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Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
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豪雪を越えて尊仏山荘のネコに会った丹沢;塔ノ岳(今年7回目)

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                        <塔ノ岳山頂から富士山を望む>

  豪雪を越えて尊仏山荘のネコに会った丹沢;塔ノ岳(今年7回目)
                  (常連と一緒)
    2014年2月19日(水) 晴れ 残雪多し

■雪掻きで身体の節々が痛い
 例年殆ど雪など降らない鎌倉でも,先々週の大雪に続いて,先週末(2月14〜15日)はまたまた大変な大雪となった.まだ先々週の残雪があるのに,その上にタップリと新雪が降ったので,家の前の雪かきは難渋を極めた.高年齢の私には残酷すぎる重労働である.そして,またまた私の家の付近は,丸2日間にわたってバスも通らない陸の孤島と化した.
 月曜日には少々大きめのリュックを背負って,尾根筋にある我が家から,大船まで買い出しに出かけた.そんなこんなで,今週初めの私は,もう疲労困憊.火曜日はほとんど外に出ずに,もっぱら水彩画の制作に時間を費やした.
 当初の天気予報では,今日(2月19日)は曇後雪ということだった.そこで私は今週土曜日まで,塔ノ岳詣ではお休みにしようと思っていた.ところが昨日になって,天気予報が突然変わって,19日は晴後曇に好転した.
 “…ん,なら…塔ノ岳に出かけるしかないな…”
 私は例によって.昨夜の内に山支度に着替えてからシュラフに潜り込んで就寝した…とはいっても,馴れない雪掻きのために,身体の節々にゴワゴワ感が残っているので,出かけるのはどうしたものかと迷いに迷った.

■大倉からアイゼン装着
 天気予報は,19日は寒いぞと,盛んに私を脅す.
 私は,オッカナビックリ,4時10分に自宅を出発する.大船までの夜道は残雪があるものの,人が歩くだけの幅は雪掻きされていて,どうやら凍結もしていないようである.
 冬至を過ぎてそろそろ2ヶ月である.夜明けも少しは早くなり,小田原から小田急電車に乗り換える頃には,東の空がうっすらと明るくなり始める.車窓から外を眺めると,どうやら残雪は全くないようである.ところが新松田を過ぎて長いトンネルを抜けた途端に一面の雪景色に変わる.正に渋沢は川端康成底抜けの雪国のようである.
 大倉行1番バスはさすがに空いている.乗り合わせた登山客は10名程度,常連はTGさん,YUさん,TNさん,MTさん,Hさんだけ.
 6時58分,バスは大倉に到着する.
 YUさん,MTさん,Hさんが次々に大倉から歩き出す.
 7時07分,私はTGさん,YNさんと一緒に大倉から歩き出す.
 歩き出した途端に,舗装道路の路面がまるでスケートリングのように凍結しているのに悩まされる.
 “危ないからアイゼンを使いましょう…”
ということで,3人とも早々とアイゼンを装着する.
 登山口から登山道路に入ると,予想以上の雪が残っている.
 日中融けた雪が凸凹の足跡のままガチガチに凍結している.実に歩きにくい路面状態である.
 登山道に入って間もなく,リハビリ中のTGさんが,私たち2人に先に行ってくれと言うので,その後は塔ノ岳山頂まで,TNさんと2人で登り続ける.

■観音茶屋哀れ
 7時39分,観音茶屋に到着する.観音茶屋の大きな庇が,無惨にも雪に押しつぶされグチャグチャにこわれている.
 “大変なことになったな…”
 夏になると,この大きな庇の下で,何回となく,かき氷を賞味している.この庇が無惨にも破壊されてしまうとは…慚愧に堪えない.

<観音茶屋哀れ>

■見晴茶屋
 観音茶屋を過ぎると,残雪がますます多くなる.
 7時59分,漸く見晴山荘に到着する.ここから光る海を見下ろそうと思っていたが,今日は海面近くまで低い雲が漂っていて,残念ながら光る海を拝むことができない.
 山荘前のベンチで,先発のYUさん,MTさん,Hさんがアイゼンを装着中である.
 「ユックリ先に行かせてもらいます…」

<雪の見晴茶屋>

■見晴階段
 TNさんと私はすぐに見晴階段に差し掛かる.例によって定点観測の写真を撮る.今日は坂を見上げても,登山者の後ろ姿は全く見えない.
 私は自分の経済速度でユックリ登りたいので,後ろに居られるTNさんに,
 「お先にどうぞ…」
と先頭を譲るが,このままでよいと言われる.
 後ろにTNさんが居られるので,多少のプレッシャーを感じながらも,私は汗をかかない速度を維持しながら登り続ける.
 階段にはタップリの残雪がある.

<残雪一杯の見晴階段>

■吹き溜まりの駒止階段
 8時17分,やっと一本松を通過する.そしていよいよ駒止階段に差し掛かる.
 どういう風の吹き回しか分からないが,駒止階段付近の雪は猛烈な吹き溜まりになっている.多分,1メートルを優に超える残雪である.最早,階段は完全な雪の下になっているだけでなく,ふき黙った雪が急坂になっている.
 踏み跡を辿りながら吹き溜まりを登るが,場所によっては足が上がらないほどの段差があるところがあり,この段差を登るのに往生する.場所によっては後ろの居られるTNさんにお尻を押して貰ってやっと登ったところもある.
 何時もの夏道とは違うルートになっているので,どこをどう歩いているのか全くピンと来ないが,8時35分,ようやく駒止茶屋に到着する.
 大倉からの所要時間は1時間28分.雪がない時と比較すると14〜15分余計に時間が掛かっている.

<吹き溜まりの駒止階段>

■堀山の尾根道
 駒止茶屋から堀山の尾根に向かう.
 ここにも数カ所の吹き溜まりがあって,何回か雪山の登り下りを余儀なくされる.通り馴れた尾根道と勝手が違うので,大いに戸惑う.
 富士山が見える場所からは,期待通り,雪で真っ白な富士山がとても良く見えている.
 勿論,ここでは,立ち止まって,何枚かの写真を撮る.
 8時46分,ようやく堀山を通過する.

<堀山の尾根道から富士山を望む>

■萱場平
 8時55分,漸く堀山の家に到着する.小草平には人の気配はなく静まり返っている.ここからも相変わらず富士山が良く見えている.
 堀山の家から花立山荘までは,マイスピードでユックリ登りたい.そこで.同行のTNさんに.
 「私,ユックリ登りますので,お先にどうぞ…」
と先を譲るが,TNさんがユックリで良いという.ならば…ということで,そのまま私が先に急坂を登り始める.
 勿論,ここから先も終始雪の登り坂である.長い階段道はほぼ全て雪の中である.雪に埋もれて階段がなくなってみると,大倉尾根が随分と急坂が連続する尾根だということが実感できる.
 こんな雪道を登るのは,結構,シンドイ.私の歩行速度は次第に遅くなる.
 戸沢分岐辺りは巨大な吹き溜まりになっている.戸沢分岐の道標は完全に雪に埋まっているので.何時分岐を通過したか分からないまま,9時20分,漸く萱場平に到着する.萱場平の手前には大きな雪の吹き溜まりを登り折りする.
 萱場平の木道の半分は雪の中だが,残りの半分はすっかり雪がなくなっている.

<半分雪に埋まった萱場平>

■花立山荘
 萱場平から先の階段道もすっかり雪に埋まっている.雪道は普段歩いているところと違うところに付いているので,今,どの辺りを歩いているのかときどき分からなくなる.特に後7分坂(花立階段)に差し掛かる手前は雪が深い.何時も大きな岩を廻り込むように登る所があるが,今日はこの岩が分からないままである.一体大きな岩は何処へ行ったのだろうか.そうこうしている内に.うちに,後7分坂に到着する.
 後7分坂も吹き溜まりの雪が分厚く覆っているところもある一方で,殆ど階段が露出しそうな所もある.何れにしても登るのがシンドイ.私の歩行速度はますます遅くなるが,同行しているTNさんも一向に私を追い抜く様子がない.二人でノロノロと登り続ける.
 9時45分,ようやく花立山荘に到着する.山荘前の広場には,不思議なことに全く積雪がない.まだ時間が早いせいか人影はない.相変わらず富士山が良く見えている.
 大倉から花立山荘までの所要時間は2時間38分.雪がなければ塔ノ岳に到着する時間である.堀山の家からの所要時間は50分.私の標準時間は40分なので,雪のために10分ほど余計に掛かっていることになる.

<花立山荘>

■花立山
 花立山荘から花立山に向かう階段道は,膨大な量の雪が吹き溜まりの中に完全に埋まっている.雪道は階段道の東側の尾根伝いに付いている.まずは目の前にある巨大な雪の吹き溜まりを登るのに一苦労する.
 その後も結構急坂の雪道を登り続ける.何時もと違って,かなりの疲労感を覚える.こんな状態で,雪道が少し平になるまでに一苦労する.
 もう花立山の山頂を通過したかなと思いながら辺りを見回すと,まだまだ花立山の山頂は遙か先の方である.
 相変わらず富士山が良く見えている.
 9時57分,漸く花立山山頂を通過する.疲れた!

<花立山山頂手前の雪道>

■花立山からの富士山
 散々苦労して雪道を登って到着した花立山山頂には,あきれるほど雪がない.
 どうやら低気圧が太平洋沿岸部を通過するときに降る雪は,強風をともなっているらしく,吹き溜まりと,そうでないところの積雪が極端にばらついている.
 雪が少ない花立山山頂に到着すると,何となくホツとした気分になる.相変わらず美しい富士山と南アルプスの山々が綺麗に見えている.
 ここで立ち止まって数枚の写真を撮る.

<花立山からの富士山と南アルプス>

■凛とした雪の大山
 花立山からなだらかな下り坂になる.
 この辺りから雪質が変わって,高山らしい締まった雪になる.稜線沿いに人一人やっと通れるほどの幅の踏み跡道になる.
 花立山から少し下ったところで,凛とした大山が見えている.素晴らしい山容に感激して,ここでも数枚の写真を撮る.

<凛とした大山を望む>

■雪に埋まった金冷シの道標
 10時06分,漸く金冷シを通過する.
 この辺りの階段は深い雪の中である.金冷シの道標も殆ど雪に埋まりそうである.
 この道標の写真を撮って,「金冷シ」が「金冷し」と標記されていることに,やっと気が付く.正式には「金冷シ」の筈だが…まあ,どっちでも良いが,ここから塔ノ岳山頂までは正に豪雪.夏道は完全に雪で埋まっている.
 雪道はどうやら尾根を直登しているようである.
 “オレは,一体,何処を歩いているんだろう…?”
 とにかく,直登道は急傾斜なのでシンドイ.

<雪に埋まった金冷シの道標>

■塔ノ岳山頂に飛び出す
 一体,何処を登っているんだろうか?
 私は自分の現在地が良く分からないまま,喘ぐように雪道を登り続ける.やがて前方に小高い山の稜線が見え始める.
 “山頂直下の木道はあの辺りかな…”
と思いながら登っていると,いきなり塔ノ岳山頂に飛び出るようにして到着する.山頂全体が深い雪に覆われていて,何とも不思議な風景になっている.
 大倉からの所要時間は3時間17分.随分と時間が掛かっているが,こんな大雪ではやむを得ないなと思う.花立山荘からの所要時間は39分,金冷シからは19分である.何時もの標準時間はそれぞれ28分,14分ほど.標準時間より花立山荘からは10分余り,金冷シからは5分ほど余計に掛かっていることになる.

<塔ノ岳山頂;下山時尊仏山荘側から写す>

■塔ノ岳山頂からの眺望
 塔ノ岳山頂からの風景を,何時ものようにぐるり一回り写真に収める.雪に覆われ寒々とした風景が印象的である.
 相変わらず富士山が美しい.
 何時の間にか私たち二人に追い付いたMTさんと一緒に雪の中を尊仏山荘に向かう.
 山頂の気温はプラス0.5℃.意外に暖かい.

<塔ノ岳山頂から富士山を望む>

■雪に埋もれた尊仏山荘
 尊仏山荘は深い雪の中.うずたかく積もった雪の間を通り抜けて尊仏山荘に入る.先客は,途中で追い抜かれた常連のYUさんだけ.
 小屋番はWDさん.
 何時もの定位置に座り込んで,300円也のお茶を所望する.
 私たちがお茶を飲み始めて,15分ほど経過した頃,2番バスで来られたFTさんが,尊仏山荘に到着する.

<雪の中の尊仏山荘>

■残雪の向こうに富士山
 尊仏山荘の客席から富士山を望む.
 建物の屋根から落ちた雪も重なっているかもしれないが,うず高く積もった雪の向こうに富士山が見えている.
 珍しい風景なので思わず写真を撮る.

<雪の向こうに富士山>

■何だか悟ったようなネコ
 石油ストーブ前の特等席には,華伊達美弥雄さん(ミャ〜君のこと)が陣取っている.この頃,このネコも老境に入ったからか,随分と悟ったような雰囲気がある.
 “それにしても随分と太ったな…”
 ネコの背中を撫でると,
 “ミャ〜”
と啼いて返事をする.どうやら,
 “触らずにソッとして置いてくれ…”
と言っているように聞こえる.
 
<石油ストーブ前のミャ〜君>

■滑る下り坂に一苦労
 11時17分,塔ノ岳山頂から下山開始.
 下りもTNさんと一緒である.何時もの塔ノ岳の雪道ならば4本爪の軽アイゼンで十分だが,今日のような豪雪のときは,4本爪ではいささか心許ない.それでも雪が締まったところを下山している内は,まあ,まあ安全だが,雪が少し溶け出した下り坂になると,4本爪では殆どお手上げである.
 最初に後7分坂を下るのに一苦労する.ついで,萱場平までの溶け始めた雪道で,また一苦労.そうこうしている内に,私より後から尊仏山荘を出発したTTさん,NTさん,Hさんが私たち追い付く.
 皆さんが履いているアイゼンは5〜6本爪.4本爪アイゼンとの利き具合の差に驚かされる.もっとも私の心の中に潜むもう一人の私が,
 “ザけるんじゃないヨ…アイゼンのせいにするなよ…お前さんが下りに弱いだけだヨ…”
と私に悪態をつく.
 “その通りだョ…”
と私も本心からそう思う.
 私は遅れると,要所要所で私が追い付くのを待ってくれる.

<ちょっと立ち休憩;私を待っている>

■見晴山荘でひと息
 それから後も難行苦行の連続である.
 いくら注意しても滑りそうになるところは,
 “ままよ…”
とばかり,得意の尻制動で一気に数十メートル滑り降りる,楽ちんなことこの上ないし,爽快感が満喫できる.急坂をあっという間に滑り下る.その代わりにズボンの尻は濡れてしまう.
 “どうせ,○○で購入した低価格のズボンだ…”
ということで尻制動に大満足.
 最後の難関は見晴階段.ここばかりは尻制動というわけにはいかない,少しでも滑りにくそうな所を探しながら,屁っ放り腰で一歩一歩丁寧に下る.たちまちの内にご一行から遅れてしまう.
 “よおし…次からは6本爪アイゼンを持参しよう…”
と私は心の中で誓う.
 13時16分,一行より30秒ほど遅れて見晴山荘に到着する.山荘前のベンチで一呼吸入れる.

<見晴山荘で一息いれる>

■グジョグジョ道に往生する
 見晴山荘から観音茶屋辺りまでは快調に飛ばす.
 13時36分,観音茶屋を通過するが,この辺りから融雪がグチョグチョな悪路が連続するようになる.
 “悪路でも,少し急げば,大倉発13時52分のバスに間に合うかな…”
 観音茶屋で,たまたま先頭になった私は,件(くだん)のバスに乗るために,歩く速度を早める.
 丹沢ベースを過ぎることから,さらに融雪のグチョグチョ度が凄くなる.一歩ごとに“グチャ,…,グチャっ”で気分はすこぶる悪いが,構わず下り続ける.
 13時45分,漸く登山口に到着する.ここでアイゼンを脱着する.その後,大急ぎで下って,13時50分に何とか大倉に到着する.幸いなことに雪道だったので靴に付着している泥は殆どない.靴に泥が付いていないことを確かめてから,バスに乗車する.

■やっと帰宅
 渋沢ではタッチの差で,14時07分発の下り電車に乗り遅れる.10分待って次の電車に乗車する.小田原でもタッチの差で上り電車に間に這わず25分も待つ,
 車窓の景色を眺めていて,妙なことに気が付く.
 まず,残雪の多い渋沢から下り電車に乗ってトンネルを潜って反対側に出ると,全く雪がなくなる.
 小田原で東海道本線の電車に乗って,茅ヶ崎付近まで来ると,残雪が見えるようになる.さらに大船付近ではかなりの残雪がある.
 16時頃,やっと帰宅する.自宅の周囲には,沢山の雪が残っている.
 今日は何だか何時もの塔ノ岳詣でよりも疲れた感じがする.
 夕方,ユックリと風呂に入って疲れを取る.
 …と言うわけで,今日も良かった,良かった. 

<ラップタイム>

 7:07  歩き出し(歩き出して直ぐにアイゼン装着)
 7:39  観音茶屋
 7:59  見晴山荘
 8:35  駒止茶屋
 8:55  堀山の家
 9:45  花立山荘
10:05  金冷シ
10:24  塔ノ岳山頂着(0.5℃)
11:17     〃   発
11:35  金冷シ
11:47  花立山荘
12:30  堀山の家(12:32まで休憩)
12:50  駒止茶屋
13:16  見晴山荘
13:31  観音茶屋(登山口でアイゼン脱着)
13:50  大倉着

 [山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発       7:07
  塔ノ岳  着      10:17
  (所要時間)  3時間17分(3.28h)
  水平歩行速度   7.0km/3.28h=2.13km/h
  登攀速度    1269m/3.28h=386.9m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      11:17
  大倉   着      13:50
  (所要時間)  2時間33分(2.55h)
  水平歩行速度     7.0km/2.55h=2.74km/h
  下降速度     1269m/2.55h=497.6m/h
                             (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ce76d1d63220c578f5f7dd096966689b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)


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