<塔ノ岳山頂から大山を望む>
富士山を眺めを楽しみながら登る丹沢:塔ノ岳(今年3回目)
(単独山行)
2015年1月14日(水) 晴後曇
■迷いながら早朝出発
毎度同じ様な書き出しで恐縮だが,今回も出発ギリギリまで,私は心の中で「出掛ける」「出掛けない」の葛藤を繰り返していた.とにかく厳寒のこの時期,何で好んで,とてつもなく早い時間に出掛けなければならないんだという疑問が,何時も私の心の中にある.
実は私自身,なんで好き好んで早朝4時10分に出掛けなければならないのか,良く分からないのである.でも,そんなことはともかく,今日は水曜日なので私は塔ノ岳に出掛けることにする.本音を言えば,一昨日,山仲間徒一緒に大山初詣をしたばかりなので,今回は塔ノ岳をずる休みしたかったんだが…
”そんなら,何も出掛けることないじゃないか…!”
と,私の心の奥底に巣喰っているもう一人の私が,半ば怒ったような口調で私を責める.
”んにゃ…,そう私を攻めるなよ…,何だか分からないが,とにかく今日は塔ノ岳だ!”
冷たい風が大船駅ホームを吹き抜けている.さすがの私も寒さに耐えかねて,ホームに設置されている自動販売機で120円也の熱いお茶を購入する.そのお茶をウインドウブレ-カーのポケットに収める.暫くの間,湯たんぽ代わりに使ってから,電車の車内でユックリと飲んで体内から身体を温めようという寸法である.
■大倉行一番バス
6時21分に渋沢駅に到着する.まだ外は真っ暗.バス停にリュックが1個置いてある.私より早く凝られた方が1人居られるようである.私は自分のリュックをその方のリュックの隣に置いてから,少しでも風当たりの少ない柱の陰でストレッチをしながら,1番バスを待つ.
6時30分を過ぎる頃になると,電車が渋沢駅に到着すると同時に,ドヤドヤと登山客が集まり始める.今日は平日にもかかわらず,かなり沢山の登山客が列を作っている.
1番バスに乗り合わせた常連は,韋駄天のNMさん,TGさん,YKさん,YUさん,NGさん,SSKさん,KMさん,TDさん,MTさん,IwIさん,TmTさん,Hsさんなど.バスはかなりの立ち席がでるほど混雑している.
■登り朝日を背に受けて…
6時59分,バスは大倉に到着する.韋駄天のNMさんやMTさんは,バスが到着すると同時に,すぐに塔ノ岳山頂目掛けて歩き出す.
私は身支度を調えて.7時05分に大倉から歩き出す.たまたまほぼ同じ時刻に歩き出したTDさん,TmTさんと,暫くの間,前後時ながら歩き続ける.ここ数日雨が降っていないので足元は良く乾いているが,冷たい風が吹いている.
大倉から登山道までの舗装道路を登る背中に朝の太陽が眩しく当たっている.振り返ると,ギラギラと輝く朝日が丁度昇り始めたところである.美しく輝くスバラシイ風景である.私は振り返って朝日の写真を撮る.
<昇る太陽;大倉にて>
■見晴茶屋
9時39分,雑事場ノ平に到着する.TDさんが雑事場ノ平で衣服調整をしている間に私とTmTさんは,先に行かせてもらう.
9時41分,見晴山荘に到着する.大倉を歩き出してからの所要時間は36分,まあまあいつも通りの所要時間である.
見晴茶屋から眼下に広がる相模湾の眺望をデジカメに収める.相模湾全体が朝日を浴びて光っている.光る海は正に冬の風物詩である.
<見晴山荘から光る海を望む>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.ここまで同行してきた方が,昨年25回塔ノ岳に登った…昔は2時間10分で山頂まで登ったとか…盛んに懐旧譚を語り始める.私は心の中で,
”昔は昔,大切なのは今じゃないの…”
と少々反発を感じる.一人静かに登山を楽しみたくなった私は,先様の呼吸が荒くなっていることを見極めて,少々速歩で見晴階段を登る.勿論,階段の上り口で階段を見上げた写真を撮るが,登山者の後ろ姿が全く見えない.私の先にはMTさんが居られるはずだが,もうMTさんは私の手が届かないずっと先を登っているに違いない.
つづいてモミジ坂に差し掛かる頃には,懐旧談を話しかけてきた男性の姿は,ずっと後ろになり,私の視界からは消えている.私は静かに一人登山を味わいはじめる.
8時04分,一本松を通過する.大倉から歩き出して59分経過している.正直に言えば,一本松まで楽に登って52~53分程度で登れる脚力が欲しいなと思う.
<朝日が射し込む見晴階段>
■駒止階段
一本松から続く平坦な場所は,何時ものように歩行速度を一樹に上げる.やがて,大倉尾根2番目の難所,駒止階段に差し掛かる.ここを張り切って登ると,花立山荘付近で一気に疲れが出てしまうことを経験的に知っているので,ジックリ慌てずに登り続ける.
先ほど雑事場ノ平まで御一緒していたTDさんが私から20~30メートルの所に近付いている.
8時16分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間11分.
”ムリをせずにあと5分早く歩けるようになりたいな…”
と思いながら,堀山の尾根道に差し掛かる.
<駒止階段>
■堀山の富士
今日も堀山の尾根道からは富士山が良く見えている.
例によって,私はここで立ち止まって,富士山の写真を何枚か撮影する.その中で,何とか富士山が写っているのが下の写真である.
そうこうしている内に,TDさんが私に追い付く.
「スミマセン…平らな所だけは速歩で歩かせて貰います…」
とTDさんのお許しを得て,堀山から先のなだらかな下り坂での歩行速度を一気に上げる.
<堀山の尾根道からの富士山>
■小草平
下り坂が終わって登り坂に差し掛かる.私の歩行速度は急激に減速してしまう.
8時34分,小草平に到着する.今日は平日なので堀山の家は開いていない.小草平のベンチには誰も居ないので,辺りは静まり返っている.
勿論,私はここでも休憩を取らずに,そのまま登り続ける.今日は小草平から花立山荘まで45分ほど掛けてユックリ登るつもりである.
小草平からの坂道を自分なりのリズムで登り続ける.TDさんは小草平で休憩を取っているのか,私をなかなか追い越してくれない.そうなると不思議なもので,私の気分も何となく落ち着かなくなる.
<小草平>
■萱場平
自分のペースで歩いていても,長い登り坂はとにかくシンドイ.私は半ば麻酔されたような気分で,ただただ”何も考えないぞ”ということを考えながら登り続ける.
あともう少しで戸沢分岐という所で,”待望の(?)”TDさんに追い抜かれる.
追い抜かれるべき所で,TDさんに追い抜かれたので,私はむしろホッとした気分になる.
8時54分,萱場平に到着する.例によって定点観測の写真を撮る.
先ほど私を追い抜いたTDさんは,もう水平道を通過して登り階段に差し掛かっているだろうなと想像する.
<小草平>
■後七分坂下の富士
今日の気温は何時もより幾分温かいようである.気を許すとすぐに汗が出る速度で登り続けてしまう.そこを我慢して,極力平常心を保ちながら,ユックリペースを保持しながら登る.
もうすぐ後七分坂に到着する所で,何となく後ろに人の気配を感じる.振り返って見ると,2番バスで来られたFTさんである.
「…随分速いですね…」
とFTさんが言う.
「またご冗談を…速くなんかないですよ…!」
「だって…他の人達はずっと下を歩いていますよ…」
私は”なるほど”と思う.
”速い人に較べれば遅いし,遅い人に較べれば速いに決まっているな”
ただ私の場合は過去の自分に比較して,今の自分がかなり遅い速度でしか歩けないのが口惜しいし,不甲斐ないなと思っている.年を取れば若いときのようには歩けないのは重々分かってはいるが,ついつい愚痴が出る.
9時11分,後七分坂(花立階段)の下に到着する.ここからの富士山の眺めも素晴らしいので,ちょっと立ち止まって富士山の写真を何枚か撮る.
<後七分坂下の富士>
■胸突き八丁の後七分坂
いよいよ胸突き八丁(8丁も無いか)の後七分坂(花立階段)を登り始める.先ほど私を追い越したFTさんが下山してくるNMさんと立ち話をしているのが見える.
9時20分,やっと花立山荘に到着する.後七分坂下で写真を撮ってから,8分掛けて登ったことになる.大倉からの所要時間は2時間15分.つい2~3年前までは大体2時間ぐらいで登っていたので,身体の脆弱化には驚かされる.ちなみに小草平からの所要時間は46分.これも遅すぎる…が,ムリをして速く登ることはないぞと自分に言い聞かす.
<辛い後七分坂>
■花立山
花立山荘の前のベンチには誰も居ない.辺りは静まり返っている.私はここでも休憩を取らずに通過する.
花立山荘から花立山山頂までの長い登り坂が,私には一番しんどいなと感じるところである.ただ,今日も快晴なので,周囲の景色が私を楽しませてくれる.私はときどき立ち止まって辺りの写真を撮りながら登り続ける.今日も富士山と南アルプスが良く見えている.
花立山へ向かうガレ場で,後から登って凝られたYUさんに追い抜かれる.
←クリック拡大
<花立山からの眺望>
■羨ましい方々
YUさんの後に付いて,9時35分に金冷シを通過する.しかし,金冷シから最初の階段を登っている内に,とてもYUさんの後をついていくのは無理だなと悟る.その途端にYUさんとの距離は見る見るうちに広がっていく.
1番目の階段を黙々と登っていると,軽々とした足取りで下ってくるKMさんとすれ違う.さらに山頂直下の階段で,先ほどまで御一緒だったTDさんが下山してくる.お二人の脚力がつくづく羨ましい.
<KMさんが下る> <TDさんが下る>
■塔ノ岳山頂
9時50分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.気温は0℃.この時期としては,気温は決して低くはないが,冷たい風が山頂を吹き抜けているので,体感温度はかなり低い.2~3人の先客が狭い山頂で休憩を取っているが,どうやら大半の客は寒さを避けるために尊仏山荘に入っているようである.
大倉から山頂までの所要時間は2時間46分と相変わらず冴えない.でも,今年第1回の塔ノ岳詣でのときに比較すれば,体力はかなり残っているようである.花立山荘からの所要時間は31分.こちらはそれほど遅いとはいえない.
山頂は寒いので,とにかく手早く山頂での写真撮り儀式を終えて,尊仏山荘へ向かう.
<塔ノ岳山頂>
←クリック拡大
<山頂からの眺望>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.山荘はかなり混雑している.大半は常連である.その中にMTさん,FTさん,YUさんが居られる.私もMTさんやFTさんの近くに陣取る.
今日の小屋番はオーナーのHDさん.300円也のお茶を所望する.ネコは不在.
お茶を飲みながら,常連の皆さんと雑談を交わす.今日は外が寒いので,登山客が次々に山荘に入ってくる.10時を10分余り過ぎた頃,NGさんが到着する.さらにその後,SSKさんやTGさんが山荘に到着する.そして山荘は満席に近い状態になる.
山荘で余り長く居座っているのも商売の邪魔になるので,10時29分,山荘を出て下山を開始する.
■常連お二人と一緒に下山
山荘から外に出ると,寒さが一層身体に堪える.花立山荘まで下れば気温が温かくなるのが分かっているので,寒いのも暫くの我慢である.
私は尊仏山荘から大倉まで,終始,FTさん,MTさんと一緒に下り続ける.お二人ともかなりハイペースである.
金冷シ手前の階段を下っているときに,今朝方見晴山荘付近まで御一緒していた男性とすれ違う.
途中の泥んこ道もまだ完全には融けないうちに通過する.
大倉付近の無人スタンドで道草をしたが,12時20分に,無事,大倉に下山する.
下り所要時間は1時間57分.なかなか良いペースである.もっとも韋駄天組のFTさんには物足りない速度だと思うが…
■今日も良かった!
大倉12時52分発渋沢行バスに乗車する.乗り合わせた常連の登山客は私達だけ.
渋沢での接続が少し悪くて10分余りの待ち時間がある.小田原でも待ち時間10分余り.ただ小田原始発の電車で空いている.私は4人掛け1ボックスを1人で占領する.大船でのバスの接続も悪く20分ほど待たされる.それでも15時頃何とか無事に帰宅する.
まあ,そんなわけで,今日は無事に塔ノ岳を往復できたので,結構,満足感…というか安堵感がある.だから今日も”良かった!良かった!”である.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:47 見晴茶屋
8:16 駒止茶屋
8:34 堀山の家
9:20 花立山荘
9:35 金冷シ
9:51 塔ノ岳 着(0℃)
10:29 〃 発
10:37 金冷シ
10:52 花立山荘
11:18 堀山の家
11:35 駒止茶屋
11:55 見晴茶屋
12:07 観音茶屋
12:26 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:51
(所要時間) 2 時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7.0km/2.77h=2.52km/h
登攀速度 1,269m/2.77h=458.1m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:29
大倉 着 12:20
(所要時間) 1時間57分(1.95h)
水平歩行速度 7.0km/1.95h=3.58km/h
下降速度 1,269m/1.95h=650.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6f9ebc325401746c8ce69fda524eb9ee
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
※誤字脱字転換ミスは後刻訂正する.
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富士山を眺めを楽しみながら登る丹沢:塔ノ岳(今年3回目)
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