<荒涼とした平原>
オーストリアの山旅:第4日目(2);シュラードミング(6);
幾つもの雪渓を越えて
(アルパインツアー)
2014年6月26日(木)〜7月7日(日)
前の記事
↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fd5ff143e1b54fd66a215b81d304a5f
第4日目;2014年6月29日(木) (つづき)
<ルート地図>
<プロフィールマップ>
※これらの地図は筆者が勝手に作ったもので,アルパイン社とは無関係です.
また正確さは全く保証しません.
<エゼルシュタイン山の山麓>
■なだらかな起伏が続くプラトー
6時53分にグッテンベルクハウス小屋から歩き出した私たちは,一旦,昨日通った登山道を峠まで戻る.この峠が今日のトレッキングの出発点である.グッテンベルクハウス小屋から急坂を下った後,ジグザグの急坂を登り返す.途中に雪渓のトラバース道も通って,7時10分に峠(標高2,198メートル)に到着する.
今日も現地ガイドのWGさんが先頭である.WGさんは,無言のまま峠を通過する.私は後ろから,地図を眺めながら.
「この辺りが,昨日通った峠ですね…ここからが今日の新しい道ですね」
と念を押す.すると,WGさんは,当然でしょうというような調子で,
「そうですよ…」
と答える.
私たちは三角錐の形をした山を左手に眺めながら,緩やかな登り坂を歩き続ける.事前にアルパイン社から頂戴した地図に記載されている登山ルートとは明らかに違うようである.
地図で,左手の三角形の山を確かめると,どうやらエゼルシュタイン山(標高2,556メートル)のようである(間違っているかもしれない).
<分岐を通過して,なだらかな上り坂に入る>
■雪渓を渡る
岩稜のトラバース道を進む.山襞の部分には雪渓がある.数え切れないほどの雪渓を渡りながら,西に向かって歩き続ける.
気温がどの程度か分からないが,暑くもなく寒くもなく心地がよい.
ノーアイゼンで幾つのも雪渓を渡る.ときには登り坂の雪渓もある.そんなときは前の人の足跡を辿るのが一番だが,先頭を行くWGさんは大男である.ちんちくりんな私と較べたら足の長さは倍はありそうである.彼は一生懸命短いステップにするよう努力してくれるのさが,それでも私には歩幅が長過ぎる.仕方なく,キックステップで雪に蹴り込みながら登る.
そんなことを繰り返しながら,緩やかな上り下りが連続するプラトーを歩き続ける.
<雪渓を幾つも渡る>
■小高い岩塊の側で休憩
7時44分,2箇所の雪渓を渡ったところで休憩を取る.標高2,260メートル地点である.
休憩場所の直ぐ近くに小さな岩塊があるので,登って見る.辺りは岩だらけの荒涼とした台地が広がっているのが見える(冒頭の写真).
<小高い台地に登って見る>
■三角錐の形をした素晴らしい山
小高い岩塊の上から,三角錐の形をした素晴らしい山が見える.威風堂々の山である.地図で改めて確かめ,多分,エゼルシュタイン山であろうと思う.
私たちは暫くの間,この山の山麓を歩くことになる.
<エゼルシュタイン山()勇姿>
<難所に差し掛かる>
■大きな雪渓
7時54分,休憩を終えて歩き出す.
行く手には,大きな雪渓を次から次へと渡る.その度ごとに,結構,緊張を強いられる.私は,
“こんなに雪渓があるとは思わなかった…”
これが私の率直な感想である.
<次から次へと雪渓を渡る>
■至る所に雪渓
登山道の廻りには雄大な風景が広がっている.もう夏だというのに至る所に残雪がある.季節が早春の頃に逆戻りしたような感じがする.
<至る所に雪渓>
■岩陰で休憩
8時47分,大きな岩山の山麓,標高2,160メートル地点で休憩を取る.
寒い.なるべく風が当たらないところを選んで腰を下ろす.辺りには樹木は全くなく,雑草がへばり付くように生えているだけである.見渡す限り荒涼とした岩山である.
<岩陰で休憩>
■前方は険しい岩稜だ
休憩を取りながら,前方を見上げる.残雪の尖鋒が見えている.WGさんが,
「あそこに見えているコルを目指して登ります…特に登山道はありません.氷河の上の歩き易い場所を選んで歩きます…」
と言う.
これを聞いて,どんなところを登るんだろうと,ちょっと心配になる.
<目指すコルが見えている>
■岩稜の尾根道
8時55分,休憩を終えて歩き出す.
いよいよこれからが本日の山行の核心部になる.やや急な勾配のガレ場が連続したかと思うと,何回も何回も雪渓を渡る.
WGさんの話によると,この先は道標がなくなるので,氷河の上を歩き易い場所を選んで登るとのことである.
9時47分,標高2,200メートル地点で休憩を取る.進行方向左手には深い谷間が見えている.辺りの風景は,今までの平原のような地形から険しい山の地形に変わっている.
休憩を取っている間も冷たい風が吹き抜けていく.
<標高2,200メートル地点で休憩>
■これからが難所
休憩を終えて,9時58分に歩き出す.これから先約400メートルの登り坂が連続するとWGさんがいう.
「…この辺りが時間的にはちょうど真ん中ぐらいです…」
とWGさんが事も無げに言う.
暫くの間岩稜伝いに登る.素人眼には,次第にどこが登山道か良く分からなくなる.なるほど,これからが難所のようである.
<だんだんとはっきりしない登山道になっていく>
<シュラードミング氷河を登る>
■目の前に大雪渓
雪渓渡りが連続する.
時々,WGさんが立ち止まって,
「さて,どっちへ行きましょうか…」
と独り言のようなことを言う.
10時19分,目の前に大雪渓が広がる.
WGさんが,
「ここを真っ直ぐ登りましょう…」
と私たちに宣言する.
雪渓を見上げるが,上の方は雲に覆われていて,この雪渓が何処まで続いているのか良く分からない.
ここは雄大なシュラードミング氷河の上に雪が降り積もってできた雪渓である.かなりの急勾配だが,ノーアイゼンで登り始める.終始キックステップを強いられるので,次第に疲労感が増してくる.
先頭は勿論WGさん.その後に2人の女性が続く.偶然,私はこの2人の女性の後に付いていたが,皆さんの登攀速度が結構速いので,遅れないように付いていくのが大変である.
<これから直登する大雪渓>
■リフトのある雪渓を横断
雪渓を苦労して登って,10時27分,リフトが見える岩稜に辿り着く.正直,疲労困憊気味.
WGさんが辺りを見回してから,
「この雪渓を横断しましょう…」
と,ことも無げに言う.
“また,雪渓を横断するの…雪渓はもうウンザリだよ”
と内心では思わなくもないが,WGさんの後に付いて雪渓を横断する.
<リフトのある雪渓を横断する>
<やっとコルに到着だ>
■コルが見え出す
10時56分,前方にコルがはっきりと見え出す.あそこに本日の終点,リフト頂上駅がある筈である.いま立っている場所の標高は2,420メートルである,
「ちょっと休憩しましょう…」
とWGさんが言う.
<リフトと小屋の頭が見える>
■コルを見上げながら休憩
私たちは,本日の終点であるリフト頂上駅を見上げながら休憩を取る.
「…あと,もう少しだ…」
これは率直に嬉しい…が,見えてはいるもののコルはまだまだ先である.
それにしても予想外の雪渓登りも,終わりに近付くと確かに面白かったなと思う.
なお,直ぐ近くに通っているリフトは,スキーを履いていないと乗れないとのことである.
<コルを見上げるWGさん>
■最後の休憩
休憩を終えて11時05分にまた雪渓を登り始める.
ここからまた雪渓の直登が始まる.相変わらず先頭の速度が速いのでなかなか付いて行くのが大変である.
この様子を写真に納めたかったが,デジカメの電池が急に終わりになってしまう,リュックから新しい電池を出して取り替える時間がないので,暫くの間は,写真を撮ることができないのが残念である.
標高2,540メートル地点で,11時27分から38分まで休憩を取る.
休憩時間にデジカメの電池を取り替える.
11時38分,休憩を終えて歩き出す.
■ケーブル山頂駅に到着
コルに近付くと登り傾斜が緩くなる.残雪の上には沢山の足跡が残っている.どうやら,ケーブルを使って,ここまで遊びに来る人が多いようである.
足跡が一杯残っている残雪を踏んで,12時10分にケーブル山頂駅(標高2,687メートル)に到着する.
山頂駅の入口は天井付きのエスカレーターである.
大自然の中を歩いていたのに,いきなり文明の利器に出くわしたので,いささか戸惑う.
いずれにしても,本日のトレッキングはここで終わりである.
私たちはこれからケーブル頂上駅構内のレストランで昼食を摂ってから,ケーブルと専用車を使って山麓のシュラードミングまで移動する予定である.
<ケーブル山頂駅に到着>
次の記事
↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2daf5f69c87f1480ced1808076a816bf
「オーストリア山岳トレッキング」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/057c1f13884ed3e55ed78019294833dd
「オーストリア山岳トレッキング」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7cbebff6666c1ee86eab07561e3cf5ad
【お願い】
このブログ記事は仲間内の連絡を目的に記述している私的なものです.正確さは全く保証しません.また,誤字,脱字.転換ミスなどを目障りに感じられる方が居られましたら,どうぞ当ブログへのアクセスはご遠慮下さい.
↧
オーストリアの山旅:第4日目(2);シュラードミング(6);幾つもの雪渓を越えて
↧