グランドキャニオン谷底往復;エピローグ
(アルパインツアー)
2017年2月28日(火)~3月7日(火)
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<無事,トレッキングが終わった>
■長年の夢が実った
こうして,私のグランドキャニオン谷底往復の旅は無事終わった.
今から,かれこれ30年ほど前,私がまだ民間企業に勤務していた頃,私は仕事でボストンからロサンゼルスへ飛行機で移動したことがある.このときだろうか,あるいは別の機会にフェニックスからロサンゼルスに飛んだとこだったろうか,記憶が定かではないが,飛行機の窓からグランドキャニオンを見下ろしたことがある.
そのときの印象は,何か巨大なブルトーザーで大地を引っかき回した後のように見えた.その荒々し光景に圧倒される思いであった.
”何時の日か,あの谷底へ行ってみたいな…”
私は,どうせ見果てぬ夢に終わるに違いないと思いながらも,グランドキャニオンにあこがれを抱いていた.
その後,私は当時勤務していた企業を早期定年退職して,次の勤務先にトラバーユしたが,そこも今から約10年前に退職した.そして四半世紀も経ってしまった今になって,幸運にもグランドキャニオン谷底往復をすることができた.これは私にとって望外の幸せなことであった.
実は…
当該トレッキングに参加申し込みをしたときに,かつて某大学の山岳部に所属していた弟が,
「…グランドキャニオンを谷底まで降りるなんて…兄貴,無謀だぞ! あそこオレも途中まで降りてみたが大変なところだよ…」
と私を脅す.私は,
”オレも,いい年をして,グランドキャニオンの谷底まで降りるなんて,やっぱり無理かな…”
と迷いに迷った.
そこで,インターネットでグランドキャニオンの資料をいろいろ探しまくって,机上のフィージビリティスタデイを試みた.その結果,累積の登り下り高度差は,私が毎週上り下りしている丹沢塔ノ岳(大倉尾根経由)とほぼ同じ程度のようだし,一日の間に往復するわけでもないので,こんな私でも,まあ,ナントカなるだろうと確信する.
■やっぱり気になるのは自分の年齢
私は,迷った末に,ついに主催社のアルパインツアー社に参加申し込みをした.実は,昨年(2016年),アルパインツアー社主催のブランか山脈トレッキングに参加したばかりだったので,いくら高年齢だとはいえ,まだあのときの体力は温存されているだろう.それならば,体力が落ちる前に,グランドキャニオンにも行ってしまえ…まあ,こんな気持ちだった.
そうは言っても,年齢という客観的な尺度で見れば私は十分すぎるぐらい高齢である.高齢だからこそ,私は,どんな些細なミスもしたくないし,団体行動を乱すようなこともしたくない.そんな事態になれば,
”いい年をして,こんなツアーに参加するなんて…身の程知らずにもほどがある”
と糾弾されるに違いない.
こんな迷いが最後の最後まで私の心から離れない.
こんな迷いが,参加申し込みを決断するときにも絶えず私の心につきまとう.さらに,それだけではない.谷底へ下るときも,登るときにも,絶えずそんなことばかり考えていた.
結果的には,団体行動を乱すこともなく,また,お荷物になることもなく,ナントカ無事に一連の旅を終えることができた.これは私にとって望外の幸いであったし,まだ,そこそこ,登山を続けられそうだという自信にもなった.
<エピローグは新たな旅のプロローグ>
■当面は五街道歩きに専念
私は,体力が許す限り.これからも,どこかを歩き続けるだろう.
当面は,国内の五街道歩きを完全踏破したいと思っている.したがって,今回のグランドキャニオン谷底往復の次は,五街道歩きで最後に残った奥州街道(白河まで)を歩くことに専念したいと思っている.奥州街道歩き終えれば,五街道すべてを歩き終えることになる.
”五街道を踏破したら,その後,どうする?”
これは私自身でもどうするか良くわからない.でも,健康が許す限り,多分,国内のどこかの街道を歩き続けるだろう.
そして国内登山は…?
丹沢以外の,どこか,一寸した山へ登りたいなと思っているが…
10月の信越トレイル以外,まだ決まっていない.
■では,海外は…
う~ん…
海外へ行ってみたいが,先立つものが…
現役ならば,なにがしかの収入があるけど暇がない.退役すると暇があるが,こんどは収入が激減する.暇もお金も潤沢ならば有難いが,神仏はそんな贅沢をなかなか許してくれない.
一寸ばかりの貯金を使い果たして文無しになるのも困るが,なけなしの金を後生大事に残したまま川渡りをする気もない.
”ええぃ~面倒っ! あと一回は海外へ出かけてみるか…でも,これが人生最後の海外の山旅になるだろうな…”
と私の心は定まらない.
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…と,ここまで書いたところで,この記事は書きっぱなしのままで,長い時間が経過した.そして,今日はもう8月31日である.グランドキャニオン谷底往復から帰国して,かれこれ半年近く経っている.
その間に,私はピレネー山小屋縦走トレッキングを無事終えた.
まさに一つの旅のエピローグは,次の旅のプロローグでもある.
(完)
「グランドキャニョン谷底往復」の目次
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「グランドキャニョン谷底往復」の索引
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