<ウィーン国際空港>
オーストリアの山旅:第1日目(2);オーストリア航空でウイーンへ
(アルパインツアー)
2014年6月26日(木)〜7月7日(日)
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第1日目;2014年6月26日(月) つづき
<ルート地図>
注1.地図は,"Pocket miniatlas"BARTHOLOMEW,pp.92-93 より引用
注2.飛行距離はオーストリア航空機内誌"skylines"より引用
<東京(成田)空港を離陸>
■ボーディング
ツアーリーダーのYDさんの先導で,私たちは搭乗手続,出国審査,セキュリティチェックなどの一連の手続きを終える.最近になってから,ますますセキュリティチェックが厳しくなっているような木がする.とにかく液体ものは殆ど機内持込禁止である.チョッキを脱ぎ,ズボンのベルトを外して,恐る恐るゲートを潜る.
チェックの所要時間は人によってかなりバラバラだが,程なく全員無事にセキュリティチェックを済ませる.
ホッとした気分のまま,YDさんに促されるようにして41番搭乗口を目指す.長い長い廊下.廊下の中央にある水平エスカレーター(本当の名前,ド忘れ)を何本も乗り継いで41番搭乗口に到着する.
ほどなくボーディング開始.
10時43分,私たちエコノミークラスの惨めな乗客も流れに乗って搭乗する.飛行機の入口では福からソックスまでまっ赤な服装のアテンダントが私たちを出迎える.
私の席は35D.飛行機の入口で日経新聞を貰ってから,ズ〜ッと後ろの方の自席を目指す.
ツアー参加者全員の席はバラバラ.でもツアーリーダーの配慮か,全員の席が通路側である.長旅になるので通路側の席はありがたい.
進行方向に向かって,私の右隣には2人の若い女性が座っている.態度物腰からどうやら日本人ではなさそうである.
”まあ,どこの国の人出もいいや…面倒だから話しかけられるまで,知らんぷりしていよう…”
人見知りする田舎者の私は,むやみに知らない人と話をするのが億劫である.
いよいよ,東京(成田)からウィーンまで,9,120キロメートルの大飛行が始まる.
■まずは冷たい飲み物サービス
飛行機が水平飛行に入ると,機内が次第に寒くなる.昨夜来,少々風邪気味の私は,大事を取って備え付けの毛布を肩にに羽織って寒さを凌ぐ.
12時頃,冷たい飲み物のサービスが始まる.大半の乗客はビールかワインを所望するが,下戸である私は残念ながらコーラで我慢する.私の隣の席に座っている日本人に似た2人の女性も赤ワインを飲んでいる.
私は,コーラを飲みながら,目の前にあるスクリーンを弄ってみる.1分ほどスクリーンにデタラメなタッチをしている内に,スクリーンの操作方法が,何となく分かってくる.どうやらこのスクリーンで映画,ビデオ,各種の音楽,ゲームなどを楽しむことができそうである.
<スナック> <コーラ>
<ランチ,そして退屈な時間>
■ランチ
あれこれとスクリーンを弄っている内に,昼食の時間が来たようである.車内アナウンスで,昼食はビーフとチキンの2種類あるけれども,数に限りがあるので希望に添えないこともあると言っている.これまでの乏しい経験では,日本人が多いフライトでは,ビーフが100パーセント先になくなる.食事は前の方の席から順次後ろに配られる.ということは,最後尾に近い私の席では,ビーフはないだろうと予想する.私にとっては,ビーフだろうがポークだろうが,どうせ好き嫌いはない.だから,どうでもいいが…
12時12分,後部座席に座っている私にも,やっと昼食が配られる.案の定,ビーフはもう無くなっている.特段にビーフを食べたいとは思っていないが,選択の余地がないことが少し気に入らない…が,これも致し方ないだろう.
キャビンアテンダントからワインはいかがと聞かれたが,トマトジュースを所望する.
<昼食> <トマトジュース>
■退屈な時間
13時20分,昼食を終える.
とにかく暇である.私はビデオをあちこちチラリ見してから,世界遺産富士山のビデオを,それとなく眺め始める.吉田口を1合目から登るという設定のビデオである.
これまで,私は数回富士山に登っているが,最後に登ってから,早,数年も経っている.ビデオは富士山とその周辺の観光スポットを紹介する内容である.ところどころに見覚えのある場所が映っているので,実に懐かしい.
14時20分,飛行機は満州北方を飛んでいる.高度10,975メートルである.
”う〜ん…,飽きてきたな,でもまだまだ遠いな…”
とため息.
■ウィーンまで,まだ8時間以上もある
気怠い時間を過ごしている内に,15時を過ぎる.スクリーンを変えてフライト状況を見ると,飛行機は高度10,970メートルのところを時速801キロメートルの速度で飛んでいる.外気温はマイナス51℃.とんでもないほどの極寒のなかを飛んでいる.目的のウィーンまでの所要時間は約8時間14分.まだまだガッカリするほど先が長い.
暇潰しにアルプスの紹介フィルムを見る.暇潰しである.実に退屈.
さらに退屈しのぎに,「世界最大の気球に乗って」というビデオを見る…が,ナレーションがドイツ語なのでサッパリ分からない.
その後も,座席に座ったまま,ゴソゴソしながら時間が過ぎ去るのをひたすら待ち続ける.
<まだ8時間以上のフライトがある> <ピーナッツ>
<映画やビデオで暇潰し>
■まずは「日本ウルトラジョギング」
15時10分,題名につられてビデオ「日本ウルトラジョギング」を見始める.某有名なタレントが九州延岡付近をジョギングしている.興味深く見ていると,九州の中だけで記録は終わりになっている.
続いて映画「ロボコック」にチャンネルを合わせる.ナレーションはドイツ語.英語のテロップが流れるが,半分も読まないうちに消えてしまう.何だか追っかけられているようなせわしなさを感じるのですぐに見るのを止める.
15時50分,キャビンアテンダントが水を配り始める.
”そう言えば喉が渇いているな…”
と改めて感じる.お水を美味しく頂く.
ちょうどこのとき,飛行機は気流の悪いところに入ったらしく,ガタガタと上下に揺れ始める.不気味だ.飛行機は,まだ,シベリア上空を飛んでいる.外気温はマイナス56℃.飛んでもない寒さだ.
そのうちに何となく眠くなる.成り行きに任せて,30分ほどうたた寝である.
■ビデオ「山形の和太鼓」
トマトジュースを飲みながら,ビデオ「一音入魂」を見る.
発達障害のある子供達に和太鼓を通じて達成感を実感させる感動的なビデオである.このビデオに出てくる合い言葉;
”やってやれないことはない”
”やらずにできるわけがない”
に感動する.このビデオに出てくる素晴らしい指導者に拍手!
15時15分,キャビンアテンダントから,バターピーナッツとトマトジュースを頂く.
■エベレスト登頂記録
チャンネルを弄っている内に,ヒラリーとテンシンのエベレスト登頂記録映画があるのに気がつく.早速,この映画に見入る.ナレーションは英語なので,多少は理解できる.
この映画,見始めるとすぐに引き込まれてしまう.
氷河の巨大なクレパスを渡ったり,垂直な岩を苦労して登ったりの姿にすっかり感激してしまう.
それにしても,この映画に出てくる登山用品や装備品は大変な年代物である.前爪がなく,鉄の丸棒を折り曲げただけの8本爪アイゼン,ザイルはどうやら麻製(1950年代にはナイロンなど無かった),帆布製のテントは水を含んで重そうだ.それにカラビナもない.ハーネスもなくザイルを直に腰に巻き付けている.勿論,ピッケルの柄は木製である.着衣は勿論今のように水はけが良くて保温性に優れたものではない.ベースキャンプとの通信手段も全くない(当時の電子器機は真空管だった).
”いやはや,こんな貧弱な装備で,よくもまあ,エベレストまで登ったな…”
私は感激すること一入(ひとしお)である.この映画を続けて2回も見てしまった.そして,改めてヒラリーとテンシンの偉大さに感服した.
<エベレスト山頂> <エベレスト山頂からの眺望>
■今度は音楽だ
映画やテレビばかり見ていると眼がチカチカと疲れてくる.
”これはまずいぞ…”
私は,しばらくの間,眼を休めることにする.
そこで,今度は音楽のチャンネルを開いてみる.色々なジャンルの録音が用意されている.本当はこれからウィーンへ行くので,ワルツを聞きたかったが,残念ながらワルツはなさそうである.
"ドンチャカ音楽は好かん…ならば,クラシックだ…”
ということで,碌すっぽ分かりもしないのにモーツアルトのバイオリン協奏曲KV207,211,216などをぶっ通しで聞き惚れる.
…と,記述するとエラソーに見えるが,私には音楽のことなど,からっきし分からない.ただ聞いていると気分が落ち着いたり,高揚するから聞いているだけだ.本当はフィガロの結婚序曲やアイネクライネナハトムジークなどポピュラーな曲を聴きたかったが,残念ながら,この飛行機のオーディオには収録されていない.
<いよいよウィーン国際空港>
■まだまだウィーンは先だな…
何となく音楽を聴いている内に,19時28分になる.スクリーンには,「ウィーンまで後3時間43分」の表示が出る.大分来たなという気持ちと,まだ3時間43分もあるのという気持ちが激しく交差する.
私は,引き続き,今春の録音である"New Year Consert,2014"のアルバムを開く.
19時54分,時計の針を7時間遅らせて,ウィーン時間に合わせる.今の時期,ウィーンは夏時間なので,日本との時差はマイナス7時間である.したがって,日本時間の19時54分は,ウィーン時間の12時54分である.
ここから先は,ウィーン時間で記録することにしよう.
<日本時間で19時41分,飛行機はスカンジナビア半島北方を飛んでいる>
■軽食
私は,またしばらくの間,うたた寝をする.その後も小刻みにうたた寝を繰り返す.
14時34分(日本時間で21時34分),軽食が配られる.例により三角形のトレーに,グラタン,トマトが入っている.その上の小さな三角形の器にはクッキーが入っている.
同時に配られたコーヒーを飲みながら,食事をする.
<軽食> <コーヒー>
■ウィーン国際空港に到着
14時55分,軽食を終える.
ウィーンまで後1時間14分のフライトである.何となく先が見えた感じになる.スクリーンが突然真っ暗になり,変なオッサンの顔が画面一杯に映っている.
"おや…! 汚たねーオヤジだな.引っ込んでろ…"
と思いながら,スクリーンを良く見ると,自分の顔が写っている.
"なんだよ…オレか!"
私は己の顔の無様さにガッカリする.
15時35分,ドイツ語,英語,日本語の順に,
「…後30分前後でウィーン国際空港に到着します.ウィーンの天候は曇,気温21℃です…ファッスンユアシートベルト…」
というアナウンスがある.飛行機は次第に高度を下げる.
16時09分,飛行機は,無事,ウィーン国際空港に着陸する.
16時15分,ディッセンバーグ.
ウィーン国際空港の第一印象は,駐機している飛行機が少なくて,だだっ広い空港だということである.
<ウィーン空港に到着>
■入国審査
16時35分,入国審査を済ませる.窓口の女性が"ブスッ”とした顔で,無表情のまま,パスポートに一環を押して,放り出すようにパスポートを私に返す.私は内心で.
"おお…怖わっ!"
と思う.
入国審査を終えた私たちは,国内線ターミナルへ移動する.
途中,冷たい飲み物の自動販売機を覗いてみる.日本では160円で売っているコーラが2.5ユーロ(約360円)もする.
"昨年訪れたノルウェー同様に,オーストリアも随分物価が高いな…"
というのが,私のオーストリアの第一印象である.
<自動販売機>
(つづく)
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