閑話休題:白内障顛末記(19):手術を受けてから1年経過した
2013年7月23日(火)
昨年(2012年)7月23日に白内障手術を終えてから,今日で萬1年が経過した.手術後暫くの間は,近所の眼科医の診察を定期的に受けている.手術直後はかなり頻繁に診察を受けていたが,今は3〜4ヶ月程度の間を空けて,定期的に通院している.
その間,視力は多少の変動があったが,今はまずまず安定している.ただ相変わらず左目の視力は右眼より少々落ちる.また,今のところ,緑内障など目の怖い病気の兆候はなさそうである.
では,完全に良く見えるかというと,そうでもない.微妙である.
以前,このシリーズでも書いたことがあるような気がするが,パソコンなどに長時間向かい合っていると,やっぱり視力が落ちてくるし,手許用の凸レンズのメガネを遣っても,細かいものはどうも見にくい.新聞程度の文字ならば,メガネを着用すれば十分に読めるが,それより細かい文字は,手相見の易者のように天眼鏡を使いたくなる.
眼科医に伺うと,
「若い人なら良く見えるんですが,高齢者になると,どうしても若い人と同じようには見えなくなります」
とのことである.
白内障手術で目の中には固定焦点のレンズが入っているが,依然水晶体を動かしていた筋肉は動いているので,その動きによって,挿入したレンズの位置が微妙に動くという.そのために,良く見えたり,少し見えにくくなったりするという.
また,眼球の形も時の経過とともに微妙に形が変わることがあるようで,手術直後には綺麗に干せされていた乱視も,1年経過すると新たな乱視が多少現れているようである.ただ,日常生活では,この乱視は殆ど気にならない.
話は変わるが…
白内障手術から1年目の7月23日,私は鎌倉市内の某自動車学校で,自動車運転免許証更新のために,高齢者講習予備検査(認知機能検査)と高齢者講習を受けた.
実は…自分も良い年になっているので,もうこの辺りで運転免許証は返納しようかと随分迷った.交通事故の被害者になるももイヤだが,加害者になるのはもっとイヤだからだ.でも,一方では,不器用な身で折角苦労して取得した免許証なので,返納してしまうのは如何にも惜しい.
白内障手術を受ける気になったのも,白内障がスス腕,矯正視力0.7があやしくなり,運転免許証の更新もおぼつかなくなったのが最大の理由だったはずである.
私は迷いに迷った.
実際の所,3年前の前回,免許証を更新してからも,鎌倉市内の移動は専らテクテク歩きが主体で,自家用車があるにもかかわらず,前回の更新以来,1回も自動車を運転したことがない.もう,完全なペーパードライバーになり果てている.
“いまさら,億劫でシンドイ講習など受けなくてもいいじゃないか,返納したら”
と1人の私が言う.すかさずもう1人の私が,
“自動車に乗らなくても,折角だから,ちょっと辛抱して講習を受けて,更新しなさいよ…折角の免許なんだから…”
と私を急(せ)かせる.
もし,免許を更新するのなら,もうそろそろ件(くだん)の講習会を受講しなければならない.
私は意を決して,先週,木曜日に,私の出身校でもある某自動車学校に電話で受講を申し込む.多分1〜2ヶ月先にしか予約は取れないだろうと思っていたが,欠員があったらしく,7月23日に受講することになった.
“今回だけはシンドイ講習を受けよう”
これ,正直なところ,かなりの決心である.
受講日の前日(7月22日),私は家の近くを10分ほど自家用車を運転してグルグルと回ってみる.もちろんどの入っていない伊達メガネを掛けて…だって,免許条件に「眼鏡等」と書いてあるから…
久々に自動車を運転してみて,身体で覚えた技能は,3年間のブランクがあっても,そうそう簡単に衰えるものではないことが分かる.
“まあ,何とかなるな…”
で一安心.
…で,講習会当日を迎える.
集合時間に講習会場に出頭する.受講者は十数人.私より年配者と思われる方々も結構居られる.
講習会が始まる.あらかじめ免許証,警察署からの講習会案内ハガキ,筆記用具を持ってくるように注意があったが,免許証を忘れてきた方が2人も居られる.筆記用具を持ってこなかった方が1人…皆さん,私同様にだんだんと年を取っているな.妙な話だが,この様子を見て私もちょっと気楽になる.
“やっぱり…皆,年を取ると,オレ同様に,物事がなかなか思うように進められなくなるな…”
実際の所,私も,最近,うっかりミスには絶えず気を付けていないと,ついついしくじることが多くなっている.
実技講習は,狭いところでの車庫入れに手こずった,何回も何回も出たり引っ込んだりしながら,やっと車庫に入れた.ただ,脱輪したりはしなかった.そろそろ運転だが,赤信号ではチャンと停まったし,一時停止もチャンと守った.その結果,まことに下手くそな運転ながら,
「中々良かったですよ…」
という評価を指導員から貰った.
“なるほど! 安全運転とは,単に運転の上手下手で判断するんではないな”
ということを再認識した…とはいえ,私はとてもとても日常的に自動車を乗り回す気にはなれない.
つづいて,講習予備検査.
予備検査の最初は認知機能検査.結果は記憶力・判断力が少し低くなっているとのこと,
“さもありなん…”
と納得する.実は16種類のイラストを見せられる.それを,後になって幾つ思い出せるかというテストが,ガッカリするほどできなかった.つまり覚えられないのである.後で思い出せたのはわずかに半分程度.このテストで自分の記憶力が如何に落ちているかを思い知らされた.
次は目の検査.
まずは視野テスト.私の視野は,同年代の人より,ちょっと狭くなっているという.
「あなたの視野は一寸狭くなっていますが,首を回せば済むことですから,安全運転に気を付けて下さい…」
と,まるで子どもに諭すように,指導員が私に言う.
さて,白内障の本題に戻ろう.
今回の目の検査で,白内障の手術前より.かなり改善された項目がある.それは,夜間視力と動体視力である.
もともと,私は若い頃から強い近視だった.そんなこともあって,これまでは,夜間視力,動体視力のどちらも同年齢に比較して“やや劣っている”という評価を受けていた.
ところが,白内障手術を受けた後の今回のテストでは,
■夜間視力は,同年第では“普通”,30〜59歳での比較では“劣っている”
■動体視力は,同年代では“やや優れている”,30〜59歳での比較では“普通”
という評価になり,随分と改善された.
指導員から,
「動体視力はなかなか良いですよ…」
というコメントを頂戴した.
若い頃から私のアキレス腱は「眼」であった.例え1項目でも,「眼」に関する項目で“良いですよ”と言われたことは率直に嬉しい.これも白内障の手術のおかげだと思っている.
プライベートな数値なので,そのままここで記述することはしないが,頂戴した運転適正結果票の総合判定(選択反応,注意配分・複数作業)では,
■「同年代との比較」では“優れている”
■「30〜59歳との比較」では“やや注意”
という判定結果を頂戴した.老いぼれの私には,この程度の評価で,もう十分.
この成果は,多分,白内障の手術と,日常的に繰り返している丹沢塔ノ岳登山が利いているんだろうなと思っている.
17時過ぎに,半日掛かった講習会も無事終わる.
“あ〜ぁ…,,,やっと終わった”
というのが正直な感想である.実にシンドかった.
別れ際に,指導員が,
「(講習会重婚社の)最高年齢の方は94歳です.どうぞ安全運転に心掛け,また3年後にお会いしましょう」
と挨拶する.
“うェ〜・・・90歳以上でまだ現役か! 世の中には凄い人が居るなあ…”
さて,白内障手術の結論を言おう.
手術から1年経過した私の体験では,この手術を受けて,100パーセント良かったなと思っている.
ちなみに,家内も,今年になって白内障の手術を受けた.ただし私とは別の病院である.家内の場合は,手術そのものは成功したが,術後に使用する数種類の目薬の中でアレルギーを起こした薬があって,その処置について多少のトラブルがあった.
これから白内障の手術を受ける方の中にアレルギー体質の方が居られたら,こんなトラブルもあるということを知っておく必要があろう.
実は,白内障の検索語で,私の拙いブログ記事にアクセスして戴く方が,長い間,切れ目無く継続している.それだけ,白内障に関心を寄せる方が多いと言うことだろう.
これを機会に,この拙い体験記を少し整理して,近々,記事の冒頭に目次を付けるようにしたいなと思っている.
「白内障顛末記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1ec425a7bf6294d394db30bcd5223ec8
「白内障顛末記」の次回の記事
(なし)
「白内障顛末記」の最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/38e84c7c3722327f3fc022dc72b713a0