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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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漸く春めいてきた丹沢:塔ノ岳(今年12回目)

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                                 <鍋割山稜>

     漸く春めいてきた丹沢:塔ノ岳(今年12回目)
          (ご常連に同行)
      2014年3月12日(水)   晴・春霞

■春…でも朝は寒い
 私は,天気が良くて,特に用事がない限り,水曜日と土曜日には,できるだけ塔ノ岳に出かけることにしているが,何時も気になるのが天気予報である.前夜の天気予報では,今朝はまだ寒いものの日中は春らしく暖かくなるという.
 いくら日中は暖かくなるといっても,やっぱり朝は寒くて堪らない.私は例によって,塔ノ岳へ出かけるぞという気持ちと,やっぱり塔はヤメタ!という気持ちの間を,何回も,何回も,行き来した末に,
 “やっぱり,(塔ノ岳へ)行こう…!”
と決心して,3時30分に起床する.
 やっぱり寒い!
 ふたたび寝床に戻りたくなるが,漸く思いでやっと出かける気になる.
 何時ものように,自宅から大船駅まで約2.5キロメートルの山下りをしてから,東海道本線下り初電に乗車する.小田原から小田急電車に乗り継いで,6時20分に渋沢駅に到着する.バス停には一番乗りである.
 今日は晴,でも何となく霞が掛かっていて,遠くの景色は茫洋としている.渋沢駅のコンコースから少し霞んだ丹沢の山並みが良く見えている.このところ晴天が続いているので,山の残雪は大分少なくなったようだが.山頂用付近には,それでもなお沢山の雪がのこっているようであるb.

<渋沢駅前から丹沢の山並みを望む>

■朝日が射し込む見晴階段
 バスの時間が近付くにつれて,バス停には平日にもかかわらず沢山の登山客が集まってくる.大倉行1番バスは沢山の達駅が出るほどの混雑である.TGさん,TDさん,YKさん,UMさん,YUさん,SSKさん,NMさん,Hさんなどのご常連も1番バスに乗車する.
 7時06分,私はSSKさん,NMさんと一緒に大倉から歩き出す.朝一番,大船駅の階段を登るときに,もう息切れがしてしまう私は,ユックリ登るに越したことはない.3人でユックリと登り続ける.
 早朝は寒く感じたが,登り始めてみると,気温が意外に高いことに気が付く.登山口付近の道路はほどほどに乾いていて歩き易い.
 7時29分,観音茶屋に到着する.同行のお一人が衣服調整をするというので,ここで3分ほど小休止する.その後も,ユックリペースで歩き続けて,7時50分に見晴山荘を通過する.
 続いて見晴階段に差し掛かる.坂上を見上げると2〜3人の登山客の後ろ姿が見えている.進行方向右手から,朝の日光が眩しく射し込んでいる.この階段を張り切って登ってしまうと後半バテてしまうので,自重しながら慎重に登り続ける.

<見晴階段>

■堀山の尾根道
 山麓の登山道の残雪は全く消えているが,駒止階段に降り積もった残雪は,まだ大量に残っている.ほぼ全ての階段は分厚い残雪の下である.残雪の状態はアイゼンを装着するほどではないが,慎重に踏み跡を辿りながら登る.
 8時23分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間16分と微妙.
 続いて堀山の尾根道に入る.この辺りは日中になるともの凄い泥んこ道になる.これまでは,登りのときは完全に凍結しているのが当たり前だったが,今日は気温が高いので,もうグニャグニャに融け始めている.下りが思いやられる.
 晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する.今日は晴れているが春霞が立ちこめていて,富士山はやっと見えるか見えないかで微妙.案の定,私のボロカメラでは,朧の富士山は捕らえることは無理なようである.

<堀山の尾根道から朧な富士山を望む;肉眼では富士山が見えているが…>

■泥んこが思いやられる小草平
 8時32分,堀山を通過する.三角髭のTDさんの後ろ姿が私たちの30〜40メートル先に見えている.
 「TDさぁ〜ん…」
と控えめな大声で呼んでみるが,声がTDさんまで届かないようである.もっとも呼び止めたところで,何をどうするということもないが…
 8時41分,小草平に到着する.相変わらず富士山が薄らボンヤリと見えているような見えていないような…TDさんが休憩を取っている.
 私たちが通過するのを見計らってか,TDさんと若い女性が私たち3人と遺書に登り始める.私が,
 「今日は堀山の家から花立山まで43分ほど掛けてユックリ登るつもりですので,先に行って下さい…」
と同行の皆様に先を譲るが,皆さんユックリで良いとのことなので,私が先頭で,全くのマイペースで登り続ける.

<小草平;写っている人たちは私たちと無関係>

■残雪が少し減った戸沢分岐
 高度が高くなるにつれて,残雪が半ば凍結したところが増え始める.
 9時丁度に戸沢分岐に到着する.ここには吹き溜まりの雪がまだ大量に残っているが,それでも1週間前に比較すると随分と少なくなっている.これまで雪に埋もれていた分岐の標識も,かなり下の方まで見えるようになっている.

<戸沢分岐>

■残雪が消えた萱場平
 引きつづき萱場平を通過する.
 ここで定点観測用の写真を写す.今日は萱場平には人影がなく,雪も殆どなくなっている.
 木道を通過して,平らな道に入ると,もの凄い泥んこ道が凸凹のまま半ば凍結している.
 「凸凹で歩きにくいわね…」
と同行のお一人が独り言を言う.同感!

<萱場平>

■花立山荘
 萱場平を過ぎると残雪道が増え出す,滑りやすい所も随所に現れる.相変わらず私のマイペースで登り続ける.
 ふと気が付くと,TDさんと若い女性お二人の姿が見えない.どうしたんだろう…?
 9時15分,後7分坂に到着する.ここからの富士山も絶景の筈だが,今日は富士山が見えないので全くダメ.
 後7分坂の真ん中辺りにはまだかなりな量の残雪がある.少々滑りやすい.私のスローペースに業を煮やしたのか,もう少しで花立山荘という所で,私の後ろに居たNMさんが私を追い抜いて登っていく.丁度そのとき,下山してくる超韋駄天のNMさんとすれ違う.私は心の中で,
 “何時もと同じ場所で,NMさんとすれ違ったな”
と納得する.
 9時24分,ようやく花立山荘に到着する.晴れてはいるが,相変わらず富士山は見えない.ベンチで数人の登山客が休憩を取っている.
 大倉から花立山荘までの所要時間は2時間18分.堀山の家からの所要時間は予定通り43分である.
 “残雪道なら,まあ,こんな所だろう…”
と勝手に自己評価する.

<花立山荘>

■金冷シ
 花立山荘を通過すると,まだ残雪が大きな山になっている.1週間前に比較すると,この山は随分と小さくなっているが,それでもこの山を越えるのに難儀する.
 9時35分,やっと花立山山頂に到着する.
 晴れていれば,花立山から富士山や南アルプスが素晴らしく良く見えるはずである.ただ,今日は濃い春霞が漂っているのか,ほとんど富士山は見えない.残念!
 花立山を通過すると,辺りの様子が冬山に近くなる.踏み固められて凍結した道が連続する.
 9時40分,金冷シを通過する.この辺りも残雪が大分少なくなっていて,分岐の道標もかなり下まで見えるようになっている.残雪が少なくなっているとはいえ,金冷シから先は,ほぼ完全な雪道である.
 何時の間にか,気温が上がっているらしく,足許の雪は,少し溶け出していて,表面はジャリジャリのシャーベット状になっている.こうなると,雪道はますます滑りやすくなるが,まあ,登れないわけでもないので,ユックリ,ユックリと登る.
 途中で,2番バスで来られたTTさんに追い抜かれる.

<金冷シ>

■塔ノ岳山頂
 9時49分,NMさんと私が塔ノ岳山頂に到着する.そして,ほんの少し遅れてSSKさんもご到着.山頂の気温はプラス6℃.結構暖かで,心地が良い.どちらからともなく,
 「山小屋に入るより,外の方が気持ちが良いですね….」
 大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間43分.まあこんな所だろうと自己評価.ところが,花立山荘からの所要時間は,25分と意外に速い.多分,冬道が尾根直登で距離が短いからだろう.
 今流行のPM2.1とやらが混ざっているかどうか知らないが,辺り一面に春霞が掛かっている.富士山は見えるような見えないような微妙.こんなときは周囲の写真を撮りまくる気分にならない.蛭ヶ岳方面を望む写真を1枚撮っただけで,写真を撮る気分が失せてしまう.

<塔ノ岳山頂から蛭ヶ岳方面を望む>

■丹沢の山々が素晴らしい
 同行のNMさんが,
 「尊仏山荘の裏手に,一寸だけ行ってみましょう…」
と私たちを促す.
 それではということで,ほんの一寸,尊仏山荘の裏手に回ってみる.そこからは手前に遮るものがないので,まるで北アルプスへでも登ったのかと錯覚するほどの凛とした丹沢の山々が見渡せる.なかなか壮大な眺めである.
 “ついでに丹沢山まで行ってくるかな…”
という衝動に駆られるが,家に残した同居人のことも気になるし,しんどそうなので,余計なことを考えずに,尊仏山荘に立ち寄ることにする.

<尊仏山荘裏手から丹沢の山々を望む>

■尊仏山荘
 尊仏山荘に入る.
 先客はYUさん,TGさん,MTさん,TTさんほか.今日の小屋番はオーナーのHDさんである.何時ものように300円也のお茶を所望する.
 尊仏山荘の山ネコ,華伊達美弥雄さん(ミャ〜君のこと)は,どこかに行っているらしく姿を見せない.
 私たちと入れ替わるように,YUさん,TGさんが尊仏山荘から下山を開始する.

<尊仏山荘>

■下山開始
 10時50分,尊仏山荘前で6本爪アイゼンを装着して下山開始.
 下りもSSKさん,NMさんにご一緒する.
 残雪はシャーベット状,こうなるととても滑りやすい.特に山頂直下の急坂は,6本爪アイゼンでも少々滑りそうになる.特段に急いで帰らなければならない理由もないのでユックリ,ユックリと下り続ける.
 11時07分,花立山山頂に到着する.ここでアイゼンを脱着.11時12分,再び歩き出す.
 「あれ…! そう言えば堀山の家から一緒に登っていたTDさんと若い女性に会わなかったですね…」
と私が訝りながら,お二人に質問する.
 「私たちが尊仏山荘から外に出たときに,その女性が山荘に入っていましたよ.TDさんは山荘に寄らなかったようです…」
 すると,お一人が,
 「若い女性が居ると,それだけでその場が和みますね…」
という.この発言を聞いて,私は咄嗟に尊仏山荘の山ネコのことを連想する.
 「…ん,じゃあ〜,場を和ませるという点では尊仏山荘のネコと一緒ですね…」
と混ぜ返す.NMさんがすかさず,
 「若い女性が,ネコと一緒ですか…ハ,ハ,ハ,…FHさんにかかったら若い女性も散々ですね…」
 私は内心で,
 “いえ,そんなことありません…ネコも可愛いけど,若い女性も良いですね.”
これ本心.

■山旅スクールの後輩にバッタリ
 12時19分,花立山荘に到着する.山荘前のベンチは休憩を取る登山客で一杯になっている.
 後7分坂への下り口近くのベンチに,山旅スクール11期のSさんと“名前忘れたさん”が座っているのに気が付く.SさんとはARENAの山行でときどきお会いしている.
 「おや…暫く振り…」
 私は同行のSSKさんとNMさんに先に行ってもらい,数分立ち話をする.
 「(山旅スクール5期の)××さんをお誘いしてるんですが,『行く,行く,…』って言いながら中々出てこないんです…」
と愚痴る.
 お二人の内,Sさんは,これから塔ノ岳山頂を目指すけれども,“名前忘れた”さんは,見晴山荘で,Sさんが下山してくるのを待っているとのこと.
 立ち話で大分遅れてしまったが,再び下山を開始する.先に下山し続けているNMさんとSSKさんの後ろ姿は全く見えなくなっている.私はお二人に追い付くのを諦める.

■チャンピョンとすれ違う
 後7分坂を下り切ってガレ場の下り坂に入る.残雪と泥道が連続する.結構滑りやすいので,慎重に下山し続ける.
 暫く下り続けている内に,前方にSSKさんとNMさんの後ろ姿が見え出す.この距離なら追いつけそうだなと思った私は,少々,歩行速度を速める.そして,萱場平に近付く頃,無事,お二人に追いつく.
 11時19分,大きな荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.相変わらず短いズボン姿である.
 「やあ…こんにちは,ご苦労さま…」
ですれ違う.

<チャンピョンとすれ違う>

■泥んこ道に悩ませながら下山
 11時21分,萱場平を通過する.この辺りはまるで田んぼ.どこにも除けようがないほどのもの凄い泥道である.こうなったらもう仕方がない.泥んこになるのを覚悟で,ビシャビシャ,ヌルヌルと泥んこ道を構わず歩く.
 11時51分,小草平に到着する.ここでほんの1〜2分小休止.
 堀山の尾根道は,もの凄い泥んこ.全く始末に負えない.
 「これも風物詩ですね…」
と口では風流なことを言っているが,腹立たしいほど閉口する.
 12時14分,駒止茶屋を通過する.ここから駒止階段の吹き溜まり雪を下山するのがまた大変.こんな所で滑って尻もち付いたら,泥だらけになる.至って慎重に下山する.ここさえ通過してしまえば,後は気分ルンルンの春道である.

■何歳の時代に戻りたいですか…
 私たちは,碌でもない話題に花を咲かせながら,気楽な山道を楽しみながら下山し続ける.
 NMさんから,突然,
 「もし戻れるとしたら,何歳ぐらいの時代に戻りたいですか」
という質問を受ける.それぞれが答える.他の方の答えをここで書くのはプライバシーの問題があるので割愛するが,私は,60歳代から今までの時代が一番良いと感じている.
 社会に出てから,勤務先に会社が倒産し掛かったこと,近代5種(酒,タバコ,麻雀,カラオケ,ゴルフのこと)が苦手で苦労したこと,あるいはここでは披露できないような経験,経営学では絶対出てこない実務経験のことなどが雑談の話題である.

■後発のご常連が合流
 もうすぐ大倉に到着する頃,私たちより後から下山を開始したTTさん,MTさんのお二人が私たちに追い付く.
 「何を楽しそうに話しているの…」
 「いや,その,別に…NMさんの魅力に惹き付けられているんですよ」
 「そんならもっと近づかなけりゃ…」
 「怖いからこの辺で良いです…」
 そんな他愛のないことを言いながら,13時14分,無事,大倉に到着する.

■渋沢でお茶
 水道で靴やスパッツに付着した泥を洗い落とす.泥がしつっこく付着しているので,なかなか落ちない,何時もながらイライラしてくる.
 大倉13時22分発渋沢行バスに乗車する.先に下山していたTGさんを初めとして,朝1番バスに乗車していたご常連,大半の方々が同じバスに乗車する.
 バスは13時35分に渋沢駅に到着する.駅ビル内のミスタードーナッツで,ちょっとお茶をしようということになる.私は同居人のことが少々心配だが,15分程度なら大丈夫と踏んでご一緒する.
 この店のコーヒーは,それほど高価なものではないが,やっぱりお店で出すコーヒーは,自宅で入れるインスタントコーヒーよりは,ずっとずっと美味しいナと感じる.
 山の仲間とコーヒーを飲みながら雑談を交わす…正に至福の時である.
 
<ミスタードーナッツで一休み>

■これこそマネーロンダリング
 私は一足先に失礼して,一人寂しく渋沢駅13時59分発小田原行電車に乗車する.そして,15時30分頃,無事,帰宅する.
 直ぐに登山できていたものを全部洗濯機に入れて洗濯してしまう.普段着に着替えてから,一寸した文房具を購入するために,近くのコンビニまで出かける.コンビニについてから小銭入れを持ってこなかったことに気が付く.
 「はて,どうしたんだろう…」
 この頃,物忘れがひどい私は,小銭入れをどうしたか,全く思い出せない.
 とにかく,用事を済ませて,直ぐに帰宅する.
 洗濯機が洗濯をし終わっている.洗濯物を干していると,ズボンがヤケに重い.そそっかしい私は,ズボンの後ろポケットに小銭入れを入れたまま洗濯してしまった.そのために,小銭入れの中に入れて置いた100円やら50円,10円,1円硬貨が綺麗に洗えている.正に怪我の功名である.
 いや…もっと正確に言えば,これこそ本当のマネーロンダリングである.
 …ま,そんなこんなで,今日の丹沢の山旅も良かった! 良かった!

<ラップタイム>

 7:06  歩き出し
 7:29  観音茶屋
 7:50  見晴山荘
 8:23  駒止茶屋
 8:41  堀山の家
 9:24  花立山荘
 9:40  金冷シ
 9:49  塔ノ岳山頂着(+6.0℃)
10:50      〃  発
11:02  金冷シ
11:06  花立山(11:11までアイゼン脱着)
11:19  花立山荘(11:22まで山旅スクール卒業生と雑談)
11:51  堀山の家(小草平で11:55まで休憩)
12:14  駒止茶屋
12:40  見晴山荘
12:54  観音茶屋
13:14  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
 大倉   発      7:06
 塔ノ岳  着      9:49
  (所要時間)  2 時間43分(2.72h)
 水平歩行速度   7.0km/2.72h=2.57km/h
 登攀速度    1,269m/2.72h=466.5m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      10:50
  大倉   着      13:14
   (所要時間)  2時間22分(2.37h)
 水平歩行速度     7.0km/2.37h=2.95km/h
 下降速度     1,269m/2.37h=535.4m/h
                               (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a73b6f840f5870cba432d431d2bef323
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

※誤字脱字転換ミスご容赦





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