<塔ノ岳山頂の霧氷>
霧氷を楽しみながら登る丹沢;塔ノ岳(今年57回目)
(単独山行)
2014年12月17日(水) 晴
■冷たい風が吹いている
この所,身辺が多忙で,なかなか塔ノ岳に登ることができずにヤキモキとした毎日を過ごしていたが,ようやく今日は塔ノ岳に出掛けられそうである.前回塔ノ岳に登ったのは11月23日,すでに3週間ほど間が空いてしまった.3週間も開けてしまうと脚力の低下は多分目を覆いたくなるほどだろう.そう思うと何とも情けない気分になる.その間,気候も大分進んでいるに違いない.
外を覗く.寒い! 冷たい風がビュ~,ビュ~と吹いている.多分,山頂付近は凍結しているだろうと予想して4本爪のアイゼンを持参することにする.
"何もこんな寒い日に好き好んで出掛けるんだ…"
私の心の奥底に潜んでいるもう一人の私が,さかんに私を牽制する.
”全くだ! 何もこんな日にわざわざ辛い思いをしてでかけるなんて,気が狂っているよ…”
私も同感である.
とはいえ,登れるときに登っておかないと,また何時登れるか分からない.私は意を決して,"断固登るぞ!”と決心する.ただ,脚力が落ちていることは間違いないので,今日の目標は,あくまで塔ノ岳山頂まで登ること,ラップタイムは度外視することにする.
余りに寒いので朝食を摂る気がしない.仕方がないので,大船駅前のコンビニで,三角形の形をしたサンドイッチを購入して,電車の中で食べることにする.
■大倉の紅葉
4時10分に家を出る,冷たい風が私の気分を萎えさせる.東海道本線の電車の中撫でサンドイッチをもそもそと食べる.
6時20分過ぎに渋沢駅に到着する.大倉行バス停に1番乗りだ.寒い! 大倉ってなんて寒い所だろう!!
寒さしのぎにストレッチをしていると,2番手で現れたのが常連のSSKさん.結局1番バスに乗り合わせたご常連は,SSKさん,三角髭のTDさん,NMさん,MTさん,HNさん,キャベツのTZさん,メガネのIIさん他.毎日登山のTGさんと編集長のYKさんは居られない.
7時07分,私はSSKさん,NMさんと一緒にバス停大倉から歩き出す.例によって歩き出しの速度は私にはちょっと速すぎるが,まあ多少の無理は承知で,お二人に付いていく.
登山口付近の紅葉はまだまだ見事,立ち止まって紅葉の写真を撮る.
お二人の速いペースには少々閉口するが,それでも,丹沢ベースを過ぎるころには,まあ,なんとかこのペースにも馴れてくる.途中から私が何となく先頭になって,マイペースで歩かせて貰う.
<登山口付近の紅葉>
■見晴階段
スローペースながら,途中で,何人かの登山者を追い抜く.
私は歩きながら今日の自分の体調がどんな具合かを絶えずチェックしているが,まだ本調子なのか不調なのか良く分からない内に,7時48分,雑事場ノ平に到着する.ここで衣服調整をするというので,2分ほど立ち休憩をとる.そして,7時52分,見晴小屋を通過する.
例によって,見晴階段を見上げた写真を撮る.何時もなら登山者2~3人の後ろ姿が必ず見えるが,今日は偶然にも登山者は全く居ない.
まぶしいこぼれ日が斜めに射し込んでいる.
見晴階段を頑張って登ると,後半でバテるのでごくごくユックリとしたペースで登り続ける.
引き続きモミジ坂を登る.この辺りの紅葉は既に終わっていて,枯れ枝だけになっている.どうやら私はモミジ坂の紅葉の見頃を見過ごしてしまったようである.
<こぼれ日の見晴階段>
■富士山は雲の中
駒止階段をゆっくりと登って,8時22分に漸く駒止茶屋に到着する.大倉を出発してから既に1時間15分ほど経過している.
"この調子だと塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間40~50分ぐらいかな…"
と予測する.
続いて堀山の尾根道に入る.あいかわらず冷たい風が吹いている.天気は快晴.この分だと富士山が良く見えるだろうと期待していたが,富士山に巻き付くように白い雲が湧いていて,残念ながら富士山は全く見えない.
<堀山の尾根道から富士山の見える方向を望む>
■小草平
8時43分,小草平に到着する.相変わらず富士山は雲の中である.
今日は平日,堀山の家は閉まったまま.辺りには人の気配がなく静まり返っている.
小草平では休憩を取らずに,そのまま急な登り坂に差し掛かる.相変わらず私が3人の先頭でユックリペースのまま.
そろそろ戸沢分岐に差し掛かる頃,私は急にシャリバテ感に襲われる.小さなサンドイッチの朝食ではヤッパリ足りなかったのかな.
戸沢分岐の手前で,30分後のバスで来られたYDさんに軽々と追い抜かれる.
もう少しで戸沢分岐という所で,SSKさんから先に行ってくれと言われる.そこで,ここから先はNMさんと私の二人だけになる
<小草平から富士山方面を望む>
■萱場平
登るにつれて空腹感が強くなるが,我慢をして登り続ける.
9時04分,ようやく萱場平に到着する.例によって,ここで定点観測の写真を撮る.気温がどの程度か分からないが,萱場平付近の泥濘には,無数の足跡が凸凹のまま凍結している,
平坦道を通過して木の階段に差し掛かる.この辺りで私の前を歩いているNMさんとの距離が次第に広がり始める.私のシャリバテ症状は次第に強くなり,何となく気が抜けたような感じになり足に力が入らない.私はNMさんの後を付けるのを諦める.そして,この辺りから一人旅になる.情けないけれども,これが現実だ.
<萱場平>
■花立山荘
もうすぐ,後七分坂にさしかかるところで,次のバスで来られたNGさんに追い抜かれる.そして,悲しい一人旅が続く.
9時19分,やっと後七分坂に到着する.ここからの富士山の眺めを期待したがやっぱり富士山は雲の中.それでも諦めきれずに富士山が見えるはずの写真を撮る.
9時26分,花立山荘に到着する.辺りに人の気配はない.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間19分.何時もより10分近く余計に時間が掛かっているが,久々の登山なのでやむを得ない.小草平からの所要時間は43分.私の標準時間より3分余計に掛かっている.
シャリバテ気分がさらに酷くなる.
<後七分坂の下から富士山方面を望む>
■花立山で一服
花立山荘を過ぎてからは,さらに空腹感が増す.身体全体に力が入らない感じがますます強くなる.私は切りが良い花立山山頂で,何か腹に入れることにする.
気が抜けたフラフラ凧のような気分で,とにかく花立山を目指す.上空を見上げると幾分雲が目立つようになっている.富士山が見えないことを除けば,まあまあの見晴である.私は空腹感を紛らわせるために写真を撮りながら,ノソノソと登り続けて,9時37分にやっと花立山山頂に到着する.
花立山荘から花立山まで11分も掛かっている.私は花立山山頂でリュックを下ろす.そして,今朝コンビニで購入した煎餅の袋を開いて,煎餅を頬張る.煎餅を3~4枚食べると不思議なほど腹の虫が治まって,シャリバテ感がなくなる.
休み序でに,リュックから4本爪アイゼンを取り出して,登山靴に装着する.その間に,後ろから来たSSKさんに追い越される.
6分ほどの休憩を終えて,9時43分,花立山から歩き出す.
<花立山からの眺望>
←クリック
■凍結した登山道
花立山から先は,気象状況や路面の状態が一変する.
冷たい風が一層強くなる.足元の残雪が凍結していて,軽アイゼンなしで歩くのは少々危ない感じである.
歩く度に,軽アイゼンの刃がガリガリと音を立てて凍結した氷に食い込んでいる.
9時49分,ようやく金冷シを通過する.
周囲の木々の霧氷が日の光を浴びてキラキラと輝いている.こうなるとラップタイムなどクソ喰らえである.私は霧氷の写真を撮りまくる.
<金冷シ付近の霧氷>
■霧氷に魅せられる
山頂に近付くと,辺り一面が素晴らしい霧氷に覆われている.この冬,初めてお目に掛かる見事な霧氷である.私は時間が経つのを忘れて霧氷の写真を撮りまくる.
山頂直下の階段に差し掛かるところで,下山してくるMGさんとNMさんとすれ違う.いっそのこと私もお二人と一緒に,ここから下山しようかなとも思ったが,もうすぐ山頂なので,とにかくこのまま山頂まで行こうと思う.
<山頂付近の霧氷>
■塔ノ岳山頂
10時06分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温はマイナス10℃.冷たい風が吹いている.山頂には誰も居ない.多分,寒いので尊仏山荘に避難しているんだろう.
大倉からの所要時間は2時間59分.まあ3時間である.いやはや"何をか言わん哉”.ただただ自分の体力のなさに呆れるのみである.花立山荘からの所要時間は40分,金冷シからの所要時間は16分.通常であれば花立山荘から塔ノ岳山頂まで30分で歩けるところなので,やっぱり途中で食べ物を補給したり,アイゼンを装着したりなどで余計な時間が掛かっているのは自明である.
樹氷が綺麗なので尊仏山荘の裏手に廻っている.案の定,裏手の樹氷はなかなかの風景である.
私は寒いのを我慢して,山頂でオニギリ1個をほお張る.
<塔ノ岳山頂からの眺望>
■光る海
尊仏山荘には立ち寄らずに,10時14分,塔ノ岳山頂から下山開始.
下山口から眼下に日光を反射して光り輝く相模湾が見下ろせる.これも冬の風物詩である.寒いのを我慢して,暫くの間,立ち止まって,雄大な風景を楽しむ.
<光る海>
←クリック
■前半ユックリ途中から駆け足で下山
山頂直下で,登って来るHDさん,TZさんと次々にすれ違う.
10時29分,花立山を通過する.ちょうどそのとき,私より後から下山を開始したFTさんに追い抜かれる.
その後は,それこそ自分のペースで下り続ける.一人旅は寂しくもあるが気楽でもある.ときどき立ち止まっては写真を撮るというスタイルで下り続ける.
下山途中,登りの登山者と,時々,すれ違う.
11時33分,駒止茶屋を通過する.
"あれ~っ…! この調子だとひょっとすると12時22分発のバスに間に合うかな…"
11時55分,見晴小屋を通過する.
"急げ…!! 22分に間に合うぞ…"
早く帰宅しても,1分1秒を争うような仕事などないが,間に合うならば間に合わせたいと思うのが人情.私は見晴小屋から先は半ば駆け足で下り続ける.登りでは汗らしい汗はかかなかったが,下りで走り始めたので汗ビッショリになる.
急ぎに急いで,12時20分に,なんとか大倉に到着する.
下り所要時間は2時間06分.山頂付近でノンビリしすぎたのか,意外にユックリである.
12時22分のバスに乗り合わせた常連はFTさんだけ.私より前に下山していたNMさんとYDさんは11時52分のバスに乗車したのだろうか…
■無事帰宅
渋沢発12時48分小田原行急行電車に乗車する.小田原から東海道本線13時05分発東京行電車に乗り継ぐ.
車内で食べ残した昼食をユックリと食べる.そうこうしている内に電車は大船に到着する.大船でも冷たい風が吹いている.こんな日には一刻も早く帰宅するに限る.大船発14時05分のバスに乗車,14時12分に無事帰宅する.
暮れも押し迫っている.
先日,近くの病院に入院していた娘が療養を兼ねて我が家に滞在している.孫達2人もキンギョのウンコよろしく我が家に滞在中である.そのために結構雑用が増えて多忙だが,忙中閑ありで,若い孫達に接しているのも,気分が若返って良いものである.
私も3週間もブランクが空いた塔ノ岳往復も,無事,終えることができた.ラップには不満が残るものの…と,言うわけも”今日も良かった! 良かった”である.
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:32 観音茶屋
7:48 雑事場ノ平(7:49まで衣服調整)
7:52 見晴茶屋
8:22 駒止茶屋
8:43 堀山の家
9:26 花立山荘
9:37 花立山(9:43までアイゼン装着;軽食)
9:49 金冷シ
10:06 塔ノ岳 着(-10℃?)
10:14 〃 発
10:29 金冷シ
10:35 花立山(10:37までアイゼン脱着)
10:45 花立山荘
11:12 堀山の家
11:33 駒止茶屋
11:55 見晴茶屋
12:07 観音茶屋
12:20 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:07
塔ノ岳 着 10:06
(所要時間) 2 時間59 分(2.98h)
水平歩行速度 7.0km/2.98h=2.34km/h
登攀速度 1,269m/2.98h=425.8m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:14
大倉 着 12:20
(所要時間) 2時間06 分(2.10h)
水平歩行速度 7.0km/2.10h=3.33km/h
下降速度 1,269m/2.10h=604.3m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ecfb61684922480a56bb537bfa7740b5
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(なし)
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霧氷を楽みながら登る丹沢;塔ノ岳(今年57回目)
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