<塔ノ岳北側斜面にて>
満開の豆桜とブナに癒される丹沢:主脈縦走(その1)
(大倉から丹沢山まで)
2013年5月13日(月) 晴・湧き雲多し
<ルート地図>
※後半の地図は続編に掲載する.
<まずは塔ノ岳へ>
■大倉から登山開始
昨日,ロッキー山脈の旅でご一緒だったTさんとメールをやり取りしている内に,成り行きで,今日(5月13日),2人で一緒に丹沢主脈を縦走しようという話になる.この所,夏のような気温の高い日が続いているので,熱射病がいささか気になるが,ユックリ登ろうということで,何時もの通り5時10分に家を出発する.そして,これも毎度のことながら小田原で階段2段跳び乗換をクリアして,無事,渋沢発大倉行1番バスに乗車する.バスはかなり空いている.ご常連の顔もチラホラ.先日朝日新聞に掲載された登頂2000回の方も当然といえば当然乗車しておられる.
7時02分.私はTさんと一緒に大倉から歩き出す.昨日雨でも降ったのか,登山道は少し濡れている.この時期になるとヒルが少々心配になるが,どうやらヒルに出会うこともなく,何時もより少しユックリペースで登り続ける.
大倉を出発したときの気温は,手許の温度計で24℃.随分と高温である.
■見晴階段
今日は高温のなかの長丁場になる可能性があるので,3リットルの水をリュックに入れている.そのため,リュックの重さは何時もより1キログラムほど重くなっている.たった1キログラム重いだけでも,ロートルの私には登りが大分辛くなる.正直なところ,塔ノ岳山頂までは間違いなく登る積もりだが,そこから先は,塔ノ岳に到着したときの体調次第.少しでも無理だと感じたら,塔ノ岳からピストンで大倉へ下山する積もりでいる.
7時41分,雑事場ノ平の手前で,猛スピードで下山してくるYさんとすれ違う.
7時49分,見晴山荘を通過する.気温21℃.気温は大倉より幾分下がっている.
見晴階段に差し掛かる.
今日は,何時も愛用しているバカカメラが一寸故障してレンズの蓋がうまく閉まらないのでお休みさせ,一寸大きいがファインダーが付いているカメラを持参している.早速,今回から相棒にするカメラを取り出して,見晴階段の写真を撮る.私の先を行く同行のTさんの後ろ姿が片隅に写っている.
<見晴階段を登る>
■堀山の家で一休み
モミジ坂に差し掛かる.ここにはTさんお手植えのモミジの木がある.先日,この木の前で写真を撮ったことなどを雑談しながら,8時17分に駒止茶屋を通過する.大倉から駒止茶屋までの所要時間は1時間15分.何時ものペースより約10分ほどビハインドである.でもこのクソ暑い気温を勘案すれば,まあ,妥当だラップだなと思いながら通過する.
やがて,堀山の尾根に入る.多少のそよ風が吹いているので,暑さは感じないが,残念なことに山麓から雲が沸き上がっていて,晴れていれば見えるはずの富士山は完全に雲の中である.それでも,私は見えない富士山の写真を撮る.
8時36分,堀山の家に到着する.
「一休みしましょう…」
というTさんの提案で,小草平のベンチに並んで腰を下ろす.気温17℃.
Tさんは早速リュックから食べ物を取りだして,食べ始める.その後も,休憩を取る度にTさんは少しずつ食べ物を摂るように心掛けておられる.
“そうだった!…山では休憩する度に,少しずつ食べ物を摂るのが常識だった…”
私は,以前,山岳ガイドから教えて頂いたことを,急に思い出す.そこで,私も,尊仏山荘に入ってから食べようと思っていた食料を少しだけ食べることにする.
■萱場平
休憩を終えて8時42分に堀山の家を出発する.
Tさんから,
「花立山荘まで,何時もどの位の時間で歩いているんですか…?」
という質問を受ける.
「そうですね…まあ40分位を標準にして登っています」
と答えたものの,今日は少々蒸し暑いので,40分で登れる自信はない.
今日は,夏の気温なので,“汗をかかないで登る”は到底無理.ただ,息が切れない程度の速度で,自重しながら登り続ける.
登山道周辺から,ツツドリの啼き声が絶えず聞こえてくる.
9時02分,ようやく萱場平を通過する.何時もならば後7分坂をそろそろ登りきる時間である.でも今日は偉く長い道のりを歩くことになるかも知れないので,体力をセーブしておく必要があるので,遅くても納得である.
なお,写真に写っている方は,たまたま写真に入っただけ.私とは無関係の方である.
9時15分,下山してくる韋駄天組の方とすれ違う.何時も,後7分坂を3分の2ぐらい登ったところですれ違う方である.今日はこの差だけ私たちが慎重に歩いているということだろう.
<萱場平>
■花立山荘
9時20分頃,後7分坂に到着する.蒸し暑いので,坂を見上げただけでウンザリする.でも,ここを登りきらなければ先に行けないので,仕方がない.エッチラホッチラ,ダラダラペースで登り始める.
同行のTさんが痺れを切らしたのか,階段の途中で私を追い抜いていく.
ちょっと負け惜しみを言えば,私がその気になれば追いつける速度だが,その気にならない.だんだんと私から遠のいていくTさんの後ろ姿をボンヤリ眺めながら,9時26分に花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は,実に2時間24分と超スローペースである.
丁度花立山荘ぐらいの高さまで,下から雲が湧いている.そのため,上空に青空が覗いているのに富士山はおろか,近くの山も全く見えない.
前方を見ると,100メートルほど先を登っているTさんの後ろ姿が見えている.
花立山荘に到着した時点で,私にはまだ体力が十分に残っているので,少し歩行速度を速めて,9時34分に花立山を通過する.何時もは花立山荘から花立山まで9分掛けて登っているが,今日は奮発して8分で登ったことになる.
■塔ノ岳山頂
9時39分,金冷シを通過する.
金冷シから最初の登り階段に差し掛かる頃になると,Tさんの後ろ姿が大分近付いてくる.少し頑張れば追いつけるかなと思ったが,余計な体力を使うのも考え物なので,何時ものペースを保つ.そして,塔ノ岳山頂直下の木道に差し掛かる頃には,Tさんとの距離は20メートルほどに詰まったが,そのままの距離を保って歩き続ける.
9時46分,山頂直下の階段に差し掛かる頃,下山してくる2000回の常連さんとすれ違う.
「今日は,丹沢山陵抜けるんですか?」
と私に質問する.
「いや〜あ…,どうも蒸し暑いので,どうしようか考えています.多分,塔ノ岳で引き返しますよ…」
実際の所,この時点では,塔ノ岳で引き返そうと考えていた.
9時52分に塔ノ岳山頂に到着する.
山頂の気温は10℃.微風が吹いているが,涼しくて気持ちがよい.
大倉からの所要時間は,2時間50分.ゆっくりあるたにしては,3時間を切っている.
<塔ノ岳山頂>
■塔ノ岳山頂で一休み
Tさんより20メートルほど遅れて塔ノ岳山頂に到着した私は,尊仏山荘近くの石段に,Tさんと一緒に並んで,とりあえずの休憩を取る.
「尊仏山荘に入りますか…」
「いや,まあ,…取りあえずここで腹ごしらえをしましょう…」
ということで,少し早い第1回目の昼食を摂ることにする.
この時点で,私は食事が済んだら尊仏山荘に立ち寄って,大倉に下山しようかと思っている.
私たちが食事をしていると,尊仏山荘の小屋番W林さんが,外へ出てきて,私たちの雑談に参加する.私が,このまま大倉へ下山するつもりだと言うと,Tさんが盛んに折角だから先に行きましょうと私を誘ってくれる.W林さんも,
「(ここから先)危ないところもないし,折角だから行ってみたら…」
と私をけしかける.
「…ンなら,まあ,丹沢山までは行ってみるか…この頃,丹沢山はご無沙汰しているんで…」
…ということで,食事を終えて,10時10分に,塔ノ岳山頂を出発する.
この時点で,私は内心では,丹沢山から大倉へ引き返す積もりでいた.
<塔ノ岳から丹沢山へ>
■塔ノ岳を出発
塔ノ岳から,大倉尾根とは反対側の丹沢山方面行の急坂を下りはじめる.
登山道の周辺は,大倉尾根方面とは雰囲気が一変する.残念ながら富士山は雲に隠れているが,登山道の両側に群生する豆桜は,今正に見頃である.
「いや〜ぁ…! 凄いな,綺麗だな…」
と歓声を上げながら,夢中で何枚もの写真を撮る.
<塔ノ岳を出発>
■蛭ヶ岳遠望
10時21分,進行方向左手前方に蛭ヶ岳が良く見える場所を通過する.
「あそこに山荘が見えていますよ…」
と同行のTさんが言う.
“うェ〜・・・あそこまで登るの!!”
私は内心では,
“とてもじゃない! あんな所まで登るなんて真っ平だ”
と思っている.
でも,実に見事な風景だなと,見とれている.
特に山麓の新緑が目に鮮やかで,とにかく見応えがある.
<山麓の緑が実に綺麗だ>
■尾根道の豆桜は正に見頃
暫くの間,素晴らしい尾根道が続く.
10時26分,キレットを通過する.ここはちょっと高度感があって,私にとって嫌なところだが,通過しなければ先に行けないので仕方がない.
キレットを過ぎると辺りの雰囲気が一変して,のどかな尾根道になる.まるで公園でも散策している気分である.
登山道はなだらかなアップダウンが続くが,両側には正に今が見頃な豆桜が,まるでトンネルのようになって続いている.
<心地よい尾根の散策路>
■見返りの塔ノ岳
10時34分,小高いところから後ろを振り返る.するとブナの向こうに,今し方歩き出した塔ノ岳山頂が鋭く尖っているのが見える.
塔ノ岳も結構急峻な山だということが分かる.
<振り返ると塔ノ岳>
■日高
10時41分,日高(ひったか)を通過する.
この辺りはなだらかな上り下りが連続する.辺りはブナなどの雑木林である.雑木林の中を歩いていると,何とも言えない安堵感がある.
私は内心では,
”やっぱり,塔ノ岳からとんぼ返りせず,丹沢山まで足を延ばして良かったな…”
と心底から思っている.
<日高付近のブナ林>
■行く手は素晴らしい尾根道だ
日高のコルを通過して下り坂に入る.すると,前方に素晴らしい風景が広がっている.
なだらかな稜線は,目にも鮮やかな新緑に覆われている.
“あそこまで,早く行きたいな…”
という衝動に駆られる.
目の前の稜線を登りきると龍ヶ馬場だ.
<行く手に素晴らしい稜線が見えている>
■龍ヶ馬場
緩やかな稜線を登って,10時58分,龍ヶ馬場に到着する.ここは広場になっていて,休憩用の椅子が沢山並んでいる.
もう10年ほど前のことになるだろうか,山学校の登山でここを訪れたことを不意に思い出す.あの頃は未熟だったが若くて元気だったなと,懐かしく思い出す.
今,気温がどの程度か分からないが,ジッとしていると,少し寒い.
暫く休憩を取った後,再び歩き始める.もうここまで来れば,丹沢山は間近である.
<龍ヶ馬場で休憩>
■丹沢山に到着
ちょっと急な坂道を登って,11時17分,丹沢山山頂に到着する.ここまで足を延ばす登山客は少ないので,山頂は閑散としている.
折角,丹沢山まで足を延ばしたのに,富士山は相変わらず雲の中である.
山頂付近にはおびただしい数のバイケイソウが繁茂している.
私たちは丹沢山の標識の前で,まずは記念写真を撮り合う.
<群生するバイケイソウ>
<丹沢山山頂で記念写真>
■みやま山荘
丹沢山山頂で休憩を取ろうということになる.
「どうします…みやま山荘入りましょうか…?」
とTさんがいう.
折角だから,たまには山荘に立ち寄って見ようということになる.
私は,この「みやま山荘」が建て替えられた直後に山旅スクール5期の同期生数人でここに宿泊したことがある.そのときの新しい木の香りやすばらしい夕食のことを懐かしく思い出す.
その後,何回も丹沢山までは来ているが,山荘に立ち寄ったことは全くなかった.
久々に訪れて見ると,あの新築の機の香りは,さすがになくなっているし,やっぱり年期相応の風格が出ているなと感じてしまう.
Tさんは,ここで2回目の昼食.私も少しばかり食料を腹に入れる.Tさんの元気な源は,行動中に絶えず少しずつ食事をすることだと分かる.私もこれから大いに見倣おうと思う.
<みやま山荘> <みやま山荘内部>
(続く)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/55f7409e4fa77eec945e2897beae1350
「丹沢の山旅」の続きの記事
(編集中)
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満開の豆桜とブナに癒される丹沢:主脈縦走(その1)
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