<緑陰の草道を登る>
善光寺西街道;第2回;第2日目(2);緑陰と展望の中ノ峠
(五十三次洛遊会)
2015年5月29日(金)~31日(日)
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第2日目;2015年5月30日(土)(つづき) 晴
<ルート地図>
■第2日目全体図 (再掲)
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■乱橋間ノ宿から中ノ峠へ
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<ホテル「とくら」の朝>
■充実した朝食
早朝にダム湖やふれあいの森を一回りしてから,7時25分,宿泊場所の「とくら」1階の食堂で朝食を摂る.
ここは一般のビジネスホテルのようにバイキング形式ではなく,きちんとしたセットメニューの和食である.何時も格安のビジネスホテルにばかり宿泊している私には,何となく高級感があって素晴らしい朝食のように思える.
”えへへ…こりゃ豪華だ…”
と声には出さずに,内心だけで歓声を上げる.
朝食に満足すると,その日1日が高揚感を保ったまま過ごせそうな気分になる.
30分ほどで朝食を終える.そして,自室に引き上げる前に,フロントで宿泊費の精算をすませてしまう.
<揃って朝食> <朝食のメニュー>
■ジャンボタクシーで出発点へ移動
幹事役のABさんが,8時30分にジャンボタクシーを予約している.多分,予約時間前にタクシーが来るだろうと予想して,同行の皆さんに,宿泊代の精算を済ませてから,予約時間よりなるべく早くロビーに集合するようにお願いする.
予想通り,約束時間の10分前に予約タクシーがホテル玄関前に到着する.このパンクチュアルなところが,日本国内旅行で気持ちがよいことのひとつである.
全員,すぐにジャンボタクシーに乗車する.
8時20分,発車.一路,タクシーは,1日目の終点,乱橋間ノ宿本町交差点を目指して快走する.
8時29分,乱橋間ノ宿本町十字路に到着する.
タクシー代はゲル幹担当のKZさんが纏めて支払う.
<ホテル前でジャンボタクシーに乗車> <乱橋間ノ宿本町交差点に到着>
<中ノ峠を登る>
■本町十字路から歩き出す
出発点の本町十字路は,今日も長閑である.辺りに人の気配は全くない.新緑の田園はうねうねと続く山に囲まれている.
私は,皆さんに,
「…カシミールで調べたところ,今日は,歩き出して早々に,中ノ峠という一寸した峠を越える予定です.峠から先は緩やかな下りが暫く続き,そのあと一寸した登り下りがあるようです.今日の終点は篠ノ井線聖高原駅です.今日の水平歩行距離は11.3キロメートル,登りの累積標高差は197メートル,下りは323メートルです.まあ,多分,16時から16時半頃にはナントカ終点まで辿り着けるでしょう…」
と今日のブリーフィングを行う.
そうは言っても,ブリーフィングをしている当の私も,事前にこのコースを歩いているわけではない.あくまでも,調べ上げた資料を頼りにブリーフィングをしているだけ.だから,旅の途中で,思わぬハプニングがあって当然と思っているし,ご一緒してくれる皆さんも,万事がスムーズには行かないことは先刻ご存じの筈である.考えようによっては,ハプニングがあるからこそ手作りの旅は面白いとも言える.でも,本音を言えばハプニングなどなく,想定通りに歩けるのが一番有り難い.こんなこと言うまでもないことだ.
…ま,それはともかく,安全に故障なく歩き通すことが一番肝心だ.そのためにまずはウォームアップのストレッチを入念に行うことだ.
私たち以外に誰も居ない十字路の片隅で,私が音頭を取って,頭から足の先まで,かなり入念にストレッチを行う.
ストレッチを終えて,8時36分に乱橋間ノ宿本町交差点から歩き出す.
最初は舗装された道路を南へ向けて歩き始める.緩やかな上り勾配である.人も自動車も全く通る気配のない道なので,道幅一杯に広がってノンビリと歩き出す.それでも数分歩くと,出発点の交差点がかなり低い所に見えるようになる.
<出発地点の本町交差点> <緩やかな上り坂>
■エッ…! こんな所に入るの!
地図を頼りに歩き始める.予め用意した地図によれば,そろしろ枝道に入る場所に到着する…が,どこから枝道に入るのか良く分からない.
先頭にいる私は,
「…皆さん,一寸待ってて…」
と断ってから,それらしい場所の土手を登ってみる,どうもここは道ではなさそうである.
”はて? もう少し先かな…”
と思っていると,100メートルほど下の畠で作業中の地元の方が,
「ちがう,ちがう,…もっと先だ…」
とジェスチュアで教えてくれる.
こうして迷っているのも楽しみ感じる天の邪鬼な私は,教えて頂くのは嬉しいが,今読んでいる推理小説の結末を急に教えられたような呆気なさとガッカリ感に襲われる.勿論,教えていただいたことに感謝しなければいけないが,同時に”ほっといてくれればいいのに…”という気持ちがどうしても湧いてくる.
8時40分,それらしい場所に到着する.今歩いている道の右手に善光寺街道の案内板が立っている.そこから先は草ぼうぼうで踏み跡すら定かでない.道があると言えば道に見えないこともないが.一寸目には草ぼうぼうの空き地にしか見えない.
「ヘビに出会えるかも知れませんね.俗に前から2人目の人がヘビに噛まれるっていいますよ.」
と冗談を言う.
それを聞いたお一人が,
「私,ヘビはダメ!」
と言っている.この方,山のベテランである.
先頭の私は藪には構わずにドンドン中に入っていく.田舎粗朶亭の私は藪道歩きは平気である.ところが良くしたもので,暫く藪こぎをすると,道らしいところにたどりつく.勿論草ぼうぼうで最近人が通った気配もないが,進行方向右手にはガードレールも付いている.
<草ぼうぼうの空き地のような場所に踏み込む> <ガードレールのある草付き道になる>
■一気に展望が開ける
上り坂の草付き道をユックリ登る.例によって,仲間の中では比較的足が弱いお二人に,私のすぐ後ろを歩いて貰っている.
私は何度となく,お二人に,
「ユックリ,ユックリ歩いて下さい…」
とお願いする.
どんなにユックリ歩いていても,時間が経てばだんだんと高い所まで到着する.
8時51分,進行方向左手の立木の間から展望が利く場所に着する.枯れススキの先に,山に囲まれた乱橋間ノ宿の街並みを見下ろすことができる.間ノ宿の街並みの手前に,先ほど私達が歩き出した十字路がハッキリと見えている.
「もう,こんなに高い所まで登りましたよ…」
ということで,ちょっとの間,展望休憩を取る.
昔の旅人も,多分,この場所で宿場を見下ろしながら感慨に耽ったんだろうなの想像する.こういうのを旅情っていうんだろうなと,私は勝手に連想する.
<乱橋間ノ宿を見下ろしながら立ち休憩を取る>
■中ノ峠と馬の水飲み場
8時52分,私達が歩いている草道は簡易舗装の道に合流する.合流した道路は右の方に大きくカーブして,ここから下り坂になる.どうやら,この合流点が中ノ峠の最高地点のようである.
資料1には,中ノ峠は「登り廿八丁下り二丁の峠」と紹介されている.私達は,この資料に記されている道順とは反対向きに歩いているので,二丁の登り坂を,今,登り終えたところである.
道なりに歩いて,8時58分,案内杭「馬の水飲み場」を通過する.近くに水がたまっているところでもあるのかなと思ったが,どうやら案内杭が立っているだけである.
<中ノ峠の最高地点> <馬の水飲み場>
<パノラマ風景を堪能しながら歩く>
■突然視界が開ける
9時02分,再び広い道に出る.大きく左カーブする道に沿って,何軒かの民家が建っている.その左手には雪を抱く北アルプスの山が見えている.
なんだか途轍もない山奥に民家があるような印象を受けるが,考えてみると,ここはかつての街道筋である.街道筋に民家があって当然ともいえる.どちらにしても,こんな素晴らしい自然の中で生活するのも悪くはないなと思いながら,歩きつづける.
<突然視界が開ける>
■北アルプスの山々
9時02分頃,進行方向左前方に雪を被った北アルプスの山々が見え始める.素晴らしい風景である.
私も山旅スクールに通っていた頃,残雪期や夏のシーズンではあるが北アルプスの殆どの山に登っている.したがって,今見えている山にも確かに登ってはいるが,どれがどの山かがハッキリ分からないので焦れったい.
”夏場になったら,あの山に登りたい…”
という衝動に駆られる.
<北アルプスの山脈が言える>
■旧道を抜けて集落へ
9時03分,案内標識の指示に従って再び細い道に入るが,すぐにまた広い道に合流する.そしえt集落を通り過ぎる.
<再び草道へ入る> <集落を抜け棃>
■素晴らしいパノラマ
集落からの北アルプスの眺望が素晴らしい.下ノ写真は,すこし望遠にして写したものである.
写真に写っている威風堂々の山は一体どこだろう?
私にも,多分,○○山だろうという見当は付くが,間違えると格好悪いので,ここでは名前を伏せておこう.
<屏風のように聳える北アルプス>
■中ノ峠一里塚跡と山伏塚
9時05分,中ノ峠一里塚跡に到着する.洗馬より十里目の一里塚である.しかし,今は一里塚の跡を示す小さな木柱が1本立っているだけで,その痕跡すら見当たらない.
さらに坂道を下って,9時10分に山伏塚という木柱の前を通過する.
<中ノ峠一里塚跡> <生節塚>
■野口炭鉱事務所跡
9時09分,進行方向左手にある野口炭鉱事務所跡に到着する.白い木柱が立っている.そこには300平方メートルほどの草むした平地がある.勿論事務所の痕跡のようなものは何一つ残っていない.
ここからは私の勝手な想像だが,多分,この辺りで亜炭あるいは泥炭が小規模に出土していたんだろう.そういえば,終戦から数年経った頃,私が進学した田舎大学では,近隣の零細炭鉱から採掘された泥炭を暖房に使っていた.ところがこの泥炭が中々燃えにくく,さらに教室内に煙が充満していた.環境にうるさくなった現在なら到底許されない環境の中で授業を受けていたことを懐かしく思い出す.
さらに先へと下り続けて,9時15分,進行方向右手に小さな祠が2基並んでいる場所を通過する.これらの祠が一体何かは,手許の資料では全く分からない.
<野口炭鉱事務所跡> <2基の祠が並ぶ>
■屏風のように連なる北アルプス
2基の祠を通過する手前で,進行方向左手前方の展望が開ける.手前に横たわる山脈の向こうに雪を頂く北アルプスの山々が屏風のように連なっている.まさに息を呑むような素晴らしさである.眼下には西条間ノ宿の集落が見え隠れしている.
私達は本日の難所,中ノ峠を,あと少しで下り終えようとしている.
<北アルプスの山々と西条間ノ宿>
(つづく)
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(編集中)
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「善光寺西街道」の索引
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