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閑話休題;日々雑感;猫の日に猫に捧げる亡姉の俳句

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    閑話休題;日々雑感;猫の日に猫に捧げる亡姉の俳句

      2016年2月22日(月)<<猫の日>>

 今日は猫の日.最近は犬派より猫派が増えているとのこと.猫派の私は,誠にもって嬉しいのである.
 つい先日,私の姉が他界したことを私のコラムで取り上げたが,実は亡姉も大の猫派であった.
 今年,新年早々に,姉は呼吸困難になり,小諸市内の病院に入院した.
 姉の家にはいつも数匹の猫が住み着いている.今は「ウリ」と「トマト」の2匹の猫が住んでいる.
 姉は,この2匹の猫を,それこそ猫可愛がっていた.
 姉が入院して,家に居なくなると,猫たちもさすがに寂しいらしい.2匹ピッタリ寄り添ってジッとしたままだ.ご近所の方が親身になって世話をしているのに…
 その様子を見た弟が,頻りに,
 「残された猫も可哀相だ…」
と言っている.
 俗に「猫は家に付く」というが,「ウリ」と「トマト」を見ていると,猫にも犬同様に人に付くんだと私は確信する.
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 猫を自宅に置いたまま入院した姉も,猫との別れが辛い.そこで,身代わりならぬ”猫代わり”に,猫の縫いぐるみを病室に持ち込んだ.漫画映画『魔女の宅急便』に出てくる真っ黒な猫,キキそっくりの縫いぐるみである.
 姉があの世に旅立つ1週間ほど前に私は姉を見舞った.このとき,姉はこの縫いぐるみを胸に抱いていた.80歳を過ぎた姉が,まるで幼子のように縫いぐるみを抱いている.
 この姉の様子を見て,私の胸に何かが込み上げてくる.切なくて,切なくて…本当に仕方がなかった.
 納棺の日,姉はたくさんの花に囲まれていた.その静かな寝顔はまるで少女のようだった.
 足許や胸元には,生前愛用していた原稿用紙,筆記用具,洋服などがそっと置かれていた.でも,あの黒猫の縫いぐるみは,なぜか見当たらなかった.
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 姉は医師であると同時に現代俳句協会会員でもあった.
 亡くなる2年前,姉は『ぼく猫』というエッセイ本を邑書林から発行した.
 本の中には,姉が自分で画いた猫の絵がたくさん掲載されている.正直なところこれらの絵が上手か下手かは私には分からないが,とにかく猫への愛着が溢れている絵ばかりである.
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 この本の中には猫が登場する俳句がたくさん載っている.その中のいくつかの俳句を披露する.そして,あらためて猫好きだった姉の冥福を祈りたい.

 “カトレヤや 首傾けて 座る猫”

 “八月大名 三匹の 猫とゐる”

 “抱き上げし 仔猫の爪の 抗へる”

 “おばさんに 梅干し猫に かつをぶし”

 “要するに 猫が襖を 開けたのよ”

 “次の間に 猫の鳴きゐる 夜長かな”

 “猫とゐる 日がな 卯の花 腐しかな”

 “身ほとりの 猫こそ親し 冬林檎”

 “猫老いて いよよ賢し 簟(たかむしろ)”

 “猫の餌買ひ 草市の中 通る”

 “猫ゐれば こその暮らしや 春ともし”

 “秋燈下 集へば猫も わが家族”

 “冬浅し 猫道を猫 通りけり”

 “朝寝と ゆうたかな刻を猫とゐる”

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 猫の日にあたり,世の猫様にも,亡姉の“猫の句”を捧げる次第である.
 合掌.

(出典)『ぼく猫』邑書林(2014年)ISBN978-4-89709-762-6 C0095

                                 (おわり)

※本稿の初出は「趣味人倶楽部」のコラムである.

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