<塔ノ岳山頂の霧氷>
見事な紅葉と霧氷・ネコが寒がる丹沢;塔ノ岳(今年55回目)
(ほぼ単独山行)
2013年12月7日(土) 晴
■星空を仰ぎながら…
この頃は,仏暁4時10分に家を出て山を下って大船まで歩くのが,私の塔ノ岳行の標準パターンになったようである.私のようなロートルの常として,朝早く起床するのは,特段にどうということはないが,12月も中旬近くになると,ずいぶんと気温が下がって寒くなるのが辛い.それに今頃は夜明けも遅いので,空を見上げると沢山の星がピカピカと輝いている.夜空を眺めながら,
“あれ〜えっ…,こんなに沢山星が見えるなんて,なんだかおかしいな…”
気になってくる.そのうちに,
“ああ,そうか! そう言えば昨年白内障の手術をしたっけ!”
迂闊にも私は白内障の手術をしてから1年以上もの歳月が流れたのに,その間,一度も夜空の星を心して眺めたことがなかった.
自宅から大船駅までの距離は約2.5キロメートル.歩数にして約7000歩ほどの距離がある.不気味な山道を下るのがちょっと気持ち悪いが,まだ自動車も殆ど通らない街中を通るときは,何となく気浮きした気分になるから不思議である.
大船5時10分発東海道本線熱海行の電車に乗車する.東海道本線の初電である.今朝はどうした訳か,国府津駅構内の安全確認とやらで,電車が10分ほど遅延する.でも,小田急電車に乗り換える時間がタップリありすぎるので,10分ぐらいの遅延は何ともない.全くイライラせずに電車の運転が再開されるのを待つ.
■大倉から歩き出す
電車が遅延したにもかかわらず渋沢駅前にある大倉行バス停に早々と到着する.何時もの土曜日には臨時バスが出るが,今日は臨時バスはなさそうである.もちろん私は列の前の方に居るので,1番バスの座席を確保できたが,バスは超満員になる.辺りを見回すと,駆けっこのHさん,韋駄天のSTさん,UMさん,TDさん,YUさん,MTさん他のご常連さんの顔がチラホラ.ただ,ほぼ毎日登っておられるTGさんの姿が無い.居られて然るべき方が居られないと,何となく落ち着かない気分になる.
6時59分,満員のバスは大倉に到着する.
駆けっこのHさん,YUさん,KIさん,MTさんなどが次々に大倉から塔ノ岳を目指して歩き出す.私の目の前を,朝日を浴びながらHさんが懸けていく.今日も橋本まで走っていくそうである.Hさんの後ろ姿は瞬く間に見えなくなる.
<朝日を浴びながら走り去るHさんとお仲間>
■登山口の紅葉が見頃だ
歩き出してから暫くの間舗装道路が続く.舗装道路なのでついつい速歩で歩いてしまうが.ここが意外に急登で息が切れてしまう.
“コリャダメダ…!”
歩行速度を幾分落とす.
登山口付近の紅葉が美しい.今正に見頃である.
私から50メートルほど先をYUさん,YDさん,KIさん,MTさんの常連4人の後ろ姿が見えている.何とか追い付きたいなと思う.
<登山口付近を行く常連4人>
■見晴階段
7時42分,見晴山荘を通過する.大倉からの所要時間は.ほぼ何時も通りである.
見晴階段の下で,何時ものように階段を見上げた写真を撮る.土曜日にしては人数が少ないけれども,沢山の登山者の後ろ姿が見える.
進行方向右手から眩しい朝日が射し込んでいる.
<見晴階段>
■モミジ坂が見事
モミジ坂に差し掛かる.
私の目の前をYDさんが歩いている.沢山の登山者の後ろ姿が見える.結構若い人が多いのが頼もしい.
私も紅葉を楽しみながら,YDさんの後ろに付いて登り続ける.
<紅葉が美しいモミジ坂>
■駒止茶屋
7時57分,一本松を通過する.ここからの平坦な道に入り,ホッとする.
駒止階段に差し掛かる.ここでも私の前に沢山の登山者が居られる.速い速度でトントンと登っている若い人が居る一方で,止まりそうな速度でノロノロと登る人も居る.
8時10分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間04分,まあ,こんなところが私の経済速度であろう.
<駒止階段>
■雲間の富士山
堀山の尾根に差し掛かる.今日は風もなく実に心地よい.
雲が多いが,雪で真っ白な富士山が見えている.私の腕が悪いのか,それともデジカメがバカだからか分からないが,とにかく,ここで富士山の写真を撮っても,ろくな写真が撮れない.でも,先日,MGさんから望遠にして富士山の写真を撮ればちゃんと写るかもしれないというコメントを頂戴したので,望遠にして富士山の写真を撮ってみる.その結果が下の写真である.
<雲間の富士山>
■萱場平
8時26分,堀山の家を通過する.まだ朝が早いので堀山の家は開店していない.
気温は9℃.この気温なら堀山の家から花立山荘までの所要時間は40分で良いなと思いながら,堀山の家からの坂道に差し掛かる.
大倉尾根の中で,堀山の家から花立山荘までの急坂が,登山をしているという実感が一番枠場所なので,しんどいけれども好きな場所である.
“よし! 今日も登るぞ!”
と気合いが入る.
8時47分,萱場平に到着する.
戸沢分岐手前で,汗が流れ出したので,ここからは,汗が引っ込むまで,少し歩行速度を落とそうと思う.
<萱場平>
■アザミ哀れ
つい前日まで,萱場平の木道を通過するときに,木道の間で繁茂するアザミから勇気を貰っていたが,この頃の寒さのために,このアザミもすっかり枯れてしまった,
もう冬なので,アザミが枯れるのは仕方がないことだ.そんなことは百も承知だが,それでも,なんだかとても寂しい気分になる.
“また,春になったら元気な姿を見せてくれよ”
とアザミに話しかけながら通過する.
<アザミ哀れ>
■花立山荘
歩行速度を少し落として,坂道を登り続ける.
後7分坂に差し掛かる.歩行速度をセーブしながら登り続けて,9時07分に花立山荘に到着する.ここで,私の後ろから来られたKIさんとMTさんが私に追い付く.MTさんに呼び止められてチョコレートを頂戴する.疲れたときのチョコレートは実に良い.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間01分,僅か1分だが2時間を超えている.堀山の家かあの所要時間は41分.1分ほど予定時間をオーバーしている.
花立山荘からは,富士山は低く垂れ込めた雲に阻まれて全く見えない.
<花立山荘;写真の登山者は無関係>
■塔ノ岳山頂
花立山荘に到着したとき,気がつくと汗は全く引いていて,肌が乾いている.これならばもう少し歩行速度を速めても良いなと思ったので,かなりピッチを上げて花立山を目指す,残念ながら辺り一面に雲が湧いていて,富士山や南アルプスの眺望は望めない.
花立山荘から花立山まで7分で登る.そのままの歩行速度で9時20分に金冷シを通過する.
私が通過した直後,鍋割山稜の方から,10名ほどの団体が金冷シに到着する.先頭の男性が,
「ここが三ノ塔です…」
と言っているのが聞こえる.
“何を馬鹿なことを言っているんだ…”
私は引き返して,注意をしようかと思ったが,まあ,みんなの前でリーダーの間違いを指摘したら,リーダーの沽券にかかわるだろうし,黙っていても15分も歩けば黙っていても塔ノ岳山頂である.塔ノ岳に到着すれば自分の誤りに気がつくだろう…何より注意するのも面倒なので,私はその歩き続ける.
山頂直下の階段で,下山してくるMGさん,三角髭のTDさんとすれ違う.山頂付近でYUさんとすれ違う.
9時34分,塔ノ岳山頂到着する.富士山方面の写真を撮る.勿論富士山雲の中である.まだ時間が早いためか,山頂で休憩を取っている登山客はほとんど居ない.
私より一足先に山頂に到着したYDさんが,下山の仕度をしている.
山頂の気温はマイナス2℃.風は吹いていないが寒い.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間28分.たった2分とはいえ,2時間30分の壁は何とかクリアしている.花立山荘からの所要時間は25分だった.
“花立山荘からは一寸速かったかな?”
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
山頂で一連の行事を済ませてから尊仏山荘に入る.先客はご常連のご夫妻と見知らぬ男性お一人.小屋番はW林さんとF谷さんのお二人.
華伊達美弥雄さん(ネコのこと)は石油ストーブの前に陣取っている.
“元気か…!”
とネコの話しかけるが無表情.この所一寸太りめなので大丈夫かなと心配している.
“オマエも随分と年を取ったな…”
300円也のお茶を所望する.お茶を飲みながら,今朝方コンビニで購入したオムスビで早めの昼食を取り始める.おにぎりを1個食べ終わったところで,KIさんとMTさんが尊仏山荘に到着する.
<ストーブの前の“みゃ〜”君>
■山荘内は賑やかだ
外気はマイナスだが山荘内はストーブのお陰で暖かである.客の出入りはあまりないが,窓際の席に常連さん達が座っている.手前のストーブの前には“みゃ〜”がドテンと寝転んでいる.この取り合わせが如何にも山小屋らしい雰囲気を醸し出している.
私も,もう暫くしたら下山しなければならない.束の間の長閑な雰囲気が宝物のような気がしてくる.そこで思わず写真を撮る.
<ご常連とぐうたらネコ>
■珍味で雑談
皆さんから山海の珍味を馳走になる(海はなかったかな?).
私が提供したのは,残念ながらそこらのコンビニにある煎餅だけ.ちょっと申し訳ないが,余所様の珍味を馳走になる.
そうこうしている内に,山荘に入ってからそろそろ30分を経過してしまう.
塔ノ岳の下りは,写真でも撮りながらノンビリ,ゆっくり歩きたいので,常連の皆様より一足先に引き上げることにする.
10時07分,尊仏山荘を出発する.
<山海の珍味で和む>
■素晴らしい霧氷
山荘から外に出る.風は吹いていないがメチャメチャ寒い.でも,花立山荘まで下れば暖かくなるのが分かっているので,ヤッケは着ないまま寒いのを暫く我慢することにする.
山頂から,ふと大山方面を眺めると,登りでは気がつかなかったが.驚いたことに一面に霧氷が広がっている.この冬初めて見るすばらしい霧氷である.私は寒いのを我慢して霧氷の写真を撮り続ける.
“何という美しさだろう…これだから冬の塔ノ岳詣では止められないよ”
霧氷の写真を撮り終わって,下山口に移動する.丁度そのとき後のバスで登ってこられたFTさんと鉢合わせする.
「これからユックリ下って,堀山の家でコーヒーを飲んでいますよ…」
で,下山開始.
<塔ノ岳山頂から霧氷を眺める>
■堀山の家
辺りの風景を眺めながら,ノンビリ,ユックリと下り続ける.
10時32分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは休憩を取る登山客で鈴なりになっている.相変わらず富士山は雲の中で見えない.
後7分坂も慎重にユックリ下る.そして,10時47分,萱場平を通過する.
何時もの土曜日ほどには混雑していないが,それでも登ってくる沢山の登山客とすれ違いながらの下山である.結構もどかしい気分になる.その上,ときどき足の速い若者に追い越される.
そろそろ堀山の家が近くなったところで,またもや私の後ろに人の気配を感じる.道を譲ろうとして登山道の脇に寄る.KIさんである.
「あれっ…もう追い付かれちゃった…」
「手が冷たいんで,急いで降りて来ちゃった…」
とのこと.
堀山の家近くで,尊仏山荘の小屋番W田さんとすれ違う.
「おや,みなさん,随分と下山が早いですね…」
とW田さんが言う.
11時15分,KIさんと一緒に堀山の家に立ち寄る.
女主人が愛想良く私たちを出迎える.
「…(編集長の)YKさんが居られますよ…」
300円也のコーヒーを所望する.カステラ付きの逸品である.
私は,塔ノ岳常連を対象にした「鎌倉トレッキング」の開催案内を堀山の家の掲示板に掲示して戴くように依頼する.
<300円也のお値打ちコーヒー>
■常連が勢揃い
そろそろお暇(いとま)をしようかと思い始めた頃,MTさん,FTさん,TTさんのご常連が続々と堀山の家に入ってくる.
一同が揃ったところで,居合わせた全員の写真を撮って貰う.残念ながらフラッシュの炊き方が分からないので,フラッシュなしで撮影したので,何となく迫力が足りない…が,まあ,いいや.
多分,来週木曜日の『堀山の家』のホームページには,女主人が撮ったマシな写真が掲載されるだろう.
<堀山の家で集合写真を撮る>
■素晴らしい紅葉を眺めながら…
私は,皆さんより一足早く.11時35分に堀山の家を出発する.
…と言うのも,山麓付近の紅葉をユックリ眺めたかったからである.期待に違わず,モミジ坂付近から下の紅葉は今正に見頃である.私は,それこそ何枚もの紅葉の写真を撮りながら,ユックリと下山し続ける.
急げば,大倉発12時40分のバスに間に合うかとも思ったが,
“おまえ,なんでそんなに急がなければならないの”
というもう一人の私の言い分に,
“尤もだ…!”
と同感した私は,大倉発13時10分発のバスに間に合えば”御の字だ”と思い直す.
<モミジ坂の紅葉>
■無事帰着
12時47分,大倉に到着する.下りの所要時間は2時間40分.登りより余計に時間がかかっている.でも,コレデイイノダ!
水場で靴を洗ってから,バス乗り場で13時10分発のバスの到着を待つ.待っている間に,堀山の家で一緒になったKIさん,MTさん,FTさんが続々とバス停に到着する.
土曜日なので,バスは立ち席が出るほど混雑する.
渋沢駅で,ラッキーなんていうと叱られるかもしれないが小田原行快速急行が6分ほど遅延している.そのために間に合う筈がない快速急行に間に合ってしまう.そのお陰で小田原で14時04分発特別快速高崎行も間に合ってしまう.またまたラッキーだ.
電車は14時32分に大船駅に到着する.その後もバスの接続が良くて14時50分頃,無事,帰宅する.少々眠いが,疲労感は全くなし.早速風呂を沸かして,少々熱めのお湯にタップリと浸かる.気分最高.
今日も良かった,良かった.
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:42 見晴山荘
8:10 駒止茶屋
8:25 堀山の家
9:07 花立山荘
9:20 金冷シ
9:34 塔ノ岳山頂着(-2.0℃)
10:07 〃 発
10:20 金冷シ
10:32 花立山荘
11:15 堀山の家(11:35までコーヒーブレーク)
11:51 駒止茶屋
12:15 見晴山荘
12:26 観音茶屋
12:45 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:34
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
水平歩行速度 7.0km/2.47h=2.83km/h
登攀速度 1269m/2.47h=513.8m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:07
大倉 着 12:47
(所要時間) 2時間40分(2.67h)
水平歩行速度 7.0km/2.67h=2.62km/h
下降速度 1269m/2.67h=475.3m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2b215841a3efd0035462756e927ef73b
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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見事な紅葉と霧氷・ネコが寒がる丹沢;塔ノ岳(今年55回目)
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