<ナウリホエ山を望む>
[復刻版] ルアペフ山・エルバート山登頂記:第3日目(2):
トンガリロクロッシング最高地点
(山旅スクール5期同窓生)
2006年1月27日(金)〜2月4日(土)
第3日目;2006年1月29日(日) (つづき)
前の記事 ↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6eb5bf116d1758f824a4f6032aa36f44
<ルート地図>
↓ 拡大図
<プロフィールマップ>
※前掲図 ↑ ↑
ソーダススプリング トレッキング最高地点
<リムを目指して急坂を登る>
■ガイドがヤケに速歩だ
私達はトンガリロクロッシングを歩いている.
右手に雄大なナウルホエ山が見える平原にあるソーダスプリングで,10分余りトイレ休憩を取った私達は,9時57分に再び歩き出す.
ハイキング道路は進行方向右手に曲がり,目の前に立ちはだかる崖道を登り始める.急坂に入ると,酋長さんとドッジさんの足取りが少々重くなる.
登るにつれて,眼下の視界が開け始め,だんだんと見晴らしが良くなる.
10時29分,3分ばかり立ち休憩を取る.標高1,420メートルである.
“それにしても,今日のガイドは,やたらに早く歩いて,やたらに休憩ばかりするな・・・彼ら本物のガイドかな・・・”
と心の中で不審に思うが,ぐっと胸の内に押さえる.
10時20分,またもや小休止.標高1,540メートル.
休憩の後,ふたたび露岩帯の尾根に沿って登り続ける.行く手には溶岩が固まってできたゴツゴツとした岩が累々と積み重なっている.
<リムの縁に到着,一休み;沢山の登山客が居る>
■尾籠な話で恐縮だが…
10時58分から11時03分,再び休憩になる.ここは.眼下の見晴らしが開け,ちょっとした広場になっているところである.私達の前後にも沢山の登山客が休憩を取っている.
私はにわかに「大」がしたくなり,やむを得ず少し離れた大きな岩陰に紛れて「大」を足す.ふと左手を見ると,わずか5〜6メートル離れたところに,広場から分かれた枝道があることが分かる.その道を私から20メートルほど離れたところから,アベックがこちらへ向かって歩いてくる.私は驚いて大切な作業を中断する.少々ちぐはぐな気分のまま,辺りの小石を「一物」の上に沢山乗せて,何気なく現場を立ち去る.
辺りにはミツバチを少し大きくしたほどの蝿(?)が数十匹,瞬時に集まってきて「一物」の上に群がっている.見えなくしているのに・・・香りが漂っているのかな?
<クレーターの縁で他の登山客に混じって立ち休憩.>
■サウスクレーターを横断
ここからは,広いサウスクレーター(South Crater)の中を歩くことになる.
11時11分,ガイドが私達を集めて,クレーターの説明を始める.
「・・・このクレーターは1,800年前の爆発でできたんです・・・・地球上で最も大きな火山だったんです・・・・ニュージーランドはインドプレート,オーストラリアプレート,太平洋プレートが重なって生成されました・・・」
11時24分,私達は南クレーターを渡りきって,ここからクレーターの縁(リム)をトラバース気味に登り始める.途端にまた2人組が遅れ始める.
11時27分,クレーターリムの小さな山(標高1,670メートル)に達する.左手には,今までの横切ってきた広大な南クレーターが眼下に広がっている.この風景は,まるで月面のようである.
<サウスクレーターを横断してリムへ登る>
<ナウルホエ山麓の大噴火口群>
■巨大なケルン
クレーターの左手には雄大なナウルホエ山が聳えている.ここでナウルホエ山をバックにして,交代で写真を取り合う.何とも爽快で,いい気分である.
稜線歩きをしながら,11時38分に標高1,710メートル地点に達する.そして,11時52分,標高1,800メートル地点で小石を積み上げたケルンの前で小休止する.私は,ケルンととナウルホエ山をバックに写真を撮って貰う.
<ケルンの周囲で休憩を取る>
■レッドクレーターの縁で写真を撮る
ケルンはレッドクレーターの縁(リム)にある.辺りはゴツゴツとした溶岩の塊が重なるように続いている.随分と荒々しく迫力のある光景が広がっている.
たまたまクレーターの縁で立ち休憩をしている仲間の様子をスナップ写真に収める.
<旧火口の縁で立ち休憩>
■セントラルクレーター
12時04分,標高1,810メートルの地点に達する.眼下に鋭く切り立った大噴火口が見下ろせる.赤茶けてただれたようなザラザラした岩が高いところから転げ落ちるように谷底へ向かっている.
斜面の縁には鮫の乱杭歯のように鋭く切り立った尖峰が立ち並んでいる.谷間の彼方まで左右から鋭い稜線が折り重なるように落ち込んでいる.何というダイナミックさだろう.私は息を飲むような気持ちで,この素晴らしい光景を目に焼き付ける.
<セントラルクレーター>
<最高地点からエメラルド湖を見下ろす>
■今日の最高地点に到着
ここからザレた急な登りになる.ガイドのすぐ後ろで登っている酋長さんの足取りがいかにものろい.居たたまれなくなった私は,登山道左手のザレ場を登って酋長さんを追い越す.そしてガイドの脇に出る.ガイドが,
「・・・先にドンドン登っても良いよ・・・」
とボデーランゲージで私に合図する.
「しめた〜ぁつ・・・!」
私は今までの燃え切らないエネルギーを一気に吐き出すような気分で,ドンドンと先へ登る.私が先へ登るのを見ていたフクロウが飛び出す.私はとにかく息が切れるほどの速度で登ってみたかった.思い切り速い速度で登って見る.するとすぐに息が上がってくる.これまで寒いなと思っていたのに,これで一気に暖かくなる.
12時12分,急坂を登り詰めると丘陵のような所に出る.標高1,870メートル.このトレッキングコースの最高地点である.
ガイドが,ハア,ハア,と息を切って,私を追いかけてきて,
「・・・そこの一番高いところで待っていなさい・・・」
と言う.もちろん私は最初からそのつもりである.
私のすぐ後にフクロウが続く.フクロウは何時も強いなと感心する.その後,仲間が次々に到着する.ここがトンガリロクロッシングの最高地点である.
■エメラルド湖を見下ろす
右手,すなわち東北東の眼下に,素晴らしく青緑に澄んだエメラルド湖(Emerald Lake)が見下ろせる.荒々しくゴツゴツとした赤茶けた稜線に囲まれた青緑の静かな湖水が何ともいえない調和を保っている. エメラルド湖の遠景 いつの間にか,私達の周りには誰も居ない.風も穏やかで静寂そのものである.こんな所でしばらく滞在して絵を描きながら過ごせたら,すばらしいだろうなと,ふと思う. ここから右手にエメラルド湖を見ながら,急なザレ道を通って,エメラルド湖の湖畔近くまで下る.ガイドが,ザレ道の下り方を,私達にコーチする.
「・・・歩幅を小さく,腰を落として,フラットフッティング・・・」
私達が登山学校で口酸っぱく教えられた内容と同じである.
12時15分,いよいよザレた急坂を下り始める.
<眼下にエメラルド湖が見える>
(つづく)
次の記事 ↓
(編集中)
「目次および索引」
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d996df350dfe6787b53d2ff458cb0014
↧
ルアペフ山・エルバート山登頂記:第3日目(2):トンガリロクロッシング最高地点
↧