<霧の中の尊仏山荘>
久々に登る蒸し暑くて霧の丹沢:塔ノ岳(今年39回目)
(単独山行)
2014年8月16日(土) 曇・霧
■天気はあまり良くないが…
久々の塔ノ岳詣でである.
前回,塔ノ岳に登ったのは8月2日(土)だったので,実に2週間ぶりの塔ノ岳である.
毎週,水曜日と土曜日に塔ノ岳に登るようにしているが,のっぴきならぬ用事が重なったり,天気が悪かったりなどで,コンチクショウの日の連続だった.
2週間も間を空けての塔ノ岳登山となると,いささか不安が付きまとうが,
“…まあ,ともかく熱中症にならないように気を付けよう…”
と自分を戒めながら,何時ものように4時10分に家を出る.
もう今日は8月中旬である.夏至から2ヶ月近く経っている.夜明けもすっかり遅くなった.外はまだ真っ暗である.でも,日中は蒸し暑いものの,この所,朝夕はすっかり涼しくなっている.
天気が少々気になるが,天気予報では,今日は日中は曇,夜雨になるようである.
小田急電車で矢倉岳と富士山の写真を撮るのを楽しみにしていたが,暗い雲が立ちこめていて,全く見えない.今日の天気はどうやら予想以上に悪そうだ.
渋沢から大倉行の臨時バスが出る.乗り合わせた常連は,ランナーのHさん,YUさん,IIさん,SSKさん,IYIさん,HMさんなど.
■居合わせた皆さんと一緒に出発
バスは,6時50分頃,大倉に到着する.身支度を調えながら,1番バスの到着を待つ.TGさん,NMさん,KIさん,MTさんなど,常連が次々に現れる.
7時05分,丁度居合わせた常連の皆さんと一緒にバス停大倉から歩き出す.TGさん,SSKさん,MNさん,IIさん,HMさんなど多数である.
気温が何度になっているか良く分からないが,相変わらず蒸し暑い.それに湿度も高いようである.
今日の自分の体調は,少し歩いてみないと分からないが,2週間のブランクがあるので,とにかく無理をせずに登るように心がけようと思う.
<常連の皆さんと一緒に歩き出す>
■前方に黒い雲
毎度のことながら,私は歩き出して,暫くの間,皆さんの歩行速度になかなか付いて行けない.そう…スロースターターである.
私は私なりに一生懸命歩くのだが,登山口に近付く頃には,下の写真のように,皆さんと私の間はかなり空いてしまう.
前方を真っ黒な雲が覆っている.
“あの雲の中,雨だろうか…”
登山道に入る.
路面が予想以上に濡れている.濡れた路面は山ヒルに注意である.
7時20分,丹沢ベースを通過する.この辺りまで登ると,私の前を歩く常連の皆さんの歩行速度が幾分遅くなる.逆に私の方は歩き出しのときと同じ速度で歩いているので,何とか集団に追い付く.
韋駄天のTGさんとNMさんは,もう一行から飛び出して,かなり先の方を歩いている.
<登山口付近;前方に黒い雲>
■雑事場ノ平
7時29分,観音茶屋を通過する.
どうやら今日の私の体調は良さそうだ.そこで,歩行速度を幾分上げてみる.
「急坂になると速く登れないので,今のうちに少し先を歩いています…」
と皆さんに挨拶して,先に行かせてもらう.
7時45分,雑事場ノ平を通過する.
私のすぐ前を,重そうな荷物を背負った男性が2人歩いている.堀山の家のスタッフである.
「こんにちは…」
と挨拶しながら写真をパチリ.
笑顔が素敵である.
「この写真,私のブログに掲載していいですか…?」
<堀山の家のスタッフ>
■見晴階段
7時47分,見晴茶屋に到着する.谷間から微風が吹き上げてくるので,幾分涼しくなる.
すぐに見晴階段に差し掛かる.ここで定点観測の写真を撮る.
今日は土曜日.階段を見上げると,実に沢山の登山客が数珠繋ぎになっている.
“ここはユックリ登らないとダメだ! 力むと後で自爆するぞ”
と自分に言い聞かせながら登り続ける.
見晴階段を通過して,モミジ坂に差し掛かる.私から20メートルほど後ろにSSKさんとNMさんお二人の姿が見える.このお二人も集団から抜け出したようである.
一本松のベンチに差し掛かったときに,下山してくるKSさんとバッタリ.例により握手を交わしながら,
「やあ,やあ…」
と賑やかに挨拶を交わす.
KSさんの情報によると,今日の塔ノ岳山頂は涼しくて気持ちがよいとのことである.
KSさんと挨拶を交わしている間に,SSKさんとNMさんが私に追い付く.
<数珠繋ぎの見晴階段>
■見えない富士山の写真
駒止階段をユックリ登って,8時20分に駒止茶屋に到着する.大倉を歩き出してから,1時間15分経過している.春秋の涼しいときに比較すると5〜6分余計に時間が掛かっていることになる.
すぐに堀山の尾根道に差し掛かる.路面がますます濡れていて,ところどころに水たまりができている.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.残念ながら今日は見えるのは霧ばかりである.どうやら,堀山の尾根道は雲の中のようである.
でも,ここで写真を撮るのは私の決まりになっているので,見えない富士山の写真を撮る.自分でも”バカみたい…”と思いながら…
8時28分,堀山の標識を通過する.ここから堀山の言えて前までの下り坂は思いっきり飛ばして歩く.そしてまた一人旅になる.
<残念ながら富士山は見えない>
■堀山の家
8時32分,小草平に到着する.
堀山の家はまだ開店前である.小草平のベンチで沢山の登山客が休憩を取っている.その中に,私より先を歩いていたTGさんが居られる.遅れているIIさんを待っているとのこと.私が,このままユックリ登っていますと挨拶して通過する.
TGさんが,
「…もう20分ぐらい待たないと(IIさん達は)来ないでしょうね…」
という.
「いえ…そんなことないでしょう.もうすぐ来られると思いますよ…」
堀山の家からは完全な一人旅になる.
私は自分のペースを崩さないように,ユックリ定速で登り続ける.勿論,ときどきはハイドレーションシステムを使って給水する.水タンクに入れている水は,普通の水道水である.生ぬるい水だが仕方がない.リュックの中には氷を入れた冷たい水を入れたテルモスが入っている.塔ノ岳山頂に到着したら,テルモスの中の冷たい水を飲むことができる.今はこの冷たい水が唯一の楽しみである.
■霧の萱場平
堀山の家から連続する登り坂は,はっきり言ってシンドイ.
私はオーバーペースにならないように,かなり神経を使って登り続ける.自分がホメオスタシス機能が低下している老人だと絶えず意識しながらの登山である.
“近くの公園でも散歩している気持ちになってリラックス,リラックス…”
と自分自身に言い聞かせる.
若い登山者が何人も,何人も私を追い越して行く.中には“スミマセン…”と言いながら,済まなそうな顔をして追い越す若い女性もいる.私の孫ぐらいの年令である.こんな女性に遭遇すると,“実に可愛いな”と目尻が下がる.
途中で,ハアハア言いながら立ち止まっている中高年の方々も何人か居られる.どうして,そんなにハアハアするほどの速度で登るんだろうと,他人事ながら気になって仕方がない.
“登山の要諦は,ゆっくりマイペースを持続して登ること”
これが私の極意である.そうすれば,10時間程度なら連続して登れることは,すでに何回も実証済みである.
ついつい話が横道に逸れたが,8時57分,漸く萱場平に到着する.ここで定点観測の写真を撮る.萱場平一面にムッとするような湯気が立ちこめている.誰も居ない.木道の間に繁茂するアザミがやけに猛々しく大きく育っている.
「おまえ,そんなに蒸し暑い天気が好きなのかよ…」
とアザミに話しかける.
勿論,アザミが返事をするわけはないのだが…
<萱場平>
■花立山荘
そういえば,今日は鳥の鳴き声を一回も聞いていないような気がする.ちょっと淋しい.
高度が増すにつれて,気温が下がってくる.どうやらユックリ登れば汗をかかずにすむようなので,こんどは汗をかかないように歩行速度に注意だ.
ユックリペースにすると気持ちにも余裕が生じるし,何よりも登っていること自体が楽しくて仕方がない気分になる.
当然,沢山の若い登山者に追い越されるが,だんだんとそんなことは気にならなくなる.
9時11分,後七分坂(花立階段)に到着する.ここからの富士山の眺めもなかなかなものだが,今日見えているのは真っ白な霧だけ.それでもヤケになって霧だらけの風景を写す.
急階段を極々ユックリ登り続ける.あともう少しで階段が終わる頃,後のバスで来られたNMさん達お二人に追い抜かれる.
9時19分,花立山荘に到着する.MNさん達は山荘脇のベンチで休憩を取っている.
「ゆっくり,登っています…」
とお二人に挨拶してから,花立山へ向かう.
今日は後七分坂を8分掛けて登ったことになる.大倉からの所要時間は2時間14分.やっぱり時間が掛かりすぎのような感もあるが,蒸し暑い夏ならやむを得ないなと思う.また堀山の家からの所要時間は42分.私の標準時間より2分余計に掛かっている.まあ仕方がないな.
<霧の中の花立山荘>
■塔ノ岳山頂
9時35分,霧の花立山山頂を通過する.
もうここまで登れば後は惰性である.ダラダラ歩きになる.涼しくて気持ちがよい.ノンビリ歩きで,9時38分に金冷シを通過する.ここから山頂まではノンビリ歩いて15分だ.もうここまで来れば,山頂に着いたのと同じだなと思う,別に油断しているわけではない.
金冷シから最初の階段を極ゆっくり登る.それの方が楽だから…
2番目の階段も疲れないようにユックリだ.その間に2人の登山者に追い抜かれる.
そして最後の階段に差し掛かる.遙か後ろから女性の話し声が聞こえてくる.どうやらNMさんの声のようである.誰と一緒なんだろう? SSKさんかな? では,折角だから,もう少しユックリ歩いて,SSKさんたちと一緒に山頂にゴールインすることにしようか.
最後の階段が終わる頃,先ほど花立山荘で一休みしていたMNさん達お二人に追い抜かれる.木道を登り終えて,塔ノ岳山頂を囲む太い木の枠の所で,NMさんを待つ.
私がいるのに気がついたMNさんが,
「おや…FHさんだ」
とニッコリ.NMさん前後してHMさん,TGさんが山頂に到着する.
山頂は深い霧に覆われている,気温は19℃.辺りは霧で濡れている.多分,尊仏山荘は登山客で満杯だろう.私はわざわざ混雑する山荘に入る気がしないので,NGさん,HMさんと一緒に外で休憩.
山頂に到着した時間は9時46分.大倉からの所要時間は2時間41分.花立山荘からの所要時間は31分だった.
<深い霧の塔ノ岳山頂;尊仏山荘がボンヤリとしか見えない>
■花立山荘で昼食
塔ノ岳山頂は霧に濡れていて,少しジッとしていると寒くなる.
「少し下ってから昼食にしましょう…」
ということで,NMさん達と一緒に,10時07分に下山開始.
足が遅い私が何となく先頭である.多少申し訳ない感じもするが,下りもマイペース.
山頂直下の階段を下ったところで,SSKさん,IIさんとすれ違う.さらに金冷シ手前の階段でHNさんとすれ違う.
花立山のガレ場で,私たちよりちょっと先に下山し始めたHMさんに追い付く.
10時27分,花立山荘に到着する.山荘前のベンチに座って,昼食を摂る.塔ノ岳山頂に較べると多少蒸し暑いが,涼しい風が吹いているので,気持ちがよい.
HMさんから,リンゴ,ブドウ,トマトの差し入れがある.後から下山してきたTGさんが合流する.
11時45分,食事を終えて,花立山荘を出発する.
暫くの間,5人一緒に下っていたが,何時の間にかNGさん,HMさん,それに私の3人になっている.
順調に下って,11時16分,堀山の家に到着する.私は堀山の家に立ち寄ろうかと思ったが,同行のお二人が素通りするとのことなので.私もお二人に従うことにする.
小屋前に居られる若いスタッフに,
「今日は寄らずに下山します…」
と挨拶してから,山荘前を通過する.
■折角の秦野納涼会なのに…
11時32分,駒止茶屋を通過する.
バランスの悪い私は駒止階段を慎重に下るが,その間にNMさんは遙か先に進んでいる.階段を下りきってから,NMさんに追い付くのに一苦労である.
11時40分,一本松を通過する.ここからモミジ坂の長い下り坂になる.この辺りはかなり高速で下山することができるので大助かりである.
やがて,前方に見覚えのある頭巾を被った方の後ろ姿が見え始める.多分,三角髭のTDではないかと思って,急ぎ足で追い付く.やっぱりTDさんである.
11時51分,見晴山荘を通過する.この辺りは歩き易いので,歩行速度も速まる.
このとき,携帯電話に着信音がある.孫が来るかもしれないのでなるべく早く帰宅するようにとのことである.
先ほど,TGさんに,
「…秦野でちょっと,懇親会.参加しないか…」
と誘われ,快諾したばかりなのに…残念.“触らぬ山ノ神に祟りなし”で,今から十分に間に合いそうな大倉発12時40分のバスに乗ることにする.
■観音茶屋のかき氷
11時51分,見晴茶屋を通過する.ここからは足場の良い下り坂になる.この頃,体重が増え勝ちの私は,自分の体重に引きずられて,どうしても足早になる.
ふと気がつくと,ご同行の皆様よりかなり先に飛び出している.
12時04分に観音茶屋に到着する.茶屋に立ち寄るか,それとも通過か迷う.そこで,同行のお三方が到着するのを待つ.お三方の内,お二人は茶屋には立ち寄らないという,立ち寄るというNGさんと一緒に観音茶屋の氷水を賞味する.
夏場には氷水が最高だ.
時計を見ながら,そろそろ…12時15分,NGさんと一緒に観音茶屋を出発する.
12時32分,無事,バス停大倉に到着する.
下界はアスファルトの照り返しもあって,正に焦熱地獄である.冷房の利いたバスに乗車してホッとする.
<観音茶屋の氷水> <大船ルミネ1階のコーヒー店にて>
■やっぱりコーヒーを賞味しなければ…
渋沢駅,小田原駅の接続が良くて,小田原13時26分発快速アクティ東京行電車に乗車する.
13時58分に大船駅に到着する.
大船駅のホームに降り立つ.心地よい海風が吹いていて,とても涼しい.何という心地よさだろう.猛暑の時期は湘南で避暑をしているに限るなとつくづく思う.
“こんなに涼しくて気持ちが良いのに,真っ直ぐ家に帰ってしまうのも勿体ないな…”
と思った私は,大船駅ルミネ1階の某コーヒーチェーン店に入り込む.そして,まずはユックリとホットコーヒーを賞味する.
“やっぱりプロが入れるコーヒーは美味しいな…”
と感心しながら15分ほどの時間を過ごす.
涼しくて気持ちが良いので,このまま家まで歩いて帰ろうかとも思ったが,それでは折角早めに帰ってきた意味が無くなる.ちょうど自宅近くを通るバスが駅前を発車するところである.
バスに飛び乗る.14時半頃,無事,帰宅する.
ここ数日は,お盆の時期ということもあって,子供達が孫を連れて入れ代わり立ち替わり我が家を訪れている.有り難いことである.
2週間ぶりの塔ノ岳詣でだったが,それほどの体力の減退も感じなかった.色々と雑務があって,週2回の塔ノ岳詣での実行は,なかなか困難だが,もう数年は今の調子を続けていければなと思っている.
今日も無事だった.良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:47 見晴茶屋
8:20 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:19 花立山荘
9:30 金冷シ
9:46 塔ノ岳頂着(+19.0℃)
10:07 〃 発
10:13 金冷シ
10:27 花立山荘(10:45まで昼食)
11:16 堀山の家
11:32 駒止茶屋
11:51 見晴茶屋
12:04 観音茶屋(12:15休憩かき氷)
12:32 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:46
(所要時間) 2 時間41分(2.68h)
水平歩行速度 7.0km/2.68h=2.61m/h
登攀速度 1,269m/2.68h=473.5m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:07
大倉 着 12:32
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
水平歩行速度 7.0km/2.42h=2.89km/h
下降速度 1,269m/2.42h=524.4m/h
(おわり)
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※誤字脱字転換ミスご容赦.
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久々に登る蒸し暑くて霧の丹沢:塔ノ岳(今年39回目)
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