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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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満開の豆桜とブナに癒される丹沢:主脈縦走(その2)

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                   <蛭ヶ岳山頂>

     満開の豆桜とブナに癒される丹沢:主脈縦走(その2)
        (丹沢山・蛭ヶ岳から東野へ下山)
       2013年5月13日(月)  晴・湧き雲多し

<ルート地図>


※大倉→丹沢山の地図は前回記事の地図を参照.

<蛭ヶ岳を目指して>

■新緑の箒杉沢
 当初,塔ノ岳山頂から大倉へ引き返そうと思っていた私は,同行のTさんからの熱心なお誘いもあって,取りあえずは丹沢山までは行ってみることにした.
 でも,丹沢山頂の「みやま山荘」で休憩を取っている内に,
 “折角だから蛭ヶ岳まで,行ってみようか…”
という気持ちにやっとなる.
 みやま山荘で2回目の昼食を摂ってから,11時41分,私たちは丹沢山から蛭ヶ岳へ向かって歩き出す.
 暫くの間は,見晴の良い稜線が連続する.
 進行方向左手には,ブナ林の間から新緑に覆われた深い谷が見下ろせる.多分,箒杉沢だろうなと思いながら歩き続ける.ただ残念なことに山麓から雲が湧いていて,遠くの景色はほとんど見えない.

<新緑の谷間を見下ろす>

■素晴らしいトラバース道
 さらに先へ進むと,やや急な下り坂になる.その先に,新緑が目に鮮やかな丘が見えている.
 “何という美しさ! 何という素晴らしさ!”
 私は足を止めて,この美しい丘の写真を撮る.私たちがこれから行く登山道は,この丘の北側斜面(写真の左側)をトラバースするようである.でも,良く見ると,この丘の山頂に向かう踏み跡道がクネクネと続いている.見るからに気持ちよさそうな道である.
 “次回,ここを訪れることがあったら,あのクネクネ道を,是非,歩いてみたいな”
と思う.
 私の後ろに居られるTさんが,盛んに路傍の花を撮って居られる.そのため先を行く花オンチで無粋な私との間がすぐに空いてしまうので,ときどき立ち止まってTさんの到着を待つ.

<素晴らしいトラバース道>

■丘を越えて 
 トラバース道が終わると,緩やかな登りになる.
 私には植物のことは全く分からないが,辺り一面が笹を小さくしたような葉の新緑で覆われている.その中を如何にもノンビリと歩き続ける.このオンチな私が思わず歌を口ずさみたくなるほどの心地よさである(12時12分頃).

<のどかな丘の道>

■霧の中の休憩所
 12時19分,休憩所の脇を通過する.海側から沸き上がる霧が辺りを覆っている.
 休憩所前のベンチでは,1人の登山者が寝そべって日光浴をしている.
 “ここで日光浴も優雅で良いな…”
と思いながら通過する.
 もし,蛭ヶ岳で1泊するつもりならば,ここでの日光浴も堪能できそうである.

<霧が掛かる休憩所>

■不動ノ峰
 12時29分,不動ノ峰を通過する.
 この辺りから,周囲の雰囲気が今までの長閑な牧場風から,次第に狭い稜線歩きに変わる.
 標識を見ると,蛭ヶ岳まで後1.9キロメートル.丹沢山から1.4キロメートルの地点である.蛭ヶ岳はまだまだ遠い.

<不動ノ峰>

■凄い崩落地
 小さな上り下りが続いて,12時32分,前方左手にもの凄い崩落が見える.少し痩せた尾根に,これから登る登山道が繋がっているのが見える.
 崩落現場を見ながら,かれこれ60年ほど前に学校で習った妙なことを思い出す.
 “そういえばレストアングルってやつがあったな…”
 ちょっと専門的かも知れないが,砂の粒の大きさによって,崩れ落ちる角度,つまりレストアングルが決まるとかいう話である.
 まあ,それはともかく,これからあんなところを歩くのかと思いながら,登り坂に差し掛かる.
 私の後ろに居られるTさんは,熱心に路傍の花の写真を撮っておられる.

<崩落地沿いの尾根道>

■小さなコルを超えて
 12時35分,また小さなコルの坂道を登る.それほど急傾斜な登りではないが,結構シンドイ.ごくごくユックリした速度で登り続ける.
 “蛭ヶ岳までは,随分と遠いな〜・・”
と思いながら登り続ける.

<小さなコルを超えて>

■棚沢ノ頭
 12時40分,棚沢ノ頭に到着する.
 ここは蛭ヶ岳へ向かう道と弁当沢ノ頭へ向かう道との分岐点である.一人の男性が地図を見ながら現在地を確認している.
 この男性に軽く会釈をしてすれ違う.
 案内標識によると,ここから蛭ヶ岳まで後1.6キロメートル,丹沢山からは1.7キロメートル過ぎたところである.丹沢山から蛭ヶ岳までの半分の道のりをようやく越えたところである.まだ,まだ先は長い.

<棚沢ノ頭>

■鬼ヶ岩ノ頭
 12時54分,鬼ヶ岩ノ頭に到着する.ここから先は厳しい岩下りになる.私の苦手な場所である.
 鋭気を蓄えるためという訳でもないが,岩陰に腰を下ろして,暫時,休憩を取る.

<鬼ヶ岩ノ頭>

■岩場を下る
 13時04分,鬼ヶ岩ノ頭からクサリ付きの岩場を下る.ほんの少しの短い岩場だが緊張する.ここで,男女のカップルとすれ違う.
 最初の岩場を通過して,ちょっとホッとするが,暫く先へ進むと,もう一度小さな岩場を通過する.

<鬼ヶ岩の岩場を降りる>

■蛭ヶ岳山荘が見える
 13時22分,前方の山の上に,霧の合間から蛭ヶ岳山荘の小屋が見え始める.
 もう一息登れば,蛭ヶ岳山頂である.

<蛭ヶ岳山頂が見え出す>

<蛭ヶ岳山頂>

■蛭ヶ岳山荘
 13時26分,蛭ヶ岳山頂に到着する.
 「どうします? 山荘に立ち寄りますか?」
とTさんが言う.
 折角だから立ち寄りましょうということになる.
 ちょっと怖い階段を登って,山荘に入る.人の気配が感じられないが,声を掛けると,小屋番の男性(名前聞き忘れた)が顔を出す.
 Tさんから,例の朝日新聞の登頂2000回のコピーを小屋番に手渡す.
 「励みになりますね…掲示板に貼っておきます」
とのこと.
 これが切っ掛けになり,どこかの高齢の方が,ときどき大倉から蛭ヶ岳までピストンしているなど,暫くの間雑談に興じる.
 もう大分前のことになるが,私は山学校の山行で,この小屋に宿泊したことがある.そんなこともあって,随分と懐かしい.

<蛭ヶ岳山荘>

■外で記念写真
 小屋番に,
 「(記念の写真を撮りたいので)シャッターを押して下さい」
とお願いする.
 「小屋の中では暗いので,外で撮りましょう…」
ということで撮影したのが下の写真である.
 私は,不意に蛭ヶ岳山荘に居た人気者のイヌのことを思い出す.
 「そういえば,イヌが居ましたね…その後,イヌはどうなりましたか」
 「ああイヌですか…今,下に降りて生活していますよ」
 尊仏山荘の「ネコ」,蛭ヶ岳山荘の「イヌ」が対峙して面白かったが,イヌが居なくなったのは一寸残念.
 
<蛭ヶ岳山荘にて>

<姫次を目指して>

■長い階段
 蛭ヶ岳山荘での休憩を終えて,13時41分に姫次に向けて,再び歩き出す.
 山頂直下から長い長い階段道が連続する.降りても降りても,まだその先に階段が続く.
 階段のかなりの部分は昨年作られたばかりのピカピカ階段である.それにしても長い階段である.下りは歩き易いが,この階段道を登るのは,さぞかし大変だろうなと想像する.
 
<長い階段道>

■姫次はまだまだ先
 長い長い階段道が一旦終わる.
 近くに標識が立っている.この標識を見ると,あんなに長い階段のように思えのに,未だ400メートルしか歩いていないようである.
 姫次まで,まだ,2.8キロメートルもある.マイッタナ! 東野で最終バスに間に合うかなと心配になり始める.

<姫次はまだまだ先だ>

■素晴らしい眺望
 14時03分,目の前の眺望が開ける.私たちは,まだ,随分と高い所にいる.これから先,随分と降りなければならないなと改めて思う.
 また,長い階段道になる.

<素晴らしい眺望>

■姫次までの中間点
 14時34分,漸く,蛭ヶ岳と姫次の中間点を通過する.姫次まで後1.6キロメートルである.姫次はまだまだ先である.
 正直なところ,ちょっとウンザリ.
 途中で,前方に見えている山を指さして,
 「あそこが姫次ですか?」
とTさんに尋ねる.
 「まだまだ先ですよ.向こうに黒く見えている辺りが姫次です」
 “ウヘ〜・・・まだまだ先が遠いな”
と思う.

<姫次の中間点>

■地蔵平
 14時39分,地蔵平を通過する.
 姫次まで後1.2キロメートル.どこに地蔵があるんだろう? と,思いながら通過する.同じ様な尾根道が連続するので,少々飽きてくる.

<地蔵平>

■漸く姫次に到着
 短い登り坂を通過して,15時04分,ようやく姫次に到着する.これで,今日のコースの登り坂は全て終わり.ここからは下り坂だけになる.
 姫次の広場には,いくつかのベンチが設置されている.
 ここで,暫くの間,休憩を取る.
 この先,東野へ下るルートは,八丁坂から下るルートと黍穀避難小屋手前から下るルートの二つがある.どちらのルートも,どうやら所要時間は同じのらしい.
 「さて,とちらのルートで降りましょうか」
少々決めかねる…が,まあ,黍穀避難小屋手前の分岐から青根に下山することに何となく決める.

<姫次>

<姫次から青根へ下山>

■古い道標
 休憩の後,15時24分に姫次から歩き出す.ここから先は東海自然遊歩道である.道幅も広くなり,心なしか歩きやすい感じになる.
 15時45分,青根への分岐を示す道標に到着する.この分岐からは曲がらずに次の分岐を目指す.
 
<青根分岐>

■黍穀避難小屋手前の分岐
 15時56分,黍穀避難小屋手前の分岐に到着する.
 分岐の標識には分岐点の地名が書いてないので,ここでは黍穀避難小屋手前の分岐としておこう.
 この分岐を左折して枝道に入る. 

<この分岐を左に入る>

■長い九十九折りの下り坂
 分岐から枝道には居た直後は,実に心地よい尾根道が続く.
 ところが,この心地よさも,ほんの束の間.すぐに随分と急なジグザグの下り坂になる.木の枝と石ころばかりの急坂である.所々に濡れた赤土の斜面もあり,とても滑りやすい道が連続する..

<始めは素晴らしい道だが…>

■東野バス停は遠い!
 急坂を難儀しながら下り続ける.
 その内に,微かに川の音が聞こえ始める.何となく大分下ったような雰囲気になる.
 16時11分,もう好い加減下ったなと思い始めたときに,この道標の前を通過する.この道標を見て,まだ八丁坂の頭から1.1キロメートルしか下っていないことに気がつく.まだ東野バス停まで4.9キロメートルもある.
 “これはもう,17時35分発の最終バスには間に合わないな”
と内心で覚悟する.
 “それにしてもおかしいな…先ほど下った分岐は「八丁坂ノ頭」の分岐だったのかな?”

<東野バス停はまだまだ>

■小川沿いの道を下る
 16時35分,釜立沢支流の右岸に接近する.後,青野バス停まで4.2キロメートルである.
 この先で川を渡って左岸沿いの道を下り続ける.

<小川の岸沿いの道になる>

■林道に出る
 16時39分,漸く林道に出る.正直名所,“ヤレヤレやっと!”という気分である.
 やっと林道に出たと思ったら,青野への案内標識が,またもや右折して山道に入るようになっている.
 標識に従って山道に入るが随分と荒れていて,2箇所ほど道が崩落しているところを通過する.10分余り山道を歩いて再び林道に出る.ここから長い長い林道歩きが始まる.
 
<林道に出る>                            <山道を指す標識>

■遠のくバス停
 16時57分頃,林道脇で作業中の人が何人か居る.
 私が作業をしている人に,
 「ここから東野バス停まで,どの位距離がありますか?」
と伺う.
 「そうさね…まあ大体2キロメートルぐらいかな.まあ,歩いて20分ぐらいだよ」
とのこと.私は少しは安心するが,まだまだ油断ならないと思う.
 Tさんも,最終バスに間に合うように頑張ろうと言う.
 “それならば…”
ということで,私もかなりピッチを上げて林道を下り続ける.
 17時03分,路傍の案内標識を通過する.林業をしていた方から2キロと聞かされてから5分以上歩いているのに,この標識では「東野バス停まで2キロメートル」と表示されている.
 “あれつ〜…! 東野バス停が遠くなっちゃった!”
 “ガッカリ”

<東野バス停まで後2キロ>

<やっと青根だ>

■諏訪神社
 やがて青根の集落に入る.
 さて,肝心のバス停の位置が分からない.Tさんも頑張っている.焦り気味の私は滅多矢鱈に飛ばしてしまう.ときどき,居合わせた方に道順をお聞きして,クネクネと曲がる集落の中の道を下る.
 17時24分,道は諏訪神社に突き当たるようにして右に曲がる.
 近くの家から丁度出てきた奥さんに,
 「バス停,どこですか」
と伺う.
 「そこ右に曲がったところに,○○というお店が見えるでしょう.その向かいですよ」
 後ろから来るTさんと一寸間が空いたので,大急ぎで諏訪神社をお参りして,写真を撮る.

<諏訪神社>

■漸く東野バス停
 17時20分,三叉路に突き当たる.
 三叉路の横断歩道にたまたま居た2人の高校生風の女の子に,バス停はどこかと伺う.女の子は不思議そうな顔をして,
 「ここです…」
という,
 なるほど,私はバス停の真ん前に立っている.
 “間に合った!”
 私たちは,ここから三ヶ木までバスに乗車する予定である.時刻表を見ると,バスの本数が随分と少ない.土休日になると1日にわずか2本.

<東野バス停の時刻表>

<家に帰るまで3時間>

■JR橋本へ
 三ヶ木行のバスは,ちょっと遅れて,17時39分に東野バス停を出発する.先ほど私がバス停の一を聞いた女の子も同じバスに乗車する.乗客は合わせて4人だけ.
 バスはクネクネと曲がりくねった道路をずっと下り続ける.途中で2人の女の子は降りて,代わりに1人が乗車する.
 その後,殆ど乗客の乗り降りはないまま,18時08分に三ヶ木バス停に到着する.
 三ヶ木バス停は,一寸したハブになっていて,ここからあちこちに行くバスが発着しているらしい.
 バスを降りると,隣に橋本行のバスが停まっている.どこをどう通るバスか分からないが,まあ,いいやで飛び乗る.
 18時10分に橋本行のバスは発車する.乗客はサラリーマン風の男性と私たち会わせて3人だけ.どこをどう通っているのか分からないが,随分と長いこと乗り続ける.辺りはもうすっかり暗くなっている.
 途中,多少の乗客の乗り降りがあって,19時丁度にJR橋本駅に到着する.

■茅ヶ崎経由で帰宅
 今日は平日,ラッシュアワー.
 私は相模線でノンビリ帰ることにして,Tさんとお別れする.1時間以上も相模線の電車に揺られて,やっと茅ヶ崎駅へ.ここから東海道本線に乗り換えて20時23分に,やっと大船駅に到着する.20時45分頃,やっと帰宅する.
 振り返ると,丹沢の自然を堪能した素晴らしい1日であった.
 歩いた歩数は48,528歩.総歩行距離は21.5キロメートル.歩行時間(休憩込み)10時間18分の長丁場であった.

(注)Tさんから写真を頂戴しているが,投稿容量の都合で別途掲載.

<ラップタイム>

 7:02  歩き出し
 7:26  観音茶屋
 7:44  見晴山荘
 8:17  駒止茶屋
 8:42  堀山の家
 9:26  花立山荘
 9:39  金冷シ
 9:52  塔ノ岳山頂着(10:10まで休憩)
10:26  キレット
10:41  日高
10:56  龍ヶ馬場
11:17  丹沢山山頂(11:41まで休憩)
12:19  休憩所
12:29  不動ノ峰
12:37  棚沢ノ頭
12:54  鬼ヶ岩ノ頭(13:04まで休憩)
13:26  蛭ヶ岳山頂(13:41まで休憩)
14:39  地蔵平
14:48  原小屋平
15:04  姫次(15:24まで休憩)
15:42  青根分岐
15:56  黍穀避難小屋手前分岐
16:39  林道
17:20  バス停東野着

 [山行記録]

■水平距離       21.5km

■累積登攀高度     2080m

■塔ノ岳までの登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:02
  塔ノ岳  着       9:52
 (所要時間)  2時間50 分(2.83h)
  水平歩行速度   7.0km/2.83h=2.47km/h
  登攀速度    1269m/2.83h=448.4m/h

■主脈縦走所要時間(休憩時間を含む)
  大倉  発         7:02
     東野  着      17:02
 (所要時間)  10時間18分(10.30h)
 水平歩行速度     21.5km/10.30h=2.09km/h
                                     (おわり)

この記事の前半
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b22452db525113d0e3c4e399c1045917
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

※誤字転換ミスは後刻訂正する.



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