<花立山荘から雲間の下界を眺める>
台風18号の雨;でも爽やかに登る丹沢;塔ノ岳(今年30回目)
(単独山行)
2017年9月16日(土) 雨時々曇
■3連休が台風18号でメチャメチャ
私は毎週土曜日に丹沢の塔ノ岳に登るのを楽しみにしている.
ところが,今週末はノロノロと東寄りに向きを変えた台風18号とその東にある巨大な雨雲の影響で,今日から始まる3連休の天気もメチャメチャになりそうである.
昨日(9月15日)の夕方の天気予報では,今日土曜日の丹沢方面の天気は午前中曇,午後から雨ということだった.それだけではなく,翌日の日曜日は終日雨,そして月曜日は晴れるが強風が吹き荒れるとのことであった,
私は昨日の段階で,今日,土曜日の山行は取りやめるつもりだった.
そして,今日を迎える.
何時もの通り,今朝も早朝3時頃,目が覚める.念のため月額300円也の天気予報を見ると,午前中は曇.14時頃から雨が降り出すとのことである.
”14時頃から雨ならば,雨が降り出す前に余裕を持って塔ノ岳を往復できるな…”
そう判断した私は,急遽,丹沢に出かけることにした.
急いで支度をする.そして,何時もの通り4時10分に自宅から出発する.外は真っ暗.つい1ヶ月前ぐらいまでは,この時間ではすっかり明るかったのに…季節の移り変わりは実に早いなと実感する.
まっくらな東の中天に三日月が光っている.空気はキリリと冷ややかである.路傍からコーロギの啼き声が聞こえてくる.
■常連がほとんど居ない…
東海道本線下り1番電車に乗車する.天気が悪いためか,何時もの土曜日より心なしか空いているようである.
電車が茅ヶ崎を過ぎる頃,ようやく夜が明け始める.
5時51分,電車は小田原駅に到着する.ホームの階段を登る.毎度のことながら,このホームの階段が楽に昇れるかどうかで今日の体調が大体分かるが,今日の体調は”並”というところだろう.
6時12分,渋沢駅に到着する.そのまま大倉行バス停へ.一番乗り.
やがて下り電車が到着する.若手常連カップルが列に並ぶ.その後,何時のならどっと登山者が降りる下り電車が到着するが,列に加わった登山者は僅か数名.常連はKIさん,IwIさんだけ.堀山の家のオヤジドノも列に並ぶ.
「今日は,(常連さんは)誰も乗っていないよ…」
と私に言う.
”さもありなん…こんな天気に山登りとは…酔狂なことだな”
と自己評価する.
もちろん,こんな状態なので,臨時バスは出ない.臨時バスに乗って,ちょっとでも早く登り始めたいのに…実に残念.時刻表通り6時48分にバスは渋沢駅を発車する.土曜日にもかかわらず,バスは”空き,空き”である.
■雨が降り出す
7時03分,大倉から歩き出す.
涼しいのが何よりである.何時もの通り,余力のある歩き出しから低速度で歩き始める.ただ,今日は涼しいので何時もの低速度より,チョッピリ速いかな.
7時11分,登山口を通過する.このところほとんど雨が降っていないが,路面は水を含んで黒くなっている.今日は登山者が少ないので,私をむやみに追い越していく登山者がほとんど居ないので,落ち着いて登り続けることができる.
そろそろ丹沢ベースに近づく頃,ポツンと雨粒が顔に当たる.
”ありゃりゃ…! まだ8時前なのに,もう雨が降り出したか…”
予想外の早い時間に雨が降り出したので,ビックリすると同時に,早くも登山意欲が減退し始める.
丁度そのとき,何時の間にか私のすぐ後ろに迫っているKIさんが,
「雨が降り出したね…」
と私に声を掛ける.
「そうですね,雨の中登るのはイヤなので,途中で引き返しますよ…」
と返事する.
内心では,せっかく出かけてきたんだから,せめて小草平ぐらいまで登りたいな…でも,雨が激しくなりそうだったら,すぐさま引き返そうと思っている.
<観音茶屋>
■見晴茶屋からの眺望
7時28分,観音茶屋を通過する.もちろん,まだ朝が早いので,観音茶屋は開店していない.
雨が降り出すと,山ヒルに取り付かれる可能性がある.私は登山道の真ん中を,やや急ぎ足で歩き続ける.
”早く山ヒル危険地帯を脱出しなければ…”
フト気がつくと,私のすぐ後ろに居るはずのKIさんの姿がない,
”どこへ消えたんだろう…まあ,イイカ”
で登り続ける.
7時45分,見晴茶屋に到着する.
見晴茶屋の前から見える渋沢市街地と相模湾の写真を撮る.
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
すぐに見晴階段差し掛かる.
令によって,会談を下から見上げた定点観測用の写真を撮る.何時もは登山者が行列を作って登っている後ろ姿が見えるが,今日見えるのは,坂を登り始めたところに1人だけ.
今日は涼しいので,案外気持ちよく階段を登り続ける.
やがて,見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.
モミジ坂も案外調子よく登って,8時03分,一本松に到着する.大倉からの所要時間は,丁度1時間である.決して喜ぶほどのラップではないが,蒸し暑いときは,とてもではないが1時間ではここまで来れない.
”今日は案外調子が良いぞ…”
<見晴階段>
■駒止茶屋
相変わらず霧雨が降っている.でも少し風が吹いていることもあって,とても登りやすい.雨具を着ようかなと迷うが,雨具を着ても汗で濡れてしまうに決まっている.
”今日は小草平で打ち止めだな…それならもう少しの辛抱.くそ暑い雨具を着るのはヤ~メタット!”
私は少しばかり濡れるのは覚悟して,雨具を装着せずに登り続ける.
あと,もう少しで駒止階段というところで,前を行く小柄な女性が居るのに気がつく.後ろ姿が凜々しくて品があるなと思いながらも,そのまま追い越させて貰う.そのとき,この女性が,
「あら…FHさん!」
と私に声を掛ける.
私はビックリする.
”私を知っている女性って…誰だろう?”
振り返ると,堀山の家の女主人である.私はまたビックリ.
「…とりあえず先に行かせt貰います…」
ということで,駒止階段を登り始める.
駒止階段を登り切って,8時20分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は,1時間17分,やっぱり今ひとつ遅いが,今の私の実力では,まあ,こんなところだろう.
堀山の尾根道に差し掛かる.
何時の間にか,雨が止んでいる.
<駒止茶屋>
■見えない富士山の写真
尾根道から雲間の表尾根が見える.霧雨で生気を取り戻した木々の緑が実にさわやかで気持ちが良い.
”雨の日の登山も案外良いものだな…”
やがて,晴れていれば富士山がよく見える場所に到着する.でも,辺り一面に広がる雲に遮られて富士山はおろか近場の景色も見えないが,やけくそで見えない富士山の写真を撮る.
8時29分,堀山の標識の前を通過する.ここから,ちょっとの間,緩やかな下り坂が続く.思いっきり飛ばす.
<マルハタケブキの堀山>
■小草平(堀山の家)
すぐに下り坂は終わって,登り返しに差し掛かる.途端に先ほどの空元気が嘘のように歩行速度が鈍る.
登り返しをやっと登って,8時37分に萱場平到着.堀山の家の寒暖計によると,ただ今の気温は13℃.快適登山にはまだ少し気温が高いが,真夏のクソ暑さに比較したら天と地の差がある.
大倉から小草平までの所要時間は1時間34分.本当無理をせずには1時間30分で登りたいところだが,4分余計である.この差4分は結構きつくて,とてもではないが今の私には実現不可能である.
今,丁度,雨が止んでいる.
先ほどまで,今日の登山は堀山の家で終わりにしようと思っていたが,雨でなく曇ということだった,このままお残を続けようと思う.
<堀山の家>
■萱場平
マイペースを保ちながら登り続ける.
途中から雨が本降りになる.私はリュックの中から簡易ポンチョを引っ張り出して頭からかぶる.
”参ったナ,でも切りが良い萱場平まで登ってから,すぐに下山しよう…”
と決めてから,また,ゆっくりペースで登り続ける.
戸沢分岐手前の急階段で,5~6名の大学生らしい男性グループが私を追い越す.その後,私はこのグループのすぐ後ろについて登り続ける.
本降りになった雨で芦野との階段が滑りやすくなっている.早々と下山すべきだなとは思いながらも,もう少し登って萱場平を本日の終点にしようと決める.
8時58分,戸沢分岐に到着する.さきほど私を追い抜いた男性グループが戸沢分岐で立ち休憩を取っている.
「ちょっと上の広場にベンチがありますよ…」
と教えてあげる.
9時01分,本日の終点,萱場平に到着する…が,何時の間にか雨が止んでいる.
”…ん,なら,花立山荘まで登ろう…!”
と急に気分が変わる.
<萱場平の元気なアザミ>
■花立山荘
先ほどまでの雨で,足下はベタベタに濡れている.足下に気をつけんがら,ジャストマイペースで登り続ける.
あともう少しで花立階段というところで,後から来たIIZさんに追い抜かれる.また雨が降り始める.でも,せっかくここまで登ったんだから花立山荘まで登ってから引き返そうと心に決める.
花立階段に差し掛かる,私を追い抜いたIIZさんの後ろ姿が10数段上に見えているが,この差が次第に広がっていく.
9時24分,花立山荘に到着する.また雨が止んでいる.
”ならば,金ひゃしまで行こう!”
私は簡易ポンチョを脱いで,リュックにしまい込む.
大倉か花立山荘までの所要時間は2時間21分.小草平からは52分もかかっている.ここは十分に改善の余地がある.
<花立階段>
■花立山
身支度を調えて,9時26分,花立山荘から歩き出す.
今のところ疲労感は全くないが,無理をせずに登り続ける.階段道が終わってザレ場に入る.晴れていれば,この辺りから視界が広がるはずだが,今日は深い近場の山まで雲の中である.
花立山荘から10分掛け花立山山頂に到着する.本当は景色が良いところなのに…全く以て残念至極.
そのまま花立山を通過する.
また雨が降り始める.
<花立山>
■霧の中の塔ノ岳山頂
馬の背に差し掛かると,霧が少し薄くなり,鍋割山稜の山裾が少しだけ見える.秋の気配がたっぷりの風景が一寸だけ見える.
9時43分,金冷シを通過する.また雨が降り始める.でも,ここまで登ったら,今更,登山中止はない.このまま歩けば,今日は大倉から塔ノ岳までの所要時間が3時間を切りそうである.ならば,もう山頂まで登るしかない.
意外にも疲労感は全くない.結構な速度で金冷シから最初の階段をあっけなく登る.そして,2番目の階段も何となく登り切る.何時の間にかまた雨が止んでいる.よかった!
9時59分,無事,塔ノ岳山頂に到着する.
辺り一面に霧が掛かっていて,ほとんど視界はない.山頂に居る登山者は,せいぜい1~2人である.山頂の気温は13℃.無風である.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間56分.わずか4分とはいえ,とにかく所要時間が3時間を切った.しかも全く疲労していない.こういうのを,”たった4分,されど4分”と言うんだろう.でもとにかく正直に嬉しい.
花立山荘からの所要時間は32分.ここは30分で登りたいところ.もう少し体力を付けて30分で登りたいところだ.
金冷シからの所要時間は16分.ここもあと1分縮めたいところである.
<塔ノ岳山頂>
■雲間のパノラマを眺めながら下山
そそくさと食事を半分だけ済ませて,10時06分,下山開始.
山頂直下の木道で,登ってくるFTさんとすれ違う.握手してお別れする.
さらにその先でKKさん達とすれ違う.KKさんが,
「もう下山ですか! 面目躍如ですね」
と私に言う.
”面目躍如って?”
私は違和感を感じたが,
「いや,まあ,エヘヘ…先にゆっくり下山しています」
と訳の分からない返事をしてから,下り続ける.
幸いなことの雨は止んでいる.でも足下はベチャベチャに濡れている.滑って転倒しないように,注意をしながら下山し続ける.
10時19分,金冷シを通過.
10時26分,花立山通過.
上空一面に薄い雲が覆っているが,雲の切れ目から相模湾のパノラマが広がっている.何という美しさだろう.私は立ち止まって数枚の写真を撮る.
<花立山から下界を望む>
■堀山の家
花立山からの下りザレ場から階段道に入る辺りで,登ってくるNNさんとバッタリ.3~4分,立ち話をする.
10時37分,花立山荘を通過する.何時もの土曜日は,山荘前のベンチは休憩を取る登山者でいっぱいだが,今日は誰も居ない.花立山荘の自家発電(かな?)のモーター音だけが聞こえてくる.
花立階段を降りて,ガレ場の下りになる.登ってくる登山者が少ないので,すれ違いで気を遣うこともなく気楽に下山し続ける.正にストレスフリーの下山である.実に気分爽快.
”雨の日の登山もまんざら悪くもないな…”
そんなことを思いながら,ジャストマイペースで下山し続ける.
ただ,路面はベタベタに濡れている,濡れた医師や丸太は滑りやすいので,一歩一歩,安全に注意しながら下山し続ける.
10時13分,小草平に到着する.
ここのベンチも何時もの土曜日だと休憩を取る登山者でいっぱいだが,今日は誰も居ない.
堀山の家に立ち寄る.
今日は常連が誰も居ないので,渋沢駅ビル内のミスタードーナッツでのコーヒータイムはない.それならば,大倉発のバスに乗るのは何時でも良いので気が楽である.
真相成ってすっかりきれいになった堀山の家に入る.今朝方,登りですれ違った女主人が愛想良く出迎えてくれる,先客は常連のKIさん.堀山の家お馴染みの船長さん他常連の方が居られる.
「何か冷たいいものください…」
ということで250円也のジュースを頂戴する.
ジュースを飲みながら,暫くの間,皆さんと雑談する.
そろそろ堀山の家から出発しようとしたところで,FTさんが堀山の家に到着する.FTさんは自分で作った漬け物を堀山の家に差し入れる.私も2片ほどご相伴にあずかる.美味.
<堀山の家>< <Tさんの漬け物>
■バスの時間に合わせて下山
10時35分,堀山の家を出発する.
これからゆっくり下っても,大倉発13時11分のバスには十分に間に合う.折角だから今日は観音茶屋にも立ち寄ろうと思いながら下山し続ける.
11時50分,駒止茶屋を通過する.
この辺りから霧がだんだんと深くなり,モミジ坂を下り始める頃には,また雨が降り出す.参ったナ.
12時17分,見晴茶屋を通過する.まだ,雨は一向に止む気配がない.仕方がないので雑事場ノ平で,リュックの中から簡易ポンチョを取りだして頭からかぶる.そして,つばの付いた防水の帽子をかぶる.
12時36分,観音茶屋に到着する.雨具のまま店に入るのも憚るし,雨の中途中下車する気にもなれないので,女主人に,今日はパスしますと挨拶して通過する.
その後も,バスの時間に合わせて,ゆっくりと下山し続けて,12時59分にバス停大倉に到着する.
下り所要時間は1時間53分.
<雨でビシャビシャの見晴茶屋>
■無事帰宅
渋沢13時32分発快速急行小田原行に乗車する.小田原で14時04分発特別快速高崎行に乗り換える.14時33分に大船駅に到着する.
15時前に帰宅.
すぐにシャワーを浴びて,何となく湿っぽい衣服を乾いた衣服に着替える.これで気分さっぱり.
夕方,息子がひょっこり我が家を訪れる.息子を交えて団らんの夕食を摂る.
こうして,雨の塔ノ岳登山は無事終わった.雨の山行もたまにな良いなと再認識した次第.
…と,いうことで今日も”良かった,良かった”である.
<ラップタイム>
7:03 大倉歩きだし
7:28 観音茶屋
7:45 見晴茶屋
8:20 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:01 萱場平
9:24 花立山荘(9:29まで雨具装着)
9:43 金冷シ
9:59 塔ノ岳山頂着
10:06 〃 発
10:19 金冷シ
10:37 花立山荘
11:13 堀山の家(11:35まで雑談・休憩)
11:50 駒止茶屋
12:17 見晴茶屋
12:36 観音茶屋
12:59 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:03
塔ノ岳山頂着 9:59
(所要時間) 2時間53分(2.88h)
水平歩行速度 7.0km/2.88h=2.43km/h
登攀速度 1,269m/2.88h=441m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 10:06
大倉着 12:59
(所要時間) 2時間43分(2.57h)
水平歩行速度 7.0km/2.57h=2.72km/h
下降速度 1,269m/2.57h=494m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」(塔ノ岳)の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f66fe5c29b88e7653cb9867d0553f06e
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
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