お盆休み特集 昭和を振り返る;第13話;夜の勉強は駅で
(2017年8月27日記)
戦争中はもちろん灯火管制が徹底していた.
空襲に備えて,窓に黒い紙を貼たりカーテンをしたりして,室内の燈火が外に漏れないようにする.うっかり燈火が外へもれたら,それこそ大変である.見回りの青年団の人から叱られるだけでなく,非国民とののしられる.
でもそのうちに電力が逼迫してきて,電灯はほとんど使い物にならなくなる.そこで登場するのが,黒い色をした固形油が入っている平たい缶である.缶の片隅に芯がついている.こお芯に点火すると,長さが2センチめとるほどの炎が点る.
卓袱台の真ん中に,この缶を乗せ,この炎を中心に家族一同顔をつきあわせて,夜長を過ごす.そして,真っ暗闇の中で就寝する.
余り定かではないが,電力事情は,戦争中より,むしろ戦後の方がひどかったように記憶している,
戦争末期になると,何もかもメチャメチャだったが,少なくともそれまでは東部軍管区情報(後に東部防空情報)をラヂオで聞いていた記憶がある.だから,電気は滞りなく来ていたに違いない.
8月15日,戦争が終結する.
もう空襲もないので,灯火管制も当然無くなる.でも,やっぱり,燈火が家の外へ漏れてみ良いのか気になる.そうは言っても,肝心の電気がたまにしか来ないので,終戦後も,しばらくの間,ランプや油の炎を証明に使う日々が続く.
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町中が真っ暗になる夜,由一の楽しみは星空がとても美しいことである.
その頃,工事用もほとんど壊滅しているし,自動車の皆無と言って良い状態である.大気汚染の源は自分のオナラぐらいしかない.民の竈からもビンボーなので煙などほとんど立っていない.
ただ,それが故に天から素晴らしい贈り物を頂戴していた.それは美しい夜空である.天空には壮大な天の川がはっきり見える.透明な夜空にそれこそ無数の星がきらめいている.
夜明け朝焼けも実に見事だった.とくに八ヶ岳連峰に沈む夕日で山稜が黄金色にまぶしく輝く風景は圧巻だった.あんなに美しい光景は,今になっては絶対にムル事ができない.
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ここで閑話休題.
私はやせても枯れても中学生.
時にはちゃんと勉強しなければならない.私はものぐさなので暗い夜中にあえて勉強をすることもなかったが,きちんと勉強をする人は,わざわざ駅まで行って勉強をしていた.
どういうわけか,駅だけはどんなに電力事情が悪くても,ちゃんと電気が点っていた.そこで,勉強好きな中学生や読書家は,夜になると駅に集まってくる.
私は,駅などにわざわざ出かけることはほとんどなかったが,駅の明かりがちょっとした社交場になっていたようである.
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あれから幾星霜.
人工衛星から日本列島の形が分かるほど,日本の夜空は光り輝いているようになった.僅か70年ほどの間に随分と変わったものだなと思っている..
(第13話おわり)
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