<しなの鉄道車窓から浅間山方面を覗く>
春たけなわの信州;故郷の親族と風物に接し感無量
(本家主人3回忌)
2016年5月4日(水;みどりの日) 雨後晴
■降りしきる雨
深夜から明け方まで雨が降りしきる.
4時15分,薄暗くて雨でべっとりの住宅地を大船駅へ急ぐ.2キロメートルほどの山下りの道である.
今日は故郷の小諸で,本家主人の3回忌がある.このところ多忙な私は,日帰りで法事に出席するつもりである.
あいにくの雨.私は喪服の上に雨具をまとっている.傘を差しているのにズボンの裾が濡れて,ベタベタしてくる.
昨夜は用事があったため,少々寝不足気味,東海道本線の電車は早朝だというのに結構混雑している.途中,浜駅で運良く座れる…が,座った途端に睡魔が襲ってくる.東京駅で寝過ごさないようにするのに一苦労する.
北陸新幹線のホームへ向かう.運悪く構内の電光掲示板が故障中.駅員が声をからせながら列車の発車番線の案内をしているが,とにかくわかりにくい.
<電光掲示板が消えたホーム> <北陸新幹線の車内>
■雲が低く垂れ込めている
今日は大型連休の真っ最中.多分,新幹線も混雑するだろうと覚悟していたが,金沢行「はくたか」自由席に乗車する.東京駅を発車するときはガラガラ.途中,大宮駅から乗客が増える.
大宮を過ぎる辺りから雨が止む.低く垂れ込める雨雲と新緑の風景が実に美しい.関東平野は住宅地ばかりかと勝手に思っていたが,緑豊かな森や林が連続するのに改めて感激する.
”オレは本当に風光明媚な国に住んでいるんだなあ…”
<雨上がりの関東平野;本庄付近>
■しなの鉄道に乗り換える
7時44分,軽井沢に到着する.
寒い…けれど,冬の寒さではない.でも,今住んでいる鎌倉と比較すると,季節が2~3週間後戻りしたような感じがする.
今日は余り天気が良くないが,さすがに軽井沢である.沢山の観光客で賑わっている.
残念ながら(?),しなの鉄道への接続が良いので,鎌倉で油を売る間もなく,しなの鉄道の電車に乗車する.
しなの鉄道の車両は,昔の東海道本線や横須賀線を走っていたと思われる3っつドアーでボックス席の車両である.窓の下に灰皿を撤去した跡が残る懐かしい車両である.
私は浅間山を拝みたいので,進行方向右手のボックス席に座る.
<軽井沢駅に到着> <しなの鉄道に乗り換える>
■残念ながら浅間山は雲の中
青空が見え始めたが,残念ながら浅間山は,まだ,雲の中である.でも車窓から眺める新緑が目に鮮やかで,実に美しい,
電車はもうすぐ小諸駅に到着する.
私は,小諸市内に住む親戚に,もうすぐ小諸駅に到着するとメールする.
<しなの鉄道の車窓から>
■小諸駅
8時15分,小諸駅に到着する.
毎度のことながら,小諸駅に到着した途端に,私の感情は中学・高校時代に逆戻りする.今年になってから,もう何回も帰郷している.でも帰郷する度に,新鮮な懐かしさが込み上げてくる.
まずは駅から徒歩で10分ほどの所にある実家を訪れる.
<小諸駅に到着> <小諸駅>
■親分肌のネコに敬意
一旦,実家を訪れてから,弟と姪の3人で,小諸市内から西へ2キロメートルほど離れた所にある諸という集落に向かう.ここに私の祖父が住んでいた本家がある.
私は,幼少の頃の数年,ここで祖父母に育てられていたので,大変懐かしい所.それに子どもの頃の私をとても良く知っている皆さんも沢山居られる所でもある.
何時もはタクシーなどで移動するが,今回は久々に小諸から諸まで歩いてみる.
私が育った頃から既に半世紀以上も経っている.その間,高速道路ができたり,ベンベン草が生えていた小径の道幅が広くなって,幹線道路の変わっていたりで,全く様相が変わっている.
途中で何回も迷いながら,歩き続ける.
小諸の市街地から外に出る辺りで,貫禄のあるネコに出会う.三人で,無関心を装いながら,猫に近付き,サッとネコの写真を撮る.
”ウン…,なかなか良い写真が撮れたぞ…”
私はネコの写真を確かめながら嬉しくなる.
実は,私の弟と姪は,私以上にネコ好きである.
姪が思わず独り言,
「…何時もネコの写真を撮ろうとすると,一緒に居る人が,すぐにネコに声を掛けるんですよ.ネコは気配を感じてすぐに居なくなっちゃう…」
私もときどき同じような経験を良くするので同感.
「とくに,オバサン達はすぐに『おいでおいで…』なんて猫なで声を出すから,ネコが居なくなっちゃう…」
と弟が言う.本当に同感! 猫好きの3人は思わず相鎚.
<「吾輩は猫である」のようなネコ>
■浅間山が顔を出す
何時の間にか青空が広がり,浅間山が良く見えている,
足を止めて,浅間山の写真を撮る.一番右が剣ヶ峰,次が前掛山,その隣に断崖のように見えるのが牙山.次に聳えるのが黒斑山である.
昨年は右膝の故障で,浅間山には登らなかったが,今年は是非また訪れたいと思っている.
この写真を撮った辺りの道路が,昔とすっかり変わった.その結果,道に迷うことになる.
<浅間山が見え始める>
■幼少の頃のわが家に到着
少々道に迷ったが,10時頃,本家,つまり私の祖父母の家に到着する.昔懐かしい倉は,ほぼ昔のままで健在である.
幼少の頃,祖母に叱られて,よくこの倉に閉じ込められた.その腹いせに,倉の中で小便をしたことを懐かしく思い出す.その祖父母も私が大学生の頃,相次いで旅立ってしまった.もう50年以上も前のことである.
<諸の集落>
■懐かしい水源地
まだ時間があるので,近くにある水源地へ行ってみる.
私が幼少の頃は,この水源地の水を飲用水にしていた(もちろん,今は小諸市の水道を使用しているが).
今でも,地元では銘水として知られている.私達が訪れたときも,数人の人達が水汲みに来ている.
半世紀以上過ぎて久々に飲んでみる.軟水のようである.この水でコーヒーを入れたらさぞかし美味だろうと想像する.
<水源地>
■しめやかに3回忌
故人縁の人達が20人ほど集まる.ここで幼少期だけを過ごした私には,どなたが集まっているのか良く分からないが,集まった方々の大半が私のことを良く知っている.
定刻10時30分に曹洞宗の某寺の住職がお見えになる.
まずは読経,最初は般若心経.これは私にも分かるが,その跡のお経は良く分からない.読経の間に,焼香.
次いで,集落から1キロメートルほど離れた所にあるFH家の墓地を訪れる.戦国時代(?)まで遡る私達FH家一族が眠る墓地である.勿論,私の祖父,祖母もここに眠っている.
どなたかが私に,
「…あなたも,将来,こっちへ戻って来なさいよ…」
と誘う.
FHという同じ一族の皆さんとお話をしている内に,私も何となくここへ戻って来たいという気分になってくる.
確かにここは浅間山の懐に居た枯れるような場所だし,見晴も良い.終(つい)の棲家として最高の所のように思えてくる.
余談だが…
FH一族には色々な伝説がある.一節には村上水軍の末裔で海賊だったという説もある.勿論,このような伝説は真偽の程など全く分からないが,自分のルーツを辿ってみたいなという気分になってくる.
資料1には,「…信濃国の国人領主で諏訪大社の神官でもある諏訪神党諏訪氏においても、その家系が絶えた場合は傍系の有賀氏、またその家系が絶えた場合は有賀氏の傍系のFH氏が継ぐこととされ「諏訪が絶えれば有賀が継ぎ、有賀が絶えればFHが継ぐ」ものとし、他の庶家とは一線を画した例にもみられる…」という記述がある.一方,村上水軍云々の記事は全く拾えない.そうなると,どうやらFHの先祖は諏訪氏らしいというのが穏当なところだろう.
<我がFH族のルーツの墓地> <ご先祖様の墓石群>
■小諸駅前で会食
小諸駅前の某店へ移動する.FH一族の会食である.
まずは一族を代表して長老のKTさんが音頭を取って献杯.その後は,懐旧談と病気の話で盛り上がる.
私の幼少の頃のことを良く知っている皆さんと一緒の会食は,生まれ故郷への愛着心をかき立てる.
2時間ほどで会食は終わる.
”ふるさとは遠きにありて想うもの”
気分を一新して,すぐにわが家に引き返すことにする.
<小諸駅前の某料理店での会食>
■佐久平駅
お開きの後,私は小諸駅から小海線で佐久平駅に向かう.
朝方の雨がウソのように快晴.全く雲一つない青空にクッキリと浅間山が見えている.
”次回,小諸をお綴れるのは,何時になるかな…”
と思いながら,佐久平駅から新幹線に乗車する.
<佐久平駅から浅間山を覗く>
■500円玉が立たない
この頃,新幹線が如何に揺れずに走るかを証明するために,走行中の新幹線の窓際に500円玉を立てたままにしておくビデオを見かける.
私も,ふとした出来心から,
”よし…! オレもやってみよう”
と思い立つ.
小銭入れから500円玉を出して,窓枠の上に立ててみる.
ところが,私が不器用なためか,軟便やり直しても,500円玉は立たない.新幹線が停車中でも,私には500円玉など立てるのは至難の業である.何回かトライするが,結局,私には500円玉を立てることができなかった.従って,今のところは追認試験は不成立である.
<佐久平から北陸新幹線あさま号に乗車> <500円玉を立てる実験不成立>
■五時過ぎに帰宅
夕方5時過ぎに,無事帰宅する.
私が帰宅すると同時に,浜に住んでいる次女一家5人が,わが家に到着する.一家は,今夜,わが家に一泊する予定である.
かろうじて,孫達の到着に間に合った.良かった!
こうして神奈美公募展開催中の多忙な旅1日が無事終わった.
明日は,展覧会場へ行ってみなければ…
[参考資料]
資料1;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E9%96%80
(おわり)
「関東・伊豆箱根・上信越の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2766040a56fd42eb0642ac6e1ab2314d
「関東・伊豆箱根・上信越の山旅」の次回の記事
(なし)
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春たけなわの信州;故郷の親族と風物に接し感無量
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