<風食の段丘を登る>
[復刻版]
アパチャ山登頂記;第4日目(2);登山予備日(2);フラワーハイキング
(アルパインツアー)
2004年8月10日(火)〜8月17日(火)
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第4日目 8月13日(金)
<ルート地図>
<プロフィールマップ>
<なだらかな登り坂>
■ベースキャンプから歩き出す
夕方からフラワーハイキングに出掛けることになっている.カリヤーク山の山麓を軽く一周するコースだという.
私たちは,15時43分,現地スタッフの先導で,フラワーハイキングに出かける.
既に,昨日のうちに,今回の旅行の目的であるアパチャ山登頂を終えているので,今日は気楽なハイキングである.正直に言えば,私にとっては.アパチャ山に登れれば,後は全くの余録.有り体に言えば,もう,どうでもいい.私は気楽な気分で,皆様の後に付いたまま,ダラダラと歩き始める.
間もなく,ベースキャンプのゲートを越えて,下の写真の左手に見えている丘陵地帯に向かう.
辺りは広々とした草原である.
<ベースキャンプのゲートを超えて…>
■N観光のグループと会う
やがて,丘陵の裾を廻り込むようにして,緩やかな登り勾配の道を登り続ける.辺りはどうやら広い扇状地のようである.私たちは扇状地の一角をトラバース気味に散策している.
16時05分,標高880メートル地点で,5分ほど休憩を取る.
ここで,N観光のグループとバッタリ出会う.20人ほどのグループである.お互いに日本人同士.しかもN観光グループの方々も60歳代が多い中高年グループである・
「やあ,こんにちは…」
と挨拶を交わす.
誰かが,
「80歳台の方が居られるんですが,ちゃんと歩けなくて,みんなの足を引っ張っている」
と小声で口をこぼす.
こちらのグループの皆さんは,アパチャ山登山が目的ではなく,フラワーハイキングが目的でカムチャッカ半島に来ているとのことである.
「お互いに元気に旅しましょう…」
でお別れする.
<N観光のグループとバッタリ>
■千枚田を連想させる段丘
この辺りには. ほぼ放射状に雪渓を抱える小川が流れている.これらの小川が小さな谷間を形成している.扇状地には等高線に平行して,まるで千枚田を連想させるような小さな段丘が積み重なっている.
おのおのの段丘の下部には草の根で支えられた粗い礫岩が堆積している.流水による浸食によって形成されたと思われるが,Sリーダは風食によって形成されたと主張する.
辺りを子細に眺めると,確かにSリーダーの言うように風食によって形成された地形だと判断する方が正しいようである.
余談になるが…
私はもともと学校で資源工学を専攻していた.ただ,資源工学とは言っても岩石学や地質とは縁遠い鉱山機械を勉強していたので,土壌の浸食だの風食だのは全くの素人だが,それでも全く地学を勉強していない人に比較したら,少しは興味を持っている.この辺りの風食の地形を眺めながら,改めて自然の神秘さに感激する.
Sリーダーと風食談義をしている内に,上空に分厚い雲が掛かり始め,何となく荒涼とした雰囲気になりはじめる.
<段丘を登る>
<色とりどりの可憐な花>
■白い花
この辺りから,咲き誇る可憐な高山植物が増え始める.
残念なことに,私には花のことが全く分からないが,色とりどりの美しい花を眺めていると,心底から癒された気分になる.
下の写真はお気に入りの花である.メモ帳には,一応,この花の名前を書き留めて置いたが,間違っているとハズカシイので.ここでは単に白い花としておこう.あまりに可愛いので,2〜3分,立ち止まって,この花の印象をノートに書き留める.
<可憐な白い花>
■黄色い花
風食によって形成された台地には直径2〜3センチメートル以下の礫が堆積している.如何にも栄養がなさそうな土壌である.こんな痩せた土地のあちこちに,黄色くて小さな花があちこちで咲いている.
この花の名前も,一応は聞いているが,正しいかどうかまったく自信がないので,ここでは伏せておこう.
この花もスケッチしようかと思ったが,細かい花がビッシリなので面倒,写真だけ撮ってお茶を濁す.
<黄色い花>
<尾根の峠を越える>
■和やかな現地スタッフ
16時50分頃,大きな尾根の峠越え地点に到着する.地図がないので正確な標高は分からないが,多分950メートルぐらいである.
現地スタッフの2人が立ち止まって,私たちにハイキングの感想を聞く.右側の女性は通訳.日本にも滞在したことがある方である.
上空の雲はますます厚くなっているらしく,何だか寂しげな風景になっている.前方には残雪が真っ白な山並みが続いている・
<和やかな現地スタッフ>
■見晴の良い場所で休憩
16時53分,標高1,090メートル地点で休憩を取る.幅が広い大きな尾根の中腹である.
私たちは,思い思いの場所に座り込んで,眼下に広がる風景を楽しむ.
気温が何度あるか分からないが,かなり寒くなる.私もリュックからヤッケを撮りだして羽織ることにする.
<標高1,090メートル地点で休憩>
<川沿いの谷間道>
■尾根沿いの緩やかな下り坂
17時10分,休憩を終えて再び歩き始める.ここからは尾根の反対側の斜面を下る.登山道はあるのかないのかハッキリしないが,暫くの間,幅広い尾根を下り続ける.
緩やかな下り坂が続く.
もう17時を過ぎているが,まだ十分に明るい.上空を覆っている分厚い雲が亡ければ.まだまだ明るい日射しが射し込む時間である.
私たちは実にノンビリとした足取りで下り続ける.
進行方向左手に雪渓が見えている.
<標高1,090メートル地点から下山開始>
■河原に入る
17時23分,尾根から岩礫の河原のような窪地に入る.どうやら川の上流のようである.暫くの間,幅広い河原に沿って下り続ける.
上空の雲は幾分薄くなったらしく,辺りが何となく明るくなる.
<河原を下る>
■雪渓を渡る
17時34分,標高975メートル地点で,雪渓のある谷間の右岸から雪渓の縁に降りる.
ここから雪渓下りが始まる.
17時42分,右岸から雪渓を渡って左岸沿いの縁を下る.
<雪渓を渡る>
■標高900メートル地点で休憩
17時50分,標高900メートル地点で休憩を取る.
眼下の遙か先にベースキャンプの建物群が見えている.
下の写真に写っている青年は,ベースキャンプ所属の韓国系ガイドである.彼は2本のストックを実に旨く使いこなしている.
先ほどより天候が回復しているらしく,空がさらに明るくなっている.
<標高900メートル地点で休憩>
<無事ベースキャンプへ>
■天候が回復する
休憩を終えて,17時54分に標高900メートル地点から歩き出す.ここからは,比較的単調な平原歩きである.
再び小川を渡って右岸沿いの道を下って,18時20分にベースキャンプへ戻る.
天候はすっかり回復して,空一杯に青空が広がっている.ベースキャンプの建物群の向こうには昨日登ったアパチャ山が見えている.
まずは取りあえず蒲鉾テントに戻る.
<無事ベースキャンプへ戻る>
■ベースキャンプ内をブラブラ歩き
今日の夕食は19時30分からの予定である.まだ小一時間の待ち時間がある.折角,天候が回復したんだから,テントの中でグズグズしているのも勿体ないなと思う.それに,今日はそれほど歩いていないので,体力は十分に余っている.
“折角,高い参加費を払って来ているんだから,ジッとしていては勿体ない”
根性がケチな私は,こんな考えから,小さなノートを片手に,一人で外のブラブラ歩きを楽しむ.
(つづく)
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