第38回2015神奈美展出品作品『天狗山荘の夜明け』(40号)
趣味三昧:神奈美展出品作品を振り返る;『天狗山荘の夜明け』
2015年4月14日(火) 曇
ようやく身辺のゴタゴタが少しずつ落ち着き始めたので,今月早々に開催された表記展覧会に出品した作品を題材にして,いろいろ考察してみようと思う.
今回の展覧会には水彩画3枚を出展したが,最初に取り上げるのは『天狗山荘の夜明け』(40号)である.
この絵は,数年前に山旅スクール5期の山行で八ヶ岳天狗山荘に宿泊したときの夜明けにスケッチした絵を題材にして,40号の水彩画に纏めたものである.
本来ならば,予め水張りをした画用紙を使用すべきだが,40号の画用紙は大きすぎて,とてもとても水張りなどできないので,仕上がった絵はどうしても皺が寄ってしまう.そのために写真を撮ると色むらがでてしまい,どうも元々の絵の通りには写らない.そこが泣き所だが,こればかりは致し方ない.
この山行に同行した山旅スクールの方は,この絵を見た途端に,
「…ああ,これは天狗山荘の朝だ! あのときのこと良く覚えていますよ.同じ場所から撮った写真,持っていますよ…」
と,とても嬉しい反応を示してくれる.
この日の早朝,東の空には雲が棚引いていて,日の出の太陽は少々弱々しい感じだった.一番向こうに見えている山は蓼科山である.
この時の清々しい印象は,いまでも鮮明に覚えている.
さて,この絵を書いているときに私には大きな迷いがあった.それは,下の写真に示す近景を書き込むかどうかということである.
写真ではハッキリ写っていないので,わかりにくいかもしれないが,絵に向かって左下に,数名の登山者のシルエットを画き入れるかどうかを未だに思案し続けている.
もし書き入れれば,絵の奥行きが出るとともに,昇る太陽とシルエットの登山者の間にストーリーが成り立つような気がしている.絵にはストーリー性があるのが絶対要件のように思える.
一方では,このような近景を入れることで,絵の水平方向の広がりが阻害されてしまうような気がする.
さて,このシルエットを入れるかどうかが,私にとって思案のしどころである.
なお,下の絵に示したシルエットは,別の画用紙に画いたものを切り取って,本体の絵の上に置いただけ.
なお,絵の写真に見られる斑は画用紙の凸凹によるものである.
また,冒頭の写真も,下の2枚の写真も,同じ絵を撮したものだが,撮り方によって,こんなにも色調が変わってしまう.度の写真も元の絵とは違った色調に写っているが,もっとも本物に近いのは左下の写真かもしれない.
↑ ↑
ここに人影を入れる ここに人影を入れる
(×) (○)
さて,上の2枚の写真を比較してみる.ただし,色調の違いは,たまたまこんな具合に違って写ってしまったので,ここでは無視する.
左の写真は,人物を左に入れたもの.すると絵の左半分が重くなり,しかも右半分が間が抜けたような感じになる.絵を見る人の視線が太陽と人影の間を忙しなく往復してしまうような気がする.
それに比較すると右の絵のように,絵の右下に人影を入れた方が良さそうである.こうすると見る人の視線が太陽から人影に移動する間に距離感が出るし,そうかといって左半分が間延びすることもない.
結論は人影を入れるなら右下だなと思う.
なお,この写真では小さすぎて殆ど写っていないが,人影の縁が昇る太陽でほんの少し明るくなっている.
人影を入れるなら右下だなとは思うものの…やっぱり人影など入れない方が良いなという思いもあって,今のところ人影を入れる勇気はない.
こんなことをモヤモヤと考えている内に,秋の展覧会が近付くので,そっちの方に気を取られてしまい,結局,この絵は,この人影など書き入れないまま放置されるに違いない.
(1枚目終わり)
2枚目につづく
↓
(編集中)
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(なし)
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