<馬の背付近の紅葉>
そろそろ紅葉し始めた丹沢;塔ノ岳(今年49回目)
(単独山行)
2014年10月1日(水) 曇一時霧雨
■今日の天気予報は余り良くない
今日から10月である.まさに“光陰矢の如し”である.書店の店頭には,早々と来年の日記帳が並び始めている.
今日も何時ものように,早朝3時に起床する.曇り空のためか大分気温が高いようである.天気予報は曇後夕方から雨,所によってで小雨がぱらつくとのこと.さて,丹沢へ出掛けようか,それとも大事を取って中止しようかと迷うが,“所によって”に塔ノ岳が入らないように願いながら,予定通り4時10分に自宅を出発する.
外は真っ暗.空一面に雲が垂れ込めているらしく,星は全く見えない.
“お天気…大丈夫かな”
と心配しながらも.自宅近くにある117段の階段を下って,宝積寺跡近くの道路に降りる.路傍の暗闇から,コーロギの啼き声が聞こえてくる.まさに“秋深し”である.
大船から小田原経由で小田急線渋沢駅に6時21分に到着する.駅前のコンコースから丹沢の山々を見渡す.山麓は良く見えているものの,雲が垂れ込めていて山頂は全く見えない.塔ノ岳山頂は濃い霧に覆われているに違いないと覚悟する.
大倉行バス乗り場でバスを待つ.私は前から3番目.先客の二人は,常連ではないが,如何にも山の猛者(もさ)という出で立ちである.
バス乗り場近くの柱の陰で,ストレッチをしながらバスを待つ.その内に下り電車が到着して,登山客がドヤドヤと列に加わる.でも,いくら今日が平日にしても,この行楽シーズンにしては,登山客は随分と少ないようで,バスは立ち席がいくらか出る程度の混雑である.
1番バスに乗り合わせた常連は,韋駄天のNMさん,三角髭のTDさん,SSKさん,NMさん,MTさん,編集長のYKさん.何時もお会いするTGさんはどういう訳か今日は姿を現さない.
■例によって歩き出しが辛い
バスは6時59分にバス停大倉に到着する.NMさん,MTさんは,すぐに塔ノ岳に向けて歩き出す.
三角髭のTDさんは,
「今日は二俣の方へ行きます…」
とのことで,私達とは別行動.
私は,なんとなくモタモタしていて出発が遅れる.
結局,7時06分にSSKさん,NMさんと一緒に大倉から歩き出す.
毎度のことながら,私は歩き出してから暫くの間は,なかなかリズムに乗った歩き方が出来ない.今日も歩き出しから克董窯を過ぎる辺りまで,お二人の歩行速度に合わせるのが少々シンドイ.
でも,多少無理をすればお二人に付いて行けないこともない.そこで,我慢しながらお二人に合わせて歩き続ける.
今にも降り出しそうな天気だが,足元は良く乾いていて歩き易い.丹沢ベースを過ぎる頃には,私もお二人のペースにも幾分馴れはじめる.
7時37分,観音茶屋を通過する.
久々にお会いしたお二人と雑談をしながら,歩き続ける.
雑談の内容が実に軽妙で,ユーモアに富んでいる.そのため話をしている内に,だんだんと気分も高揚,楽しくなってくる.“山”という共通の趣味を持つ方々との会話は実に楽しい.
■見晴階段
7時53分,見晴茶屋を通過する.
そして,このコース第一の関門,見晴階段に差し掛かる.私は階段を見上げて定点観測の写真を撮る.今日は.珍しく画面に登山者が入らない写真がとれる,
私は急な階段道を登るのは苦手.そこで,
「ここで頑張っちゃうと,後に響くので,マイペースで登ります.どうぞお先に…」
とSSKさんに先頭を譲る.
私は,SSKさんの後を,自分のペースで登り続ける.
でも,SSKさんの登攀速度も私と殆ど同じなので,結果的には,ほとんど同じ間隔を維持しながら見晴階段を登り終える.
モミジ坂に差し掛かる.
<見晴階段>
■駒止階段
モミジ坂も速からず遅からずの速度で登り続ける.
8時10分にようやく一本松に到着する.
すでに大倉を歩き出してから1時間04分経過している.私にもっと体力があった頃なら駒止茶屋を通過している時間である.
“一本松までで1時間をオーバーするなんて…情けない!”
自分の体力の衰えを慚愧に堪えない気持ちで心の中で嘆いている.
やがて,駒止階段に差し掛かる.相変わらずSSKさんのすぐ後ろを歩いている.珍しいことに私達の前方には全く登山者が居ない.
階段を7割ほど登ったところで,後ろから威勢良く登って来る中年の男性に追い抜かれる.
8時25分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間19分.ちょっと不甲斐ないラップだが,現実はこんなものなんだ.
駒止茶屋を通過して堀山の尾根道に差し掛かる.先ほど威勢良く私達を追い越していった男性が,ベンチで休憩をとている.その後,彼が私達に追い付くことはなかった.勝手に私達にフェイントを掛けて,自爆してしまったようである.だから山は亀のようにゆっくり登るに限る.
<急坂の駒止階段>
■堀山の尾根道
私達の前後には全く登山者が居ない.私達3人が堀山の尾根道を占有しているかのような錯覚に陥る.
やがて,富士山の展望が素晴らしい場所に到着する.勿論今日は曇り空.富士山など見える筈がない.でも,儀式だから,見えない富士山の写真を撮る.
8時34分,堀山の標識前を通過する.
この辺りから堀山の家の手前までの下り坂は,私としては全速力で下りたいところだが,今日は自重する.
8時42分,堀山の家に通過する.小草平のベンチには誰も居ない.
<堀山の尾根道>
■萱場平
堀山の家を通過して,いよいよ大倉尾根の核心部に入る.今日は42〜43分掛けてユックリと花立山荘までの坂道を登ろうと思う.
“ゴーイングマイウェー…マイぺースだぞ…”
と私は自分に言い聞かせる.
もし同行のお二人の登攀速度が速かったら,無理をして付いていくなということである.
9時04分,萱場平に到着する.
萱場平には人の姿はなく静まり返っている.そのまま通過.
<萱場平>
■花立山荘
相変わらず私達の前後には人影がなく,大倉尾根を3人で借り切ったような気分で登り続ける.
萱場平を通過する前後で霧雨が降り出したが,短時間で止む.
後七分坂(見晴階段)の手前の大岩の辺りで,下山してくるNMさんとすれ違う.NMさんは,相変わらずの俊足である.
9時17分,後七分坂に到着する.晴れていれば,ここからの富士山の眺望も良いが,今日はダメ.そのまま後七分坂を登り続ける.
9時25分,花立山荘に到着する.ということは後七分坂を8分掛けて登ったことになる.
相変わらず雲が立ちこめていて富士山は全く見えないままである.山荘前のベンチには登山者の姿はなく静まり返っている.
大倉を歩き出してから花立山荘までの所要時間は,2時間19分.やっぱり遅い.堀山の家からの所要時間は42分.こちらは今日の目標通りである.
<人の姿がなく静まり返った花立山荘>
■花立山
花立山荘を通過して花立山に向かう.花立山荘から先は,なおも暫く階段が続く.ここが結構シンドイ.
階段が漸く終わって花立山山頂近くのガレ場に差し掛かる.この辺りから霧が段々と深くなり始める,勿論,富士山は全く見えないままである.
花立山荘から,10分も掛けて,9時35分,漸く花立山山頂に到着する.ここまで登ると涼しい風が吹いている.この辺りの季節の進み方も,下界に比較すると,一段と早いようである.
何時ものように花立山山頂付近で数枚の写真を撮る.
<花立山山頂>
■馬の背付近の紅葉
花立山から痩せた尾根道に入る.
馬の背辺りでは,周囲の木々の紅葉が始まっている.この辺りの風景を見ていると,秋が一気に深まった感じがする.
すかさず数枚の写真を撮る.
<馬の背付近の紅葉>
■塔ノ岳山頂
9時39分,金冷シを通過する.
「ここまで来れば,山頂も近いし,気が楽ですね…」
などと雑談しながら,金冷シから最初の階段をユックリ登り続ける.相変わらず先頭はSSKさん.
今日は誰ともすれ違うことなしに,9時55分に塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は14℃.山頂はかなり深い霧に覆われている.
山頂には,登山者の姿は全くない.
富士山ももちろん全く見えない.
大倉からの所要時間は2時間49分.辛うじて2時間50分を切ったものの少々情けないラップである.花立山荘からは丁度30分,金冷シからは14分である.これらの数字はまあまあ.
これらの数字から,今日はペース配分が悪くて,山麓でモタモタしていたことが自明である.もっとも,歩きながらの実感では山麓の方がきつかったのに…
<霧の覆われた塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘の山猫
10日ぶりに尊仏山荘に入る.先客は同じバスに乗車していたMTさんだけ.小屋番はWDさん.
「ああ…疲れた! 死にそう…」
と大げさに,先着のMTさんに挨拶.これ本音.
「私もよ…」
とMTさんが,けろりとした調子で受け答える.
早速300円也のお茶を所望する.
フロアーには,山猫の華伊達美弥雄さん(みゃ〜君のこと)が居る.久々の再開である.
「元気かな…大分,痩せたな…大丈夫かい…」
と言いながら,美弥雄さんの頭を撫でる.
「(痩せたのは),この頃,食べる量が少なくなったんです」
とWDさんが言う.ネコ君,何だか一回り小さくなった感じがする.
この頃,すっかり人懐こくなった美弥雄さんは,頭を撫でると,「にゃあ…」と啼きながらすり寄ってくる.それにますます猫背になったような気がする.
“お前さんに会うと,気が和むよ…元気にしていなさい…”
<尊仏山荘のネコ>
■貸切状態の山荘
小屋番のWDさんによると,今日最初の客が私達のようである.山荘は.暫くの間,私達4人の貸切状態が続く.
10時過ぎに,どこからともなくNMさんが現れる.丹沢山方面まで足を延ばしていたとのこと.
暫くの間,和気あいあいの雑談.
MTさん,NMさん,SSKさんから菓子や果物のお裾分けを頂戴する.一人で塔ノ岳を往復する積もりだった私は,お裾分けするようなものは何も持っていない.心の中で赤面している.
“これからもっと注意しなければ…”
<尊仏山荘の客は疎ら>
■霧の中下山開始
10時48分頃,SSKさん,NMさん,MTさんと一緒に,塔ノ岳山頂から下山開始.NMさんは別ルートを下るとのことで,山頂でお別れする.
山頂付近はいささか寒い.早く暖かいところまで降りたいなと思う.たまたま先頭にいる私はどうしても速歩になってしまう.
“そう…重力に対して無駄な抵抗をしないからだ…”
小雨がポツポツと降り出す.雨具を着るほどの降りではないが,ちょっとイヤな感じである.
下ばかり見ながら,下り階段をトコトコト下り続ける.
途中で,MTさんが,
「ほら…あそこを見て…!」
と私を呼び止める.
MTさんが指さす方を見ると,大きな木の高い所に夥しい数のキノコが群生している.少し霧が掛かっていて,余り鮮明な写真は撮れないが,なるほど凄い.
「多分毒茸で食べられないでしょう…」
とどなたかが言っている.
11時07分,花立山を通過する.雨は何時の間にか止んでいる.
<群生するキノコ>
■堀山の家で一呼吸
11時15分,花立山荘に到着する.この時間になると,結構沢山の登山客がベンチで休憩を取っている.
花立山荘をそのまま通過して,後七分坂を5分で降りる.
ここからは暫くガレ場の下りが続く.ガレ場に入って程なく,下の方から2人の女性が登って来る.お一人の方の服装に仕草に,何となく見覚えがある.近付くとミルフォードトラックを一緒に歩いてから度々お会いするONさんである.
「来週,浅間山,よろしく…」
と私に挨拶する.
そういえば,浅間山登山が来週に迫っている.ONさんも一緒に浅間山に登ることになっている.
先日の御嶽山の噴火で,浅間山も少々気になるが安全第一をモットーにして,計画通りに実施したいなと思っている.
下山途中で,登って来る登山客から2回も,
「もう,下山するのか…今朝,登ったのか.」
と異口同音に聞かれる.速すぎる本当かとも言いたげな表情である.
それに対してMTさんが,
“山小屋で1時間近くユックリしていたのに…それでも速いなんて…”
と独り言を言っている.
11時30分,萱場平を通過する.
長い下り階段を歩いている間に,どうしても加速してしまう.後ろのお三方の話し声が少し遠くなり始める.
まあ,いいや…堀山の家まで先に降りてしまおう…ということでマイ速度で降り続け,11時43分に堀山の家に到着する.
3分ほどすると3人も堀山の家に到着する.
11時46分,一同揃って堀山の家から歩き出す.今度はSSKさんに先頭になって貰う.
相変わらす深い霧が立ちこめている.
標高が下がるにつれて,幾分蒸し暑くなるが,霧に覆われた木々の緑の下を気分良く歩き続ける.
<堀山の尾根道は霧の中>
■無事大倉へ下山
12時25分,見晴茶屋に到着する.
「一休みしますか…」
とSSKさんが提案する.
勿論,異論はない.
山荘前のベンチに座り込んで7分ほど休憩を取る.
12時32分,見晴茶屋を出発.これから先は,急坂の下りもなく,ノンビリとした散策コースである.ホッとした気分で下り続ける.
13時10分,無事,バス停大倉に下山する.
下りの所要時間は,休憩時間を含めて2時間22分であった.
大倉発12時22分のバスに乗車する.まだ速い時間なのでバスは空いている.
■無事帰宅
バスは順調に走って13時34分に渋沢に到着する.
“おっ…これなら13時36分の電車に間に合うぞ…”
私は同行の方々へ挨拶もせずにバスから下車,駅の階段を走って登り下りして,電車に駆け込む.息ハアハア.
小田原発では,14時04分の特別快速小田原行に駆け込み乗車する.所が,折角の電車も1〜2分遅延する.それならば駆け込む必要はなかった.でも大船に到着するときは,ほぼ定時に回復している.
また雨が降り始めた.そうなるといくら物好きの私でも大船駅から自宅まで歩いて帰る気はしない.バスを利用することにする.
15時過ぎに無事帰宅.
留守中に,先日注文した『善光寺街道マップ』が届いている.できれば,10月中頃までに善光寺街道の下調べを終えたいなと思っている.でもその前に今月末に開催予定の水彩画を仕上げてしまわなければ…でもその前に浅間山周遊の旅があるぞ.
“こりゃあ…困った! 忙しすぎるな”
私は思わず頭を抱える.でも,
“忙中閑あり…まあ,何とかなるだろう…”
という訳で,今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し
7:37 観音茶屋
7:53 見晴茶屋
8:25 駒止茶屋
8:42 堀山の家
9:25 花立山荘
9:55 塔ノ岳 着(14℃)
10:48 〃 発
11:02 金冷シ
11:15 花立山荘
11:43 堀山の家(11:46まで休憩)
12:02 駒止茶屋
12:25 見晴茶屋(12:32まで休憩)
12:49 観音茶屋
13:10 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:55
(所要時間) 2 時間49(2.82h)
水平歩行速度 7.0km/2.82h=2.48km/h
登攀速度 1,269m/2.82h=450.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:48
大倉 着 12:20
(所要時間) 2時間22 分(2.37h)
水平歩行速度 7.0km/2.37h=2.95km/h
下降速度 1,269m/2.37h=535.4m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
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「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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そろそろ紅葉し始めた丹沢;塔ノ岳(今年49回目)
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