<魔利支天の前で>
歩いて巡る甲州道中四十四宿(第7回);第1日目(1);石和宿から酒折へ
(五十三次洛遊会)
2013年11月16日(土)〜18日(月)
<第7回行程の概要>
■第1日目;2013年11月16日(土)
今回は2泊3日で,次の行程を歩いた.
第1日目は,中央本線石和温泉駅に集合.石和宿から甲府新町宿を歩く.
途中,甲州街道から外れて,甲斐善光寺を参拝する.その後,今日の宿泊場所,甲府ワシントンホテルに立ち寄って,荷物を置いてから,円光寺,武田神社など武田信玄ゆかりの社寺,史跡を見学した.
甲府ワシントンホテル泊.
■第2日目;2013年11月17日(日)
甲州道中を歩く前に,甲府駅前の武田信玄像,甲府城趾を見学する.その後,甲州道中を辿り韮崎宿へ.
今日の宿泊場所,ルートインコート韮崎にチェックイン後,平和観音を訪れる.
■第3日目;2013年11月18日(月)
ルートインコート韮崎から歩き始める.信州往還を経由して万休院まで歩く.万休院からタクシー相乗りで,JR中央本線日野春駅まで.ここで解散.
第1日目;2013年11月16日(土) 晴
<ルート地図>
■第1日目ルート地図
■ルート地図(詳細)
<石和温泉駅集合>
■当初予定のコースを変更
月日が過ぎ去るのは早いもので,9月に開催された第6回甲州道中の旅を終えてから,もう2ヶ月も経過している.実のところ,その間,今回,第7回の行程をどうすべきかについて,随分迷いに迷っていた.
私たちが計画立案の参考資料にしている某旅行会社の資料では,甲州道中の要(かなめ)とも言える甲府市内を素通りしている.これは勿体ない.せめて武田信玄に縁(ゆかり)のある社寺,遺構など多少なりとも見ておきたい…そう思った私は,某旅行社の行程の1日分を2日間掛けて歩く案を想定した.そして,甲府市内にある極々重要な社寺,遺構,史跡だけを幾つか選んで観光するという案を作った.
幹事の方々と事前に打ち合わせをして,今回は,某旅行社の第1日目の行程を,2日掛けて歩くことが了承された.誠に喜ばしいことである.
■朝はユックリ時間を取って…
あたふたと多忙な日々が瞬く間に過ぎ去って,今日は,もう,第1日目を迎える.
加齢とともに起床時間が早くなるのは困ったものである.もっとも,朝が早くなる分だけ,前夜はまだ夕方なのに眠くなってしまうから,さらに困ったものである.揚げ句の果て,この頃では19時30分から20時頃には眠くて堪らなくなり,ついつい就寝してしまう.そして朝かなと思って目が覚めると,まだ,同じ日の24時頃…なんてことがしばしばである.
今朝も全くこのパターンだ,“草木も眠る丑三つ時”ではないが,真夜中の1時半頃めがさめてしまう.
“この馬鹿め! 何でこんな中途半端な時間に目が覚めるんだ…!”
と,私の体内に潜むもう一人の私が,私を責める.
“そんなこといったって…何も好き好んで,こんな時間に目覚めたわけではないんだよ…”
と毎度同じ愚痴を言う.
私は手許に目覚まし時計を持っていない.多分,携帯電話に目覚まし機能は付いているはずだが,使ったことがない…というよりは使い方が分からないし,覚えようともしない.こうなったら,仕方がない.私はウトウトしているような,夢見ているような,とても中途半端な状態で,ひたすら時間が過ぎるのを待つ.それでも,遂に堪らず4時頃起床する.
寒い! それも,夜明けが近付くにつれて,ますます寒くなる.今更,暖房を付ける気にもならない.私は,まだ,まだ,出かけるには早すぎることを十分承知の上で,5時50分に家を出発する.ただ,この頃,塔ノ岳に出かけるときには,何時も4時10分に家を出発しているので,それに比べれば,5時50分なんて,十分すぎるぐらい遅い時間である.
自宅近くの湘南モノレール駅からモノレールに乗って,6時11分に大船に到着する.今日は?浜発7時46分特急「はまかいじ」に乗車する予定である.このまま東海道本線の電車に乗って?浜へいったのでは,?浜駅で時間を持て余す.それも辛いので,大船駅前のマクドナルドに入って,フィレオフィッシュセットを注文,コーヒーをユックリ賞味しながら,時間を潰す.
<マックでフィレオフィッシュセットを注文する>
■特急「はまかいじ」に乗車
やっと時間を潰して,?浜発7時46分特急「はまかいじ」に乗車する.車窓からの眺めをゆっくりと楽しみたいので,あらかじめ窓際の指定席を取ってあった.私の指定席は5号車.
“5号車はどの辺りかな…”
とキョロキョロしながら,ホーム歩いていると,途中で今回同行するAKB夫妻とバッタリ会う.AKB夫妻にお会いできたので,
“やっぱり,間違いなく,今日が開催日だったな…”
と確認することができ一安心である.
何時も心配性な私は,旅に出掛けるときに,本当に今日が旅の日なんだろうなと疑心暗鬼になる.まあ,とにかくAKBさんにお会いできて“ホッ”とする.
列車は,?浜から?浜線を経由して八王子で中央本線に入る.こんなことを書いてはいけないかもしれないが,「はまかいじ」が?浜線内を走っているときは,速度が実に遅い,先行する各駅停車の電車を追い越すわけにも行かないのでやむを得ないんだろうなと思いながら,それでも車窓を眺めているのは実に楽しい.
?浜線の線路から中央本線に線路に入る転轍機の様子も気になって仕方がない.列車が八王子駅近くに来ると,カタカタと幾つもの転轍機を渡って,何の拘りもなく中央本線の下りホームに入ったとき,私は一寸感激した.こんなどうでも良いことに興味を持つのは,私が元列車マニアだったからかな…
列車はやがて甲斐路に入る.車窓からの風景が一段と美しくなる.この辺りの紅葉は鎌倉に比較すると幾分早いようで,今が紅葉の見頃を迎えているようである.車窓からの眺めが実に良い.これだから旅行は止められない.
<車窓から美しい紅葉を堪能する>
■石和温泉に到着
列車は私が知らないうちに4〜5分遅延していたようである.でも,列車が遅延しているという車内アナウンスが一切なかったので,私は電車がてっきり定刻で走っていると思っていた.石和温泉に到着する時間が近くなると,気分がソワソワしてくる.乗り越しては大変である.
特急「はまかいじ」は実に沢山の駅に停車する.その度に,
「次は○○です…」
という車内アナウンスが気になる.
ところが石和温泉に到着する時間になっても,なかなか○○が石和温泉にならない.次はナントカと駅名がアナウンスされる毎に,
“ひょっとして,石和温泉を乗り過ごしたかな”
と心配になる.
9時57分,定刻より約5分遅延して,石和温泉に到着する.そして,やっと列車が遅延していることに気がつく.
<石和温泉に到着>
■石和温泉駅集合
10時頃,参加者全員が石和温泉駅に集合する.今回の参加者は11名.内訳は男性6人,女性5人である.明日から参加される方がお一人居られるので,明日からは12名の予定である.
まずはリーダーのOKさんから挨拶.
当初予定の行程から,甲府市内を重点的に回るコースに変更したことの説明と了承をお願いする.その結果,参加者全員の快諾を戴く.
10時05分,石和温泉駅から歩き出す.
<石和温泉駅に集合>
<石和宿;前回の続き>
■古い道標
石和駅前の通りを南に向けて歩く,
10時39分,前回第6回目の終点,甲州街道との交差点に到着する.この交差点を右折したところが今回の甲州道中歩き出し地点になる.
取りあえずは石和宿の後半を歩くことになる,なお,石和宿の概要は前回の記事に掲載したとおりである.
10時44分,「左甲****」と刻字された石柱の前を通過する.この石柱は,多分,江戸時代末期に立てられたもののように思えるが定かではない.また,「甲」以下の文字は摩滅している上に変体仮名で書かれているようなので私には読めない.
この石柱が何かは手許の文献や資料を見ても良く分からないが,まあ,念のために写真を撮っておく.
<古い道標>
■平等橋
10時47分,平等川に架かる平等橋を渡る.
資料1によると,平等川は京都宇治川に匹敵するぐらい蛍が見事だったので平等川と命名されたという.
<平等橋を渡る>
■とりもつ神社
資料1を頼りに歩き続ける.
資料1によると,平等橋を渡ってほんの少し歩いたところに「とりもつ神社」があると書いてある.神社の名前がユニークなのでどんな神社かと期待しながら歩く.
10時54分,広い駐車場のある焼き鳥屋の前に到着する.焼き鳥屋のお店の前に派手な朱色の鳥居が立っている.その鳥居の額に金色で「とりもつ神社」と書いてある.これを見て,ビックリしたような,ガッカリしたような気分になる.
小振りながら立派な社殿が安置されている.丁度そのときこの店の従業員の方が,傘を2本広げて社殿の前で干し始める.写真を撮ろうとした私はガッカリする.その様子を見ていたもう一人の男性店員が,気を利かせて傘をどけてくれる.私はお礼を言ってから,神社の写真を撮らせて貰う.
特に歴史的な価値を云々することは意味のない神社だが「取り持つ」ことをテーマにした神社だということで,強く印象に残る.
仲間のどなたかの話によると,この焼き鳥屋さん(とりもつやさん)は大変有名なお店だとのこと.
<とりもつ神社>
<酒折付近を歩く>
■丸石道祖神
私たちは和戸町という集落に入る.そして,11時01分,丸石道祖神に到着する.なるほど,直径30〜40センチメートルほどの丸い石が台座の上に乗っている.
丸石道祖神の周囲にはいくつかの石塔が立っている.これらの石塔が何かは良く分からない.この近くに和戸町由来碑があるはずだが,どれがその碑なのか確かめられないまま通過してしまう.この辺りが一人旅でない辛さである.
<丸石道祖神>
■藤建神社
10時02分,丸石神社の直ぐ近くの信号甲運小学校入口を渡る.この信号を右折して200メートルほど入ったところに藤建神社があるはずだが,余り時間がないので立ち寄らずに通過する.
下の写真はこの信号を右折した道を撮したものである.多分,右手に見えている森のところに藤建神社があると思われる.
なお,藤建神社の由来など,手許の資料では不明である.
<藤建神社の森>
■在原塚跡
11時07分,信号和戸町に到着する.資料1によると,この信号を左折して200メートルほど歩いた右手に在原塚跡がある.
私たちはこの信号で左折して,塚を見落とさないように.左右を慎重に見ながら歩き続けるが,なかなか見当たらない.その内に,小さな川に突き当たる.明らかに塚の位置を通り過ぎている.丁度,付近で工事をしている方に在原塚がどこにあるか伺ってみるが分からない.ただ現在地だけは確認できた.
今来た道を引き返す途中で,丁度,近くの住宅から出てきた主婦の方にも伺ってみる.それでも,この塚が何処にあるのかサッパリ分からない.
もし資料1の記述が正しくて,私たちが地図を見誤っていないとすれば,この塚は,多分,下の写真に写っている辺りにあるはずである.
もうこれ以上時間を費やすわけにも行かないので,在原塚は諦めて,先を急ぐことにする.
帰宅後,資料2(p.331)の記述を見ると,この辺りに在原業平の子滋春の墳があったが,今は失われてしまったと書いてある.つまり,私たちはないものを一生懸命になって探していたことになる.
<在原塚はこの辺りかな?>
■小社
11時25分,信号跨線橋南を横切る.
11時28分,赤い鳥居と小さな社殿の神社に到着する.境内に二宮金次郎の像が安置されている.
“何という神社なんだろう?”
手許の資料では小社と書いてあるだけで神社の名前は分からない.
そういえば,昔,昔,私が通っていた小学校(正確には国民学校)にも二宮金次郎の像があったなと懐かしく思い出す.
<二宮金治郎像のある小さな神社>
■中央本線の特急電車
11時30分,信号山崎三叉路に到着する.
この三叉路を鋭角に右折する.そして中央本線の踏切を渡る.丁度そのとき踏切の信号が鳴り出す.間もなく下り電車がやってくる.私は電車とネコは出会ったときに写真を撮ることにしている.同行の皆さんが待っているのを承知で,電車の写真を撮る.
なかなかシャッターチャンスが上手くいかなくて.電車の先頭部分が電柱の陰になってしまったのが残念である.
<中央本線踏切>
■魔利支天
踏切を渡ったところに魔利支天のお社がある.魔利支天は武士の守護神である.資料1によると,疫病が流行したときに,力承(りきしょう)なる者がここで祈祷を行って疫病を鎮めたという言い伝えがあるようだ.
<魔利支天>
■題目塚と刑場跡
再び踏切を渡って信号山崎三叉路へ戻る.
11時40分,題目塚に到着する.南無妙法蓮華経と大きな刻字のある石塔が立っている.資料2(p.332)によると,ここは江戸時代の刑場跡だという.
<題目塚>
■酒折宮と日本武尊御旧跡社標
11時40分,日本武尊社こと酒折宮の入口に到着する.酒折宮は,この道標のところで右折して,中央本線の踏切を越えたところになる.
資料1によると,酒折は坂折とも書き,この辺りは古代甲州のの中心地であったという.また資料2(p.332)によると,「日本武尊が東征の帰途に“にひばりつくばをすぎていくよかねつる”と問うと,土地の翁が“かかなべて夜にはここのよ日にはとをかを”と答えたので,尊は翁を褒めて東(あずま)の国造とし,火打袋を与えたという.この火打袋が祭神だという」.また,「このやり取りが連歌の初め」だと説明している.
<酒折宮道標> <日本武尊旧跡の案内杭>
[参考文献]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ「ちゃんと歩ける甲州道中四拾四次」五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1998,『今昔三道中独案内 日光・奥州・甲州』日本交通公社
(つづく)
「甲州道中」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bb39700eaca20940bfbf9edb6ec2f83f
「甲州道中」の次回の記事
(編集中)
「甲州道中」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a622a87fbc7f4454e3e837fc990ece58
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歩いて巡る甲州道中四十四宿(第7回);第1日目(1);石和宿から酒折へ
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