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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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残雪が消え富士を仰ぎ見る丹沢;塔ノ岳(今年6回目)

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                             <塔ノ岳山頂からの眺望>

    残雪が消え富士を仰ぎ見る丹沢;塔ノ岳(今年6回目)
            (単独山行)
      2016年2月21日(日) 晴(ただし山は霧)

■電車が不気味なほど空いている
 本当は昨日(2月20日)土曜日に塔ノ岳詣でをするつもりだったが,土曜日はあいにくの天気だったために,順延して今日21日,日曜日に出掛けることにする.
 3時15分に起床する.PCをONにして,夜中に着信したメール一覧に目を通す.大半はどうでもいいメールだが,「尾根の瓦版」の編集長からのメールがあるのに気が付く.原稿の打ち込み依頼である.普通の単行本2~3ページの分量がある.これだけの分量があると出掛ける前に打ち込むのは無理なので,帰宅後の作業ということにして,そのままにしておく.そして何時ものように4時10分に自宅を出発する.
 天気予報では夜半に雨は止んで,6時頃からは晴れてくるとのことだが,つい先ほどまで振っていたらしい雨で,道路はビショビショに濡れている.今日は果たして天気予報通りに晴れるだろうかと心配になるが,一旦,自宅を出発してしまえば,もう惰性でどんどん先へ行くしかない.
 大船から東海道本線の電車に乗車する.何時もの土曜日に比較すると車内はかなり空いているような気がする.私は4人掛け1ボックスを1人で占領して悠々旅を愉しむ.小田原で小田急線に乗り換える.こちらの電車はもっと空いていて,私の乗った車両の乗客は私1人.前後の車両を見渡してもガラガラ.これだけ空いていると,何だか不気味な感じになる.
 私は,咄嗟に,長男が幼少の頃,一緒に見た漫画映画「銀河鉄道」の一シーンを連想する.
 2月も中旬となると夜明けもかなり早くなっている.電車が新松田に到着する頃になると東の空が薄らと明るくなり始める.

<誰も乗っていないガラガラ電車>

■バス停大倉のネコ
 今日は土曜日ではないので,それほどたくさんの常連さんには会えないだろうと思っていたが,常連の皆さんも,さすがに天気の悪い土曜日は敬遠したらしく,意外に沢山の方々が顔を揃える.
 6時45分に臨時バスが出る.同じ臨時バスに乗車した主な方々は敬称略で,SSK,ISI,IIJ,KM,MT,KIなど多数.
 バスは7時丁度にバス停大倉に到着する.
 ドングリ山荘の待合室で,出発準備をしていると,近くを若い猫が彷徨いている.
 ”あつ…! ネコだ!”
 私は取るものも取りあえず,カメラを持ってネコに近付くが,ネコは私の気持ちを知ってか知らずかそっぽを向いて,スタスタと歩き去ってしまう.そんなネコの写真をやっと撮ったのが下の写真である.
 ネコの自分勝手な行動に,ネコらしさが表れている.そこがネコの良いところだ…ということにしておこう.
 そういえば,最近,犬派より猫派が増えているらしい.猫派の私には嬉しいことである.

<バス停大倉のネコちゃん>

■三々五々歩き出す
 7時08分,バス停大倉から歩き出す.いつもより少し遅い歩き出しである.私の前後には常連の皆様が居られる.
 雨こそ降っていないが,路面はグッショリと濡れている.
 ”今日は泥んこに悩まされるだろうな…”
と思う.
 私の前には俊足のNMさん,JNさんとSSKさんが歩いている.そのすぐ後ろを私より1歳年上のKMさんがシッカリした足取りで歩いている.
 ”凄い…!”

<登山口付近にて>

■霧の杉林
 天気予報によれば,そろそろ晴れてきても良さそうだが,まだ辺り一面に霧が立ちこめている.
 7時33分,観音茶屋に到着する.私と前後して歩いていた常連の皆様が観音茶屋で衣服調整をするという.私は足が遅いので到底皆様とは一緒に歩けないので,休まずに少しでも先へ行こうかと思う.そこで,
 「…足が遅いので,このまま歩いています…」
とお断りして,観音茶屋を通過する.
 観音茶屋から先は薄暗い杉林の中のジグザグ道になる.登山道が大きく右に曲がるところで登山道を振り返ると,観音茶屋で休憩を取っていた皆さんが列になって歩いているのが見下ろせる.
 ここではこれだけの距離の差があるのに,7時52分に見晴茶屋を通過する頃には,完全に追い付かれてしまう.

<観音茶屋を過ぎてジグザグ道に入る>

■見晴階段
 見晴階段に差し掛かる.
 霊によって,階段を見上げた写真を撮る.今日は山全体に霧が掛かっていて遠目が聞かないが,坂の上の方に登山者が居るのが薄らと見えている.
 最近の私は急な登り坂が特に苦手になりつつある.息が切れないように,流れるような汗をかかないように細心の注意を払いながら登り続ける.

<見晴階段>

■駒止階段
 見晴階段を登り終えてモミジ坂に差し掛かる.ここも結構長い登り坂である.若い登山者がガンガンと私を追い抜いている.
 ”惨めったらしいったらありゃしない…”
 私はついつい年の差を忘れて悔しがる.
 ”この大馬鹿野郎! いつも自分から安全登山だって言っているくせに,何をほざくんだ!”
と私の胸の内に救っているもう一人の私が私を罵倒する.
 ”はい,そのとおりです.なかなか悟れなくてスミマセン”
 私は私に詫びを入れる.
 辛いモミジ坂を何とか登り切って,8時12分にやっと一本松に到着する.大倉を出発してから1時間04分経過している.
 ”やっぱり今日は身体が重いな…”
 一本松直前で,跡から来られたSSKさんに追い抜かれるが,一本松を通過して平坦な道に入ったところで,再び先に行かせてもらう.
 やがて前方の霧の中に駒止階段が見え始める.私のすぐ前に俊足のNMさんとTNさんの後ろ姿が見えている.
 ”おや,お二人との郷里は案外離れていないな…”
とビックリする.
 駒止階段をユックリ登って,8時27分,駒止茶屋の前を通過する.大倉からの所要時間は1時間19分.

<駒止階段>

■霧に浮かぶ富士山
 堀山の家を通過して堀山の尾根道に差し掛かる.平坦な道ならこの私でもかなりの速歩で歩くことができる.そして,程なく先を行くNMさんとTNさんに追い付く.
 ここから先,小草平手前の上り坂までは,私がお二人の前を歩く.
 今日は雲に浮かぶような富士山が良く見えている.私は富士山が良く見える場所で立ち止まって,富士山の写真を数枚撮る.

<霧に浮かぶ富士山>

■小草平(堀山の家)
 8時42分,NMさん,TNさんと一緒に小草平に到着する.堀山の家の玄関に取り付けられている温度計は8℃.この時期にしては随分と暖かい.
 堀山の家の女主人が小屋の外に居られる.
 「つい先ほどまで,富士山が良く見えていたんですけど,急に見えなくなっちゃいました…」
と私達に話しかける.
 「帰りに時間があったら寄らせて頂きます…」
ということで,休憩は取らずに通過する.
 小草平から先の急坂は,到底,お二人には付いていけない.お二人とは別れて,跡からユックリペースで登り続ける.
 小草平を過ぎて間もなく,次のバスで来られたNMさんが私に追い付く.
 「今日,松田の河津桜,見に行きませんか…」
とNMさんが言う.勿論,OK喜んで…である.
 
<小草平に到着>

■萱場平
 急坂の階段道が連続する.
 最近,年を取ってから,長い急坂がからっきし弱くなっている.途中でバテないようにユックリ登っているつもりだが,どうもシャリバテに似た感じがしてくる.ポケットにあめ玉でも入れておけば良かったな思うが後の祭りである.
 少々シンドイ思いをしながら,9時04分,ようやく萱場平に到着する.
 先週の土曜日,塔ノ岳に登ったときには,この辺りにもかなりの残雪があったが,今日は雪など全くない.どうやら2~3日前に降った雨で残雪が融けてしまったようである.
 萱場平の木道から先の水平道は,まだ朝が早いのに,凍結もせずに超泥んこ状態である.
 
<萱場平>

■花立山荘
 萱場平を過ぎた辺りから,さらに身体が重く感じ始める.多数の登山者に追い抜かれながらも,一歩一歩登り続ける.そして,9時24分,ようやく後七分坂(花立階段)に差し掛かる.
 ”シンドイナ,シンドイナ,…”
と調子を取りながら超ユックリペースでのぼりつづける.9時34分,ようやく花立山荘に辿り着く.後7分坂を10分も掛けて登ったことになる.
 大倉からの所要時間は2時間26分である.3~4年前ならば塔ノ岳山頂に到着している時間である.小草平から52分もかかっている.やっぱり最近の体力の減退は歴然としている.
 花立山荘は霧の中,富士山は勿論見えないし,相模湾の展望も全く見えない.
 花立山荘前でも休憩は取らずに通過する.

<花立山荘>

■すっかり残雪が消えた花立山
 花立山荘から先の階段は段差がやけに大きくて,登るのが大変である.大倉尾根で私が一番シンドイナ所だなと思っているのが,この階段坂.ここを登るときの唯一の楽しみは素晴らしい展望が開けること.ところが今日はあいにくの霧である.期待していた展望は全くダメ.ガッカリ.
 花立山からは塔ノ岳に向かう尾根筋が少し見えているだけである.
 花立山から先は,つい先週まで残雪が大量にあったが,わずか1週間の間に残雪は殆ど消えてしまい,残雪が多かったところは泥濘になっている.

<花立山山頂>

■金冷シ
 9時53分,金冷シを通過する.
 金冷シから先の平坦道は,物凄い泥濘になっている.
 金冷シまで登ると,もう塔ノ岳山頂まで後僅か.どうせここまで登れば,後は黙っていても塔ノ岳山頂まで辿り着ける…そう思うと気が抜けてしまう.
 何時の間にか上空の雲が取れて青空が広がっている.気が付くと枯れ枝の間から富士山がとても良く見えている.
 ”シメ,シメ…”
 私は立ち止まって,数枚の富士山の写真を撮る.

<金冷シ付近から富士山を望む>

■塔ノ岳山頂
 金冷シから1番目の階段をノソノソと登っているときに,後ろから近付いてくる人の気配に気が付く.SSKさんである.もうここまで来ていれば,急いでも仕方がないので,
 「お先にどうぞ…」
ということで,SSKさんに先に行ってもらう.その後,周囲の写真を撮りながらノンビリと登り続ける.
 金冷シから2番目の階段を登っているときに,下山してくるMGさん,YDさんとすれ違う.
 10時09分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温はプラス3℃.風も殆どなくそれほど寒くはない.
 大倉からの所要時間は3時間01分.遂に3時間を切れなくなってしまった.これも加齢にによるものか,あるいはリハビリが不十分で体力が回復していないためか…どっちにしても,流れる汗をかかずに2時間50分台で登りたいものである.ちなみに,花立山荘からの所要時間は35分.やっぱり5分ほど時間を掛けすぎたかな.
 雲が多いものの,富士山が良く見えている.遠くに南アルプスの山々も見えている.
 私は,尊仏山荘には入らずに,ここからの風景を堪能しながら食事を摂って,すぐに下山する積もりである.写真を取り終えて,適当な場所にリュックを降ろす.
 今日の山頂は風もなく.過ごしやすいので,たくさんの登山客が山頂で屯している.
 そうこうしている内に,ISIさんが塔ノ岳山頂に到着する.
 「…私,速く下山できないので,尊仏山荘には立ち寄らずに先に下山します…」
とISIさんにお断りする.

←クリック拡大
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>

■下山途中たくさんの常連と会う
 昼食を終えて,10時20分,下山を開始する.
 丁度そのとき,塔ノ岳常連の中で最高年齢者のお一人,無線のSTさんとバッタリ会う.
 STさんは開口一番,
 「…やあ,FHさん,この頃,サッパリ会わないので,元気かなと心配していましたよ…」
と言う.
 「ご心配かけてスミマセン…お陰様で何とか登っています…」
ということで,暫くの間,一緒に下山し続ける.
 塔ノ岳山頂から最初の階段を居りきるところで,KMさんを先頭に三角髭のTDさん,2番バスのTTさん,KIさん,MTさんの韋駄天組の面々である.
 STさんと私が並んで降りてくるのを見て,
 「おや,お年寄りが揃いましたね…」
という.すかさず私が,
 「おや,どちらをお回りになったんですか…どうせ碌でもないところを登って来られたんでしょう…」
と茶屋を入れる.
 するとMTさんが,ちょっと憮然とした顔で,
 「碌でもないところじゃなくて,良いところですよ…」
と混ぜ返す.
 韋駄天組の直ぐ後から,日曜登山のMMさんが登って来る.MMさんも超韋駄天である.
 MMさんは,私の顔を見ると,ニコリとしながら,
 「…今日はKMさんも会えたしし…平均年令を高くしましたね…」
と冗談を言う.
 さらに金冷シ近くの階段で,登って来るKMさんとすれ違う.私は,
 「KMさん,暫く振りです.お元気そうですね…」
とKMさんに挨拶する.
 「おや,FHさん,暫く振りでしたね…貴方私と一つ違いでしたね…」
 「はい,そうです…お互いに何時までも元気で(塔ノ岳を)登りましょう…」
 私とほぼ同年配の方々が元気に登山をしているのを拝見すると,私も勇気が湧く.

■慎重に下山;出も泥んこには叶わない
 10時50分,ようやく花立山荘を通過する.
 ここから堀山の家までのガレ道下りは要注意である.私は転倒しないように,また膝に掛かる加重を最小限にするように絶えず心掛けながら慎重に下り続ける.時間が掛かって焦れったいが,転ばぬ先の杖である.下りは2本ストックを試用している,
 11時18分,戸沢分岐を通過する.その直後,背後から疾風のようなものがせまるのを感じる.女流韋駄天のNMさんである.続いてTNさん.
 「ごめんなさぁ~い…!」
と木霊するような挨拶をして,見る見るうちに視界から消えていく.私は余りの速さに呆気にとられながらお二人を見送る.
 11時27分,堀山の家を通過する.堀山の家に到着する直前,SSKさんとISIさんが私に追い付く.
 堀山の家まで下ってしまえば,後,難所は駒止階段と見晴階段だけである.平坦なところはいくら軟弱な私でもSSKさんたちと一緒に歩ける.
 堀山の家を通過して,比較的平坦な尾根道に入る.相変わらずの泥んこ道である.
 もう靴はとっくに泥だらけになっている.破れかぶれで泥の中をバシャバシャ歩く.ところが泥の中に木の根が隠れていたらしく,左足をこの木の根に引っかけ,思わず泥の中で跪く.お陰で両足の巣根から下が泥んこになる.
 ”くそ~…,こんなところで転倒とは…くやしい!”

■何とか無事に大倉に下山
 12時10分,観音茶屋に到着する.店先に女主人が居られる. 
 「今日は一寸…」
と挨拶しかけると,女主人はニッコリしながら,
 「…今日は河津桜見物だそうですね…」
と言って見送ってくれる.
 見晴階段で,SSKさんたちから大分遅れたが,比較的平坦な下り坂になってから,お二人に追い付く.
 12時29分,無事,大倉に到着する.
 バス停大倉の看板猫が居眠りをしながら私達を出迎える.
 洗い場で沓の泥を落としてから,12時40分発のバスに乗車する.沢山の常連さんと一緒に…
 これから皆で松田の河津桜を見に行く予定である.

<大倉のネコ>                                

<ラップタイム>

 7:08  大倉歩きだし
 7:33  観音茶屋
 7:52  見晴茶屋
 8:27  駒止茶屋
 8:42  小草平(堀山の家)
 9:34  花立山荘
 9:56  金冷シ
10:09  塔ノ岳山頂着
10:20     〃   発
10:35  金冷シ(花立山でアイゼン脱着)
10:50  花立山荘
11:27  小草平(堀山の家)(11:42まで休憩)
11:38  駒止茶屋
11:57  見晴茶屋
12:10  観音茶屋
12:29  大倉着

[山行記録] 

■水平歩行距離      7.0km

■累積登攀下降高度   1,269m

■登り所要時間(休憩時間を含む)
 大倉発             7:08   
 塔ノ岳山頂着          10:09
 (所要時間)          3時間01分(3.02h)
 水平歩行速度     7.0km/3.02h=2.31km/h
 登攀速度        1,269m/3.02h=420m/h

■下り所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳山頂発        10:20
 大倉着            12:29
 (所要時間)       2時間09分(2.15h)
 水平歩行速度     7.0km/2.15h=3.25km/h
  下降速度        1,269m/2.15h =590m/h
                                                                  (つづく)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5cd66289cbd3c84258c269431525d889
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

(誤字脱字転換ミスは後刻訂正)

お願い
 当ブログの記事は極めて私的なものです.もし,お読み戴いて不快な所がありましたら,次回から当ブログへのアクセスをなさらないようにお願い致します.
 









 


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