<塔ノ岳山頂からの富士山>
富士山・ゴウゴクミツバツツジ・シロヤシオに癒やされる丹沢:塔ノ岳(2018年14回目)(1)
(登り単独・下り常連に同行)
2018年5月12日(土) 晴(高温)
※今回は記事の量が多いので2回に分けて投稿する.
<大船からバス停大倉へ>
▇三日月を見上げながら…
このところ冬に逆戻りをしたかと思うほどの寒い日が続いたが,昨日辺りから,今度は夏を連想させるような気温の高い日が続いている.
今日は土曜日.塔ノ岳詣での日である.
私は何時ものように,4時10分に自宅を出発して,2.5キロメートルほど離れた大船駅に向かう.標高65メートルの丸山という山の尾根道から標高数メートルの大船駅までの山下りの路である.夏至を挟んでほんの数十日は夜明けが早いので,こんな早朝の時間でも辺りは何となく明るくなり始めている.
耳を澄ますと,あちらこちらからカエルの啼き声が聞こえてくる.
山を下りて大船駅に近づく頃には東の空がすっかり明るくなっている.そして東の中天には三日月が頼りなげに光っている.
私は街角で立ち止まって,三日月の写真を撮ってみる.どうせ写らないだろうと思いながら…
その結果が下の写真.カメラがどう判断したかは知らないが,夜明けの空が実際より随分と明るく撮れている.
”この野郎! もう少しちゃんと撮れよ…!”
とカメラを叱る.
<東の中天に三日月>
▇富士山と矢倉岳
大船から東海道本線下り初電に乗車する.何時もの土曜日よりちょっと空いているかな…という感じである.例により4人掛け1ボックスを一人で占領して車窓の風景をノンビリ楽しむ.
小田原駅で小田急新宿行快速急行電車に乗り継ぐ.
電車が新松田駅に到着する手前で,カメラを構えて,富士山と矢倉岳が重なって見える瞬間を楽しむ.
今日は,二つの山が重なる瞬間を,まあ,何とか,デジカメに収めることができた.さい先の良い日だなと勝手に思う.
6時12分,渋沢駅に到着する.
早速,大倉行バス停へ.私は前から2人目.
<富士山と矢倉岳>
<バス停大倉から歩き出す>
▇大混雑のバス
渋沢6時48分発大倉行1番バスに乗車する.大混雑.
乗り合わせた常連は,毎日登山のTGさん,SSKさん,STさん,IWIさん,ONさん,韋駄天のKMさん,女流韋駄天のYDさん,カメラマンのMMさん,YSさんなど多士済々.
私たちを乗せたバスは,7時少し前にバス停大倉に到着する.
出発準備を済ませて,7時07分,沢山の登山者に混じって,バス停大倉から歩き出す.
私は例により,例により,歩き出しは超ユックリペースである.正直に言えば,何を隠そう,歩き出しを超ユックリにしないととてもではないが塔ノ岳山頂までスタミナが続かないのだ.
▇緑陰の坂道
7時14分,登山口を通過する.
克董窯から少し先で舗装道路は途絶えて,岩礫が敷き詰められた土路に変わる.一昨日の雨が残っていて,岩礫の表面がまだ濡れている.登りはそれほど気にならないが,多分,下りは滑りやすくて往生するだろうなと思いながら登り続ける.
7時25分,丹沢ベースを通過する.
丹沢ベースから少し上ったところで,岩礫を行き詰めた路は終わりになり,普通の土路に変わる.
やがて進行方向右手が開けた日の当たる坂道に入る.ここ2~3週の間に新緑が一層深くなり,今は日の当たる坂道と言うよりは新緑の坂道と言った方が良さそうである.
今日の気温は随分と高そうだが,どうやら湿度が低いらしく,歩いていても実に心地が良い.
7時34分,観音茶屋を通過する.
<新緑の坂道>
<見晴階段から駒止茶屋へ>
▇見晴茶屋からの眺望
観音茶屋を過ぎるとジグザグの登り坂になる.
7時38分,分岐を通過する.ここからは少々単調なトラバース路が続く.
7時49分,漸く雑事場ノ平を通過する.そして,7時51分,見晴茶屋に到着する.茶屋前のベンチには,先ほど賑やかに私を追い越していったグループが休憩を取っている.
茶屋の前から相模湾を見下ろす.
眼下の秦野の街には柔らかな日光が降り注いでいる.その遙か向こうには春霞で茫洋とはしているものの水平線が見えている.
もうすっかり季節が進んで,光る海は見えなくなっている.
<見晴茶屋からの眺望>
▇見晴階段
見晴茶屋を過ぎてすぐに大倉尾根最初の難所,見晴階段に差し掛かる.
何時ものように階段下から階段を見上げた写真を撮る.今日も沢山の登山者の後ろ姿が見えている.
見晴花壇を3分の2ほど登ったところで,女流韋駄天のYDさんが私を追い越していく.ちょっと口惜しい気分にもなるが,これも体力の差.仕方がないことだと諦める.
見晴階段を漸く登り切って,モミジ坂に差し掛かる.長くてだらだらと続く坂道である.
耳を澄ませば,周囲の森の中からツツドリやウグイスの鳴き声が絶えず聞こえてくる.嬉しいことに確かに森は生きているなと実感する.
9時09分,一本松を通過する.
大倉からの所要時間は,1時間02分.まあまあいつも通りのラップである.
<見晴階段>
▇駒止茶屋
一本松を過ぎるとほどなく休憩所がある.
休憩所から先,暫くの間,ほぼ平坦な尾根道が続く.この尾根道に入ると,ホッとした気分になる.力を抜いてリラックスした気分で,平坦路を楽しむ.
平坦路を歩いている途中で,下山してくるKSさんとバッタリ.
「やあ,やあ,FHさん…」
で固い握手.
「今日の山頂は素晴らしいですよ…富士山がバッチリ見えますよ」
とのこと.
やがて,大倉尾根第2の難所,駒止階段に差し掛かる.
ここはもうユックリ登るしかない.急いで登って力尽きるのもバカらしいので,とにかくゆっくりペースで登るしかない.
やっとの思いで,駒止階段を登り切って,8時26分,漸く駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間19分.せめてユックリペースであと5分ラップを縮めたいなと思う.無理かな…
<駒止茶屋>
<堀山の尾根道を小草平へ>
▇木の枝の間から富士山を望む
駒止茶屋から先,小草平までは起伏が少ない快適な尾根道が続く.この辺りは時間が許す限りノンビリと歩きたいところである.
8時34分,富士山が良く見える場所に到着する.
富士山が良く見える…と言っても,ここ数年,手前の木が大きくなりすぎて,富士山は殆ど見えなくなってしまったが,これも自然の成り行きでやむを得ない.でも残念…
私は意地になって,ここでチラチラ見える富士山の写真を撮る.
8時36分,堀山の道標前を通過する.
<堀山の尾根道から富士山を眺める>
▇堀山の家
堀山の道標から先,暫くの間は下り坂である.ここは快調に飛ばし,すぐに登り返しの登り坂になる.この登り坂でのギア-チェンジがなかなか上手くいかないので,坂を登るのが,結構,シンドイ.
8時44分,ようやく小草平(堀山の家)に到着する.
堀山の家は,まだ,開店前である.堀山の家の軒下の温度計は16.5℃を指している.やっぱり大分高温である.
大倉からの所要時間は,1時間37分.
”遅いなあ…”
と独り言を言う.
マイペースで歩いて,大倉から小草平まで,1時間30分で歩くのが目標である.
<小草平に到着>
▇小草平からの富士山
沢山の登山者が小草平のベンチに座っている.私は,「すみません…」と声を掛けながら,富士山が置く見える場所に移動する.
小草平からの富士山の眺めも最高.
少し靄が掛かっているが,残雪の富士山が見事である.
写真を撮り終えて,ふとベンチを見ると,常連のIMIさんが居られる.
「さあ,一緒に登りましょう…」
とIMIさんに声を掛ける.
「そう言われると思いましたよ…」
と言いながら,IMIさんも立ち上がる.
<小草平からの富士山>
<萱場平から花立山荘へ>
▇萱場平
私のすぐ後ろにIMIさんの足音を聞きながら,単調な速度で登り続ける.聞き耳を立てながら,
”IMIさん,結構頑張っているな…”
と思いながら登り続ける.
相変わらずツツドリの啼き声が絶え間なく聞こえてくる.これも嬉しい風物詩である.
何の気もなしにフト後ろを振り返る.
”ありゃ~っ! IMI三じゃないぞ!”
これまでてっきりIMIさんが私の後ろに居るのかと思っていたが,後ろの人はIMIさんではなく,見知らぬ中年の男性である.それにそても,どこでIMIさんと分かれてしまったんだろうか.
9時06分,ようやく萱場平に到着する.
5月の強い日光に照らされた萱場平から,熱気が立ち上っている.
平坦地を歩いている間に,長い坂道を登ってきた後の呼吸を整え,足の疲労感を取り除く.
<萱場平>
▇チャンピョンと富士山
萱場平から先の階段道を登り続ける.
気温が高いので,すぐに流れるような汗が出てくる.”これは,いかん!”ということで,歩行速度を一層落とす.焦れったいけど,流れるような汗はなるべくかかないようにするのが鉄則である.
”もう,やけくそ…オレは流れる汗は絶対かかないぞ…”
まるでバカみたいに意固地である.でも,なかなか流れるような汗は止まない.
9時17分,下山してくるチャンピョンとすれ違う.
「やあ,FHさんですね…今日,山頂にNHKが来ていますよ…4日放送だそうですよ…」
と教えてくれる.
9時25分,花立階段に到着する.
階段下から富士山が良く見えている.
早速,富士山の写真を撮る.
<花立階段下から富士山の写真を撮る>
▇シンドイ花立階段
富士山の写真を撮って,すぐに花立階段を登り始める.
毎度のことながら,実に気が重くなる階段である.なるべく何も考えないようにして,一段一段ユックリ登る.正に階段地獄である.
階段の上を見ると気が滅入るので,足許ばかりを見ながら登る.でも,階段の形状から,どの辺りを登っているかが分かってしまう.
やがて,階段の傾斜が少し緩くなる.すると前方の花立山荘の屋根がチラチラと見え出す.この辺りから階段を登り切るまでの僅かなアイサが一番厳しい.
<後もう少しで花立階段を登り切る>
▇花立山荘
階段を登り切って,9時35分,ようやく花立山荘に到着する.
花立階段を登り切るのに10分もかかった計算になる.ちょっと前までは,この階段を登るのに7分かかったので,「後七分坂」という愛称を付けていた階段なのに…今は息も絶え絶えの10分である.嗚呼!
相変わらす富士山が良く見えている.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間27分.何というざまだ.
”もっとシッカリせい!”
と自分を叱咤する(意味がないが…).
小草平からの所要時間が51分もかかっている.これはもうどうしようもない体たらくである…が,仕方がないかな.
花立山荘の気温は18℃.やっぱり高温である.
<見晴山荘>
<富士山とトウゴクミツバツツジに癒やされる>
▇富士山と鍋割山稜
花立山荘でも休憩を寅二に登り続ける.
荒れた階段道をやっと登ってガレ場に入る.途端に見晴が開ける.気分最高!
最初に目に飛び込んだのが,鍋割山稜の向こうに聳える富士山の絶景である.さっそく数枚の写真を撮る.幾分霞が掛かった富士山の姿に,何となく気高さを感じる.
9時45分,花立山山頂に到着する.花立山荘から花立山まで10分掛かっている.
花立山山頂から,あいかわらず富士山は良く見えているものの,さすがに今は春,南アルプスの山々は春霞で全く見えない.
<鍋割山稜と富士山>
▇NHKのスタッフとすれ違う
花立や加算超から先は,今が見頃のトウゴクミツバツツジが嬉しい.
もうこうなったrラップタイムなどどうでも良い.私はツツジの写真を撮りながらの牛歩である.
途中で数名のグループが狭い路の脇に立ち止まっている.
”こんなところで休憩とは…邪魔だな”
と思いながら近づく.
「…NHKです.4日の百名山で放送します.見て下さい…」
とリーダーらしい人が私に挨拶する.
「何時からですか…」
「7時からです…」
とのこと.
<NHKスタッフの近くで撮ったツツジ>
▇今が見頃のトウゴクミツバツツジ
その後も,ツツジの花の写真を撮りながら登り続ける.途中で,
”7時って? 朝の7時か,それとも夕方の7時かな?”
私は肝心なことを聞き忘れたことに気がつく.
途中で,常連のYSさんが私に追いつく.
「…あれぇ…,まだこんな所に居られたんですか,もうとっくに先に行かれているとおもっていましたよ…」
と言われてしまう.
「花の写真を撮っていたので遅くなっちゃいました…」
と負け惜しみを言う.
半島は花の写真を撮っている時間などたいしたことないと,私自身が一番良く知っている.
<馬瀬付近のトウゴクミツバツツジ>
<金冷シから塔ノ岳山頂へ>
▇漸く金冷シを通過
花の写真を撮るのに随分と時間を浪費してしまったが,9時53分,ようやく金冷シを通過する.
金冷シ付近のツツジも今が見頃である.
綺麗な写真がいくらでも撮れるので,ついつい写真を撮るのに無チュになってしまい,足が捗らない.
<金冷シ>
▇塔ノ岳山頂
金冷シから2番目の階段を登っているときに,下山してくる韋駄天二人組MGさんとYDさんとすれ違う.シロヤシオ見に行きましたかと伺ってみる.お二人ともシロヤシオは見ないで下山するとのこと.
その後もユックリ登り続けて,10時13分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.山頂からは相変わらず春霞の富士山が見えている(冒頭の写真).
山頂はもうかなり沢山の登山客で賑わっている.
山頂の気温は20.5℃.気温だけ見ると,もう夏山である.
私より少し先に到着したYSさんがポール近くに陣取って休憩を取っている.
大倉からの所要時間は,3時間06分.このところの所要時間は3時間を切ることはほとんどなくなってしまった.情けないけれども,自分の年齢を勘案すると,山頂まで登っただけで満足しなければいけないのかなとペシミスティックになる.
ラップタイムを分析すると,花立山荘から山頂までに無駄時間が多いことが分かる.花立山荘から藩建て山までの余計な時間が1分,花立や科から金冷シまでに3分,そして金冷シから山頂までの間に3分のロスタイムが余計である.それらを合計すると7分になる.ということは何時ものように,この期間で数枚の写真を撮るだけにすれば,2時間59分で塔ノ岳山頂に到着できたことになる.わずか1分,されど1分である.1フトは言え3時間を切る可能性があったことを知って,ちょっと残念になる.こういうのを古来から「ごまめの歯ぎしり」という.
さて,そろそろ下山しようか,それともちょっと先まで行ってシロヤシオの咲き具合を見てこようかと迷う.
”まあ,折角,シロヤシオの季節を迎えたんだから,ちょっとだけのぞいてみようかな?”
<塔ノ岳山頂>
(つづく)
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(執筆中)
「丹沢の山旅」の前回の記事
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富士山・ゴウゴクミツバツツジ・シロヤシオに癒やされる丹沢:塔ノ岳(2018年14回目)(1)
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