが,まあ,特に行きたいとも,行きたくないとも思わないので,”それでは仕方がない参加しよう”と決める.ついつい,先日の昼食がミルクからレモンティーに変わってしまったことを,思わず連想する.でも,まあ,ご好意でいろいろ面倒を見て頂いているので,有り難いと思っている.
 私たちクルーズ組は男性2人,女性3人,合計5人である.私と山学校で一緒だったTBさんも一緒である.
 一校とお別れした私たちは,クルーズの集合時間18時まで何もすることがない.自由行動するとしても,それほどの時間があるわけでもない.そんな折りに,TBさんが,日本で購入した旅行案内書を開いて,手工芸美術館へ是非行きたいという.私たちは,特段行きたいという所もないので,
 「では,一緒に,その手工芸美術館とやらへ行きましょう」
ということに決定.
 日本語の案内書に掲載されている地図によると,この美術館は地下鉄ナショナルシアター駅近くにあるらしい.
 ”なんだ! 先ほど国立ギャラリーを見学してから乗車した駅まで戻れば良いんだ…”
 これは気が楽である.

<ムンク美術館周辺は色々な国からの観光客で賑わっている>

■地下鉄でナショナルシアター駅まで移動
 トーエン(Toyrn)駅16時10分発の地下鉄に乗車する.駅のホームは,東京の地下鉄に比較すると,何となく薄暗くて殺風景な感じがする.また,ここの地下鉄が何両編成なのか良く分からない.
 オスロの地下鉄は,1回乗車すると何となく雰囲気が分かり,次からは迷わずに乗車することができる.その点,何回乗車しても良く分からない東京の地下鉄より親しさがある.
 幸いなことにトーエン駅からナショナルシアター駅までの間は,沢山の路線の電車が乗り入れているので,頻繁に電車が来る.
 私は元汽車マニア.どこの駅へ行っても,真っ先に見るのが,その駅の時刻表である.ところがこの駅構内では時刻表が簡単には見当たらない,あるいは時刻表などないのかもしれないが,時刻表にお目に掛かれないのが残念至極.
 16時19分,ナショナルシアター駅に到着する.

<地下鉄Yoyen駅構内>

                                        (つづく)

前の記事
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後の記事
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