<談話室の窓からアシニボインを望む>
アシニボイン紀行;第3日目(4);アシニボインロッジで憩う;3日目のまとめ
<アシニボインロッジ1日目>
(アルパインツアー)
2015年9月21日(月)~29日(火)
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第3日目;2015年9月23日(水)(つづき) 晴
<アシニボインロッジ本部棟見取図>
<夕方の団欒>
■談話室で寛ぐ
サンバーストレークハイキングを終えて,16時05分にアシニボインロッジに戻る.
夕食は18時30分からである.まだ,少々,時間がある.そこで,暫くの間,本部棟談話室で
雑談をすることになる.
軽登山靴を脱いで室内用のスリッパに履き替えてから,談話室に入る.こんなときに便利なのは,抽選で談話室上の部屋が当たった私達である.すぐに自室に入って,リュックを置いて,普段着に着替える.
談話室入口近くにドリンクバーがある.そこにはこのロッジ自家製のケーキと各種の飲み物が用意されている.
まずはケーキとコーヒーである.お散歩の跡のケーキとコーヒーは実に美味しい.特に疲労気味のときは,甘いものが美味しく感じる.
<談話室でケーキとコーヒーを馳走になる>
■談話を通じて打ち解ける
まだアルコールは入っていないが,談話室で雑談をしている内に,お互いが段々と打ち解けてくる.
雑談をしている内に,昨日,私が自己紹介で使った「トウネントッテ…」が話題になる.話題の中で,年齢の割には私が若いという何時もの話題になる.
”ソラそうだよ! 平素あまり歩いていない人たちの中に入れば,いくら私だって少しはマシに歩ける方に入るのは当たり前だよ…”
と心の中では思っているが,口には出さずにヘラヘラしているだけ.私ノ頭の中では,ご常連に置いて行かれてしまい心の中で”半べそ”かきながらシオシオと登っている自分の情けない姿が二重写しになっている.
”こんな情けないオレに,足が強いなって言われても,あまり嬉しくないな…”
と思いながら,自分の話題を受け流す.
雑談の話題は,次から次へと目まぐるしく変わる.特に上方の皆さんはジョークがお好きである.関東のヤボ男である私は,正直なところ,次から次へと繰り出されるジョークに付いて行けないので,たちまちの内に疲労感に襲われる.これも文化の違いなのだろう.
そのうちにアルコールを嗜むか嗜まないかという話になる.私は「近代五種」ができないばっかりに,不本意(?)はサラリーマン時代を過ごしたと自己紹介する.当時の上司からは何回も何回も,近代五種をやれと忠告されていたが,できなかった.
ここで言う「近代五種」とは,以前当ブログで説明したことがあるが,
①酒,
②タバコ,
③麻雀,
④カラオケ,
⑤ゴルフ
のことである.もっとも,今はタバコなど論外だろうが,その他の4種目は,今でもサラリーマンが心得ていて損はないものだろう.
私は残念ながら,全部ダメ.だから.酒を嗜む方からは,
「酒を飲まない,お前には,人生の機微など分かるはずがない」
と決めつけられたものだ.
私は,常日頃.
”やっぱり,近代五種が不得意なおれにはサラリーマンは辛いな…”
と思っていた.
ところが,こんな話がここでは意外な方向に展開する.
「近代五種の他に,もう一つあるんじゃない…?」
と言いながら,小指を突き立てる.詰まり平たく言えば,一時テレビのコマーシャルで流行した,
「私はこれで会社を辞めました…」
と小指を立てるヤツである.
50才台,60才台ならいざ知らず,トウネントッテ+トウネントッテ,還暦をとうに超えた私にとっては,たった一人の家内ですら御しがたいのに,正直なところ,小指の話はもう沢山である.それにも,かかわらず,かなりしつこくこの話が蒸し返される.
私は次第にお付き合いするのが“しんどく”なる.したがって次第に無口に変わる.
18時頃,ようやくお開きになる.
一寸,草臥れたが,互いの気心が少しずつ通じ始める.
一旦,2階の自分の部屋に戻る.
<美味しい夕食はコース料理>
■夕日が射し込む私達の席
18時30分から本部棟食堂で夕食である.
私たちに宛がわれたテーブルは,3列のテーブルの中の一番奥である.私達のグループは総勢10名,その内,3組の夫婦が居る.夫婦の方は並んで座るので,一人参加組は,何となく夫婦者の間に挟まったような感じになる.
私は何となく場所取りに後れを取ったために,一番手前の席にツアーリーダーのTMさんと並んで座ることになる.
10人の同行の皆さんに,私のブログに写真を掲載してもいいという了承を得て,夕食の雰囲気を写真に撮る.
中々良い負に気である.ただ夕日が眩しく射し込んでいる.
<夕陽が眩しい食堂>
■まずはビールで乾杯
まずは乾杯…
これが済まないと全てが始まらない.平素,殆どアルコールを口にしない私も,今夜だけは特別にビールを注文する.6.09カナダドルのビールである.日本円でザッと600円.ヘリコプターで運び上げたビールなら,まあそんな程度の値段になるだろうと合点する.
私にはビールのことなどチンプンカンプンだが,これは有名な地ビールとのことである.私にビールの味など批評する資格は全くないが,結構まろやかな口当たりである.ビール缶の大きさは日本のビールと同じぐらいである.
私は下戸なので,このビール,一缶は多すぎる.半分ばかりコップに注いだ後,隣に座っている方にお裾分けする.
<まろやかな地ビール>
■絶品のスープ
いよいよコース料理の登場である.
まずはスープ.ハート型の牛乳のような模様が浮いている.なかなか洒落ている.絶品! ベースはカレー味.それにポテトの味がする.
街中の一流レストランにも絶対に負けない素晴らしい味である.
”う~ん…,これは素晴らしい…”
私がネコなら,”ギャオン,ギャオン,ギャオン,…”と歓喜のうなり声を立てながら飲むであろう.でも私はネコではない.上品に音を立てないように気を遣いながら,一口,一口賞味しながら楽しむ.
<絶品のスープ>
■前菜とパン
続いて前菜.
数人分ずつ山盛りになった前菜が配られる.これを各自自分のお皿に取り分ける仕組みである.
前菜の素晴らしい香りが食欲をそそる.
焼きたての温かいパンがドンと出てくる.香ばしい香りがする.外側カリカリ,中フワフワの美味しいパンである.あまりに美味しいパンなので,メインディッシュが運ばれる前に,パンを1切れ食べてしまう.
「パンが美味しいと,ついつい沢山食べてお腹が一杯になりメインディッシュが入らなくなるんですよ…」
と愚痴る.
それを聞いた近くの方が,
「私もそうなんです…」
と大きくうなずく.
<前菜>
■野菜料理とメインディッシュ
続いてすぐに野菜の炒め物とメインディッシュが運ばれてくる.どちらも大変なボリュームである.
野菜の炒め物は,小麦粉で少しとろみを付けてあるらしい.ピーマン,ニンジン,青物など数種類の野菜が入っている.
メインディッシュは,青魚をカリッと炒めたもの.私には料理の名前は分からないが,表面はカリカリとしていて歯応えが良い.
<野菜の炒め物とメインディッシュ>
■私の夕食
これらの食材を,自分の好みの量だけ,自分のお皿に取り分ける.私の夕食は,下の写真の通りである.
このボリュームで私には十分である.
とにかく美味しい.味付けは日本人の私達にもピッタリである.私は日本から持参した醤油の小瓶を内ポケットに忍ばせているが,ここでは醤油の出番はなさそうである.また,これだけの料理を作っているシェフの皆様にもプライドがあると思うので,このロッジにいる間は,持参した醤油は使わないことにしようと,密かに思っている.
<私が取り分けた夕食>
■シェフが雑談
食事中に,シェフがツアーリーダーと私の所にやってくる.このシェフは昼間私達をサンバーストレークハイキングに案内してくれたAさんである.つまり,ここの従業員は案内人,兼,シェフ,兼,管理人等々,いろいろな仕事をやっている.なかなか忙しそうである.
Aさんが,私達に質問する.
「…あなた方,前々からの知り合いですか.一体何処に住んでいるの…?」
「東京近郊,名古屋,大阪など住所はバラバラですよ.2日前に成田空港に集まりました.勿論初対面ですよ…」
「そうですが! それにしては皆さんお互いに前々から気心知った知り合いのように穏やかでしたね…」
と不思議がる.
私はAさんの感想を聞きながら,日本人に特有な国民性が何となく分かるような気がしてくる.Aさんには,初対面にもかかわらず,お互いに和やかなことが不思議に思えるらしい.
ちょっと妙な言葉を使うと,日本人には日本人固有のプロセミックスがある.勿論初対面だから別に仲が良いわけではなく,お互いの間は白紙だが,日本人同士で一脈通じる文化がある.そのために互いに必要以上に相手の領域に踏み込まない代わりに,あえて遠ざかることもしない.そんなところが,Aさんには不思議に思えたのだろう.
私達の隣のテーブルも,大いに盛り上がっている.私達よりずっと大きな声で雑談している.お互いに知り合い同士で来られているようである.余所様の席に比較すると,私達日本人の席は静かで穏やかである.
■デザート
最後はデザート.私には甘みが一寸強すぎる感じがするが,量もメチャメチャ多いわけでもないので,美味しく頂戴する.
俗に”甘いものは別腹”というが,満腹にもかかわらず,ペロリと平らげてしまう.
<デザート>
■仕上げはコーヒー
最後の仕上げはコーヒーである.
食堂の隅にあるドリンクバーには,コーヒー,紅茶,牛乳,ジュース類が並べてある.私は迷わずコーヒーである.
ゆっくりコーヒーを賞味しながら,頭の中で今日一日の出来事を振り返る.そして,何時も持ち歩いているノートに,思いつくことを書き留める.
<仕上げはコーヒー>
■スタッフの挨拶
19時40分頃,スタッフ一同が厨房から食堂に出てくる.フライパンのようなもの(?)をカンカンと叩きながら,アッテンションプリーズ!
スタッフを代表して,Aさん(だったかな?)が挨拶する.
まずは,アシニボインロッジを訪れてもらったことへのお礼から始まる.そして,明日の天気のこと,ハイキングコースのことなど簡単にレビューする.
とても綺麗な英語で,ゆっくり話されるので,私ごとき英語のヒアリングが全くダメな人間にも,喋っているないようの大体のことが分かる.
挨拶が終わってから,暫くの間,コーヒーを飲みながら雑談を続ける.
でも,あまり何時までも,ここで頑張っていては後片付けができないだろうと察して,20時頃お開きになる.
<スタッフ一同の挨拶>
<ユッタリとした夜の時間>
■再び談話室で雑談
夕食後,すぐに寝てしまうにはまだ早いということで,再び談話室で雑談を開始する.この辺りが本格的な登山の場合と一寸違う.登山の場合は20時ともなれば早々と寝てしまうのが常なのだが…
また昼間と同じ場所に座って雑談をしていると,突然,若い日本人女性が,私達に加わる.彼女はカナダのワーキングビザを取得していているとのことである.今回は居候をしている家のご夫婦と幼児がアシニボインロッジへ来ることになったので,ベビーシッターとして一緒に来たという.
平素,何事に付けて引っ込み思案で億劫がる私には想像も付かない積極性を持った女性である.ただ凄いの一語に尽きる.また,頼もしい限りである.
彼女を交えた雑談は多岐にわたったが,プライバシーに関わることも多かったので,ここでは話の内容は割愛する.
21時10分頃,談話室での雑談をお開きにする.
■素晴らしい夜景
ナイトトイレを使った序でに,建物の外に出てみる.ひんやりとした空気である.
南西のソラに三日月が煌々と輝いている.そして目の前にはナイセットポイント(Naiset Point;標高約2,750メートル)が夜空にクッキリと見えている.
何とも幻想的な風景である.
私はデジカメ(…といってもバカデジカメだが)のASAを1600まで上げる.そして,デジカメを建物に柱にピッタリ押し付け動かないように固定してからシャッターを押す.
“バシャッ…!”
というシャッターの疑似音が静けさの中に響く.
こうして撮影した写真が下の写真である.同じような写真を何枚も撮ってみたが,どうしたわけがどれもこれも三日月が満月のようにボンヤリとした遠景に撮れてしまう.
”なぜ,だろう! なんで三日月がまん丸に写るんだろう…”
私には俄にはその理由がわからなかったが,暫く経ってからその理由がわかった(と思っている).多分,夜空の明るさに反応してシャッター速度が自動的に設定されたので,周りより明るすぎる月の周辺は露出オーバーになったんだろう…ということにしておこう.
些細なことでも,理屈が分からないと気になって仕方がないのが,私ごとき理系出身者の性(サガ)なんだろうなと,自分自身で納得する.
<幻想的な夜景>
■こうして3日目も無事終わった
本部棟から離れた所に自室のある皆さんも,三々五々お帰りになる.
私も本部棟アネックス2階にある自室に引き上げる.リュックからヘッドランプを取り出して枕元に置く.
洗面所で歯を磨く.
歯を磨いている間に,上の葉の差し歯が,ひょんな弾みで,偶然,外れてしまう.これには参った! まだ帰国するまでに1週間もあるのに…
でも,あれこれ考えても仕方がない.撮れた差し歯は帰国後歯医者で付けてもらうしか方法はない.それまでは,撮れた歯をなくさないように保管しておくことが大切だ…と自分に言い聞かせる.
ベッドに入ってから,30分ほど掛けて,今日一日の出来事をメモに認める.
21時40分頃,就寝する.
同室のSTさんは,横になった途端に,もう鼾をかきながら熟睡している.
すぐ眠れる人は羨ましいなと思いながら,私もソッと目を閉じる.
こうしてカナダアシニボインの旅,3日目も無事終わった.
<ラップタイム>
14:15 アシニボインロッジ歩き出し
14:39 分岐2
14:48 分岐3
14:55 サンバーストレイク着
15:33 〃 発
15:43 レイクマゴグキャンプ場
16:03 分岐2
17:05 アシニボインロッジ着
[ハイキング記録]
■水平歩行距離 4.7km
■累積登攀高度 87m
■累積下降高度 27m
■所要時間(休憩時間込み)
アシニボインロッジ発 14:15
〃 着 17:05
(所要時間) 2時間50分(2.83h)
水平歩行速度 4.7km/2.83h=1.67km/h
(第3日目終わり)
(第4日目に続く)
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(編集中)
「カナダアシニボインハイキング」の目次
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「カナダアシニボインハイキング」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/dae26e12affc9d89924fbd7f43fe2942
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
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アシニボイン紀行;第3日目(4);アシニボインロッジで憩う;3日目のまとめ
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