2018第41回神奈美公募展出展作品(1);
『グランドキャニオンの谷底を歩く』(水彩画;F40)
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2018第41回神奈美公募展が,神奈川県民ホールで2018年4月3日(火)から4月8日(日)まで開催された.私はこの展覧会に次の3点の水彩画を出展した.
作品1;『グランドキャニオンの谷底を歩く』(F40)
作品2;『蝙蝠岳から富士山を望む』(F40)
作品3;『雪雲せまる大倉尾根(丹沢)』(F20)
約半年の間に,3枚の作品を仕上げるのは,絵の素人の私には大変シンドイ仕事である.途中で,何回も,何回も,挫折し掛けたり,制作中の作品を破りたくなったりしたが,まあなんとか3枚の絵を仕上げた.
これらの作品は,とてもとても満足のいくものとは言えないが,まあ,でも,何とか出展できたのはやっぱり嬉しいことである.それに,会期中に予想以上に沢山の知人,友人に会場までお越し頂いたことに,この場を借りて深く感謝する次第である.
さてそこで,今回出展した作品について,私が意図したこと,その反省などを数回に分けて分析してみたいと思う.全く以て自己流の分析だが,お付き合い頂ければ幸いである.
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『蝙蝠岳から富士山を望む』(F40) ↑
『グランドキャニョン谷底を歩く』(F40) ↑
『雪雲せまる大倉尾根(丹沢)』(F20)
写真;私が出展した水彩画3点
▇制作に当たっての留意点(3作品共通)
今回の3作品に共通することは,以下に示す項目に拘ったことである.
1.絵の中に書き込んだ仮想の人物に,自分の思いを託した.
2.何らかの新奇性のある絵を描くように努力した.
3.構図を出来るだけ工夫してみたかった.
4.今回も山の絵を画くことに拘りたかった.
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▇作品1.『グランドキャニョン谷底を歩く』(F40)【秀作賞受賞作品】
(1)作品の狙い
不気味な薄暗い谷底で,少しでも明るいところへ早く行きたいという気持ちを,この絵の中で表現したかった.
この絵は,昨年(2017年)行ったグランドキャニオン谷底トレッキングで,谷底まで降りた翌日.コロラド川支流のブライトエンジェルクリークを遡ったときに画いたスケッチ(…というよりはポンチ絵)を叩き台にして水彩画に纏めたものである.
(2)状況
グランドキャニョンの縁(リム)はまだ残雪,途中までアイゼン装着.リムから急坂を約1,500メートル下る.谷底は初夏の別世界.疲労困憊.翌日,コロラド川支流ブライトエンジェルクリークを遡る.
道の両側は切り立った断崖である.薄暗い谷底を歩き続けると,切り立った断崖の両側に仏の顔に似た岩が現れる.その先の白い橋を渡ると,その向こうは,日光が射し込んでいて,やたらに明るい.
「こんな不気味なところは早く通過して.橋の向こうの明るいところへ早く行きたい…」
こんな気持ちをこの絵に託したかった.
ちょっと嫌な連想だが,まるで,三途の川から,俗界に戻るような情景を連想する.
(3)構図
冒頭に掲載した写真がこの絵である.
ただ,私が持っている安物のデジカメでは,現物の絵よりもコントラストが随分と薄くしか写らない.その結果,この写真は現物より随分と迫力に欠けている.
さて,この絵の構図は下のポンチ絵の通りである.
左右と下方に暗い谷,中央に明るい場所を置いた.暗い場所は地獄,明るい場所は天国を意味しているかも知れない.
明るい場所と暗い場所の境目には白い橋が架かっている.明るい場所は「あこがれ」を消長しているのかも知れない.暗い場所からの出口の両側には仏が鎮座している.この仏の顔に似た岩は,もちろん実在している.
余談だが…
トレッキングの途中で,この仏の顔を見つけたときに,現地ガイドに,
「この岩の名前は…?」
と伺ったが,別に名前など付いていないという.
「では,『仏の顔』という名にしましょう…」
と提案する.
これからブライトエンジェルクリークを遡る方は,是非,この仏の蚊を拝んで頂きたいと思っている.
話を元に戻そう.
橋の手前には何人かの人物を入れた.もちろん架空の人物である.この人物の中の一人はもちろん私のつもりである.私は絵の中の人物の一人に化け,この場所を通過するときの薄暗い谷間に身を置く不安感,明るい場所へのあこがれと,早く明るいところへ行きたいという焦れったさのような感情を表現したかった.
(4)幸いにも秀作賞を受賞する
こんな私の気持ちが,審査員の先生方に,多少でも伝わったのか,幸いなことに,この絵が秀作賞に選ばれた.このような名誉を享受できるとは…誠に持って望外の喜びである.
この絵の制作の途中で,思うようにことが運ばなくて,何回も,何回も,破り捨てたいという衝動に駆られた.でも途中で破らなくて本当に良かったなと,今,胸をなで下ろしている.
(1枚目おわり)
(2枚目に続く)
2枚目の記事
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(執筆中)
「閑話休題;セピア色の画集」の前回の記事
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