<懐古園から浅間山を望む>
初秋の信州小諸旅(3);早朝の懐古園周遊(鹿島神社・藤村碑・富士見台)
(独り旅)
2019年9月26日(木) 晴れ
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<懐古園地図>(再掲)
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※園内の掲示板を撮影
<酔月橋を渡って一回り>
■鹿島神社
粋月橋を渡ると,こちらにも料金所がある.もちろん,まだオープン前なので今は無料で出入りできる.係員が忙しそうに何か準備作業をしている.
「おはようございます・・・」
と互いに挨拶して,料金所のゲートを通過する.
人に会ったら必ず一言二言挨拶するのが田舎流.これ本当にいいなと思いながら鹿島神社に向かう.
この神社は,もともと小諸駅前に鎮座していた.もう70年以上前の話だが・・・
昔の小諸駅を降りると,広場の前に崖がありその餓鬼の上にこの鹿島神社があった.戦争中私は国民学校の生徒だった.この神社の前に集まって整列,宮城遙拝をしたのをつい昨日のことのように思い出す.
今,あの鹿島様の前に居る.この神社の前に立つとどうしても昔々のことを思い出してしまう.神社を囲む垣根に中学時代の旧友の名前が寄進者の一人として刻字されている.彼の名前を見ると,私一人だけが取り残されているような気分になる.
<鹿島神社>
■寅さん記念館
鹿島神社からさらに奥へ進む.今は休館中の寅さん記念館(正式名称忘れた)の前を通過する.
玄関前に寅さんの立像が寂しげに立っている.
<寅さん記念館>
■小山敬三美術館
一番奥まったところにある小山敬三美術館付近まで行ってみる.まだ開館時間前なので中には入れないことは重々承知の上である.
美術館館前はなにやら工事中である.数名の作業員が忙しそうに動き回っている.
工事中の人達に会釈しながら,工事現場を通過して美術館前の雰囲気を味わいに行く.ここには浅間山関連の溶岩や岩石の標本が展示されている.これがちょっと面白い.
色々連想しながら遊歩道をブラリ,ブラリ.
中年の紳士が突然目の前に現れる.
「・・・お客様ですか?」
と私に聞く.突然なので「お客様」の問いにドギマギする.すぐに工事関係者でなく公園を訪れた人かと聞かれたんだと気がつく.
「まだ,(開館)時間前ですが,良いですよ・・・よろしかったらどうぞ」
と親切に私を誘ってくれる.この方は美術館の係員である.私はゆっくり見学する時間がないので,用事を済ませてから来ますと丁重にお断りする.
予期しない親切で,私は実に爽やかで幸福な気分になる.
<小山敬三記美術館前の庭園>
<藤村詩碑と水の手展望台>
■藤村詩碑
渡月橋を再び渡ってもとの馬場に戻る.そして,まずは,渡月橋の近くにある藤村詩碑へ.
昔から馴染みの詩碑である.国民学校生の頃は,この詩碑が何かもよく知らないまま,この辺りで遊んでいたことを回想する.
あの頃,ときどき,歌詞の拓本を取る人が居た.そういえば,当時,園内の売店で,この拓本を売っていた.今のようにカメラが普及していなかった時代のことである.今は売店で拓本を売っているだろうか?
ちょっと確かめてみたい気になったが,結局,確かめるのを忘れた.
<藤村詩碑>
■水の手展望台
藤村詩碑のすぐ先にある水の手展望台に行ってみる.
昔は,展望台まで,危なっかしい石段を登っていたが今は立派な橋が架かっている.安全にはなったが一寸趣が失われた感がある.
展望台に登ると,蛇行して流れる千曲川が眼下に見える.
<水の手展望台>
<水の手展望台からの眺望>
■千曲川下流を望む
まずは千曲川下流方面を望む.
千曲川が左手から大きく蛇行して北に流れその先で右に蛇行していく.川の対岸は北御牧の山稜地帯である.この山稜のずっと右手奥に,牛に引かれて善光寺参りで有名な布引観音がある.
私はこの風景をボンヤリと見下ろしながらまたもや回想に耽るが,冗長になるので記述するのは省略.
なお,小山敬三画伯が,ここからの風景を描いた画が先ほどの美術館にある.
<水の手展望台から千曲川下流方面を望む>
■小山敬三画伯の絵
以前,小山敬三美術館で購入したはがき大の写真から転載.
多分,水の手展望台からの展望を画いたものと思われる.
<小山敬三画伯の絵>
■千曲川上流を望む
目を転じて千曲川上流方面を展望する.
目の前に大きなダムが見下ろせる.中部電力か東京電力か忘れたが水力発電所があったが,今もあるだろうか? もう何十年も近くに行っていないので良く分からない.
千曲川川岸近くに,先ほどの藤村詩碑の詩にも出てくる「岸近き宿」がある.この宿で小諸義塾創始者木村熊二(字が違うかな?).島崎藤村らが度々集まって議論を交わしたという.
今は通行不能になっている懐古園内の谷間(白鶴橋が架かっている)の道を下って千曲川まで遊びに行っていた頃のことを懐かしく思い出す.
<千曲川上流方面を望む>
<馬場の歌碑>
■清々しい馬場を散策
水の手展望台から清々しい雰囲気の馬場に戻る.ここは桜の名所でもある.季節になると菊の展覧会なども開催されている.
透明な空気を味わいながら,馬場を適当に歩きまわる.
終戦直後のどさくさの時期,この馬場の周回路で競馬が行われたことがある.今見ると競馬など到底無理な馬場である.そういえば昔はこの辺りも随分と賑わっていたなあ~
小学生の頃,姉と二人で,ここまで遊びに来た.たまたま馬場の一角で薬売りがなにやら効能書きを言いながらインチキな薬を売っていた.その口上を信じ切った姉がなけなしの小遣いをはたいてこの薬を買った.私達の両親は医師.帰宅後意気揚々とこの薬を両親に見せたところ,なんで損なインチキに引っかかるのと叱られた.またあるときは角帽をかぶった男性が,二桁三桁の掛け算がたちどころに暗算で珪砂できる極意をかいたパンフレットをなめらかな口上で宣伝していた.まただまだれて買ってしまった.終戦直後のこと.
この馬場には結構口惜しい思いでもある.
<清々しい雰囲気の馬場>
■高浜虚子歌碑
馬場の一角に高浜虚子の歌碑がひっそりと立っている.市内荒町の一角に高浜虚子の旧居跡が観光施設になっている.
”勾配や 旅人我に なつかしき”
という句が刻字された石が飾られている.
句の鑑賞など私には全く無理だが,多分名句なんだろうなと思う.
<高浜虚子歌碑>
■曼渡歌碑
続いて曼渡(波かな?)という人の歌碑.
”行き散るや 千曲の川音 立ち来たり ”
と刻字されている.
浅学の私は知らない人.ましてや無粋な私には俳句の鑑賞は全くできない.
<曼渡(波?)の歌碑>
<富士見台>
■富士見台に到着
馬場の片隅に茶店がある.
その昔は,この茶店の前にラジオ塔があった.そこからラジオ放送が流れていたが,もうとっくの昔,何時の間にかこのラジオ塔もなくなった.あの頃は入場料なんてなかったためか,あるいはテレビなどの娯楽がなかったためか懐古園はいつも賑やかだったなあ~
茶店の先にある富士見台に立ち寄ってみる.
<富士見台>
■肝心の富士山は見えないが・・・
今日は良く晴れている.でも霞んでいるためかやっぱり富士山は全く見えないが,遠くに南佐久の高地が見えている.
ここは幾度となく訪れているが,富士山が良く見えたという記憶はない.
眼下には千曲川の流域が見下ろせる.
<富士見台からの眺望>
■白鶴橋
そろそろ懐古園の散策を終わりにしようと思う.
近くの白鶴橋を渡って,動物園を横切って出口に向かいたいところだが,開園は9時30分から.まだ,40分ほど時間がある.
動物園が開かないと白鶴橋を渡ることができないので,別のルートを辿って三の門方面に向かうことにする.
<白鶴橋;動物園入り口を兼ねている>
<本丸跡から三の門へ>
■懐古神社
往路を少し戻って,本丸跡へ向かう.
その途中,谷を挟んで対岸にある動物園から,ライオンが吠える声が木霊しながら聞こえてくる.凄く威圧感があって辺りに響く.思わず足がすくむような怖い声である.
本丸を囲む石垣では,数名の方が,長いハシゴを石垣に掛け,高いところで石垣の草取りをしている.高いところが嫌いな私は,この作業を見ただけで足がすくむ.
作業をしている方々に会釈してから本丸跡に入る.
まずは懐古神社を参拝.辺りの雰囲気も良く,なかなか立派な社殿である.
<懐古神社>
■鏡石
境内を一回りする.
まずは,山本勘助が愛用したといわれる鏡石を見物.ちょっと昔までは直接地面に仰向けに置かれていたが,何時の間にか写真のように飾られた.
<山本勘助愛用の鏡石>
■綺麗な池
参道脇に小さな池がある.池の真ん中に水道水だろうか,小さな噴水がある.その周囲を見事な緋鯉が沢山泳いでいる.その姿が余りに優雅なので,思わず見とれてしまう.
冬訪れると,この噴水が完全に凍結してしまい氷のオブジェに変わっている.もともと小諸は寒いところだ.
<境内の池>
■出口へ
そろそろ時間も押してきた.
本丸跡から黒門橋を渡って,南丸跡,二の丸跡を経由して料金所脇を通って,三の門前の広場へ向かう.
さて,これから約1時間.どこを散策しようかな.
(つづく)
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