<花立階段から富士山を望む>
紅葉が少しずつ色付き始めた丹沢;塔ノ岳(今年20回)
(リハビリ登山;花立山荘まで)
2015年10月10日(土) 晴後曇
<ルート地図>
※2015年9月5日と同じ
■富士山と矢倉岳
現在,横浜山下公園近くの神奈川県民ホールで,私が所属する某協会の展覧会が開催中である.私も2枚の水彩画を出展しているので,私の絵を身に来て下さる方々をお迎えするために,できるだけ会場に詰めていたいと思っている…が,今日土曜日は恒例の塔ノ岳登頂予定日でもある.迷いに迷った揚げ句,私は時間が許す限り,塔ノ岳の途中まで登って,大倉発12時40分のバスに間に合うように下山することにする.
例により,4時10分に自宅を出発する.勿論まだ外は真っ暗,明けの明星が光っている.天気予報では,15時頃までは晴だがそれ以降は曇だという.外気は…何度ぐらいだろうか.ピリリと寒いが気分が引き締まる.つい1週間前までは,コーロギが鳴いていたが,今日はもうコーロギの啼き声もなく辺りは静まり返っている.
大船駅前のコンビニで昼食用のオニギリを購入して,大船5時10分発東海道本線下り初電に乗車する.今日は三連休の初日とあって,電車は何時もの土曜日よりも少し混み合っているようである.
何時ものように小田原駅で小田急線急行新宿行に乗り換える.小田急線での唯一の楽しみは,最初の停車駅新松田の手前で見られる富士山と矢倉岳が重なり合う風景である.
電車がこの辺りに近付くと,私は子どものように電車の窓に額をくっつけて,二つの山が重なり合う瞬間を今か今かと待つ.そしてカナなり合った瞬間にデジカメのシャッターを押す.このタイミングが結構微妙で,1秒でも遅れると,二つの山の重なりがずれてしまう.やり直しが利かないので結構苦労する.
<富士山と矢倉岳が重なる風景>
■大倉から歩き出す
私が乗車した電車は,6時11分に渋沢駅に到着する.そのままバス停に向かう.先客は私と同じ電車に乗っていた女性である.土曜日には滅多に会わない常連さんで,顔は知っているが名前は分からない.
「暫く振りですね…」
と挨拶を交わす.
その内に下り電車が到着する.たちまちの内にバス待ちの列が長くなる.
6時45分に臨時バスが出る.臨時バスは沢山の立ち席が出るほどに混雑する.乗り合わせた常連は,毎日登山のTGさん,SSKさん,編集長のYKさん,三角髭のTDさん,IIjさん,IWiさん他多士済々.
バスは7時少し前にバス停大倉に到着する.待合室で出発準備をしていると,ほどなく渋沢発6時48分のバスが到着する.こちらのバスも登山客で一杯である.HDさん,STさんなどお馴染みの常連さんの姿も見える.
7時05分,大倉から歩き出す.私の前後は登山客が数珠繋ぎになっている.私はまだリハビリ中.膝の痛みは快癒しているが,約半年のブランクの後の登山は,とにかく体力が低下していてどうにもならない.とてもではないが,常連の皆様と同じ速度では歩けない.私は自分の体力の具合を見ながら,ジャストマイペースを維持しながら登り続ける.
この頃,雨が降っていないためか,足元は良く乾いている.
”今日は歩き易そうだな…”
と思いながら,歩き続ける.
私から少し後ろをSSKさん達常連の皆様の話し声が絶えず聞こえている.
私は歩きながら,今日は萱場平あたりを目標にしようかと決める.萱場平まで登って,そこから下山すれば,いくら鈍足の私でも12時台に大倉まで戻ることができるだろうと計算する.
<大倉尾根登山口付近>
■見晴茶屋
7時35分,観音茶屋を通過する.まだ時間が早いので観音茶屋は開店していない.
観音茶屋を過ぎると,ジグザグの山道になり,登山をしているという雰囲気になる.私のすぐ後ろに,SSKさんたち常連の集団が歩いている.
7時55分,見晴茶屋に到着する.茶屋のベランダでは,見晴茶屋のご主人と,堀山の家のオヤジ殿が雑談をしている.
「…帰りにお寄りします…」
とオヤジ殿に挨拶をして,見晴茶屋を通過する.
見晴茶屋から薄曇りの向こうに秦野と相模湾がボンヤリと見通せる.手前のススキが秋らしい雰囲気を醸し出している.
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
いよいよ大倉尾根の最初の難関,見晴階段に差し掛かる.
例によって,階段下から見晴階段を見上げた風景をデジカメに収める.定点観測の写真である.
今日は土曜日.沢山の登山客が数珠繋ぎになっている.足の速い人,遅い人,人様々である.
私は,ここが我慢のしどころだと自分に言い聞かせながら,オーバーペースにならないように細心の注意をしながら登り続ける.
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.この辺りのモミジの葉はまだ真っ青で,紅葉の見頃を迎えるのはまだまだ先のようである.
ユックリとした定速で登り続けて,8時15分に一本松を通過する.大倉からの所要時間は1時間10分.元気な頃は,ここまで55分ぐらいで登っていたので,その頃に比較すれば15分ほど遅いラップである.
<見晴階段>
■駒止階段
一本松から先の平らな道を歩いている内に,私の後ろに居た常連の皆さんが私に追い付く.私は常連の集団に先を譲って,駒止階段を登り始める.
階段の途中から,TGさんが歩行速度を速めて,私達を一気に追い抜いて,どんどん先へ行き始める.
駒止階段を登っている内に,私も何となく集団の前の方に出てしまう.
8時31分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間26分.2~3年前の私の平均ラップでは,駒止茶屋まで約1時間.怪我をする直前までは1時間13~15分ぐらいが平均ラップだったので,まだ10分あまり遅いことになるが,半年のブランクがあったことを考えると止むを得ないなと自分に言い聞かせる.
<駒止階段を登る>
■堀山の尾根道からの富士山
堀山の尾根道に差し掛かる.大倉尾根で一番気持ちの良いところである.
8時40分,富士山が良く見える場所に到着する.富士山は霞が掛かっていてボンヤリとしか見えないが,とにかく山麓まで見えている.
私はデジカメを取りだして,富士山の写真を数枚撮る.
私が写真を撮っている間に,SSKさん達,常連の集団が私に追い付く.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■小草平
堀山からの緩やかな下り坂に差し掛かる.私は自分の右膝の調子をチェックしながら,少し速歩で歩いてみる.どうやら何ともなさそうである.速歩で歩いた結果,常連の皆さんの集団より少し早く,8時50分に小草平に到着する.
小草平のベンチで,TGさんが座っている.
「皆さんの到着を待っています…」
とのこと.
堀山の家は,まだ開店前.建物の玄関にぶら下げてある温度計を見ると,只今の気温は13℃.ジッとしていたら肌寒い気温である.
ここから先は胸突き八丁の登り坂が連続する.もし常連の皆様と一緒に登ったら,ついつい欲が出てオーバーペースになりそうだし,ついつい塔ノ岳山頂まで登って時間をオーバーしてしまいそうである.私は,常連の皆様を見送ってから,マイペースで萱場平まで登ることにする.
常連の皆様から少し間を置いて,小草平から歩き出す.
岩礫が重なり合う急坂を登り切ると,ウンザリとするほど長い階段道になる.相変わらず沢山の登山者が列になって登っている.
<ウンザリする階段道>
■萱場平
長い階段道を登り続けて,9時14分,漸く萱場平に到着する.元気なときならば花立山荘を通過するラップである.
萱場平にある二つのベンチは,休憩を取る登山者で一杯である.
私は奥の方にあるベンチに割り込んで休憩を取る.
ここが今日の私の終点である.私はベンチに座りながら,軽く食事を摂る.
<萱場平>
■萱場平のアザミ
10分ほど休憩を取ってから,下山開始.
その前に,木道の間に咲いているアザミの写真を撮る.私は大倉尾根を登る度に,ここのアザミに勇気をもらっている.
アザミを見ている内に,このまま下山してしまうのが,何とも勿体ないなという気持ちになる.そこで,私はまた先ほどのベンチに引き返す.
ベンチに座りながら,ここから先へ登るか登らないかの葛藤を始める.
<萱場平のアザミ>
■色付き始めた紅葉
萱場平からの水平道を花立山荘方面に向けて少し歩き出す.まだ,その先,登るかどうか決めかねたまま…
振り返ると,辺りの紅葉が,少し色付き始めているのに気がつく.
”いよいよ紅葉か…良い季節になったな”
と思いながらデジカメのシャッターを押す.
<色付き始めた萱場平の紅葉>
■花立山荘
私が躊躇していると,HNさんとSTさんのお二人が萱場平に到着する.
私は,お二人と一緒に,時間が許す限り…多分,後七分坂の下辺りまで一緒に登ることにする.
ここからは3人で極々ユックリペースで登り続ける.
9時46分,ようやく花立階段に到着する.つい半年前だったら,そろそろ塔ノ岳山頂に到着する時間である.これを考えると悔しさが込み上げてくるが,これも止むを得ない.
私は,ここでお二人とお別れして下山することにする.
お二人を見送ってから,富士山や階段登り口に咲くアザミの写真などを撮りまくる.そして,再び階段を見上げると,まだすぐそこにお二人の後ろ姿が見えている.
私は急に花立階段ぐらいは登っておきたいという気分になる.そこで,よせばいいのに階段を登り始める.
階段は案外調子よく登って,9時56分,花立階段の最上段にタッチして,すぐに下山を開始する.
”シマッタ! 花立山荘の写真を撮り忘れた…”
下山時間を気にするあまり,肝心の証拠写真を摂るのを忘れてしまう.こう言うのを後の祭りという.
<花立階段>
■草花の写真
下山は怪我をした身には怖いところである.いくら時間がないとはいえ,急ぎが禁物である.私は時々草花の写真を撮って,はやる気持ちを抑えることにする.
私は名にし負う花オンチ.でも綺麗な花は人並みに綺麗だと思う.だから花の写真を撮っていると気分が自然に和んでくる.
<路傍の草花で気分が和む>
■堀山の家
10時56分,小草平に到着する.小草平のベンチは休憩を取る登山者で一杯である.
”今日は堀山の家を通過しようかな…”
と思いながら,ふと堀山の家の玄関前の椅子を見ると,私同様にリハビリ中のご常連,Imiさんが座っている.
Imiさんにお会いしたので,私も堀山の家に立ち寄る決心をする.もう展覧会場に行くのは諦めだ.私の留守中に展覧会場に来られた知人の皆様には後から誤ることにしよう…
堀山の家に入る.女主人の「なっちゃん」が愛想良く出迎える.
先客は常連のKIさん.
”登山途中でKIさんに追い越されたかな…”
と不思議だが,まあ,いいや.
さっそく,コーヒーを所望する.
山で賞味するコーヒーはまた格別である.
私が右膝の怪我が切っ掛けで,山道の下りが怖くなって,早く降りられないと愚痴を言う.すると,KIさんが,
「…やっと,それで人並みになったんですよ…」
と皮肉たっぷりなような,からかわれたような気分になるコメントをする.
雑談をしながら,コーヒーを賞味していると,三角髭のTDさんが,堀山の家に入ってくる.
”あれえ…,TDさんは何処を歩いておられたんだろう…途中で会わなかったな”
毎度のことながら,TDさんは鬼神出没である・
引き続き,後七分坂でお別れしたHNさんが現れる.
「…あれ,随分早いですね…」
とビックリする.
「…いや,今日は山頂まで行かずに,花立山荘から引き返しました…」
とのこと.
さらに暫く間を置いて編集長のYKさんも堀山の家に到着する.
なっちゃんが,
「…堀山の家の重要なお客様が揃いましたので,一緒に写真を撮りましょう…」
と提案する.そこで居合わせた常連数名が写真に収まる.
この写真,多分,今度の木曜日に堀山の家のホームページに掲載されると思う.乞うご期待である.
<堀山の家のコーヒー>
■観音茶屋
程なく,Imiさんが先に堀山の家から下山開始.続いてHNさんも…私も11時07分に堀山の家を出発する.
11時24分,駒止茶屋を通過する.
11時51分,見晴茶屋を通過する.
雑事場ノ平を通過して,観音茶屋手前で,STさんとIijさんに追い付く.Stさんが,
「…あれ早く下山するんじゃなかったんですか?」
と怪訝な顔をする.面目ない.
12時02分,観音茶屋に到着する.
先ほど私より一足早く堀山の家を出発したImiさんとHmさんが,観音茶屋に立ち寄っている.
「…それでは…」
ということで,私も200円也のジュースを購入してお仲間に加わろうとするが,丁度そのときHNさんがを下山開始する.私もジュースの缶をもったまま,釣られるようにして,観音茶屋を通過する.
<STさんとIijさんに追い付く>
■無事下山
このまま一寸急ぎ足で下れば予定通り,12時40分のバスに間に合いそうである.
私は,急ぎ足で一足先に一人旅を続ける.心の中では,こんなに急いで歩けるまで,膝の状態が良くなったことに感謝している.
12時28分,無事,バス停大倉に下山する.
洗い場で沓の泥を洗い流してから,大倉12時40分発のバスに乗車する.往路のバスで一緒だった常連の皆さんも沢山乗車して居られる.
こうして私のリハビリ登山も無事終わった.
減退した体力の回復には道未だしだが,右膝の回復が順調なので大満足である.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩きだし
7:35 観音茶屋
7:55 見晴茶屋
8:31 駒止茶屋
8:50 小草平
9:14 萱場平(9:24まで休憩)
9:55 花立山荘着
9:55 〃 発
10:50 小草平(堀山の家)(11:07まで休憩)
11:25 駒止茶屋
11:51 見晴茶屋
12:02 観音茶屋
12:28 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 5.4km
■累積登攀高度 1,059m
■累積下降高度 50m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:05
花立山荘着 9:55
(所要時間) 2時間50分(2.83h)
水平歩行速度 5.4km/2.83h=1.91km/h
登攀速度 1,059m/2.83h=374.2m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
花立山荘発 10:00
大倉着 12:28
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
水平歩行速度 5.4km/2.28h=2.19km/h
下降速度 1,059m/2.47h =428.7m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3b2bbd25be81d1672d9fa7d40a752298
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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紅葉が少しずつ色付き始めた丹沢;塔ノ岳(今年20回)
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