<タウポ湖を望む>
[復刻版]
ルアペフ山・エルバート山登頂記:第3日目(3):トンガリロクロッシング(3)
(山旅スクール5期同窓生)
2006年1月27日(金)〜2月4日(土)
第3日目;2006年1月29日(日) (つづき)
エメラルドレークからケテタビ小屋へ
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<ルート地図>
↓ 拡大図
<プロフィールマップ>
※再掲 ↑ ↑
エメラルド湖展望 セントラルクレーター
<エメラルド湖展望>
■ガレた急坂を下る
高いところからエメラルド湖を見下ろした後,いよいよザレた急坂を下り始める.
私達は登山には素人だが,それでも,ここ3年間,登山学校での山行で,この程度のザレ道は,いつも歩いている.
登り坂に多少弱い方も居られるが,弱いといっても,通常の登りの山道ならば,300〜350メートル/時の速度でならば,難なく何時間でも続けられる力量を持って居られる.だから,全員がエリアマップに書かれている標準時間で,十分に歩けるだけのパワーはある.
ただ,同行の皆さんの中には,平気で500〜600メートル/時ほどの速さで登ってしまう人が2人ほど居られる.だから,私などは,四苦八苦してこの人たちを追いかける羽目になる.別に追いかける必要はないのだが・・・
私達は,当初,ガイドが予想したよりも,ずっとスムーズに,誰一人転倒したり尻餅をついたりせずに,12時15分に難なく急坂を下り終える.むしろ,私達の後ろに付いてきたガイドが,スリップして尻餅をついている.
<これからこの急坂を下る>
■エメラルド湖を眺めながら昼食
12時28分,エメラルド湖に一番近い鞍部(標高1695メートル)にまで降りる.ここでエメラルド湖を見下ろしながら,暫く小休止する.
小休止している間に,食べ物を食べ,給水をする.
風が吹いている.それほど強い風ではないが,とにかく寒い.仕方なく,私はリュックからヤッケを取りだして着込む.そして,わずかな時間を利用してエメラルド湖の風景をスケッチする.
<エメラルド湖を見下ろしながら昼食>
■どでかいサンドイッチ
私もランチボックスからサンドイッチを取りだしてかぶりつく.大きなサンドイッチである.でも,パンは腰があって柔らかく,とても美味しい.ハムの他に野菜がタップリと挟み込んである.
美味しいサンドイッチを食べながら,思わず,昨年,モンブラン山へ登ったときの貧しくて不味いランチを思い出す.
美味しいといっても,とにかく大きなサンドイッチである.とても一度には食べきれない.大半をそのまま残して,またリュックに仕舞い込む.
<どでかいハンバーグ> <座り心地の悪いところだ>
<セントラルクレーターを横切る>
■セントラルクレーターへ
12時55分,エメラルド湖を出発する.広い火口原をくねくねと登っていく.太ったガイドを先頭にフクロウとバーダーが後ろの人達にはお構いなしに,高速で登っていく.私は,すぐ後ろに居る方々のことが多少気になるし,それに先行の2人に付いていったら草臥れてしまうのが自明なので,速くもなく,遅くもなく…といって,前と余り間を空けたくないという複雑な気持ちで登っている.
<荒涼としたセントラルクレーターに入る>
■セントラルクレーターを横切る
ほどなく,私達はセントラルクレーターを横切り始める.
辺りは切り立った衝立のような山に囲まれた荒涼とした平原である.広い平原の真ん中を歩いていると,やけに空が青く見える.紺碧の空の青と,赤茶けた岩石の色のコントラストが強烈である.まるで月面を歩いているような錯覚に陥る.
セントラルクレーターからリムをトラバースしてプラトーへ出る.その間,少し長い登り坂が続く.
13時13分,2分ほど立ち休憩を取って.再び歩き出す。ここからリムに沿って,短い距離だが,かなりの急坂になる.この急坂を登り切ると,途端に視野が開ける.
<クレーターのリムに立つ;視界が開ける>
<ブルーレーク>
■青い水の湖面
13時18分,ブルーレーク(Blue Lake)の畔に到着する.
この湖はどのくらいの大きさだろうか.多分直径が500メートルほどもあるのだろうか.青い水を讃えた湖面がとても美しい.
対岸には,なだらかな丘陵が続いている.草木は生えていないが,これまでの風景に比較すると,何となく女性的な印象を受ける.
<ブルーレーク>
■神秘的な山の風景
ブルーレークの反対側を見ると荒々しい旧火口がポッカリと穴を空けているのが見える.その先,遠くに,明日登るルアペフ山が聳えている.山腹の一部に雲が掛かり,旧火口の縁が雲から浮き出るように見えている.
何という素晴らしさだろう.私は急いで辺りの様子と印象をスケッチに残す.そして,念のために,この風景をデジカメに収める.
<旧火口>
■タウポ湖遠望
13時28分,ブルーレークを出発する.
火山が形成した大斜面をトラバースしながら北上する.尾根を越えると北側の風景が一望できるようになる.
壮大な風景である.
いつの間にかトラバース道の両側に野草が見え始める.焦れったくなるほど名前が思い出せないが,ボサボサした草が沢山生えている.辺りの景色も今までの荒々しさから一転して,のどかな山辺の道になる. 眼下に綺麗な湖が見える.その湖の遙か遠く,地平線近くに海が見えているようである.
私は,ガイドに,
「あれは海ですか。タスマニア海ですか・・・それとも太平洋?」
聞く.すかさずガイドが,
「あれは海じゃないよ・・・ニュージーランド北島で最も大きな湖,タウポ湖(Lake Taupo)だよ」
と教えてくれる.
湖は明るい空色の水をたたえて,一見空との見分けが付かない.どうやら小さな島が湖の中にいくつか浮いているのうである.その先には白い雲が湧いていて茫洋としている.この辺りまで来ると,道路が実に良く整備されている.何時の間にか,なだらかな下り坂になっている.下り坂は山麓をゆるゆると廻りながら次第に下っていく.何とも爽快な遊歩道である.
<眼下にタウポ湖が見渡せる>
<ケテタヒ小屋>
■眼下にケテタヒ小屋が見える
私達以外の登山者もチラホラと見かけるようになる.
やがて,眼下にケテタヒ小屋(Ketetahi Hut)が見えるようになる.私達が歩いているところから,直線距離にしたら,いくらも離れていないが,なぜか道路はくねくねと迂回するように作られている.
尾根を真っ直ぐに近道してしまいたいという衝動に駆られるが,ここは国立公園内である.登山道以外の場所に立ち入ることは許されないだろう.我慢して,くねくねの坂道を下っていく.
<ケテタヒ小屋に近付くと,遊歩道が整備されている>
■ケテタヒ小屋に到着
13時40分,ようやくケテタヒ小屋に到着する.小屋のトイレに行列ができている.小さな小屋は観光客で溢れている.
小屋の前は広いデッキになっている.デッキの縁の手すりに沢山の人が腰掛けている.私達も,この小屋で小休止する.
私は空いている手すりに腰を掛けて,すぐに小屋のスケッチを始める.
ガイドが私のノートを覗き込んで,
「うまいもんだね…あんた絵描きか?」
と真顔で私に聞く.
私は照れながら,
「とんでもない!…ジャストマイホビーだよ」
と答える.
<ケテタヒ小屋>
(つづく)
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(編集中)
「目次および索引」
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