<車窓から;美しい湖が沢山ある>
ノルウェー紀行;第2日目(1);専用車に乗ってオスロを出発
(アルパインツアー)
2013年8月19日(月)〜8月30日(金)
第2日目;2013年8月20日(月) 晴・冷涼
<ルート地図> オスロ→イェンデスハイム
<オスロの朝>
■時差ボケ
いよいよ2日目.
私は昔から時差に弱い.今回も,日本とノルウェーでは7時間もの時差がある.時差に弱い私は,当然,ほとんど眠れない一夜を過ごすことになる.
6時にモーニングコールがある.
ここは時差7時間の世界である.朝6時と言っても,JSTでは13時である.これでは体内時計を簡単に調整することは困難である.
身体が何となく火照っていて,気分は最悪である.血圧を測る.血圧の具体的な値は個人情報なので,ここでは記さないが,随分と高い値を示している.
自分ではほとんど眠っていないような気がしているが,同室のEMさんによると,
「寝てから暫くの間,とても良く睡っていましたよ…」
とのことである.どうやら,私は眠れないとは言いながらも,寝付きの2〜3時間は良く睡っていたらしい.
それはともかく,起床する.何となく倦怠感が残っている.
“こんな調子で,度の終わりまで体調が持つかな…”
と心配になる.
<早朝のオスロ;ホテルの窓から>
■朝食は美味しいバイキング
6時30分,同室のEMさんから,
「そろそろ朝食に行きますか…」
と促される.
余り食欲はないが,毎日3食はシッカリ食べるのが私の流儀である.EMさんと一緒に,エレベーターを使ってホテル2階のレストランに向かう.
レストラン入口で受付係の女性が,
“Room Number, please.”
と英語でチェックする.
朝食はバイキング形式である.もう,早々とツアーリーダーがレストランに来ていて,
「こちらの席を使って下さい.」
と私たちを誘導する.結局,私たちのグループはレストランの中央付近のテーブルに一塊になって座る.
沢山の一般客と混じりながら,自分の好みの食材を選ぶ.
ここはさすがに一流ホテルである.品数が実に豊富である.これまで,私は,何回か仕事でヨーロッパを訪れたことがある.何れもビンボー旅行だったので,格安のホテルにしか泊まったことがない.そんな格安なホテルだと,朝食のネーベンなどほんの数種類しかない.そんな不確かな経験から,ヨーロッパのホテルの朝食など,ろくなものではないと思い込んでいたが,今回は違う.さすがにチャンとしたホテルだと品数も多いし,どの食材も,とても美味しいんだと再認識させられる.
今回の旅行は,航空機代,ホテル代など全てがパックになっているので,このホテルの宿泊費がいくらになっているのか知る由もないが,もし個人旅行だったら,到底,こんな立派なホテルには泊まらなかっただろうな…なんて考えながら,朝食を美味しく頂く.
どの食材も美味しいが,とくに気に入ったのが,写真のパンである.外カリカリ,中フワフワで何とも美味しい.私は大食漢ではないので,この程度のネーベンしか取らなかったが,どれも美味しい.その中でも日本で食べるのと同じようにパリパリしたキュウリには感激した.私はそれほど多くヨーロッパを旅したわけではないが,ヨーロッパでは,何時も熟れすぎのブカブカなキュウリにしか出会ったことがないので,正に感激である.
そうそう,それに書き忘れてはいけないのは,ノルウェーでは水道の水がそのまま飲めるだけでなく,冷たくてとても美味しい.大抵の国では,いつも飲料水の確保に気を遣わなければならないが,ここでは安心して水道の水を飲むことができる.この一点だけでもストレスが大分解消される,実に有り難いことである.
<美味しい朝食>
■デザートとコーヒーを優雅に…
デザートも多種多様.その中から私はスイカとメロン,それにコーヒーを頂戴する.
平素,自宅では朝からスイカやメロンなど贅沢なものは食べたことがないので,さぞかし私の胃袋もビックリしたことだろう.
朝のコーヒーも良いですね.カップのコーヒーが少なくなると,ウエイトレス(フロアアテンダントって言うのかな)が直ぐに来て,
“More coffee ?”
である.有り難い.
でも,コーヒーを飲み過ぎて急性胃炎になった前歴のある私は,折角のコーヒーだが,2杯ほどでヤメにしておく.
<デザートとコーヒー>
■ノートの何でも書き留める
余談だが…
私は,旅行中,何時もB5版のノートを持ち歩いている.無地のわら半紙を束ねただけの格安ノートである.このノートに,あること無いこと,気がついたことなど,旅の途中で,何でもかんでも書き留めている.それも1.6mmφの極太のボールペンを使って書き殴る.文章で書き留めるのが手間で面倒なときは,眼で見た印象をそのままスケッチ風に書き留める.ただしスケッチではない.あくまで文字の代替である.だから,1枚を書くのに要する時間はせいぜい15秒から20秒ぐらい.
例によって,朝食の様子を文字で書くのは面倒なので,印象を簡単に書き留めてから,写真を撮る.これだけの儀式を終えてから,食べ始める.
私と一緒に旅をしている人は,私のこの奇行を何とも思わないが,始めてお会いした人からは,何時も興味津々,変なことをする人だと思われてしまうようである.今回も複数の方から,
「いちいち絵を画くんですか?」
「あなたは絵描きさんですか?」
「絵がお上手ですね?」
と見当違いの質問を受けてしまう.
私としては,たった15〜20秒で書いたメモを,スケッチ絵と勘違いされるのは,はなはだ迷惑な感じである.きちんとスケッチするなら,せめて1枚のスケッチに10分程度の時間が欲しいし,15秒程度で殴り書きしたメモを見て,私のスケッチ力だと思われるのも癪である.
“いえ,これはスケッチなんかではなく,単なるメモですよ…”
と私は向きになって絵ではないことを主張する.それに私は画家でもない.単なる理工系出身で,学生時代にメモすることをたたき込まれただけの人間である.
話がくどくなったので,この辺りで,この話はヤメにしよう.
念のため,このメモの一コマを披露することにしよう.
ご覧のように,太いボールペンを使っての書き殴りである.確かに随所に絵らしいものがあるが,私の感覚では,これらはスケッチではない.あくまで超短時間で書き留めたメモである.
何でもかんでも,このノートの書き留めるので,1回の海外旅行で大体1冊が終わりになる.
全てが書き殴りなので,後になって判読できないところもあるが,随所で写した写真と,このメモ帳を見較べると,そのときどきのことをかなり鮮明に思い出すことができる.つまり,この目戸長を眺めながら,旅の思い出を,何回も,何回も,楽しむことができるという訳である.
<私のメモ帳>
■ホテルのロビー
6時30分,朝食を終えて,自室に戻る.そして,早々にトイレを済ませる.こちらの方は,どうやら便秘にもならずに,まあ,まあ,のようである.ただ,血圧が高めのためか,疲れのためか,首筋が何となく張っていて,気分は余り良くない.
8時丁度にバゲージダウン.当座必要なものはリュックに入れて,残りのものは全部大型バッグに入れてパッキングする.そして,大型バッグを自室の前の廊下に出しておく.そうすると,ツアーリーダーが指揮を取って,バゲージの運搬,貸切バスへの詰め込みなど全部取り仕切ってくれるので,実に有り難い.
8時45分頃,1階ロビーに降りる.間もなく,集合時間前に全員がロビーに集合する.どうやら,今回は皆さん大変パンクチュアルなようである.
改めて参加者の顔ぶれをシゲシゲと見回す.さすがに皆さん元気そうである.
“こりゃ〜…まずいな.山には入ったら,どうやらオレは一番ビリになって置いて行かれそうだぞ…”
正直なとこと,私は脅威を感じている.
<ロビー集合;皆元気そうだ>
<イエンデスハイムへ向けて出発>
■立派な専用車
すでに,専用車はホテル玄関前に来ている.
チェックアウトの手続きを済ませてから,バスに乗り込む.大きくて立派なバスである.2人分の席を1人で使うことができる.私は前から3〜4番目の座席に座り込む.
「皆さん,忘れ物はありませんか.パスポートは持っていますか,洗面台に時計など置き忘れていませんか…」
と,ツアーリーダーが,まるで遠足の小学生に注意するような口調で,一同に忘れ物がないか問いかける.
「いまなら,まだ,忘れ物を取りに行けますよ…」
9時10分,私たちを乗せた専用車は,ホテル前から発車する.
いよいよ,オスロからイェンデスハイムまでのバスの旅の始まりである.
“個人旅行では専用車を使うなんて贅沢なことはできないな…個人旅行なら,四苦八苦して,公共機関を利用するしかないな”
と思いながら,団体旅行の有り難さを噛みしめる.
その反面,訳の分からないところで苦労して移動することが,後になって懐かしい思い出になることもあるので,正直なところ,一抹のあっけなさと旅の醍醐味の一部が失われると感じるのもやむを得ないだろう.
バス乗車口には,私たちがこれから毎日お世話になる現地ガイドのウラ(Ula Kleiven)さんが,もう来ている.写真中央で赤いジャンバーを来ている方がウラさんである.
<ホテル前で専用車に乗り込む>
■オスロ郊外を北へ
私たちが宿泊していたホテルは,オスロ中央駅の直ぐ近くに位置している.
私たちを乗せた専用車は,ホテルを出発して間もなく,右手にオスロ中央駅を見ながら,沢山の線路が集まっている跨線橋を渡る.昨日も通ったところである.
その先,どこをどう通っているのか良く分からないが,長いトンネルを幾つか潜ってから,オスロ郊外を北に向けて走り続ける.
直ぐに綺麗な湖の畔に沿う道になる.大きなヨットハーバーが続く.羨ましくなるほど,素晴らしい港外が続く.
<トンネルを抜けるとヨットハーバー>
■美しい湖沿いの道を走る
10時40分頃,専用車は大きな湖(それとも入江かな?)の畔沿いの道を走っている.今日は素晴らしい天気.雲一つない青空が湖の上に広がっている.心地よく気怠い風景が続く.
ツアーリーダーが,専用車のマイクを通じて,ポツリ,ポツリと,これから宿泊する山小屋の説明を始める.
「…登山靴のままでは山小屋の中には入れません.山小屋の入口で登山靴を脱いで,持参したスリッパに履き替えて下さい.もちろん,靴下を履いただけでスリッパを使わない人も居ますが,靴下のままトイレに入るのに抵抗がある人はスリッパを利用して下さい.ただ,日本の山小屋と違って,山小屋備え付けのスリッパはありません.
登山靴は,小屋によっては自分の部屋に持ち込めますが,入口に置いておくところもあります.また,ザック類は部屋に持ち込めます.
テルモスシステムは小屋によって多少違いますが.前日夜にテルモスを出しておくと,小屋の方で入れてくれます.何処の小屋でもコーヒー,ブラックティー,お湯など入れて貰えます.
昼食は,朝食を摂るとき一緒に,各自,自分の昼食を準備して下さい.
トレッキング中はなるべく荷物を軽くして下さい.トレッキングに必要でない荷物は,トレッキング5日目に泊まるスピターズトゥーレン小屋まで陸送します.
各小屋にはシャワーがあります.4分間で10クローネのところもあるし,無料の所もあります.
トレッキング中も,着替えなどは,皆さんのものを纏めて船便で2日目のメルブー小屋.3日目のイェンデブー小屋なで運びます.ただし,4日目以降は自分で運んで下さい.……」
<美しい湖沿いの道を走る>
■静かな村でトイレ休憩
専用車は素晴らしい林の中の道江をひた走る.そして,10時47分,KROI Motel Selsapslokalerというところでトイレ休憩を取る.
“今,私たちは,一体,どの辺りまで来ているんだろう.”
私は少々気になって,現地ガイドのウラさんに伺う.すろると,どうやらここは,Neis Adal村という所らしい.
<モーテルでトイレ休憩>
■ありゃ〜ぁ! 今,一体,何時?
ふと,屋上の時計を見る.
“ありゃ…! 今,15時30分?”
この時計の針は,不可解な時間を指している.一瞬,私の頭の中は混乱するが,すぐにこの時計が狂っていることに気がつく.
本当の時間は11時10分頃である.
時差ボケの私には,こんな一寸したことでも,ヤヤコシク感じてしまう.
<モーテルの時計台> <モーテルの名前>
■ガイドには初めての日本人
現地ガイドのオラさんと雑談.私の英語は拙くて下手.オラさんの英語は,発音がどうもノルウェー風に訛っていて,どうも聞き取りにくい.もっとも,私はネーティブの話す英語も聞き取りにくいので,言い訳にはならないが,とにかく苦労して会話をする.
「オラさんは,これまでアジアの国からの人をガイドをしたことがありますか?」
「いえ,ありません」
「では,日本人のガイドをするのは私たちが最初と言うことですか」
「そうです.皆さんが最初にガイドする日本人ですよ」
「普段,主にどこの国の方を案内されているんですか」
「やっぱり,英語圏からの方々をガイドすることが多いですね」
たったこれだけの会話でも,片言英語しか話せない私には大変である.いずれにしても,オラさんには,日本への好印象を持って貰いたいなと思う.
<レストラン“KRO”で昼食>
■美しい風景
11時15分,私たちの専用車は,休憩を終えて,モーテルを出発する.
専用車は清々しい森の中を走り続ける.道路の両側にはゴツゴツとした岩稜の山が続いている,一見したところ,柱状節理のような岸壁が連続するが,柱状節理と呼んで良いかは私には分からない.
10時30分頃,静かな湖の畔を走る.美しい風景である.
<美しい湖の畔を走る>
■“KRO”で昼食
12時28分,KROという場所に到着する.例によって,現地ガイドのここの地名を伺うが,なかなか正確には聞き取れない.どうやらホグネスという所らしい.手許の地図では見当たらない地名である.どうも気になるが,
“まあ,いいか…”
で詮索を諦めるしかない.
店の中に入る.私たち以外にほとんど客は居ない.
品物の頼み方が,なかなか難しい.まずは賞品の写真を眺めながら,メニューを選んでセットものを注文するか,あるいは陳列棚に並んでいる単品を自分で取り出してトレーに載せてキャッシャーのところで精算するかである.
注文を終えて,窓際の席に陣取る.窓外には何故か大きな水車が置かれている.勿論,使っている様子はないので,装飾としておかれてるんだろう.何故,ここに水車なのか気になるが.私の下手くそな英語で,わざわざ聞く気にはなれない.
<私たちは窓際の席に陣取る>
■アップルパイとココア
どのセットものの見ても,どうも私にはボリュームが多すぎるようである.そこで,私は陳列棚からアップルパイ1切だけ取り出す.そして,飲み物はココアを注文する.
精算して,物価の余りの高さに驚いた.
アップルパイ 45(クローネ)
ココア 24
合 計 69
(内税25% 13.8)
1クローネはざっと20円.従って概算1,300円余りということになる.
“こりゃ〜ぁ…高い!!!”
さて値段はともかく,お味は?
“勿論,大変美味しく頂きました.”
<アップルパイとココア>
■ついでに便器も高い
私も“連れナントカ”でトイレに行く.一寸尾籠な話題だが…
トイレで,また,驚く.
とにかく便器の位置が高いのである.短足の私では,まごまごしていると,便器には届かないのではないかと危ぶむ.まあ,実際に届かないということはないが,何とも高い所で用を足しているので落ち着かない.
ノルウェーでは物価だけでなく便器も高いのだ! とはいえ,この便器,ガッチリとしたステンレス製である.“竿の露”が外にこぼれてしまう可能性も少なさそうで,中々の逸品である.
<便器まで高いノルウェー>
■食事を終えて
13時48分,食事を終えた私たちは,レストランを出て,専用車に戻る.
食事中にお互いに会話をしたこともあって,今まで何となく固い雰囲気が漂っていた私たちの間に,ほんわかとした雰囲気が漂い始める.
私たちが専用車に乗り込むと,専用車は直ぐに出発する.これから先,終点のイェンデスハイム小屋まで,後,どの位時間が掛かるんだろうか.
<食事を終えて専用車に戻る>
(つづく)
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(編集中)