<美しいクッションプラント>
[復刻版]
ルアペフ山・エルバート山登頂記:第5日目(2):タマレークトラック(2)
(山旅スクール5期同窓生)
2006年1月27日(金)〜2月4日(土)
第5日目;2006年1月31日(火)
ロワータマ湖とアッパータマ湖
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http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/badae378c596d41be5ac9a5ab610de86
<ルート地図>
※再掲
<雨の散策路>
■舗装道路を登る
今日はタマ湖とタナラキ滝を周遊するショートトレッキングの日である.
8時34分にホテルを出発した私達は,ブラブラと散策路を南南西の方向に歩いている.
本日のガイドは,例のガイド頭と植物に詳しいP氏(名前を聞いたが忘れた)の2人である.
暫くはなだらかな遊歩道が続く.辺りの情景は,昨年訪れたハーミテージ周辺に何となく似ている.やがて進行方向右手に大きな建物が見え始める.ガイドの説明によると,ここはモーテルらしい.
この辺りを過ぎると,だんだんと山道らしい雰囲気になってくる.
<青い屋根の建物>
■昔の馬車道
8時58分,焼け野原の中に入り込む.この焼け跡は,かなり広範囲に広がっている.ただ,焼け跡から新しい芽や草木が生え始めているので.何となく「ホッ」とした気分になる.ガイドの説明によると火災の原因はタバコの火らしいとのことである.
8時59分,焼け跡を過ぎて森の中に入る.森に入った途端に辺りが薄暗い山道になる.
ガイドの説明によると,ここから暫くの間は,昔の馬車道の跡が山道になっているので,道幅がいくぶん広くなっているという.辺りはBauntain Beech(正しいかどうか分からない)と呼ばれるブナの一種が群生する森である.一面に幻想的な霧が立ち込めていて,遠くの景色は殆ど見えない.
<薄暗い樹林帯>
■花の説明を受けながら…
9時05分,樹林帯を抜け出る.霧が薄くなり,遠くの景色はまだ見えないが,周辺の風景が一気に開ける.
9時07分,ガイドの説明を聞きながら,ボサボサ葉っぱのlong leaves grassの写真を撮る。その後,ビービー,アイブライト(何れも正確かどうか分からない)などの花の説明を受けるが,花音痴の私には,とても覚えられない。むしろ退屈にすら感じる.
9時18分,短いながら両側に手すりのついた立派な木橋を渡り,隣の尾根に取り付く.
<立派な木橋>
■またまた花談義
ここで,また花の説明が始まる.
ガイドの説明を聞きながら,白い花と赤い実のフォストタラの写真を撮る.この赤い実にはアルコール分が含まれているらしい.この実を食べた鳥が酔っぱらっていることがあるという.
つづいて食虫植物のモウセンゴケの写真を撮る.
<ガイドに綺麗だろうと言われて撮った花;花の名前は直ぐに忘れた>
■雨が降り出す
曇り空から,ポツポツと雨粒が落ち出す.
「雨か! しょうがないなあ…!」
一同,立ち休憩を取りながら,雨傘を取り出す.まあ,敢えて傘をさすほどの雨でもないが,濡れると結構寒そうである.
<無情にも雨が降り出す>
■三度目の川渡り
9時26分,また川を渡る.渡ってすぐの所に,ランの一種,blue swamp plantが自生している.早速このランの写真を撮る.紫色の美しい花をつけている.
9時32分,三度目の川を渡る.
ここの崖,つまり露頭で,ガイド頭が地層に沿って,火山の活動跡を詳しく説明する.このガイドは地学の専門家のようには見えない.どうやら耳学問らしいが,ローカルなことを大変良く知っている.
<ランの花?>
■溶岩流の先端
9時39分,標高1,255メートル地点に達する.ここには「Edge of Lava Flow」と書いてある看板看板が立っている.この看板の前で小休止する.
9時47分,休憩を終えてまた歩き出す.ここからは,再び平原歩きになる.
9時56分,また橋を渡る.
<溶岩流の先端>
■クッションプラント
9時59分,タラナキ滝からの遊歩道と合流する.ここから緩やかな上り道になる.
10時20分,また小川を渡る.川の中の滑りやすい小石を伝わりながら渡る内に,ツアーリーダーのSさんが足を滑らせて川に落ちてしまう.
この辺りから次第に山道らしい悪路になる.
10時20分から10時30分まで,標高1,355メートル地点で小休止する. この辺りにはクッションプラントが沢山自生している.クッションプラントは,ニュージーランドでは大変大切な植物だという.
ロードオブザリング撮影時には,この辺りに何千人もの人達が入ったので,クッションプラントを保護するために,すべてのクッションプラントにカバーを掛けたという.
<クッションプラント>
<もうすぐロワータマ湖だ>
■下山してくる登山者
10時33分,下山する3人の人とすれ違う.
ガイドが山頂付近の天気がどうだったかを3人に聞く.
「全くだめ・・!」
と身振りを交えて答える.
しかし,心なしか,私には,上空が少し明るくなってきたような気がする.
引きつづき,なだらかな登り坂を淡々と登っていく.
10時48分,私たちはプラトーの端に到着する.標高は1,355メートルである.
ガイドが,
「おなか,空いたか?」
と聞く.
一同,空いたような,空かないような,曖昧な返事をする.
「あと30分ぐらい歩けば,ロアータマ湖(Lower Tama)に着くよ・・・そこで昼食にしたら」
とガイドが提案する.
勿論,異論はない.一同,そのまま歩き続ける.広い裾野を歩き続けると,やがて下り坂の木道になる.そして,旧道と合流する.
ガイドが,
「この間,反対からお喋りしながら登ってきて,この分岐に気付かず,旧道に入ってしまい参ったよ・・・大分先まで行ってから,また,ここまで戻ったよ・・・」
と失敗談を披露する.
<なだらかな登り坂が続く>
■川沿いの道
11時頃,薄日が射し始める.
11時12分,川沿いの道に入り込む.この辺りから登り坂になる.ここで髭もじゃの大男2人組とすれ違う.
登り坂が終わると,再び広い湿地帯の平原の中に入り込む.道があるようなないような所を川沿いに遡る.
<川沿いに遡る>
■分岐点の道標
11時16分,「Lower Tama LakeとOld Waihamu Hut」の分岐点を通過する.私たちはさらに湿地帯の中を先へ進む.
上空には雨雲が低く垂れ下がっている.見渡す限り寒々とした草原が続いている.
道標には「ワカパパビレッジまで2時間30分」と書いてある.
この道をさらに3時間歩けばワイホホムハット(Waihohomu Hut)というところに行けるようだが,どんなところだろう? 今日の私たちは途中からワカパパビレッジに引き返してしまうが,ワイホホムハットが妙に気になる.
<分岐点の道標>
<ロワータマ湖>
■プラトー鞍部からロワータマ湖を見下ろす
この辺り一帯は湿地帯になっている.ザラザラとした火山礫の平原が広がっている.東方向に歩き始めてすぐに,ガイド頭が進行方向左手にある小さな水たまりをストックで指しながら,
「ちょっと止まれ」
と私達に合図する.そして,真面目くさった顔をして,
「ここがタマ湖だよ・・・さあ帰ろう・・・」
と言いながら,今来た道をスタスタと帰り始める.もちろん,これはジョークである.
平原を暫く進むと,登山道の勾配が少しきつくなる.
そして,11時26分,下タマ湖(Lower Tama Lake)を見下ろすプラトーの鞍部に到着する.標高1360メートルである.丁度,雲間が広がり,視界が良くなる.
東側に衝立のように広がる山脈の山頂付近は雲の間に隠れている.北風に乗って,雲がざわざわと右から左へ流れている.眼下に下タマ湖の全景が見える.
<ロワータマ湖>
■ロワータマ湖を見下ろしながら休憩
「ここから先は少し時間が掛かるから,ここで食べ物を少し食べて下さい」
とガイド頭が私達に指示する.
私たちは,プラトーから少し北タマ湖側に下りて,風を避けながら座り込む.私はランチボックスからネクタリンを1個取りだして齧り付く.北風が吹き付けて寒い・ここから先は防寒具を着て進むことにする.
<ロワータマ湖の案内板>
<アッパータマ湖>
■ガレ場の急登
11時46分,ロワータマ湖を出発.
ここからはガレた急坂になる.
ガイド頭のすぐ後ろに酋長さんとドッジさんが続く.最初は1列になってお二人の後につながったが,私は途中からジリジリし始める.
“もうちょっと速く登りたい…”
それを察してかガイド頭が,
「丘の上まで,先に登っても良いよ・・・」
と私たちに合図する.
「では…!」
…ということで,私は,これまで何となく,つっかえたような気分を一掃するために,一気に速度を上げて,ドンドンと急坂を登り始める.
思い切り速度を上げるのは実に気分が爽快である.フクロウとバーダーが私以上に凄い速度で登り始める.
頂上に近付くと,踏み跡がますます不明瞭になってくる.そこでガイド頭が追いつくのを待つことにする.
12時丁度にガイド頭と一緒に丘の上に到着する.手許の高度計は標高1,465メートルを指している(実際は1,440メートル).
ガイド頭は,私に,
「ここで待っていろ・・・」
という.
メンバーが次々に到着する.
丘の上に立っている小さな棒杭の前で,記念写真を撮り合う.ここで小休止.
丘の上から後ろを振り返ると,先ほど近くを通った下タマ湖が眼下の遙か下に見えている.
<山頂の標識は貧弱な棒切れだ;余計な人物が写っているが…>
■アッパータマ湖を見下ろす
12時13分,小休止した後,歩き出す.ガイド頭が,
「お前,速いから,俺を引っ張って行け・・」
と私に冗談を言いながら,私のリュックを後ろから引っ張る.
ちょっとの時間でも,自分の全速力で歩ければ,もう満足である.後は,遅い速度で歩いても全く気にならなくなる.
ここからは,水平なプラトーが少続き,ついで,ゆるやかな丘を登る.そして,12時19分,アッパータマ湖(UpperTama Lake)が見える丘の上に到着する.
<アッパータマ湖>
■シェルターの中で昼食
丘の上には強い北風が吹いている.吹き曝しの丘の上は,とにかく寒い.
私達は石を積んで囲っただけの素朴な風よけシェルターの中に入り込む.このシェルターは10人ほどがしゃがみ込むと一杯になってしまうほどの大きさしかない.
一同,シェルターの中に座り込んで,黙々と昼食を摂る.
眼下に上タマ湖が見下ろせる.素晴らしい景色である.
たまたま,雲間から日が射してくる.途端にほんわかと暖かくなる.暖かくなると気分も大変良くなる.私は心の中で,
「こんな素晴らしい景色を堪能できるなんて,私は本当に恵まれているな」
と実感する.
<石積みのシェルターに入り込む>
(つづく)
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(編集中)
「目次および索引」
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