<塔ノ岳山頂>
暑さにヘバリながらやっと登る丹沢;塔ノ岳(今年26回目)
(単独山行)
2017年7月22日(土) 晴後曇
■夜明けが遅くなり蒸し暑くなった…
また土曜日が廻ってきた.
ここ数年,土曜日の行事は丹沢塔ノ岳詣でと決めているので,何時ものように4時10分に自宅を出発する.
夏至が過ぎて1ヶ月,日の出が大分遅くなったような気がする.まだ暗い住宅地の中を私の影が動き回る.まるで江戸川乱歩の世界のようである.物音一つ聞こえてこない早朝の住宅地を私の影があやしく動き回っている.まるで夜叉である.
<薄暗い私の影>
■三日月
東の空が白んでいる.
鎌倉中央公園の森に三日月が上り掛けている.デジカメを固定して三日月を写したが,やっぱり少しぶれてしまった.
月影を踏みながら,山を下って大船駅へ向かう.
<鎌倉中婦公園の森に三日月が浮かぶ>
■富士山と矢倉岳
何時ものように小田原駅で小田急線新宿行急行電車に乗り換える.
新松田駅の手前で,富士山と矢倉岳が重なり合うのがボンヤリながら見えている,急いで写真を撮るが,実際の画像は肉眼で見るよりさらにボンヤリとしか写っていない,
”今日は登山の途中で富士山が見えるかな…”
電車は,6時11分,渋沢駅に到着する.大倉行バス乗り場には一番乗りである.何時もならば,私がバス停に到着する前に,常連のYSさんが居られるはずだが,残念ながらYSさんは療養中.常連の顔が見えないのはちょっと寂しい.その代わりにヤングのNNさんが2ヶ月ぶりにヒョッコリと現れる.
今日は臨時バスはナシ.定期便だけである.バスは満員.毎日登山のTGさん,三角髭のTDさん,俊足のKMさん,下山が滅法速いISIさん,HMさん,YDさん,NMさん,久々のTNさんMTさん,KIさんなどの常連さんも同じバスに乗車する.
7時05分,バスは大倉に到着する.
<富士山と矢倉岳が重なる>
■どうやら山ヒルの心配はなさそうだ
7時11分,大倉から歩き出す.出発がいつもより10分ほど遅い.帰りに大倉発13時10分のバスに乗ろうとすると,この10分の差は,結構大きい.ましてや,蒸し暑さが予想される今日のような日には,暑さに弱い私には致命的である.
毎日登山のTGさんは俊足でどんどん先へ行ってしまう.ヤングのNNさんも俊足である.見る見るうちに私の視界から消えていく.
とはいえ,この時期は,やっぱり熱中症になるのが何よりも怖いので,こまめに水分を摂ることと,オーバーペースにならないように細心の注意をしながら登ろうと自分に言い聞かせる.
歩き出しは,身体が暑さに慣れるまで超低速で歩き続ける.
7時19分,登山口を通過する.このところ雨が降っていないために,路面はパサパサに乾いている.この分だと,登山道の真ん中を歩いている限り,山ヒルに遭遇することもないなと確信する.
私は今回も水を2リットルほどリュックの中のハイドレーションシステムに入れている.何時もより,多少多めである.この水を15分に1回程度の頻度で,2~3口,口に含んでから飲むようにしている.
■高齢者には夏場の登山はシンドイ
なにせ私は高齢者なので人一倍自分の体調に注意をしながら登っている.たとえば,脈拍だが,(220-自分の年齢)×0.6 を上限にするように留意している.もっとも登山中に脈拍を測ることは,脈拍測定器を使わなければ事実上無理なので,平素15秒ほど自分の脈拍を測って,その値を4倍して大体の目安を感じ取る練習をしている.
そうはいっても,そんなに行動中はおよその感覚でしか割らないが,それでも自分の脈拍を意識するだけでもより安全になると信じている.
本音を言おう…
こうでもして自分の意識を高めないと,ついつい競争心が湧き上がってしまい,抜かれると癪に障るし,前を歩く人を見るとついつい追い越したくなる.でもこんなことをしていると,たちまちの内に疲労困憊し自滅する.こんなこと百も承知しているくせに,いざとなると自制するのがとても困難になる.
”安全登山とは,悟りの境地に似たり”
これが長い間続けてきた塔ノ岳詣でから得た悟りの境地である.
克董窯付近で,MNさんと,HMさんが雑談をしながら私を追い抜いていく.
4時36分頃,日の当たる坂道に入る.今日も木の葉の間から朝日が眩しく射し込んでいる.
7時42分,ようやく観音茶屋を通過する.大倉を歩き出してから,一体何人の登山者に追い抜かれただろうか.多分20~30人になるだろう.その間,私が追い抜いた登山者はゼロ.
こう言う状態でも平常心を保ちながら,マイペースを維持するのは私に撮って大変なことである.
<日の当たる坂道>
■見晴階段
8時01分,ようやく雑事場ノ平に到着する.相川等ウムし暑い.
雑事場ノ平で,先ほど私を追い越して行ったHMさんが休憩を取っている.ここから花立階段付近まで,HMさんと結果的に一緒に歩くことになる.
8時03分,見晴茶屋を通過して,いよいよ見晴階段に差し掛かる.
今日は何とも身体が重くて冴えない気分である.文字通りナメクジのようにノロノロと階段を登る.その間,後ろに居られるHMさんに,
「どうぞ先に行って下さい…」
と重ねて言うが,遠慮してか,ずっと私の後ろに付いている.正直なところ,少々気になる.
見晴階段に差し掛かる.例によって定点観測の写真を撮る.今日も沢山の登山客の後ろ姿が見えている.
随分と時間を掛けてやっと見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.さきほど私を勢いよく抜いていった何組かの登山者が坂の途中で休憩を取っている.
8時24分,ようやく一本松に到着する.大倉から一本松までの所要時間は,ナント1時間13分も掛かっている.
”いくら何でも,これは時間の掛かりすぎだな…”
私は自分の体力に自信が持てなくなる.
<見晴階段>
■緑陰の道
一本松を過ぎて平坦な尾根道に入る.いくらか微風がある.ちょっと解放された気分で平坦道を楽しみながら歩き続ける.
やがて,駒止階段に差し掛かる.ここも結構シンドイが,まあナントカ登りつづける.
<心地よい緑陰の道>
■駒止茶屋
駒止階段をやっとの思いで登りきって,8時41分に漸く駒止茶屋を通過する.
大倉からの所要時間は,1時間30分.涼しいときと比較すると15分ほど時間が余計に掛かっている.
”すぐに気持ちの良い堀山の尾根道だぞ…”
と自分を奮い立たせる.
<駒止茶屋>
■見えない富士山の写真
堀山の尾根道に差し掛かる.
少し長い木道を過ぎるとほぼ平坦な土道になる.毎度同じことばかり書いているが,ここは大倉尾根で一番素晴らしい場所である.
やがて晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する点が,何時の間にか空一面に雲が広がっていて,残念ながら富士山は雲の中である.でも,私はここで見えない富士山の写真を撮る.
8時51分,堀山の道標の前を通過する.
<堀山の尾根道から見えない富士山の写真を撮る>
■小草平の「堀山の家」
小草平手前の坂道で,ヤングのNNさんの後ろ姿が見え始める.
9時03分,ようやく小草平に到着する.
堀山の家の軒下に吊り下げられている温度計を覗き込む.只今の気温は23.5℃.やっぱり暑い.
ここまで一緒だったHMさんが,小草平で休憩を取るとのことなので,
「…ユックリ先に登っています…」
とお断りしてから,私は休憩を取らずに登り続ける.
<小草平>
■萱場平
ノソノソと登っている間に,小草平で休憩を取っていたHMさんが.ほどなく私に追い付く.
「お先にどうぞ…」
と先を譲るが,ユックリ登ると言うことでまた私の後ろに付く.
喘ぐように登り続けて,9時08分,ようやく萱場平に到着する.大倉からの所要時間は1時間57分である.本来ならば花立階段を半分以上登っていなければならない頃である.
萱場平でも休憩を取らずに登り続ける.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平から先は一層厳しくなる.なかなか足が先に進まない.
”年のせいかな…そろそろ年貢の納め時かな”
などと,寂しいことを考えながら,それでも登り続ける.
後もう少しで花立階段というところで,私の後ろに居たHMさんが,
「私本気を出して花立山荘まで登ります.(塔ノ岳山頂まで行かずに)花立山荘から下山します…」
とのことで,漸く私の前に出る.そして私とHMさんの間隔が見る見るうちに開いていく.
その直後,ISIさんが私に追い付く.
「…花立山荘で休憩を取っています…」
と私に言い残して,私を追い抜いていく.
”今日はダメだな…オレも花立山荘を終点にしようかな…”
と思いながら,力なく花立階段を登り続ける.
10時丁度に,ようやく花立山荘に辿り着く.大倉を歩き出してから実に2時間49分も経過している.涼しければとっくに塔ノ岳山頂に到着しているラップである.ちなみに小草平から花立山荘までの所要時間は58分というだらしない結果になっている.何時もならば40~45分程度の所なのに…
”今日はここが終点だ…花立山荘の氷水でも賞味して下山しよう”
と決める.
取りあえずは近場のベンチに座り込んで,汗を拭う.
<花立山荘>
■花立山
ベンチに座って一呼吸している間に,意外に涼しいことに気が付く.
”これならば,もう少し登れるかも知れない…”
という気になり,10時08分,再び花立山荘から歩き出す.
シンドイ階段を登り切ってガレ場に入る.一段と涼しくなる.
どうやら雲の中に入ったらしく,富士山はおろか近場の鍋割山稜も見えない.花立山荘から14分も掛けてようやく花立山山頂に到着する.ここで一休みして下山しようかと思ったが,また何となくもう少し登ろうという意欲が湧いている.
やがて馬の背に差し掛かる.ここで下山してくるYGさんとすれ違う.
さらにその先で,下山してくるMGさん,YDさんとすれ違う.
「折角,ここまで登ったので,塔ノ岳山頂まで行ってきます…」
<霧の花立山山頂>
■塔ノ岳山頂
10時30分,ようやく金冷シに辿り着く.
もう,ここまで来れば,塔ノ岳山頂まで後僅かである.ちょっとばかり気を許してさらにノンビリ速度で歩き続ける.
10時54分,ようやく塔ノ岳山頂に辿り着く.山頂の気温は28℃.随分と高温である.
山頂には霧が掛かっていて,視界は全くない.私が山頂に到着して,ほどなくヤングのNNさんも山頂に到着する.
今日の大倉から山頂までの所要時間は実に3時間43分.最低最悪の記録である.
”情けないったら,アリャシナイ”
<霧の塔ノ岳山頂>
■偶然,常連3人と一緒に下山開始
塔ノ岳山頂で一休みしてから,11時02分,下山開始.
丁度そのとき,KIさん,TTさん,MTさんの3人連れと一緒になる.暫くの間,お三方と一緒にかなり快調なペースで下山し続ける.
途中で,ISIさん,NMさんのお二人に追い抜かれる.
11時50分,小草平に到着.KIさんは堀山の家に立ち寄るとのことなので,残り3人で付かず離れずの速度で下り続ける.
12時04分,駒止茶屋を通過する.このとき,
”このままのピッチで下山すれば,大倉発13時11分のバスに間に合うぞ…”
と確信する.
駒止階段を慎重に降りてからの平坦道は,歩行速度をかなり上げる.申し訳ないけれどもお二方より先に歩かせて貰う.
12時15分,一本松を通過する.そして,12時27分,見晴茶屋を通過.
”これなら確実に,件(くだん)のバスに間に合うぞ…”
すでに危険な場所はないので,さらに歩行速度を上げる.
12時40分,観音茶屋を通過する.茶屋前の休憩所では沢山の若者が休憩を取っている.
その後も順調に下って,12時58分に無事バス停大倉に下山する.
下り所要時間は,1時間56分.僅か4分ながら2時間を切った.
TGさん,MGさん,YDさん,HMさん,HNさん,久々のTNさんなどと一緒に,大倉発13時11分発のバスに乗車する.
■遅いラップながら無事下山
私たちを乗せたバスは,13時28分に渋沢駅に到着する.
”あつ!…13時32分発快速急行小田原行に間に合うぞ…”
今日は息子がわが家に来ることになっている.私は恒例のミスタードーナッツでのコーヒーブレークをパスして,電車に飛び乗る.
疲れが出たのか,不覚にも居眠りをしたまま小田原に到着する,見回りの車掌に起こされて,あやうく新松田まで折り返さずに済む.
小田原発14時04分特別快速高崎行に乗車する.例により4人掛け1ボックスを途中まで1人で占有する快適旅である.
15時前に,息子と前後して帰宅する.
いくら暑いとは言え,塔ノ岳の登りに3時間43分も掛かってしまったとは…
”私の登山歴もそろそろ終わりにすべきかな…”
と考えさせられる1日だった.
でも,この結論はもう少し先だ!
あつ! そう言えば登山道のあちこちでホタルブクロが咲いていた.下山のときにホタルブクロの写真を撮ろうと思っていたのに,バスの時間が気になって,写真を撮るのを忘れた!
これは来週土曜日のお楽しみということにしておこう.
”何だかんだ言いながら,来週も塔ノ岳に登るつもりなんだな…”
と私の体内に巣喰っている底意地の悪いもう一人の私が,私をからかう.
<ラップタイム>
7:11 大倉歩きだし
7:42 観音茶屋
8:03 見晴茶屋
8:41 駒止茶屋
9:03 堀山の家
9:27 萱場平
10:00 花立山荘(10:08まで休憩)
10:30 金冷シ
10:54 塔ノ岳山頂着
11:02 〃 発
11:12 金冷シ
11:18 花立山荘
11:50 堀山の家
12:06 駒止茶屋
12:27 見晴茶屋
12:40 観音茶屋
12:58 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:11
塔ノ岳山頂着 10:54
(所要時間) 3時間43分(3.72h)
水平歩行速度 7.0km/3.72h=1.88km/h
登攀速度 1,269m/3.72h=341m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 11:02
大倉着 12:58
(所要時間) 1時間56分(1.93h)
水平歩行速度 7.0km/1.93h=363km/h
下降速度 1,269m/1.93h=658m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5aa1d50ac2bad4b2f435aa2d612240d8
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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