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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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蒸し暑い尾根道に苦労する丹沢:塔ノ岳(今年25回目)

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                          <堀山の尾根の見事な松>

  蒸し暑い尾根道に苦労する丹沢:塔ノ岳(今年25回目)
          (単独山行)
     2013年5月16日(木)  晴・湧き雲・夕方雨

■朝からモリソバ
 月曜日に丹沢主脈を縦走してから,もう3日目を迎える.そろそろ塔ノ岳を往復しなければ足腰が弱りそうな気がする.今度の土日は予定があるので,もし,塔ノ岳に出掛けるなら,今日しかない.
 どうせ年寄りの早起きで,今朝も3時半に目が覚めている.
 “ならば,行こう…”
ということで,何時ものように5時10分に家を出る.
 天気予報では,夕方から雨らしい.帰りが余り遅くならないようにしなければ…
 今日も気温が高そうである.まだ5時だというのに,外気は20℃を超えている.早起きの雀たちの啼き声を聞きながら,モノレールの最寄りの駅へ急ぐ.
 “早起きは三文の得”
というが,今日,早起きして何か得をしたのかな?
 大船駅のホームで電車を待っていると,私が乗る電車よりちょっと早く横須賀線上り電車が入線してくる.この電車がポイントを通過する音が,何時もは,
 “アサメシ タベタカ,アサメシ タベタカ,・・・”
と聞こえるが,今日は,
 “モリソバ タベタカ,モリソバ タベタカ,・・・”
に聞こえてくる.
 “朝飯は食べたけど,モリソバは食べていないよ…”
と私は電車に返事をする.
 「バカだな.オマエは…」
と,私の心の中のもう一人の私が呆れている.
 今日も小田原の階段2段跳び乗換を,何とかクリアー.
 渋沢駅から大倉行1番バスに乗車するが,随分と空いている.乗り合わせたご常連は編集長を含めて,わずかに3人だけ.

■セカセカ歩きは馬鹿馬鹿しい
 7時06分に大倉から歩き出す.歩き出してすぐに編集長に追い付く.登山口までご一緒したが,それ以降は一人旅である.大倉の気温は舗装道路の余熱があるためか22℃と高い.こうなると,やっぱり熱射病が気になる.
 今日は,滅多にない一人旅なので,できるだけ汗をかかないでユックリ登ってみようと思う.
 実は,去る月曜日の丹沢主脈を歩いてから,一寸ばかり,心境が変化している.
 …と,言うのも,丹沢山から蛭ヶ岳に掛けての素晴らしい尾根道を歩いている内に,所要時間ばかり気にしてセカセカ歩くのが馬鹿馬鹿しくなった.もっとユックリ,自然を堪能しながら悠然と歩く.これこそ,本当の山旅ではないか.こんな当たり前のことを,遅まきながら,やっと今になって再認識した.
 ところで,今日の登山道は,適度に乾いているので,歩き易い.これは大助かりである.
 汗をかかないように歩くといっても,今日のように,朝から気温が22℃もあると,どうしても汗ばんでくる.
 “しょうがないな〜ぁ…”
と思いながらも.極力汗をかかないように注意することにしよう.
 7時47分,雑事場ノ平で尾根道に出る.尾根道に出た途端,涼しいそよ風が海の方から吹いてくる.丁度お湯が入ったヤカンの中に閉じ込められ,暑くと困っているときに,ヤカンの蓋を開けて貰ったときのような,爽快感を感じる.
 勿論,私はヤカンの中に閉じ込められたなんていう経験はないが…

■見晴階段
 7時49分,見晴山荘を通過する.
 見晴階段に差し掛かったところで,何時ものように階段を見上げた写真を撮る.階段の遙か上の方に1人の登山者の後ろ姿が見えるが,その方以外に私の前後に誰も居ない.
 これはラッキーである.もし射程距離に登山者が居れば,追い越したくなるし,後ろから誰かに追い越されれば,それなりに腹が立つ.私は,何時も悟ったようなことを言っているが,実は何時もこんな些細なことで心が動揺し続けている.この動揺をいかにして押さえるかが,私にとって結構厄介な問題である.

<見晴階段>

■ご常連から元気を貰う
 8時21分,ご常連のKさんが満面の笑みを浮かべながら下ってくる.
 Kさんは,両手を挙げて,
 「やあ,やあ,…」
 何時ものように固い握手.
 「…何時もと曜日が違うんじゃない?」
とKさんが言う.つまり今日は木曜日.私が何時も登っているのは水曜日.だから何時もと違うとの指摘である.
 「今日の山頂は10℃.富士山が見えましたよ.風もなく裸になっても気持ちいい気温ですよ…」
 私はKさんから元気を貰う.だから,Kさんと,すれ違うのを楽しみにしている.ちょっとの間,立ち話をする.そして,カメラを取り出して,ツーショットを写す.だだ,ブログへの掲載をお願いするのを忘れたので,Kさんの笑顔を紹介することができない.残念.

■堀山の尾根
 私は意識してユックリ歩きつづける.特に駒止階段は息が切れないように,そして,流れるような汗をかかないように,絶えず意識しながら登り続ける.
 8時25分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから1時間19分経過している.
 続いて堀山の尾根に入る.
 今日はうっすらと霧が掛かっていて,富士山は全く見えないが,儀式を頑固に守りたい私は,見えない富士山の写真を撮る.
 私が写真を撮りながらモタモタしている.丁度そのとき,バスで一緒だった常連の女性が,お友達と一緒に,私に追い付く.成り行きで,ここから堀山の家まで,3人が縦列になって歩く.
 8時43分,堀山の家に到着する.お二人は小草平のベンチで休憩を取るという.私は自分のペースを維持したまま登り続けたいので,そのまま先に行かせてもらう.
 一人で静かに登山道を登っていると,近くの森からツツドリの啼き声が絶え間なく聞こえてくる.これも初夏を思わせる風物詩の一コマである.

<堀山の尾根から見えない富士山を撮る>

■シーチキンと啼く小鳥
 相変わらず私の前後には誰も居ない.全くの一人旅である.私は息苦しくならないように極力セーブしながら登り続ける.
 周囲の森からは,相変わらず,
 “ボ〜,ボ〜,…”
というツツドリの啼き声が聞こえてくる.
 ツツドリの啼き声に混ざって,
 “シー チキン,シー チキン…”
という可愛い啼き声も聞こえてくる.
 啼き声からして,多分,小鳥ではないかと思う.それにしても,鳥の鳴き声までも食べ物の名前に聞こえてしまうとは…私もかなり食べ物に卑しいのかも知れない.
 9時05分,萱場平を通過する.

<萱場平>

■ど根性アザミ
 萱場平の木道の間に繁茂するアザミが,やっぱり気になる.少しずつだが,日が経つにつれて,だんだんと大きくなってくるのが頼もしい.
 このアザミ,厳しい冬の間は,ほとんど跡形もないほどに枯れているのに,こうしてまた見事に蘇っている.
 “お前さん,本当に凄いな…”
 私は,このアザミから毎回勇気をもらっている.

<ど根性アザミ>

■花立山荘
 遅ればせながら,9時19分,後7分坂に差し掛かる.
 堀山の家で休憩を取っていたお二人の女性が私に追い付く.
 「どうぞお先に…」
とお二人に先頭を譲るが,私が登っている速度が丁度良いと言うことで,私の後ろに付く.
 そうなると,私はどうも後ろが気になっしまい,ペースが乱れそうになる.でも,頑固にスローぺースを守って,9時26分に花立山荘に到着する.結果的には後7分坂を7分で登ったことになる.
 大倉からの所要時間は2時間20分.
 “それにしても随分とユックリだったな”
と自分でも呆れる.
 呆れながら,
 “お前さん,ラップタイムなど気にせずに,自然を楽しみながらユックリ登るって言っていたじゃないか”
と反省.でも,なかなか思うように自分の気持ちをコントロールすることができない.
 ちなみに堀山の家からの所要時間は44分.私の標準時間40分より4分遅い.でも,まあ,これが夏バーションというものだ.
 花立山荘付近は丁度雲の中に入っているらしく,周囲の風景は全く見えない.山荘前の広場には,人の気配はなく静まり返っている.

<花立山荘>

■花立山
 私の後ろから付いてきたお二人は,花立山荘のベンチで休憩を取るようである.
 私はマイペースを維持したいので,そのまま花立山に向けて登り続ける.これまでユックリペースで登ってきたので,体力は十分に温存されている.そのため,ここから先の登りは,いつもよりかなり楽に感じる.
 何時もは花立山荘から花立山山頂まで9〜10分掛かっているが,今日はなんとなく8分で登り切る.たった1〜2分速いだけだが,この差は大きい.
 花立山山頂は相変わらず雲の中.雲の切れ目から.隣の尾根の山肌が見えるだけ.富士山も南アルプスもすべて雲の中である.

<花立山からの眺望>

■新緑が美しい鍋割山稜
 馬の背付近に差し掛かると,雲の上に出たのか,鍋割山稜が良く見えるようになる.つい先日までは,稜線は冬枯れのままだったが,今日は稜線まで新緑に覆われている.
 新緑の美しさを愛でながら,9時40分に金冷シを通過する.

<鍋割山稜>

■塔ノ岳山頂
 金冷シから先は至って快調である.
 9時54分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間48分.花立山荘から28分である.
 山頂の気温は10℃.無風なので寒くはない.周囲は薄い雲に覆われていて,周囲の山は殆ど見えない.
 山頂には2〜3人の登山者が居るだけで,至って静かである.




<塔ノ岳山頂>

■尊仏山荘
 山頂での儀式を終えて,尊仏山荘に入る.先客は誰も居ない.
 今日の小屋番はW田さん.
 「FHさんが,(今日の)1番早いお客さんです…」
という.そういえば今日は錚々たるご常連は不在.そんなわけで,この鈍足の私が奇しくも一番乗りの栄誉を頂戴する.
 例によって,300円也のお茶を所望する.
 一息入れたところで,W田さんが2階に居る華伊達美弥雄さん(ネコのこと)を呼んでくれる.
 W田さんは,階段を少し登って,
 「ミャ〜や,降りておいで!」
と声を掛ける.すると,
 「にゃ〜ん…」
と澄んだ可愛い声で啼きながら美弥雄さんがトコトコと階段を降りてくる.そして,バケツに顔を突っ込んで,ピチャピチャと音を立てながら水を飲む.
 この仕草が何とも可愛い.
 「ネコちゃん,もう13歳になりましたっけ?」
とW田さんに伺う.
 「(このネコ)2月生まれなので,もう13歳になりましたよ…」
 俗にドッグイヤー1年が人間の7年にあたるという.イヌとネコとでは換算レートが違うかも知れないが,仮にキャットイヤー1年が人間の7年に相当するとすれば,
   13(歳)×7=91(歳)
このネコちゃん,人間なら91歳のご高齢ということになる.私は,
 「おい…お前さん,元気で長生きしなよ」
と言いながら,ネコの頭を撫でる.



<華伊達美弥雄さん>

■追われるように…
 10時を少し廻った頃,いきなり10人余りの登山客がドヤドヤと山荘に入ってくる.そして10数杯のホットコーヒーを注文する.途端にW田さんが多忙になる.外を見ると,同じ登山グループの方々が数十人いるようである.どうやら昨日丹沢主脈を登って,みやま山荘に宿泊したようである.
 沢山の登山客に囲まれて,一人私はショボンとなる.とてもこのまま居座る雰囲気ではない.私は早々に尊仏山荘を引き上げる.

■山頂でお二人と雑談
 私が尊仏山荘でお茶を飲んでいる間に,山頂は瞬く間に登山客で一杯になっている.その中に,先ほどまで私の後に付いて登っておられたお二人が居られる.お二人は食事中.
 “お邪魔かな?”
と思ったが.私も隣に座りこむ.
 暫くすると,この大グループが大倉尾根を下りはじめるという.
 これは大変! 大グループが下山開始する前に,先に降りてしまおう.
 10時46分,私はお二人より先に塔ノ岳山頂を出発,下山開始.

■ソソクサと下山
 山頂直下の階段を下りていると,下から登ってきた女性から,
 「おや,FHさん…」
と呼び止められる.大船にお住まいのご常連さんである.
 「(ご常連の)○○さんが,まだ山頂に居られますよ」
 そのままノンストップで下山し続け,12時41分に大倉に到着する.下山所要時間は1時間55分.大倉発12時52分のバスに乗車する.このバスに乗車した登山客は私一人だけ.

■眠気覚ましのコーヒー
 渋沢から小田原経由東海道本線の電車に乗車する.
 途中,眠くて,眠くて…,とにかくどうしようもない.乗り越さずに大船で降りるのがやっと.
 「こんなに眠くては仕方がない…」
と勝手に都合の良い理屈を付けて,駅ビル内のBecker'sでホットコーヒーを所望する.
 コーヒーを一口飲んだだけで,眠気は雲散霧消する.まさにコーヒーは眠気の妙薬である.
 ついでに,ルミネ内の本屋や文房具店をグルグル回ってから,何も買わずに家に戻る.
 良かった! 良かった!

<Becker'sのコーヒー>

<ラップタイム>

 7:06  大倉歩き出し
 7:31  観音茶屋
 7:49  見晴山荘
 8:25  駒止茶屋
 8:42  堀山の家
 9:26  花立山荘
 9:40  金冷シ
 9:54  塔ノ岳山頂着
10:46      〃  発
10:56  金冷シ
11:06  花立山荘
11:35  堀山の家
11:52  駒止茶屋
12:12  見晴山荘
12:24  観音茶屋
12:41  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:06
   塔ノ岳  着       9:54
 (所要時間)  2時間48 分(2.97h)
 水平歩行速度   7.0km/2.97h=2.36km/h
 登攀速度    1269m/2.97h=427.3m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発       10:46
  大倉   着       12:41
 (所要時間)  1時間55分(1.92h)
 水平歩行速度     7.0km/1.92h=3.64km/h
 下降速度     1269m/1.92h=660.9m/h
                                 (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b22452db525113d0e3c4e399c1045917
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)


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