<古典に感動>
2017/11/30
趣味三昧;セピア色の画集;私的絵画論考(2):まずは作品の意図を明確に…
(2017神奈美会員展出展作品の自己評価)
まえの記事
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http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0d80d0586cda770c9ea5dd871af9f225
<絵の素人ながらの試み>
■私の願望
私は折角苦労して絵を描くんだったら,ご覧いただくフロアーの皆様の共感が得られる絵を描きたい.
急いで付け加えるが,そんな余計なことを考えずに純粋な気持ちで絵を描かなければ駄目ダというおしかりを受けることは重々承知している.長い間,サラリーマン生活を経験してきた私には,何かのアクションを撮ろうとするときには明確な意図がなければ駄目ダということも分かる.いわゆる目標管理である.
確かに趣味の世界に目標管理もヘッタクリもないのも事実だが,折角,展覧会に絵を出展するんなら,ご覧いただいた方の共感を得た方が励みになるし,自分の精神衛生上も大いにプラスになる.さらに余所様に評価されれば,次の作品の精査期意欲も高まるというものだ.
そこで,私は,2017年度神奈美会員展に出展する2枚の水彩画を描くに当たって,下の図のような”製品計画”を立てた.
下の図の「■目標」は私的絵画論考(1)(まえの記事参照)で示した図を具体化したものである.
この図の縦軸は,前回示した図と同様に「共感」が得られたかどうかをプラス(+)とマイナス(ー)で表示している.もちろん(+)は「共感が得られた」であり,(ー)は「共感が得られない」である.同様に横軸は登山経験が「あり(+)」と「なし(ー)」を表している.
今回の粋さが制作に当たっては,最低限「第1ステップ」を実現することを木上にしたいと思った.ここでいう第1ステップとは,少なく床登山経験のある方の共感だけは得たい…できれば登山には無縁な人の共感が得られれば最高(第2ステップ)という目標である.
■今回出展する絵への期待
…で,今回は,少々,構図に関心を寄せて絵を描いてみようと思った.
私の趣味の一つに登山がある.登山と言ってもそんなに危険な山へ行くわけではないが,どの山に登ったときでも,何時も,ゴロゴロ石の登山道の奥底に煮えたぎるマグマの息吹を感じるし,したたり落ちる汗(実際はそんなに汗をかくような登り方はしないが…)が地面に染みこんでいる感じが足下から伝わってくる.また場所によっては不幸にも遭難された方の霊魂がさまよっているような霊気を感じる.そんな諸々を一枚の絵に表現できたら最高だなと何時も思っている.
”どうしららこんな感情を表現できるだろうか…”
これが私の迷いでもあり,課題でもある.
そこで私は乏しいながらも手許にある参考文献などを拾い読みしながら,今回は構図について,ちょっとした試みをしてみることにした.
上の図の「■今回の試み」で示した図が,今回の試みを表している.
今回,私は,特に次に挙げる項目に重点を置いて絵を描きたかった.
①山に登りながら感じる不安,汗,しんどさ,畏怖の念…こんな雑多な感情をできるだけ表現そたお.
②同じ山に登ったことのある人が私の絵を見たときに,
「ああ,あそこの山だ…!」
とすぐに分かるように山の形状は忠実に描きたい.
③登山経験者から,登山の喜び,苦しみなど様々な感情の共感を得たい.
④登山未経験の方にも,山の魅力を知って貰いたい.
■絵の構図の特徴
前項の狙いを実現するために,今回は以下に示す2点を満足する絵を描くことにした.
①画面を斜めに横切る対角線の構図にする.
対角線の構図にすれば,左右非対称なので自然に不安定感が表現できそうである.
登山中の不安,山への畏怖の気持ちを対角線の構図に託したい.
②目線(水平線)は,画面のやや下に置く.
目線を下げることにより,山を見上げる構図になる.このことによって山への畏怖の念を表現する.
③人物を入れる.
人物を入れることによって,山に比較して人がいかに小さな存在かを表現したい.
<古典に癒やされる>
■私に勇気を与えることば
丸山晩霞『水彩画の描き方』緒言より引用
「…文字を書き得る人に,絵画が描けぬといふ事が無い.描けぬといふのは,描かぬからである.初学者のために,絵画を独習して,容易に描き得る事の出来るべく,この書を著した.述ぶるところ皆自分の経験した描法である.近来絵画に新旧派と呼ばるゝものがある.自分の述べしものは旧かも知れない.又新しいものかも知れない.要は自然に事し,他のあらゆる伝統と模倣を避け,新しい道を開拓せよといふのにある.…」
終章より
「…紙面に輪郭の線が残ったり描いた筆の跡が現れてゐるのは,水彩画の面味のあるところであるから,標本を描くやうに,筆力のない写実的にならないやうに注意されたい.写真や写実は水彩画の目的ではない.どこまでも画としての趣のあるやうに描かれたいのである.…」
(丸山晩霞,1922,『水彩画の描き方』実業之日本社)
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山里寿男『スケッチ入門』「はじめに」より引用
「…あまりか堅くならずに気軽にスケッチしてください.絵というものは,プロならばともかく,少なくともアマチュアの方たちには,うまいとかへたとかはあまり関係がありません.それは,うまいに越したことはありませんが,要は,山を眼の前にした時の感動を,充分に満喫して下さればいいのです.山を持っている心は,こちらからじっくりと眺めるほど,美しいことばとなって跳ね返ってくるのです」
(山里寿男,1968,『登山者のためのスケッチ入門』山と渓谷社)
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井出則雄『美術のみかた』「まえがき」より引用
「…「絵は誰にでもかける」ということばがあります.これもたしかにそうです.しかし現代まで,何千年もつみ重ねてきた,描き方の方法を少しも知らないで,ただ才能というようなばくぜんとした力によって,描きなぐってみても,果たして,いままでより更にすすんだ描き方が,つくれるとは思われません.美術は,かならずその時代の人間の考え方や,社会のありさまを鏡のようにうつします.美術をほんとうに理解するには,その時代のありさまを知らなければなりませんし,その時代の人間がつくりあげた方法を,知るということが大切です…」
(井出則雄,1953,『美術のみかた;原始芸術からピカソまで』生活百科刊行会)
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今回はこの程度にしておこう.
次回から,実際に出展した絵を吟味することにしよう.
(つづく)
つづきの記事
↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7688978ea6a62b86769f5e71b2150ffb
「セピア色の画集」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9cbc1b336f07f6418715ae4fd63b3073
「セピア色の画集」の次回の記事
(なし)
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