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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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新緑それにネコとチャンプの丹沢:塔ノ岳(今年19回目)

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     新緑それにネコとチャンプの丹沢:塔ノ岳(今年19回目)
            (常連さんに同行)
     2013年4月23日(火)  晴・雲多く春霞

■急遽塔ノ岳へ出掛ける
 このところ,私は特段の予定がないときは,原則として水曜日と土曜日に塔ノ岳を往復しているが,天気予報では「明日(4月24日)は雨」とのことなので,急遽,火曜日の今日,塔ノ岳に登ることにする.
 何時もの通り,5時10分に家を出発する.天気予報では日中は春らしく暖かくなるとのことだが,朝はやっぱりかなり寒い.
 小田原駅で,恒例の階段2段跳び乗換を何とかクリアして,渋沢駅で大倉行1番バスに乗車する.バスはほぼ満席である.見回すと超韋駄天のN村さん,韋駄天のTさん,T中さん,K大Nさん,鵠沼のサッチャーさんなどのご常連の顔が見える.

■ご常連と一緒に…
 バスは6時59分に大倉に到着する.超韋駄天のN村さんは,真っ先に塔ノ岳に向けて歩き出す.私は,7時05分,たまたま一緒になった韋駄天のTさん,T中さん,鵠沼さんの4人で一緒に大倉から歩き出す.
 歩きながら,韋駄天のTさんが,某新聞の取材を受けるという話を伺う.
  実は某さんから,昨日,この件で内容が良く飲み込めないメールを頂戴していたが,直接,韋駄天のTさんから事情をお伺いして,“そういうことだったのか”と合点した.
 大倉付近の新緑が実に美しい.
 数日前に降った雨の影響も殆どなく,登山道の状態は“まあ,まあ”で歩き易い.他愛のない話題で雑談しながら,のんびりと歩き続ける.
 先頭を歩くT中さんは,何時もスタートダッシュが高速な方である.平素,T中さんにはなかなか付いて行けないが,今日はT中さんが歩行速度を加減をして下さっているのか,何とか後に続いて登り続ける.
 7時28分,観音茶屋を通過する.この辺りから登山道はジメジメした切通風のジグザグ道になる,分岐の手前でご主人のM田さんに追い付く.
 「お先に失礼致します…」
とご挨拶して,先に行かせてもらう.

■見晴階段
 その後も,私には一寸速いかなと思われる速度で歩き続ける.
 私たちは,7時45分に見晴山荘に到着する.前回(4月10日)は,K村さん,Y内さん,韋駄天のTさんと一緒に,今日と同じ7時05分に大倉から歩き出したが,あのときは7時42分に見晴山荘に到着している.従って,今回は,前回と比較して,3分ほど余計に時間が掛かっている.この3分の差が,先へ行ってどの程度の差になるかが気になる.
 見晴山荘付近で,韋駄天のTさんは,私たち3人と分かれてご自分の速度に切り替える.その直後から,見る見るうちに韋駄天のTさんと私たちの距離が広がっていく.
 見晴階段に差し掛かる.恒例により見晴階段を見上げた写真を撮る.すぐ前には速度を上げ始めた韋駄天のTさんの後ろ姿が見えている.その遙か上の方にも登山者の後ろ姿が見えている.
 見晴階段の両側から上空を覆うように新緑が広がっている.まるで緑のトンネルである.
 年を取ると,無理が利かないので,私は自分の経済速度を守りながら,先頭を行くT中さんの後を追う.
 “(私には)ちょっと速いかな”
と感じながらも,流れるほどの汗にはならない速度なので,T中さんの歩行速度に合わせて登り続ける.

<見晴階段>

■堀山の尾根
 駒止階段の急坂を登り切って,8時15分,駒止茶屋を通過する.
 大倉からの所要時間は1時間10分である.内心で,
 “ム,ム,…,歩行速度はそれほど遅くないなと思ったのに,意外に時間が掛かったな”
と思いながら通過する.無理をしないで1時間05分程度で登れる程度の体力が欲しいなと思う.
 続いて堀山の尾根道に入る.ここは大倉尾根の中で一番気持ちの良い場所である.3人で雑談しながらノンビリと尾根道を楽しみながら歩き続ける.
 富士山が良く見える場所に到着する.上空は晴れてはいるが,残念ながら富士山は雲か春霞に遮られて,微かにしか見えない.私のバカカメラでは到底写らない…が,儀式として移らない富士山の写真を撮る.

<堀山の尾根から見えない富士山を撮る>

■美しいナントカ桜
 堀山の尾根の豆桜は先週で見頃は終わった.今でもナントカという桜が美しい花を咲かせている.ご同行中のT中さんは植物に大変詳しい.T中さんに,この桜の名称を教えて頂いたが,聞いてから2〜3歩ほども歩く内に,折角教えて頂いた名前をすっかり忘れてしまう.困ったものだ.
 「端の名前って,なかなか覚えられないですね…」
と鵠沼さんと愚痴りあう.

<心地よい堀山の尾根道を行く>

■堀山の家
 8時32分,堀山の家を通過する.小草平のベンチにも人の気配はなく辺りは静まり返っている.相変わらず富士山は殆ど見えない.
 私はT中さんに,
 「堀山の家から花立山荘まで40分ほど掛けて,ユックリ登りますので,お先にどうぞ」
と先に行かれるようにお薦めする.
 「いや,オレも40分ぐらい掛かるよ…」
ということなので,とにかくT中さんを先頭に花立山荘までの急坂を登り始める.
 歩く速度が私には一寸速いかなと思いながらも,そのまま先頭のT中さんにつかず離れずの速度で登り続ける.
 8時39分,下山してくるKシゲさんとバッタリ.何時ものように,
 「ヤア,ヤア,…」
と握手.私は今日もKシゲさんから元気を貰う.
 Kシゲさんの話では,今日の塔ノ岳山頂はかなり寒いようである.何時もならば,Kシゲさんと立ち話をするが,今日は簡単な挨拶だけでお別れする.

■萱場平
 8時52分,萱場平に到着する.
 まずは恒例の定点観測の写真を撮る.前方には抜けるような青空が広がっている.小さな千切れ雲が幾つも浮かんでいる.
 萱場平には人の姿はなく,静まり返っている.
 木道の間に自生しているアザミは,今日も元気である.元気なアザミを見ていると,私も元気になる.

<萱場平>

■雑談しながら後7分坂へ
 萱場平を過ぎると長い階段道になる.先頭を行くT中さんとの距離が,ジリッ,ジリッと広がっていく.私のすぐ後ろには鵠沼さんがピッタリと付いている.そのままの位置関係を保ちながら登り続ける.
 少し間が空いたT中さんの後ろ姿をチラチラ眺めながら,私のすぐ後ろに居られる鵠沼さんと雑談しつづける.雑談のテーマは実に他愛もないことである.お互いの年配なので,どうしても病気のことも話題になる.さらには私がYouTubeで見付けた軍歌72曲サイトにアクセスして,飽きもせずに,数時間も軍歌を聴いていたことなど.
 “そう”“私は軍国少年だったんだ.”
 さらには戦後の学制改革で,折角入学した旧制中学が何時の間にか新制高校になり,同じ学校に6年間も通っちゃったことや,駅弁大学が誕生したことなど…
 “何? 駅弁大学って!”
と鵠沼さんから質問を受ける.
 私は,私よりかなり若いとは言え十分にご年配の鵠沼さんとの間にも,生まれ育ったころの世相には大きな差があることを実感する.要するに私は“軍港少年”だったんだ.'軍艦マーチ’,'紀元は二千六百年’,’月月火水木金金’などの軍歌を聞くと,私の気持ちがやたらに高揚してくる.やっぱり“三つ子の魂百まで”である. 
 そうこうしている内に後7分坂(見晴階段)に差し掛かる.私より10数段上にTさんの後ろ姿が見える.いくらマイペースで登るといっても,T中さんとの間が余り空いてしまうのは癪である.私もそれなりの速度で登り続ける.階段が終わりかけるところで,鵠沼さんにも追い越されそうになる.
 “ム,ム,鵠沼さんよ…お前さんまで私を追い越すのか”
 私は“ブルータスよオマエもか”の気分になるが,直ぐに“無理はすまい”と自分に言い聞かせる.
 9時09分,鵠沼さんと並んで階段を登り切る.花立山荘に到着すると,鵠沼さんが,
 「7分で階段を登りましたね…」
と私に言う.
 “ああ,そうだったんか! 7分で登れたか,そりゃ良かった!”
と私も安堵する.実はこの頃7分で登れないことが多くなったので,後7分坂のあだ名を,後9分坂に変えようかとさえ思っていた.
 ここで下山してくる超韋駄天のN村さんとすれ違う.このとき,T中さんは20メートルほど先を歩いておられる.
 大倉から,花立山荘までの所要時間は2時間04分.堀山の家からの所要時間は37分.今の私の実力では,まあこんなものかと納得する.ちょっと不満だが…

■花立山
 花立山荘からも,相変わらず富士山は見えない.
 後7分坂の長い登り階段を登ったにもかかわらず,何となく元気が残っている.そこで,少し歩行ピッチを上げて,花立山山頂でT中さんに追い付く.何時もならば花立山荘から花立山まで9〜10分掛けてノンビリと登っているが,今日は7分で登ったことになる.
 例によって,花立山山頂で写真を撮るが,富士山や南アルプスは全く見えない.何枚か写真を撮るには撮ったが,見晴が利かないと時間を取ってまで写真を撮る気にならない.その分だけ道草がなくなる.

<花立山から富士山方面を望む>

■塔ノ岳山頂は寒い
 9時21分,金冷シを通過する.
 ここまで来れば塔ノ岳山頂はもうすぐである.T中さんを先頭に,3人揃って山頂を目指す.
 9時36分,無事,塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は3℃.冷たい風が吹いている.山頂から近場の丹沢の山々は良く見えているが,富士山は相変わらず見えない.
 今日の大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間31分.2時間30分は切れなかったものの,今の私にとっては,まあ,まあ,こんなものだと思えるラップである.これも,終始,T中さんの背中を見ながら登ったための成果である.もし私一人で歩いていたら,どうしても途中で道草をするので,2時間40分程度は掛かっていたと思う.
 冷たい風が,絶えず山頂を吹き抜けている.山頂で腰を下ろして休憩を取っている人は居ない.

<塔ノ岳山頂>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.案の定,外は寒いので沢山の登山客で山荘は混雑している.私たちより数分前に到着した韋駄天のTさんが石油ストーブ近くの席で私たちの到着を待っている.
 今日の小屋番はオーナーのHさんと,W林さん.
 私は定番の300円也のお茶を所望する.
 私のお隣に座られた方が持参された御弁当が,あまりに美しい.センスの良さに感動した私は,食べようとするのを制止して,写真を撮らせて頂く.
 お話しを伺うと,お子さんが子供の頃,このように手の込んだ御弁当を毎日持たせていたとのこと.序でに旦那さんも…
 振り返って見ると,私は家内の手弁当など持参したことがない.もっとも私は少し古い世代なので,手弁当など会社に持参する人は誰も居なかった…が,でも,羨ましい.
 韋駄天のTさんも加わって,4人で入口近くのテーブルに陣取っている.雑談をしていると,10時少し前に,K大Nさんが尊仏山荘にご到着.私たちの近くに座る.
 「あれっ! 随分お速いですね…」
とどなたかがK大Nさんに話しかける.
 「そう,今日は調子が良かったので早く到着しました」


■“ミャ〜君”ノンビリ
 石油ストーブ前の一等席は華伊達美弥雄さん(ミャ〜君のこと)が占領している.
 「お前さん…いい気なもんだな.特等席を占領して…」
と言いながら,私は,ミャ〜君の頭を撫でる.
 ミャ〜君は,頭を撫でられても,ちっとも嫌がらずされるがままになっている.この気立ての優しさがこのネコの可愛いらしさである.
 暫くの間,私はネコと戯れる.私は,このネコに会うために塔ノ岳に登っているのかも知れないなと内心で思っている.それにしても,ミャ〜君,この頃大分老けたなと心配になる.

<ノンビリとミャ〜君と戯れる>

■ミッキーマウスさんとチャンピョン
 10時22分,塔ノ岳から下山開始.
 下山も韋駄天のTさん,T中さん,鵠沼サッチャーさんとご一緒である.
 尊仏山荘から外に出ると,いきなり冷たい風に晒される.
 “うふっ! 寒い!”
 とにかく寒い.でも,花立山荘まで下れば暖かくなることが分かっているので,敢えて厚着になることもない.とにかく花立山荘まで下ってしまうことだ.
 10時36分,金冷シに到着する.ここで登ってくるミッキーマウスさんたちとすれ違う.
 さらに,花立山荘手前で,大きくて重そうな荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.
 「写真撮らせて下さい…」
で,恒例の万歳ポーズを取ってもらう.
 チャンピョンは,今回で4,262回目の登山だとのことである.私は,今日もチャンピョンから元気を貰う.
 私にとって,チャンピョンの写真は,欠かせない風物詩になっている.私の外付けディスクには,チャンピョンの写真が数十枚貯まっている.その内に,チャンピョン写真の個展が開けそうなほどである.

<4262回目登頂のチャンピョン>

■尊仏山荘上ザクラ
 道すがらT谷さんから,草花の話を伺う.
 T谷さんから,6月になるとミヤマザクラという種類のサクラが咲くという.今から楽しみである.
 ところが,私にとって,植物の名前を覚えるのは至難の業である.
 「ミヤマザクラですか.丹沢のみやま山荘を思い出せば良いんですね.でも,みやま山荘が思い出せないかもしれない.ンなら尊仏山荘上サクラと覚えれば,ミヤマサクラを思い出せそうですね」
 「そんな回りくどいことしなくても,ミヤマサクラで覚えた方が楽ですよ」
 “ご尤も!”
 実は,私の草花に関心がないわけではない.その証拠に,私の書棚には何冊もの植物図鑑が転がっている.
 「植物図鑑を見ても,どれが見た花に該当しているのか分からないんですよ」
と私が愚痴る.
 「そう,そう・・・」
と鵠沼さんが相槌を入れる.
 「分からないことがあったら,インターネットで調べるんです.季節,花の色などで知りたい花を拾い出すんです.そうしないと覚えられないですよ」
とY中さんがいう.
 これもご尤も!
 私は心の中で,
 “そらぁ〜そうだ.確かにそうだ! そういえば,オレも知らない社寺のことなど,随分丹念にインターネットで調べているな…要するにオレは,まだ,花への興味が今ひとつ足りないんだ”
と納得する.

■このまま帰宅では早すぎる
 12時15分,大倉に下山する.
 塔ノ岳山頂からの所要時間は1時間53分.洗い場で登山靴を洗ってから,大倉12時22分発渋沢駅行のバスに乗車する.
 渋沢発各駅停車小田原行と特別快速高崎行の電車を乗り継いで,13時34分に大船に到着する.
 大船で下車すると,辺りは何となくウキウキとした感じがして,春の暖かい日射しが実に心地よい.
 “このまま家に帰るのは勿体ないな”
…ということで,取りあえずは,大船駅構内にある某ショップに入る.私が毎日のように出入りしているお店である.
 塔ノ岳を往復した後なので小腹が空いている.野菜だけの小さなバーガーとコーヒーを賞味しながら,何となく満ち足りた気分を味わう.

<某ショップで一休み>

■直ぐに眠くなる
 自宅近くへ向かうバスに乗車したが,何となく歩き足りない感じがするので,ひと停留所だけ乗って,直ぐに下車する.そして大船中央公園を通り抜けて帰宅する.
 夕方になって,高校生になる孫娘が我が家に立ち寄る.
 「勉強しなきゃ・・・」
で物理の勉強を始める.感心! 感心!
 夜になって孫の母親も合流する.ジジババと孫が一緒の賑やかな夕食.でも,毎度のことながら20時を過ぎる頃になると,私は眠くて仕方がなくなる.
 こうして,今年第19回目の塔ノ岳詣では終わった.

<ラップタイム>

 7:05  大倉 発
 7:28  観音茶屋
 7:45  見晴山荘
 8:15  駒止茶屋
 8:32  堀山の家
 9:20  花立山荘
 9:21  金冷シ
 9:36  塔ノ岳山頂着(+3.0℃)
10:22      〃  発
10:36  金冷シ
10:46  花立山荘
11:12  堀山の家
11:29  駒止茶屋
11:46  見晴山荘
11:55  観音茶屋
12:15  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:05
  塔ノ岳  着       9:36
 (所要時間)     2時間31分(2.52h)
  水平歩行速度   7.0km/2.52h=2.78km/h
  登攀速度      1269m/2.52h=503.6m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発       10:22
  大倉   着       12:18
 (所要時間)     1時間53分(1.88h)
  水平歩行速度   7.0km/1.88h=3.72km/h
  下降速度       1269m/1.88h=675.0m/h
                                  (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4d6adc7b83fe1ecc115a209ece86feaa
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)


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