<鍋割山稜の効用>
お天気に恵まれ終始富士山が見えた丹沢;塔ノ岳(今年36回目)
(単独山行)
2017年11月4日(土) 晴れ
■目標は853H2500
このところ,半月ほどの長い間,週末に限って雨が降っていたが,今週は久々にお天気に恵まれた土曜日である.もちろん,天気が良ければ丹沢塔ノ岳行きだ.
実は一昨日が私の誕生日.
ここ数年の私の目標は,当年取ってウン十5歳の誕生日に,
①ジャストマイペースで大倉から大倉尾根を経由して塔ノ岳山頂まで3時間で登る
②還暦から数えて登山日累積が2,500日を越えること
の2点にあった.
この目標の標語は”853H2500”
その意味は? まあ,秘密と言うことにしておこう.
もちろん,こんな目標は単なる自己満足に過ぎないが,それなりに私の頭の中で気になっていることであった.そして,今日はいよいよその達成日である.②はすでに楽勝しているので,特別にどうといくこともないが,①は今日の体調次第で実現できるかできないか微妙である.まあ,実現できなくても悲観するほどの目標ではないが…
本音を言えば,事故なしで塔ノ岳山頂まで登れればそれでいいと思っている.
■車窓からの富士山と矢倉岳
さて,そんなことを考えながら,何時ものように4時10分に自宅を出発する.
今夜は十五夜の筈だが,上空をはどんより雲が覆っていて,十五夜も星も全く見えない.夜の帳(とばり)が降りたままである.空が雲に覆われているためか,今朝は放射冷却もなく意外と暖かである.そんな真っ暗な中を歩いて大船駅に向かう.
”いい年をして,何も無理してこんなに早く出掛けなくても良いじゃないか.もう年なんだか,家でゆっくり余生を楽しんだらどう?
という悪魔の囁きが絶えず聞こえてくる.
大船から,何時ものように,東海道本線下り初電熱海行きの電車に乗車する.今日は3連休の中日.電車は行楽客で混雑しているかと思ったが,案外空いている.結局小田原まで4人掛けワンボックスを独りで占領したままである.
小田原で小田急線の電車に乗り換える.まだ夜が明けきっていない.このこところ夜明けが日ごとに随分と遅くなっている.電車が新松田に到着する頃,ようやく辺りが明るくなり始める.
”今日は富士山が見えるかな…”
と思いながら,車窓から富士山と矢倉岳が重なる瞬間を待つ.肉眼で富士山は見えてはいるが,デジカメに撮れるかなと訝りながらシャッターを押す.その結果が下の写真である.薄らぼんやりながら富士山らしい山と矢倉岳が重なり合っているのが分かる.
電車は6時11分に渋沢駅に到着する.
<新松田駅手前で富士山と矢倉岳を撮る>
■大倉から歩き出す
渋沢駅から大倉行の臨時バスが出る.5分でも早く大倉から歩き出せれば,それだけ時間的余裕ができるので有難い.
臨時バスは結構混雑する.糊泡得た常連は,KMさん,YSさん,IIJさんなど.臨時バスは,6時53分頃,大倉に到着する.すぐに身支度を調えて,6時55分,バス停大倉から歩き出す.今日は歩き出しからすぐに一人旅である.気楽.
紅葉前線がかなり山麓まで下ってきているらしく,バス停大倉付近の木々も大分色づいている.
例によって,私は極々ゆっくりペースで歩き出す.何せこの頃無理が利かなくなっているので…
バス停大倉付近の道路は舗装されてはいるものの,結構な上り勾配である.ここをいきなり利金で登ると,すぐに疲労してしまうので,私はオーバーペースにならないように慎重に登ることにしている.その私をかなり年配の方が,数人,グイグイと追い抜いていく.
”ハハ~ン…あの人達,すぐにバテるな…”
と予測する.
案の定,私を追い抜いていった大半の年配者は丹沢ベース辺りで,早くも超ノロノロ歩きになっている.
<紅葉前線がバス停大倉付近まで降りてきている>
■日の当たる坂道
7時11分,丹沢ベースを通過する.
鎌倉辺りでは,今朝方,雨が降ったようだが,この辺りはどうやら降雨はなかったらしく,路面が乾いている.今日は歩きやすいなと思いながら,歩き出したときと同じペースで登り続ける.
7時15分,日の当たる坂道に到着する.天気予報では,今日は晴れ.ただ朝の内は雲が掛かっていて,真横から射し込み太陽の光を堪能できないがのが残念である.
<日の当たる坂道>
■見晴茶屋からの眺望
7時20分,観音茶屋を通過する.ここからジグザグの山道になる.何人かの若者に追い抜かれるが,ジャストマイペースで登り続けて,7時38分,見晴茶屋に到着する.
先ほど私を追い抜いていった若者グループが休憩を取っている.
見晴茶屋から相模湾を見下ろす.上空には,まだ雲が多いが,意外に遠くまで見通せる.眼下に秦野の市街地が見えている.その先は相模湾の向こうに鎌倉方面の山地が見えている.
見晴茶屋の前で数枚の写真を撮る.
<見晴茶屋からの風景>
■見晴階段
すぐに見晴階段に差し掛かる.
階段下から階段を見上げた写真を撮る.今日も多数の登山客の後ろ姿が写っている.
この辺りまで登ってみると,今日の自分の体調がはっきりと分かる.私の体調は今のところ”並”のようである.
”この調子ならば,10時前に塔ノ岳山頂hに到着できそうだな…”
<見晴階段>
■一本松
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.
ここも体力をセーブしながら,ゆっくり,ゆっくりと登り続ける.この辺りの紅葉はまだまだ先のようである.
7時58分,一本松に到着する.大倉からの所要時間は,1時間03分.
”ム,ム,ム,…目標ラップより3分余計に掛かっているな…”
一本松上のベンチでは,先ほど私を勢いよく追い抜いていった若者グループが休憩を取っている.
何時の間にか,雲が切れて朝日が射し込んでいる.気持ちの良い尾根道を楽しみながら歩き続ける.先日の台風22号(21号かな?)で倒れた大木が,まだ登山道を通せんぼしている.
<一本松を過ぎて尾根道に入る>
■駒止階段を登って堀山の尾根道へ
やがて駒止階段に差し掛かる.
この階段道も何時ものように登って,8時11分に駒止茶屋を通過する.駒止階段で私を追い抜いていった方々の半数以上は,駒止茶屋のベンチにへたり込んでしまう.
”そこで休憩を取るんなら,なんで私を追い抜いていくんだよ…”
と心の中だけで憤慨する.まあ,どうでも良いことだが…
大倉からの所要時間は1時間16分.できれは1時間10分以内で歩きたいところである.
”やっぱり体力が落ちているなあ~”
堀山の尾根道に差し掛かる.気分最高!
富士山が見える場所に到着する.この頃,木が大きくなってしまい折角の眺望も残念なことになっているが,木の枝の間から富士山が見えている.どうやら残雪はほとんどなさそうである.
8時20分,堀山の道標前を通過する.
<堀山の尾根道から富士山を望む>
■小草平(堀山の家)
8時23分,下山してくるKSさんとすれ違う.例によって,
「やあ,やあ,…」
で握手.KSさんから勇気を頂戴する.
堀山の道標から先は下り坂になる.短い距離だが気分転換には最高.ここは思い切って飛ばす.
下り坂が終わると,小草平手前の上り坂になる.ここで気分を下りモードから上りモードに上手に切り替えないと,いっぺんにしんどくなるから要注意である.
上り坂を登り切って,8時29分に小草平に到着する.堀山の家の前に,昇り鉢巻きをしたKIさんが居られる.
「あれっ! 馬鹿に(到着が)早いじゃないですか.この頃,だんだん速くなってるね」
とKIさんが言う.
「KIさんの方が早いじゃないですか?」
「昨日から泊まり込んでいるんです…」
「臨時バスが出たので,何時もより4~5分早く歩き出したんですよ」
「それにしても早いよ!」
まあ,そう言っていただければ励みになる.
KIさんと雑談をしていると,女主人が出てくる.
「帰りに立ち寄ります」
と挨拶をしてから,8時34分,堀山の家から歩き出す.小草平でのロスタイムは11分.このロスタイムは,塔ノ岳までのラップタイムにもろに利いてくる.
”誕生祝いの3H実現は無理だな!…でも,まあ.いいか…”
堀山の家の温度計は12.5℃を指している.
歩き出す前に,小草平からの富士山の眺めをデジカメで撮る.
大倉から小草平までの所要時間は,1時間34分.ここはできれば1時間30分で歩きたいところである.
<小草平からの富士山>
■素晴らしい紅葉
今週は,小草平周辺の紅葉が見頃を迎えているようである.ガレ場を昇り始めると進行方向右手の表尾根方面の紅葉がとても良く見える.例によって,沢山の写真を撮りながら,ゆっくりと登り続ける.
<表尾根方面の紅葉>
■萱場平
8時53分,ようやく萱場平に到着する.
小草平から萱場平まで30分もかかってしまったが,これで,まあ,10時前に塔ノ岳山頂に到着できるなと確信する.
例によって定点観測の写真を撮る.前方には真っ青な空が広がっている.
”ほんとうに,久々の天気だなあ~…”
私は上機嫌である.
<萱場平>
■花立階段
萱場平から先も機嫌良く登り続けて,9時11分に花立階段に到着する.
ここからの富士山の眺めが最高である.ここでちょっと写真タイム.数枚の写真を撮る.
そして,やおら花立階段を登り始める,実にしんどくて嫌な階段である.
<花立階段下からの富士山>
■花立山荘
花立階段を半分ほど登ったところで,下山してくりチャンピョンとすれ違う.
花立階段を何とか登り切って,9時20分に花立山荘に到着する.花立階段を登るのに9分もかかっている.少し前までは7分で登っていたので,この階段のことを後七分坂と呼んでいたのに…今,7分で登るのは無理,無理.もっとも,鎌倉在住のトレランをする方は,花立階段を3分で登るというから,正に超人である.
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間25分,数年前なら塔ノ岳山頂に到着するラップである.また,小草平からは47分かかっている.ここは40分程度で歩けなければ…
花立山荘前からも,相変わらず富士山が良く見えている.ここからの富士山の眺めを写真に撮ろうかと思ったが,山荘前の広場に余りに沢山の登山客が居るので,どうしても写真に写り込んでしまう人が多くなってしまう.やめた!
花立山荘の温度計は14℃.登山にはもうちょっとちょっと気温が低い方が有難い.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘でも休みを取らずに通過する.
ここから先,段差の大きい階段には閉口するが,階段の先のガレ場に入ると眺望が開ける.もちろん写真を撮りながらのゆっくり登山を続ける.
8時30分,花立山山頂に到着する.相変わら富士山は良く見えているが,南アルプスはどうやら雲の中である.時計を見ながら,
”悠々,10時前に塔ノ岳山頂に到着できるな…”
と胸算用.
<花立山山頂>
■馬瀬付近の紅葉
馬の背に差し掛かる.
紅葉の見頃はもう過ぎた感じだが,それでもなかなかの風景である.毎度のことながら,こラップタイムなど二の次で,この辺りの風景を写真に納めながら,ゆっくりと歩く.
<馬の背の紅葉>
■金冷シ
9時36分,金冷シを通過する.
ここまで来れば,塔ノ岳山頂まで15~20分である.ゆっくり歩いても10時前に楽々山頂に到着する.
ならば…
ということで,周囲の眺めを楽しみながら登り続ける.
金冷シから最初の永い歓談をゆっくり登り切る.良い調子だ.続いて2番目の階段も何となく登り切る.
<金冷シを通過>
■塔ノ岳山頂
金冷シから2番目の階段を登り切って,いよいよ山頂直下の最後の階段に差し掛かるところで,MGさんとYDさんのお二人が私に追いつく.お二人とも2番バスで来られたので,私たち臨時バス組より20分ほど後から登山を開始している.驚くべき俊足である.
このお二人と一緒に登るのは不可能なので,私は私で登り続ける.
9時53分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.山頂の気温は14℃.無風.とても気持ちが良い.まずは儀式として周囲の風景をデジカメに収める.
私より少し前に山頂に到着したMGさんとYDさんの脇に座って暫く休憩を取る.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,2時間58分.わずか2分だが,とにかく目標としていた3Hはクリアした.
”良かった! 良かった!”
である.
休憩を取っていると,常連のTTさんが山頂に到着する.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■堀山の家
10時04分,MGさん,YDさんと一緒に下山開始.
山頂付近の木道を通過して,最初の階段道を下っているところで,登ってくるYSさんとすれ違う.さらにその下でカメラマンのMMさんとすれ違う.
10時20分,金冷シを通過.
10時30分,花立山荘に到着.山荘前は大変な登山者で賑わっている.花立階段を半分ほど下ったところで,IIJさんとすれ違う.IIJさんは花立山荘まで登るという.てっきり萱場平で引き返したとばかり思っていたが,花立山荘までとは素晴らしい.
順調に下って,10時59分,小草平に到着する.ここでお二人とお別れして,私は堀山の家に立ち寄る.女主人が愛想良く私を向かい入れる.私より少し前にHMさんが堀山に家に到着したようである.
まずは.女主人からリンゴを頂戴する.山歩きで食べる果物は最高である.
私は,250円也の冷たいコーラを所望する.
<堀山の家>
■SSKさんとバッタリ
11時05分,堀山の家を出発する.
ほぼ同じ時刻に堀山の家を出発したMNさんと前後しながら,まあ,まあの速度で下山しつづける.
11時22分,駒止茶屋を通過する.この辺りからまた何となく一人旅になる.
周囲の紅葉を眺めながら,ジャストマイペースで下り続けて,11時30分頃,一本松を通過する.フト前方を見ると,私より大分先を下山していると思っていたMGさんYDさん,それにHMさんがモミジ坂入口付近で立ち止まっている.
”あれぇ~っ…! どうしたんだろう?”
近づくと,ナント! 長期療養中だったSSKさんが居られる.つい今朝方,SSKさんが丹沢に復帰してリハビリ登山中だとは伺っていたが,まさか今日お会いできるとは…
いずれにしても,山仲間が戻ってくるのは,この上なく嬉しいことである.SSKさんは,自分はリハビリチュなので,先に下山してくれとのことなので,下山後,渋沢のミスタードーナッツで一緒にコーヒーブレークすることにして,先に下山させて貰う.
その後,順調に下山しつづけて,⑿時16分,無事,大倉に到着する.
■渋沢駅ミスタードーナッツでコーヒーブレーク
路線バスで渋沢駅へ.
渋沢駅ミスタードーナッツで,久々の懇親会を開催する.MGさん,HNさん,YDさん,YSさん,STさん,IIJさんなど大勢の常連が揃う,
私はもちろん270円也のホットコーヒーである.
久々の懇親会なので,長時間お付き合いしたかったが,私は展覧会に出展する作品が未完成なために,人間早く,失礼をする.
<ミスタードーナッツのコーヒー>
■無事帰宅
15時前に無事帰宅する.
山行で来ていた着衣を洗濯機に入れて洗濯.そして自分はシャワーを浴びて汗を流す(ほとんど汗はかかなかったが…)
登山終了後の満足感に浸りながら,暫くうたた寝.そのとき玄関が賑やかになる.長男一家が突然訪れてくる.今夜は孫娘を加えて,楽しい夕食である.
食事をしていると,また玄関が騒がしい.今度は次女一家が我が家に立ち寄る.こうして図らずも我が家は大生に際にとなる.その後,それぞれが三々五々と引き上げる.そして,我が家は静寂を取り戻す.
”さて,じゃあ…寝るか.”
こうして充実の土曜日の夜は更けていく.
<ラップタイム>
6:55 大倉歩きだし
7:20 観音茶屋
7:35 見晴茶屋
8:11 駒止茶屋
8:29 堀山の家(8:34まで雑談)
8:53 花立山荘
9:37 金冷シ
9:53 塔ノ岳山頂着
10:04 〃 発
10:20 金冷シ
10:30 花立山荘
10:59 堀山の家(11:05まで休憩)
11:22 駒止茶屋
11:45 見晴茶屋
11:53 観音茶屋
12:15 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 6:55
塔ノ岳山頂着 9:53
(所要時間) 2時間58分(2.97h)
水平歩行速度 7.0km/2.97h=2.36 km/h
登攀速度 1,269m/2.97h=427m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 10:06
大倉着 12:15
(所要時間) 2時間06分(2.10h)
水平歩行速度 7.0km/2.10h=3.33km/h
下降速度 1,269m/2.10h=604/h
(おわり)
「丹沢の山旅」(塔ノ岳)の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2bbe0b9ab2970314884a309d6ebb74e2
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)