<畑中の道>
善光寺街道;第2回;第1日目(2);西原から滋野へ
(五十三次洛遊会)
2015年10月27日(火)~2016年10月29日(木)
※現在連載中の「アシニボインロッジの旅」と並行して善光寺街道の
記事の連載を始めます.
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第1日目;2015年8月25日(火) (つづき)
<ルート地図>
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※再掲
<畠中の道>
■懐古園1.0km道標
9時54分,布引観音分岐を通過する.
小諸の市街地を抜け広々とした浅間山の山裾の展望が開ける.分岐を通過してすぐに小諸市立芦田中学校の校庭脇に立っている大きなカーブミラー付きの「懐古園1.0km」道標を通過する.
カーブミラーに写っている一行の姿が面白いので写真に収める.
10時10分,花川を渡る.
<懐古園1.0km道標> <花川>
■北国街道道標と青木一里塚跡
10時14分,Y字型三差路に到着する.私の昔の記憶には存在しない道ができている.どちらの道が善光寺街道か少々迷う.三叉路に立つ北国街道の道標を見て左側の道路を歩く.
10時21分,青木一里塚跡に到着する.風化して錆だらけの棒を良く見ると青木一里塚跡と書いてあるのが分かる.この案内杭の後ろに一寸だけ盛り土をしたところに松の木が植えてある.これが一里塚を復元したものなのだろうか.良く分からない.
<北国街道道標> <青木一里塚>
■視界が開ける
青木一里塚跡を過ぎる頃から,周囲の視界が一段と開ける.進行方向左手前方には,今日これから訪れる布引観音が祭られている断崖の山脈が見えている.その手前には刈り取りが終わった田んぼが広がっている.
島崎藤村の詩,
“旅人の群れは幾つか 畠中の道を急ぎぬ…”
というのは,多分,こんな風景を詠ったんだろうなと勝手に想像する(冒頭の写真).
行く手前方には,北アルプスの山々が屏風のように連なっているのが見える.写真の向かって右端に移っている尖鋒が槍ヶ岳である.また,左下に写っている断崖の中腹に布引観音が祭られている.
<槍ヶ岳遠望>
■しなの鉄道踏切
10時25分,しなの鉄道の踏切を渡る.
しなの鉄道は,北陸(長野行)新幹線が開通するまでは,信越本線であった.そのために,複線の立派な線路が敷設されている.聞くところによると重さ60kg/mの立派なレールとのこと.以前は特急列車が爆走していた線路だが,今は,1時間当たり2本程度の電車が走るだけになっている.
私は6年間にわたり,小諸から上田までこの線路を通って通学していた.そんな往時のことを思い出しながら踏切を渡る(もっとも当時は単線だったが…).
<しなの鉄道の踏切を渡る>
<西原>
■風情ある蔵の風景
10時27分,国道を横切って,西原の集落に入る.
集落の入口近くに,風情豊かな蔵が建っている.
”独り旅ならば,ここで5分ほど立ち止まって,スケッチしたいな”
という衝動に駆られるが,今回はグループ活動なのでそうもいかない.写真だけ撮って通過する.
<風情ある蔵の風景>
■西光寺
10時34分,西原の集落のほぼ中央にある西光寺に到着する.
西光寺の由来などは,手許の資料では全く分からないが,鐘楼もある立派な寺である.住職が居られるかどうかも分からない.
私達は西光寺の境内で,5分ほど給水休憩を取ることにする.
<西光寺>
■信号深沢
西光寺での従兄を追えて,10時40分,また歩き始める.緩やかな登り坂が続く.
西原には,昔,親戚の家があった.ときどき父親に連れられて,徒歩でこの親戚を訪れた.片道約2キロメートルあまりの道のりである.往復で4キロメートルを優に超える道のりを平気で往復していたことになる.当時は,往復の間に遭遇する自動車は1台あるかないかという程度であった.勿論,この道は国道ながら舗装されていない砂利道だった.
今はもうこの親戚の家があった場所も空き地になっている.当時軒を連ねていた集落も今は大分歯抜けになり寂しくなっている.
10時59分,信号深沢を通過する.この辺りは滋野甲と呼ばれる場所である.蛇足だが,小諸市から隣の東御市に入ると滋野乙になる,
この信号辺りで,私の幼少の頃の生活圏は終わりになる.
<信号深沢>
■巨大な店舗
信号深沢を少し過ぎた頃から,下り坂になる.
11時01分,進行方向左手に," CAINZ HOME"の巨大な店舗が連なっている.
「…ホウ~! これは凄い.でかい店舗だね…」
と同行のお一人がビックリしている.
数分掛けて巨大店舗の前を通過する.
<カインズホームの巨大店舗>
■奉仕価格の自動販売機
11時10分,大きな自動販売機が2台並んでいる場所に到着する.自動販売機の上に大きな字で書かれた「奉仕価格」という看板が取り付けられている.
この看板に引き寄せられるようにして,何人かの方々が,ここで飲み物を購入する.自動的に,自販機の前で休憩である.
<奉仕価格の自動販売機>
<滋野に入る>
■白壁の集落
この辺りから芝生田(しぼうだ)の集落が始まる.この芝生田を抜けると小諸市から東御市滋野乙に入る.
白壁の家が建ち並ぶ閑静な集落である.この集落を歩いていると,何だか時計が止まっているような錯覚に陥る.現代風の住宅に比較して,住みやすいかどうかは良く分からないが,とにかくこの落ち着いた雰囲気は何とも言えない.
”こんな素晴らしい環境の中で,暫くの間,ノンビリと暮らしてみたいな…”
と密かに思いながら,静かな集落の中を歩き続ける.
集落には人の気配は殆ど感じられず,不気味なほどに静まり返っている.
<白壁の豪邸がある芝生田の集落>
■子猫
11時21分,民家の庭先で可愛い子猫を見付ける.ネコと電車は出会ったときに写真を撮ることにしている私は,早速,このネコの写真を撮る.ネコの蕎麦にはこのネコの飼い主と思われる老婆(といっては失礼だが…)が草むしりに専念している.
■ハプニングの引き金になった竹
ネコが縁で,どなたかが老婆に話しかける.それが切っ掛けになって,竹細工を趣味として居られるHTさんが,老婆から生け垣の竹を少しばかり分けて貰うことになる.
通りすがりの見ず知らずの私達に,とても新設に接して頂く.
HTさんが選んだ竹を,わざわざ切った上に,紙で丁寧に包んでから,HTさんに手渡す.HTさんは恐縮.
こんなハプニングがあるのも手作り旅の醍醐味である.
<HTさんが選んだ生け垣の竹を切る> <切った竹を丁寧に包装する>
■数基の祠
予期しないハプニングで,予定の行動時間を20分ほど超過してしまったが,どうせ何時までに何処何処まで行かなければならないと決めているわけではないので,なるようになれである.
11時39分,小さな祠や石塔が立ち並んでいる所に到着する.手許の資料には,この石塔群の説明がないので,どんな由来のものか全く分からないが,とにかくデジカメに収める.
勿論,後日調べてみるつもりだが,内心では,
”今は調べるつもりでも,どうせ調べないだろうな…”
と自分で自分のことを見通したようなことを考えている.
それにしても,何時頃,誰がどんな思いを込めて作ったものなんだろう.
<枯れ草の中に立ち並ぶ石塔群>
■火の見ヤグラと大石沢の眼鏡橋
11時43分,立派な火の見ヤグラの脇を通過する.火の見ヤグラは現在地確認の目印になるので,とても有り難い.この火の見ヤグラを手掛かりに地図上の現在地を確認する.
続いて信号赤岩を通過し,11時46分,大石沢に架かる眼鏡橋を渡る.この辺りからは東御市滋野乙に入る.
橋を渡ってから,街道から外れて川の右岸を10メートルばかり歩くと,「大石沢の眼鏡橋」と書いてある案内柱が立っている.さらにその先へ10メートルほど進むと,眼鏡橋の様子を見ることができる.
私は大急ぎで眼鏡橋の写真を撮ってから,皆さんが待っている街道まで戻る.
<目印になる火の見ヤグラ> <大石沢の眼鏡橋>
■石塔群
11時49分,石塔群の前に到着する.「観音経十巻牛馬難消徐」という刻字のある大きな石塔の他に双体道祖神,地蔵などの石塔が立ち並ぶ.
これらの石塔にどんな思いを込めて祀ったのだろうと想像する.昔の人の一途な思いを垣間見るような気分になる.
<石塔群に見入る>
■火の見ヤグラとJA信州うえだ滋野店
11時54分,また立派な火の見ヤグラの前を通過する.そして,11時57分,火の見からすぐ先,進行方向右手にあるJA信州うえだ滋野店の前を通過する.
そのとき,私達が歩いている善光寺街道の直ぐ近くを並行に走っている国道18号線の沿いにセブンイレブンの看板が立っているのを,私が見付ける.
咄嗟に,私は,
「…あのコンビニで昼食にしましょう…」
と提案する.
勿論,皆さんに異論はない.
旧道から,適当な通路を選んで,セブンイレブンへ向かう.
<火の見ヤグラ> <JA信州うえだ滋野店>
■セブンイレブンで昼食
12時05分,セブンイレブンに到着する.ここでトイレ休憩を兼ねて昼食を摂ることにする.
この辺りの店舗は敷地がユッタリとしている.一寸した飲み物を購入してから,駐車場脇の日当たりが良くて景色の良いところに座り込む.そして,東京駅で購入した昼食を広げる.
座り込んでみると,結構風が冷たいので寒いが,仕方がない.
私は食事をしながら,午後のコースのことを考え続ける.
<セブンイレブンに到着> <私の昼食>
[参考資料]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ『ちゃんと歩ける善光寺街道』五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1994,『今昔中山道独案内』日本交通公社
(つづく)
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(編集中)
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