<馬の背の紅葉>
堀山の紅葉が素晴らしい丹沢:塔ノ岳(今年50回目)
(単独山行)
2013年11月9日(土) 曇
■どうせだから大船駅まで歩こう
毎度,同じ愚痴ばかり繰り返しているが,秋も深まると夜明けがグッと遅くなり,朝晩が寒くなる.いくら朝早く目覚めても,寒い最中にノコノコと起き出すのが億劫になる.でも,前夜就寝前に山用の衣服に着替えてしまうと,起き出すのもそれほど億劫ではなくなる.
今朝も,この手法を使って,3時半過ぎにスッキリと起床する.
"よお〜しっ…! 今日も丹沢へ行くぞ!"
と気分も早朝からハイテンションである.
"ならば,家でグズグズしていても仕方がない."
私は,4時10分に家を出発する.何時もより1時間早い時間である.まだ,何時も利用している湘南モノレールの始発まで1時間以上の時間があるので,自宅から大船までウォームアップを兼ねて歩く事にする.約2.5キロメートル,標高差約65メートルの山下りである.
大船5時10分発熱海行の電車に乗車する.東海道本線下り初電である,今日は土曜日,初電から,もう,沢山の乗客で賑わっている.
天気予報では,明日日曜日の天気は余り良くないようである.そのためか,子の時間なら,1番バスの乗客のトップに並べる筈なのに,先客がもう5〜6人並んでいる.その後も次々に登山客が並び始め,瞬く間に数十メートルの長蛇の列になる.満席の車内を見回すと,山岳マラソンのHさん,韋駄天のSTさん,TGさん,三角髭のTDさん,YUさん,KIさん,SSKさん,IIさん,STさん,HNさん,マドンナさん他多数のご常連,顔見知りの方が乗車している.
■ご常連と一緒に歩き出す
バス停大倉は何時もの土曜日よりも随分と混雑している.
待合室でモタモタしている内に,三角髭のTDさん,YUさん,KEさん達は次々に大倉から歩き出す.私は先発組から10分ほど遅れて,7時13分に大倉から歩き出す.SSKさん,NMさん,IIさんとそのお友達の若い2人の女性と一緒である.
毎度のことながら,IIさんの歩き出しはかなりの高速,スロースターターの私には,IIさんに付いていくのは少々シンドイ.私たちの前後には,早朝にもかかわらず沢山の登山者が数珠繋ぎになっている.気温は16℃,湿度もそれほど高くなさそうである.ただ,足許は湿っている.
雑事場ノ平辺りで,私は何となく一同の先頭になる.前方には登山者が数珠繋ぎになっている.歩みの遅い一見(いちげん)の方は,申し訳ないか追い越させて頂く.そんなことを繰り返している内に.7時36分,観音茶屋を通過する.そして,私の直ぐ後ろに居るはずの皆さんの姿が見えないことに,ようやく気がつく.
"まあ,いいや…マイペースで一人旅しよう…"
と自分の気持ちに踏ん切りを付けて,この辺りから一人旅を続けることにする.
<登山客で賑わう大倉付近> <数珠繋ぎの登山者>
■見晴階段
7時52分,見晴茶屋を通過して,見晴階段に差し掛かる.ここで例によって定点写真を撮る.階段の下から上まで登山客が切れ目なく続いている.何時ものように若い方々にはドンドン追い越されるが,逆に何人かの方を追い越しながら,終始マイペースで登り続ける.
今日も気温がそれほど高くないので,気持ちよく登れそうである.
7時09分,一本松を通過する.
この辺りの紅葉が見頃になるのは,もう少し先のようである.
<見晴階段>
■駒止茶屋を通過する
駒止階段に差し掛かる.まだ先が長いから,ユックリペースで1段,1段慎重に登り続ける.何時ものように,泊まり莊の速度で登っている方は追い越させて頂くが,ハイペースで登る何人もの若い人に追い越される.中にはハアハアと荒い息遣いをしながら,無理矢理私を追い抜く人も居る.
”ああ,この人は直ぐにバテるな”
と思っていると,案の定,駒止茶屋のベンチにへたり込んでしまう.
8時22分,駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間09分.
”あれ,あれ…予想より2〜3分,遅いな…”
と思いながら駒止茶屋を通過する.
堀山の尾根に入ると,だんだんと紅葉が綺麗に見え始める.
<堀山の尾根道の紅葉>
■見えない富士山を撮る
堀山の尾根道に入る.この辺りが大倉尾根歩きで,一番楽しい所である.今日は結果的に一人旅なってしまったので,何方にも気兼ねすることもなく,適当に写真を撮りながらマイペースで歩き続ける.
やがて,晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する.ここも私の定点観測shしんを取る場所なので,立ち止まって,見えない富士山の写真を撮る.
後ろから来た登山者が,
「何かありますか…?」
と怪訝な顔をして私に話しかける.
「いえ…その…晴れていればここから富士山が良く見えるんです」
道端で大きな切り株を幾つか背負子に乗せている男性が居る.いつも堀山の家で薪割りをしているKIさんである.
「随分重そうですね.40キロぐらいですか…」
「いや,それほどはないです…30キロぐらいかな?」
何れにしてもご苦労様.
<見えない富士山を撮る>
■参ったナ!
8時31分,堀山に差し掛かる.前方に大勢のグループが歩いている.それもメチャクチャ遅い歩きである.少人数ならサッサと追い抜いてしまうのだが,20〜30人も居られるだろうか.こでではどうにもならない.仕方なく列の後ろに付いて歩き続ける.
その内に,列の後ろの方が
「追い越しがありますよ…」
と前方に声を掛けてくれる.私は,
「すみません,すみません,…」
と頭を下げながら,先に行かせてもらう.通りすがりに,
「こう何回も追い越されるんじゃきりがないよ…」
と愚痴を言っているのが聞こえてくる.途端に私の頭の中のカチンスイッチが入ってしまう.
”なにいってやんでぇ…,てめえらだけの山じゃねえぞ….何十人もキンギョのウンコみたいに繋がって歩くな”
これ半分本音である.大人数で歩くときは,5〜6人ずつの小グループに分かれて行動するのが山のエチケット.小グループに分かれれば,すれ違い追い越し追い越されがスムーズに行くのに…
”このグループのリーダーは,一体何を考えているんだ…”
とはいうものの,小心者の私は,別に文句をいうわけでもなく,スミマセンだけを繰り返して,先に行かせてもらう.
<大人数のグループが歩いている>
■堀山の家
8時39分,堀山の家を通過する.今日は,まだ朝が早いのに,山荘の前に「営業中」と画いた大きな赤い幟旗が立っている.小草平のベンチに堀山の家の主人が座っている.
「おはようございます…帰りにお寄りします…」
で堀山の家を通過する.
今日も堀山の家から花立山荘まで,40分掛けて登る積もりである.
<堀山の家を通過>
■紅葉が見頃
堀山の家を通過して,長い急坂を昇り始める.この辺りの紅葉が丁度見頃を迎えている.ユックリと紅葉の写真を撮りながら登りたいが,それをやっていると登る気力がなくなるので,写真をユックリ沢山撮るのは,下山までお預けである.
写真を撮るのはともかく,綺麗に紅葉した木々を眺めながらの登山は実に良いものである.
<堀山の家付近の紅葉は見頃である>
■萱場平
紅葉で道草をしながら登っていたので,少々歩くのが遅くなったが,8時57分に萱場平に到着する.
早速,定点写真を撮る.偶然,写真の中にマドンナさんの後ろ姿が写っている.萱場平で漸くマドンナさんに追い付く.
<萱場平>
■また大人数のグループだ
萱場平を過ぎてから,上機嫌で一人旅を続ける.
ところが,またもや前方に大人数のグループが登っている.こちらも随分とユックリペースで登っているので,すぐに追い付いてしまう.
グループの最後部の男性が,
「追い越しで〜す…」
と大声を出す.
「どうぞ,どうぞ,…」
と譲られるが,こちとらもトウネンフタツトッテ61歳のロートル,そう簡単には追い抜けない.
「どちらからお出でですか…?」
と伺ってみる.
「大坂からですよ…」
「わざわざ大坂からですか!」
「そう…夜行バスで来ました」
それは大変だ.夜行バスで草臥れてからの塔ノ岳は考えただけでも大変なことである.
<前方に大きなグループ>
■花立山荘
やがて後7分坂に差し掛かる.
途中で人数の多いグループに2回も会ったこともあって,ユックリペースだった.そのため体力の消耗が少なくて済んだのか,割合に良いペースで後7分坂を登る.
9時19分,花立山荘を通過する.雲の中に入ったのか,霧が出始める.
大倉から花立山荘までの所要時間は,9時間06分.ちょっと遅いが,まあ,まあ,というところだろう.
後7分坂を,ハアハアと荒い息で私を追い越した男性がベンチで休憩を取っている.これまで,2回追い抜かれた男性である.軽く会釈をして,先に行かせてもらう.
花立山荘を通過して堀山に向かう途中で,下山してくるSTさんとすれ違う.STさんは相変わらず俊足である.
<花立山荘>
■塔ノ岳山頂
9時26分,花立山を通過する.今日は余り写真を撮らずにサッサと歩いて,8時31分に金冷シを通過する.
その後も惰性で登り続ける.
山頂直下で,下山してくるYUさんとすれ違う.
「おや,今日は随分と早い下山ですね…」
「いえ…今日は(尊仏山荘には)立ち寄らずに,直ぐに降りてきました」
9時45分,塔ノ岳山頂に到着する.山頂には深い霧が掛かっている.気温6℃.結構寒いが,沢山の登山客が霧の中で休憩を取っている.温度計を眺めたり,辺りの霧の写真を撮りながらで,何時もの定型的な儀式を終えて,尊仏山荘に向かう.
山荘の手前で,いきなり,
「FHさん,こっちへ行くよ…」
とどなたかが私を誘う.誰かなと確かめると,ご常連の方である.三角髭のTDさんが,
「私も一緒に行きます…」
と言う.どうやら水場の方へ下るようである.私も同行したかったが,今日は孫が家に来ているので,速く家に帰りたい.残念.
皆さんは,多分,紅葉を眺めながら,鍋割山北尾根を登るんだろうなと想像する.
<塔ノ岳山頂> <水場方面に下山するご常連>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.入口で華伊達美弥雄さんが,お座りをして出迎えてくれる.
今日の小屋番は,オーナーのH立さん,W林さん,F谷さん.私が山荘に入ると直ぐに300円也のお茶の準備を始める.いちいち注文しなくても所望のお茶が出てくるので便利である.
お茶を飲んでいると,ハアハア息で私を2回追い越した男性が山荘に入ってくる.彼もご常連のようである.
やがて,10時を過ぎる.
大倉から一緒に歩き始めた皆さんが一向に現れない.
「それにしても,遅いな…おかしいな?」
皆さんが,今日は鍋割山に廻ると言っていたのを小耳に挟んだような気がする.
「どうやら,金冷シから鍋割山へ廻られたらしいですね…」
と小屋番の皆様と雑談.
今日は外が寒いので,山荘に入る客が多いようである.見知らぬ登山客で山荘が満席になる.あまり長居をしても営業妨害になると思った私は,10時08分に尊仏山荘を出る.
<山荘入り口できちんと正座したミャ〜君>
■真っ直ぐ下山
山頂直下の急階段を下っているときに,登ってくるSSKさん,IIさん,NMさん達とすれ違う.
「(FHさんが)痺れを切らして,下ってくる頃だと話していましたよ」
とNMさんが図星なことを言う.
皆さんは,やっぱり,鍋割山経由で下山するというので,私は真っ直ぐ何処へも立ち寄らずに下山することに決める.
沢山の登山者が次から次へと登ってくる,狭い登山道ですれ違うのに苦労する.
萱場平を過ぎて堀山の家に近付く頃.周囲の紅葉が一段と綺麗になる.この辺りでは十分に時間を取って紅葉を写真に撮る.
11時17分に堀山の家に到着する.小草平のベンチははち切れそうなほどの登山客が休憩を取っている.若い人が多い.
堀山の家でコーヒーでも飲んで行こうかと思ったが,一人で珈琲を飲むのもシンキクサイ.小屋には申し訳ないなと思うが通過してしまう.
一本松付近で,後から下ってきたマドンナさんに追い抜かれる.
今日は大倉発12時40分のバスに乗るつもりなので,バスの時間と睨めっこしながら下山足とを調節する.
バス停大倉の直ぐ手前で,STさん,UNさんに追い付く.
大倉発12時40分のバスに乗車する.まだ時間が早いのにバスはほぼ満席になる.
どこにも寄り道せずに真っ直ぐ家路を急ぐ.14時過ぎに無事帰宅する.
今日も良かった.良かった.
<ラップタイム>
7:13 大倉歩き出し
7:36 観音茶屋
7:52 見晴山荘
8:22 駒止茶屋
8:39 堀山の家
9:18 花立山荘
9:29 金冷シ
9:45 塔ノ岳山頂着(6.0℃)
10:08 〃 発
10:22 金冷シ
10:30 花立山荘
11:17 堀山の家
11:35 駒止茶屋
11:58 見晴山荘
12:12 観音茶屋
12:34 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:13
塔ノ岳 着 9:45
(所要時間) 2時間32 分(2.53h)
水平歩行速度 7.0km/2.53h=2.77km/h
登攀速度 1269m/2.53h=501.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:08
大倉 着 12:34
(所要時間) 2時間26分(2.43h)
水平歩行速度 7.0km/2.26h=3.09km/h
下降速度 1269m/2.26h=561.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8adab15bba5aff7377600fa568e9c0ce
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/03eff17308e2204e3b8b02d38a79b0c5
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堀山の紅葉が素晴らしい丹沢:塔ノ岳(今年50回目)
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