<馬の背付近の眺望>
初夏の朝は霧の丹沢:塔ノ岳(今年28回目)
(登り単独・下り常連に同行)
2014年6月4日(水) 曇・霧
■初夏の朝は霧
6月だ.いよいよ夏.月日が過ぎ去るのは実に速いものだ.ついこの間,深い雪に四苦八苦していたのに,もうヤブ蚊やヒルを気にする時節になってしまった.
天気予報では,今日も夏日になるので熱中症に気を付けるようにとのことである.
今朝はまあまあ気分良く起床する.そして,何時もの通り4時10分に出発.朝の空気は湿気が淀んでいる感じだが,ヒンヤリとしている.辺り一面に霧が湧いている.自宅のある尾根道から下り坂に差し掛かると眼下の谷間から,霧が盛んに湧き上がっているのが見える.
初夏の朝は霧の中,6月最初の塔ノ岳詣でである.
<尾根道から霧が湧き上がる谷戸へ下る;この谷戸の奥に鎌倉中央公園がある>
■初夏の朝食はカレーライス
6時45分頃,大船駅に到着する.
何時もは,家を出る前に,自宅でソソクサと朝食を搔き込むが,なんだか食欲がないので,朝食を摂らずに家を出た,
大船駅前には早朝でも営業している店が結構多いので,駅前のどこかの店で朝食を摂るつもりである.結局,某チェーン店で,370円也のカレーライス.この店のカレーライスには,みそ汁が付いている.ちょっと不思議な取り合わせだが,これ,結構,気に入った.良いですね.
<某チェーン店の朝食>
■常連が少ないようだ
何時ものように,小田原で小田急電車に乗り換える.
新松田の手前で富士山と矢倉岳を眺めるのを楽しみにしているが,今日は山裾まで深い霧が立ちこめていて,山は全く見えない.どうやら今日は塔ノ岳往復の間に,山の景色など全く見えないだろうなと予想する.
渋沢発大倉行1番バスは,2〜3人ほど立ち席が出る程度の乗客が乗っている.もっとも,後ろの方の席は空いたままかもしれない.乗り合わせた常連は,韋駄天のNMさん,重たいカメラを持ったMMさん,三角髭のTDさん,YUさん,YK編集長,女性ではNMさんとHさん,それに顔見知りの方若干名.今日は沢山の常連が尾瀬のどこかの山に行っているとかで,常連の人数が少ないようである.
バスは7時に大倉に到着する.
私は何となくモタモタしていて,大半の登山客が歩き出した後,7時08分に大倉を出発する.たまたま居合わせたNMさんとご一緒である.気温はかなり高めのようだが,太陽の光が濃い霧に遮られているので,それほどの蒸し暑さは感じない.
■速すぎる歩行速度
ご一緒しているNMさんの歩行速度がかなり速いので,先発のTDさんとYUさんに,間もなく追い付く.皆さんは私よりかなり高速で登られる方達なので,何時までもご一緒するのは無理.でも,まあ,できるだけ後を付けていくことにする.
7時30分,観音茶屋を通過する.ここまで大倉からの所要時間は22分.
“これは,いくら何でもオレには速すぎる…”
でも,見晴山荘ぐらいまではご一緒しようと頑張る.私の体内に潜むもう一人の私が,
“お前さんよ…山では‘頑張る’は禁句だよ!”
と私に注意する.私は注意されるまでもなく,そんなことは重々承知している.
7時45分,雑事場ノ平を通過する.
雑事場ノ平では,先ほどのバスで一緒だった見覚えのある男性が休憩を取っている.軽く挨拶をする.すると,
「私は歳だから,休み休み登ります」
と私たちに話しかける.
雑事場ノ平まで登ると,何となく涼しくなる,辺りの空気が動いているのが感じられる.
■見晴山荘
7時47分,見晴山荘を通過する.大倉からの所要時間は39分.これまた私には速すぎる.
すぐに見晴階段に差し掛かる,恒例の定点観測の写真を撮る.私のすぐ目の前には,まだ,三角髭のTDさん,NMさん,YUさんなどご常連の後ろ姿が見えている.
“このまま,皆さんの後に付いていこうかな…”
とも思ったが,そんなことをしたら汗まみれになるし,山頂付近でバテてしまうのは必定.私は自制して見晴階段から先は,ユックリペースに戻すことにする.
…と書けば格好良いが要するに皆さんについて登るなど無理ということだ.
<深緑の見晴階段>
■駒止茶屋
見晴階段を登り切る頃,先ほど雑事場ノ平で休憩を取っていた男性が私に追い付く.この男性,かなり無理をしているらしく,汗ビッショリになっている.私は男性から話しかけられるまま,暫くの間,一緒に登り続ける.
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.この男性はちょっと一休みするという.私はそのまま一定速度で登り続ける.
モミジ坂を半分ぐらい登ったところで,先ほどまで後ろ姿が見えていた常連達は完全に私の視界から消えてしまった.もう,追い付くのは到底無理.
8時03分,一本松を通過する.大倉からの所要時間は55分.これならば,今の私に最適な速度である.
“よしよし,これでよし…後は流れるような汗をかかないように自制して登ろう”
と自分に言い聞かせる.
一本松上のベンチ付近で,また先ほどの男性が私に追い付く.この男性から,生まれが昭和10ウン年.若い頃,土日を利用しての登山だが,大倉から塔ノ岳まで2時間を切る速度で登ったという話を拝聴する.
私は相変わらず定速で歩き続けて,駒止階段に差し掛かる.この男性はマイペースで登るとのことで遅れ始める.ここから先では,この男性と会うことはなかった.
8時17分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間10分.2〜3分時間が掛かりすぎだが,この暑さではやむを得ないなと自己評価する.
■小草平
堀山の尾根道に入る.完全な一人旅になる,ある意味では気楽,谷間からウグイスの啼き声が聞こえてくる.冷たい霧が肌に優しく感じる.開放感がある.
通称富士見平に到着する.富士山だけでなく近くの山も霧に覆われていて全く何も見えない.それでも私は意地になって,見えない富士山の写真を撮る.
写真を撮りながら,
“バカだな…オマエは…”
と自嘲する.
<見えない富士山の写真を撮る>
■小草平
8時37分,小草平に到着する.
今日は平日,堀山の家はお休み.小草平には人の気配はなく静まり返っている.あいかわらず富士山は見えない.
小草平から始まる急坂に差し掛かる.少しで歩行速度を速めると,途端に汗をかくので,自制に自制を重ねて,流れるような汗をかかないようにしながら登り続ける.そのために自分でも焦れったくなるほど低速になってしまう.それでも熱射病になるよりはマシだと自分自身に言い聞かせながら,登り続ける.
<小草平>
■萱場平
今日は登山者が少ないので,私を追い越して行く人も居ないし,私が追い越す人も居ない.実に気分が良い.私は平素悟ったようなことばかり言っているが,実際には他の人に追い越されると,逆に抜き返してやりたいという衝動に駆られるし,他の人を追い抜くと気分が良くなる.こんなことでは,とても,とても悟ったとは言いにくい状態である.でもそんな邪心を捨て去って,虚心坦懐な気持ちを持ち続けなければダメ.
…そんなことを何となく考えながら登り続けている内に,フト気が付いて,
”アレレ,どこをどう登ってきたのだろう…”
と気が付く.暫くの間,心ここにあらずの状態で自動運転にロボットのように,無意識で登っていたようである.
そう言えば,昔,昔,“馴れた動作は思考を省略”するようになるということを習ったような気がする.“桑原桑原”気を付けなければ…
8時57分,萱場平を通過する.小草平からの所要時間は20分.暑くない時期より3〜4分,余計に時間を掛けているようである.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平を過ぎてからも,相変わらずノソノソ歩きを続ける.全然頑張らない歩きである.誰にも追い越されないし,誰も追い越さない.正にノンビリ登山である.気分は上々.
後7分坂(花立階段)にもう少しというところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.何時もは後7分坂を3分の2ほど登ったところですれ違うのに…
…ということは私の登攀速度が遅いのか,あるいはNMさんが速いのかのどちらかだ.これは論外.今日の私が遅いに決まっている.
それでも,後7分坂は,ぴったり7分で登って,9時27分,漸く花立山荘に到着する.山荘前のベンチで休憩を取っているのは1人だけ.
ようやく上空に青空が広がり始める.低く垂れ込めている雲を抜けたのかな.
大倉からの所要時間は,2時間13分.小草平からの所要時間は実に50分.汗を気にしてか,小草平からの50分は,如何にも時間のかけ過ぎである.
“でも,疲労感もなく登れたんだから,これでイイノダ!”
と無理矢理納得する.
<花立山荘>
■花立山
ユックリ登ってきたので,汗はすっかり引いている.それに,足許が軽い.そうなるとどうしても速歩になりそうになる.
“まあいいや…”
で判断は足に任せる.
もう少しで花立山山頂に到着する頃,下山してくるIIさんとすれ違う.立話.
「NMさん,TDさん,YUさんと合いましたよ…もう少しで,NMさんは塔ノ岳山頂に到着するかもしれませんね.」
恐るべし! NMさんの猛スピード.
9時37分,花立山山頂を通過する.IIさんと1〜2分立ち話をしたにもかかわらず,花立山荘からの所要時間が10分.これは私にとってはかなりの速度である.
辺り一面に霧が立ちこめていて,あいかわらず視界は開けないが,霧の合間から陰のように見えている鍋割山稜がとても美しい.
<霧の間から見える鍋割山稜が墨絵のようだ>
■まだまだミツバツツジが美しい
花立山山頂を少し過ぎたところで,MT夫妻にバッタリ.夫妻の写真を撮らせて貰うが,ブログへの掲載は遠慮しておこう.久々の再開である.3〜4分,立ち話.
近々計画中の“鎌倉アジサイトレッキングの日程が確定したら連絡します”でお別れする.
こうして山の知人とお会いするのは実に懐かしく嬉しいものである.
馬の背付近のトウゴクミツバツツジは,見頃は過ぎたとはいえ,まだまだ十分に見応えがある.こうなればラップタイムの優先順位は下がる.所要時間は無視して,あちこちに咲くミツバツツジの写真を撮りながら歩く.
霧に煙る山をバックにしたミツバツツジもなかなかなものである.
<馬の背付近のトウゴクミツバツツジ>
■塔ノ岳山頂
9時40分,金冷シを通過する.ここまで来れば,山頂まで約15分だ.のそのそと歩き続けて,9時56分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.
山頂からの見晴は,濃い霧に遮られて全くダメ.それでも儀式のために数枚の写真を撮る.山頂の気温は23℃と高温である.まだ,時間が早いためか山頂で休憩を取っている登山者はほとんど居ない.
大倉からの所要時間は2時間48分.この頃は,なかなか2時間40分を切ることができない.
“やっぱり,歳だな…”
我ながら不甲斐ないと思う.ただ,花立山荘から山頂までの所要時間は29分.途中で2回ほど立ち止まって雑談をしたり,沢山の写真を撮ったにしては,かなりの高速である.つまり,堀山の家から花立山荘まで,超ユックリの速度で登っていたので,余力があったため,バテずに歩けた結果だろう.
今月下旬から,約10日間ほどの連続トレッキングに参加する予定である.毎日長時間歩行が続く.今回の塔ノ岳は,このトレッキングを意識しながら登っている.やはり無理をせずに余力を蓄えながら低速で登り続けるのが長時間歩行のコツのように思える.
<塔ノ岳山頂からの眺望;殆ど何も見えない>
■尊仏山荘
しばらく塔ノ岳山頂で休憩を取る.
尊仏山荘に入ろうか,それともこのまま下山しようかと迷うが,窓越しにNMさんが山荘の中に居られるのが見えている.その他にも奥の方に顔見知りの方が何人か居られる.
“…ん,じゃぁ〜…まあ,一寸立ち寄るか”
今日の小屋番はオーナーのHDさん.山ネコの華伊達美弥雄さんは不在.残念!
300円也のお茶を所望する.
程なく,HさんやカメラのMMさんも尊仏山荘にご到着.
10時10分頃,先客のYUさんが,先に下山開始.
■NMさん,UMさんと一緒に下山
10時27分,NMさんと一緒に下山開始.
先頭はNMさん.かなり速い速度で下山し続ける.少し速いなと思いながらも,私もNMさんの後に付いて下山し続ける.終始,他愛のないオシャベリを続ける.
10時54分,萱場平に到着する.私たちより先に下山し始めたYUさんが,萱場平のベンチに腰掛けている.
「お先にユックリ歩いています…」
とYUさんに挨拶して,そのまま下山し続ける.
11時50分,見晴山荘を通過する.
相変わらず2人で他愛もない雑談をしていると,いつしか後ろから近付いてくる方の足音が聞こえ始める.私たちを追い抜きそうで,なかなか追い抜かない.おかしいなと思って振り向くと,俊足のUMさんである.
「丹沢山まで行ってきました.尊仏山荘に立ち寄るとお二人が今出掛けたばかりだと聞いて,追いつけるかなと思いながら下山していました…」
とのこと.さすがに俊足韋駄天のUMさんである.
観音茶屋を過ぎる辺りから3人一緒に下山しつづける.
大倉に近付く頃,真っ白なネコを見掛ける.
「電車とネコは見掛けたときに写真を撮ることにしています…」
と言い訳をしながら,白いネコの写真を撮る.
このネコは飼い猫.人見知りしない.近付いても逃げない,可愛い首輪を付けている.
最近,尊仏山荘に白いネコが現れるとのことだが,まさかこのネコではないだろうなと連想する.
12時24分,バス停大倉に到着する.下りの所要時間は1時間57分.NMさんに付いて下ったら,所要時間が2時間を切ってしまった.
<山麓で出会った猫>
■無事帰宅
大倉12時52分のバスに乗車する.
渋沢駅では接続が悪く10分ほど待たされるが,小田原駅の接続は順調で,14時21分に大船駅に到着する.
昼下がりの爽やかな海風が心地よい.このまま自宅がある山の尾根まで歩いて帰ろうか,それとも,14時32分発のバスで帰ろうか迷う…が,バス待ちの列の前の方に買い物帰りの家内が並んでいるのを見付ける.ならば観念してバスに乗ろうと決める.
まあ,そんなわけで,今回は,見頃を過ぎたミツバツツジを少しばかり観賞しただけの山行になってしまった.でも,まあ,無事に塔ノ岳を往復できたので,良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:30 観音茶屋
7:47 見晴山荘
8:17 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:27 花立山荘
9:40 金冷シ
9:50 塔ノ岳山頂着(+23.0℃)
10:27 〃 発
10:37 金冷シ
10:48 花立山荘
11:12 堀山の家
11:28 駒止茶屋
11:50 見晴山荘
12:07 観音茶屋
12:24 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:56
(所要時間) 2 時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1,269m/2.80h=453.2m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:27
大倉 着 12:24
(所要時間) 1 時間57分(1.95h)
水平歩行速度 7.0km/1.95h=3.59km/h
下降速度 1,269m/1.95h=652.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9fb44a0646b02f762ea56b75057aebe3
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
※誤字脱字転換ミスご容赦.
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初夏の朝は霧の丹沢:塔ノ岳(今年28回目)
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