<尖った山が見える>
アシニボイン紀行;第6日目(4);ジョーンズシークレットトレイル(3)
<アシニボインロッジ4日目>
(アルパインツアー)
2015年9月21日(月)~29日(火)
前の記事
↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d0f9367b6ae0353094aab070919ce56e
第6日目;2015年9月26日(土) (つつき) 小雨後晴
<ルート地図>
※再掲
<樹林帯とメドウを交互に歩く>
■歩き出してすぐに樹林帯に入る
二つの岩が見える場所で昼食を終えた私達は,13時丁度に再び歩き出す.
私は,ときどき地図を見て,現在地を確認しようと思うが,手許に正確な地図がないことと,山座同定をしたくても,1人だけで立ち止まってそんなことをしている訳にもいかない.正直を言えば,地図を使って,山座同定をしたり,現在地確認をしながら歩くのが,知らない山を歩く醍醐味だと私は思って居る.その意味では,ただガイドの後ろをついて歩くだけのハイキングはどうも物足りない.
でも,こんな私の願いが叶えられるのは山の学校だけであり,一般のツアーでは叶えられないことは100も承知している.それにもかかわらず,私は手持ちの地図の上で,何とか現在地を知ろうと心掛ける.
私達は見晴の良いメドウを抜けて,13時06分頃,林の中に入っていく.日本の25,000分の1の地形図だと,図面上に荒れ地か広葉樹林か針葉樹林かなどが記号で示されているので,現在地確認が比較的容易だが,冒頭の地図のように,こちらで入手した地図には,そんな情報は全く掲載されていないので,ますます現在地の確認が困難である.
…ま,愚痴はこの程度にして…
私達は,引き続きほぼ東の方に向かって歩いている.
<樹林帯に向かってゆるやかな登り坂を歩く>
■石灰岩の一枚岩
13時07分,一見,残雪があるように見える場所に到着する.現地ガイドのマーチさんによると.足元の白い部分は石灰岩が露出しているところだという.石灰岩の表面が風雨で浸食されて,次第に凸凹になる.その凹部に土砂が貯まって植物が繁茂しているので,まだら模様になっているとのことである.
石灰岩と聞いて,私は秋吉台を連想する.
”この岩の下に鍾乳洞があるかもしれない…”
と,どうでもいい夢を膨らませる.
<石灰岩の一枚岩を歩く>
■広いメドウを横切る
石灰岩の登り坂を越えて,13時10分,広いメドウに入り込む.緩やかな下り坂の先には登り坂が待っている.
このあたりにはトレイルはなく,自然の中を適当に歩いているように思える.
先頭を行くマーチさんと後続の間の距離がちょっとばかり広がる.私は相変わらず列の後ろに付いて,気儘に写真を撮りながら歩いている.
<広いメドウを横切る>
■メドウで一休み
13時27分,日当たりの良いメドウに到着する.ここで休憩.
私はリュックを枕にしてメドウの上に寝転ぶ.束の間のお昼寝である.上空にはまだ雲が多いが,晴れ間から日光が射し込んでくる.温かくて実に気持ちがよい.
”こんなところで,終日,昼寝をしているのも悪くないな…”
と思いながら,背中の力を抜いて,ゆっくりとした気分に浸る.
温かい碑の光も長くは続かない.やがて理不尽な雲に日光が遮られる.途端に,寝ていられなくなるほど寒くなる.
<温かい日光を浴びてお昼寝>
■谷筋に沿って斜面を登る
13時37分,お昼寝を終えて,また歩き出す.また,すぐに樹林帯の中に入り込む.今度は,谷間に沿って緩やかな上り勾配の斜面を登る.相変わらず道らしいものはない.
程なく鞍部のような所に到着する.
<谷筋の斜面を登る>
■コルからトラバースを始める
13時44分,鞍部から進路をやや東に取って,緩やかな斜面をトラバースする.勿論,道などない.したがって,地図を見ていても,今何処を歩いているか正確には分からない.
私は,地図上で,およそこの辺りを歩いて居るに違いないと思いながら,ノートと地図に目印を付ける.
私達は先頭を行くマーチさんの後を追うのみ.
”ム,ム,ム,…一体全体,何処を歩いているんだろう? 正確に知りたいな!”
<高巻きしてトラバース>
<展望を楽しむ稜線歩き>
■視界が開ける
13時46分,トラバース道から稜線に出る.途端に視界が開ける.
難という素晴らしさだろう.眼下には紅葉した木々が一面に広がっている.その向こうに氷河と残雪の高峰が連なっている.
”これは絵になるな…”
私は,急いで,辺りの風景をスケッチする.
”前方に見えている山は,難という山だろう…”
地図をひもどく時間がないので,マーチさんに確かめようと思ったが,マーチさんは他の人と雑談をしている.後で山の名前を伺おうと思ったが,すぐに失念.したがって,この山の名前は確かめないままになってしまった.
”まあ,いいか,…山の名前など,どうせ覚え等得ないから…”
ということで,またもや私の「まあ,いいか」でお茶を濁す癖が出てしまう.
帰国後,この山の名前を調べようかと思ったが,大体どっちの方向を向いてこの写真を撮ったのかも定かに覚えていないので,調べようがない.どうせ大勢には影響がないので,調べるのをサッサとあきらめた!
<稜線に出ると素晴らしい風景が広がる>
■広いメドウを見下ろす
13時49分,一層視界が開け,進行方向左手の眼下に広大なメドウが広がっている.いわゆる鳥瞰というやつである.
どちらを見廻しても人工物らしいものは全くない.まったく自然そのままである.
あまりの美しさに,私は随分と沢山の写真を撮ってしまう.デジカメだから良いが,フイルムを使っていたら破産してしまう.
私達は眼下の風景を楽しみながら,稜線にそって歩き続ける.
<眼下に広大なメドウが見える>
■稜線上の丘で休憩
13時52分,稜線上の小高い丘の上で休憩を取る.
素晴らしい眺望.同じような写真ばかりになるので,写真の投稿は省略するが,アシニボイン山など馴染みの山々がとても良く見えている.
これまで,急勾配はないものの,数え切れないほどの小さな登り下りを繰り返してきたので,一部の方々は大分疲労しているようである.
ところで最高年齢者の私は…?
全然!
全く疲労感などない.丹沢塔ノ岳の大倉尾根に比較したら,正直なところ真っ平らな道をノンビリ歩いているのと大差ない感じである(こんなこと書いたら嫌みになるかな…嫌みになるのを怖れている).
<稜線上の丘で休憩>
<オグレイクを見下ろす>
■やや急な登り坂
休憩を終えて,13時57分に歩き出す.相変わらずの稜線歩きである.
14時02分,前方にガレてこんもりと盛り上がった山が見えはじめる.ちょっとした登り坂である.
”おっ! ちょっと山らしい感じだぞ…”
山らしい急坂にやや飢えた感じがしている私は嬉しくなる.そして何時の間にか前を歩いている方々を追い越して,ガイドのマーチさんのすぐ後ろに付いている.
ときどきマーチさんと雑談しながら登り続ける.下の写真の登り坂を登り切る頃には,後ろの方との距離が大分開いてしまう.
”これはまずいな…”
と思ったが,後ろにはツアーリーダーが付いているので,「まあ,いいか,」ということにしておく.
<一寸した登り坂>
■展望の良いS字型の稜線
登り坂を過ぎると,さらに見通しの良い稜線歩きが待っている.行く手には,緩やかな登り下りのある稜線がS字型に続いているのが見える.その先には例によってアシニボインとその連山が見えている.
私達は何時の間にか進路を東南東に変えている.
”マーチさんの後ろ姿を入れて,稜線の写真を撮りますよ…”
ということで撮ったのが下の写真である.
”これ,絶対,絵になるぞ…”
私はほくそ笑む.
<展望の良い稜線がS字型に続く>
■オグレイクが見下ろせる
14時08分,進行方向左手を見下ろすと,小さな湖が見える.オグレイク(Og Lake;標高2,060メートル)である.
ここで,展望を楽しみながら,5分ほど休憩を取る.
休憩の間に,マーチさんに伺いながら,山座同定をしてみる.
オグレイクの向こうに聳えるギザギザの山は,多分,ナッシュワードピーク(Nasswald Peak;標高3.042メートル)に違いない(間違っていたらゴメンナサイ).その左手のトンガリはファティグパス(Fatigue Pass;標高2,395メートル)だろうか.それにしても”fatigue”は”疲れた”という意味の筈.妙な名前の山である.また,ナッシュワードピークの右に聳える山がオグ山(Og Mountain;標高約2,330メートル)である.
私たちが今居る地点の標高は,多分,2,270メートル.オグレイクとの標高差は約210メートル.もし登山道さえあれば,3時間もあれば往復できそうである.ちょっと行ってみたいなという気分になるが,無理,無理.そんなこと考えてはダメ,ダメ!
地図を見ると,オグレイクの湖畔には幕営地があるようだ.
<オグレイクを見下ろす>
<オグパストレイルへ>
■頭の中が混乱する
14時10分,休憩を終えて歩き出すが,稜線から外れて下り坂を歩き始める.背後にはアシニボイン山が見えている…ということは,北北西の方向に向かっていることになる.途端に私の頭の中の脳味噌が煮えくりかえるほどに混乱する.
”ありゃ~ぁ…! 一体何処へ向かって歩いているんだろう…”
この辺りの足跡は,最後まで良く分からないままで終わってしまった.
まあ,大勢で言えば,オグパストレイル(Og pass trail)沿いの道を辿ってロッジに戻るに違いないから,深く考える必要もなかろう.
<アシニボイン山を背景に稜線を下り始める>
■見馴れた三角錐の山が見える
引き続き,斜め前方に見馴れた三角錐の断崖を眺めながら緩やかな斜面を下り続ける.
…ということは,そろそろオグパストレイルに近いところを歩いて居るに違いない…と私は勝手に想像する.
”あの三角錐の山の左の方にアシニボインロッジがあるのかな? でも,良く分からない.分からないとイライラするなあ…”
私達は左方向に廻り込むようにして下山し続ける.
<三角錐の山を眺めながら左手の尾根道を下る>
■やや急なガレ場を下る
14時13分頃,やや急なガレ場下りが始まる.グループの列がバラけ始める.ガレ場の下りがちょっと苦手な方も居られるようである.
それほどの急斜面でもないが,急降下し続ける.
”一体,どっちの方向に下っているんだろう…”
コンパスを出して確かめたいところだが,その暇もなく,ただ先頭を行くマーチさんの後を付けるだけ…これでは,自分の現在地が確かめられず,ちょっとつまらない.
<ガレ場の急降下>
■眼下に湖が見える
14時22分,進行方向右手の遙か下に湖が見え始める.
”多分,サンバーストレイクだろう…”
と勝手に想像する.湖の向こうに見える山容から判断して,多分,サンバーストレイクで間違いないだろう.
それにしても…
いくら景色が良くても,自分が今歩いて居る場所が地図上で正確にトレースできないと,フラストレーションが貯まってくる.ただ,ガイドの後をくっついて歩くだけでは,私にはどうしても物足りない.
”これは,後でツアーリーダーにルートをトレースした地図を頂戴するしかないな…”
いずれにしても,進行方向右手にサンバーストレイクが見えるのだから,私達がすでにオグパストレイルに沿う場所を歩いているのは確かだろう.
<眼下にサンバーストレイクが見える>
■三角形の山を背に…
サンバーストレイクが見える場所から,後ろを振り返ってみる.
すると,先ほど山麓をトラバースした小高い山が見えている.その手前のガレ場をグループの方々が三々五々に下ってくるのが見える.
<尖った山を背に一同が下りてくる>
<あつ! クマだ!>
■オグリークの流域を見下ろしながら休憩
14時26分,進行方向右手の眼下にオグクリーク(OG Creek)沿いの平地が広がっている.稜線の反対側にはアシニボインが屹立している.
廻りの風景と,地図を見較べながら,私達が今オグパストレイルの中間地点にいることを確信する.
私達は,ここで見晴を楽しみながら,休憩を取る.
<谷間を見下ろしながら休憩>
■熊の親子
眼下にはオグクリーク沿いの盆地が見えている.広大な平地である.先ほど登ったオグレイクトレイルも,眼下の盆地を向かって左から右へ通じているに違いない.
休憩を取りながら,ボンヤリと眼下に広がる風景を楽しむ.
「あつ,熊だ! あそこ! あそこ!」
と同行の女性が,突然,叫ぶ.
「どこ…どこ…どこに熊が居るの!」
一同騒然となって熊探しをする.
ガチャ眼の私には容易に見付けることができなかったが,それでも漸く黒い小さな点みたいなものが二つ,右へ左へと動いているのを見付ける.先ほど私達が歩いたところの直ぐ近くである.熊は随分と高速で上下左右に動き回っている.
この辺りでは人間と熊が同じ自然の中で共存していることが良く分かる.
私は熊の親子の写真を撮ろうと思って,デジカメを構える.目一杯に望遠にする.すると視野が狭くなって,たちまちの内に熊を見失う.何回も,何回も熊撮りに挑戦するが,結局撮れないままで終わる.その情けない写真が下の写真である.
”ム,ム,ム…熊は写っていないな.でも,こんな様子の所を熊の親子が動いていたぞ…”
…ということで,雰囲気だけを記録写真として撮っておこう.
↑
“熊だ!”
<ム,ム,ム,…熊は写っていないな>
■ジョーンズピークを眺めながら…
熊騒動の休憩を終えて,14時50分,再び歩き出す.
背後には,先ほど山麓を横切ったジョーンズピークが見えている.ここからはなだらかな下り坂が連続する.
<後ろにジョーンズピークを眺めながら下り坂を進む>
<回り道に入る>
■もう少し歩きたいですか?
14時55分頃,最初に通ったオグレイクトレイルとの合流点に戻る.
マーチさんが,私達に,
「もう少し歩きたいですか…?」
と質問する.大半の方がもう少し歩きたいと言う.
14時58分,分岐点で右折して,レイクマゴグの幕営地に向かうトレイルに入る.
周囲は深い灌木に覆われている.
樹林帯を抜けると,また,広いメドウを横切る.途中,大きな茸が群生しているところを通過する.
<レイクマゴグの幕営地に向かうトレイル>
■林の中に入り込む
15時27分,正式のトレイルから離れて,林の中に踏み入れる.
”ありゃ~っ…どこへ行くんだろう”
全く道がないところを,右へ左へと足元を選びながら歩き続ける.
<森林の中に入り込む>
<レイクマゴグを経由してアシニボインロッジへ>
■レイクマゴグ湖畔
2分ほど林の中を踏み分けて歩くと,突然,目の前にレイクマゴグが見え始める.
15時34分,私達はレイクマゴグの湖畔に到着する.
<レイクマゴグが見え始める>
■アシニボインロッジに帰着
レイクマゴグの湖畔沿いにノンビリと歩き続ける.前方にはアシニボインロッジが見えている.
ロッジ手前の坂道を登って,15時54分,無事,アシニボインロッジに到着する.
マーチさんから,締めくくりの挨拶があって,無事,解散となる.
こうして,ジューンズシークレットトレイルのハイキングは無事終わった.
今朝,10時02分にアシニボインロッジを出発して,15時54分に帰着した.休憩時間を含めて所要時間5時間52分(5.87h)のハイキングが終わった.その間の歩行距離は約10.6キロメートルである.したがって,水平歩行速度は,
10.6km/5.87h=1.81km/h
ということになる.
ここで,一旦,お開きになる.
夕食は18時30分からである.それまでは自由時間である.
私は,まずは自分の部屋に戻って,リュックなどを下ろして,身支度をお休みモードに切り替えたいなと思う.
<アシニボインロッジの前で解散>
(つづく)
次の記事
↓
(編集中)
「カナダアシニボインハイキング」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6e286e4ab2426961bf48a1d7a17ce46d
「カナダアシニボインハイキング」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/dae26e12affc9d89924fbd7f43fe2942
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
↧
アシニボイン紀行;第6日目(4);ジョーンズシークレットトレイル(3)
↧