<塔ノ岳山頂付近の雪道>
季節外れの大雪と超泥んこの丹沢;塔ノ岳(今年10回目)
(単独山行)
2017年4月2日(日) 曇
■今日は何だか身体が重い
本当は昨日(4月1日)の土曜日,丹沢塔ノ岳に登るつもりだった.ところが,出掛ける予定の4時頃,冷たい雨がシトシトと降っている.いくら物好きの私でも,雨の中を出掛ける気にはなれないので,残念ながら塔ノ岳行は中止した.
そして,翌,4月2日,今日の天気予報では,雲が多いもののどうやら雨には会わないようなので.思い切って塔ノ岳に出掛けることにした.たった1日の差しかないのに,出掛ける曜日が何時もと違うと,体中にどうも違和感感じるが,何時ものように4時10分に自宅を出発する.
外に出ると,それほど気温は低くなさそうだが,何となく薄ら寒い感じがする.
大船5時10分発熱海行の電車に乗車する.このところ夜が明ける時間が,日毎に早くなり,電車が藤沢を発車する頃,東の空が白み始める.そして,小田原に近付く頃になると,太陽の光が車内に眩しく射し込んでくる.
小田原で小田急電鉄新宿行急行電車に乗り換える.
駅の階段を登っているときに,
”今日はなんだか身体が重いな”
と感じる.階段を登り切ったときに,息切れさえ感じる.
”今日は塔ノ岳山頂までは無理かな…”
もうすっかり夜が明けているので,久々に富士山と矢倉岳の写真が撮れるかなと期待したが,海寄りの方は良く晴れているのに,反対側の富士山方面は分厚い雲に覆われている.
6時11分,電車は渋沢駅に到着する.登山者らしい数名の乗客が渋沢駅で下車する.
大倉行バス停には先客が3~4人,どうやら私と同じ電車で来た人達のようである.やがて下り電車が到着すると,急にバス待ちの列が長くなる.その中に毎日登山のTGさん,ヤングのNNさん,AIさん,俊足のKMさんが居られる.
バスの中でたまたま居合わせたAIさんと,
「週に1回の登山では歩き出しがどうもシンドイ.やっぱり週に2回登らないと本調子にならないですね…」
と話し合う.お互いに同感.
■登山靴が重い
6時58分,大倉から歩き出す.
今日は,全くの単独で気まま登山に徹するつもりである.取りあえずは小草平にある堀山の家を目標にして歩こう.そこから先は,小草平で考えようと思う.
実は,昨日,山の知人のTZさんから,2日前の金曜日に丹沢山まで登ったらこの冬1番の大雪で難儀したという内容のメールをいただいた.そこで,私は,今回に限って,真冬用の登山靴を履いている.久々に履く本格的な登山靴である.何時も軽登山靴ばかり履いているので,このところの私の足は,軽い靴にすっかり慣れてしまった.そのためか,思い靴を履いた今日は,歩き出しからもう草臥れたような気がしてくる.
7時04分,登山口を通過する.登山口近くで,つい先日まで咲いていた花(梅だったかな?)はもう終わり.花がないと何となく殺風景な感じがする.昨日の雨のためか路面は少し濡れている.
例によって,私は歩き出すの20~30分は,超ノロノロ歩きである.その間に随分と沢山の登山者に追い抜かれる.
■日の当たる坂道
7時15分,丹沢ベースを通過する.足許の石ころが濡れていて歩きにくい.
やがて,ジグザグ道を通過して,7時19分頃,日の当たる坂道に到着する.辺りに立ちこめている薄い霧を通して柔らかい日差しが真横から射し込んでいる.
”この霧,何とか晴れないかな…”
と重いながら歩き続ける.
7時24分,ようやく観音茶屋を通過する.やっっぱり,今日は体調が思わしくないのか,靴が重いのか原因はハッキリしないがとにかく気勢が上がらない.ただ,ただ惰性で,観音茶屋から先のジグザグの登り坂を歩き続ける.
<日の当たる坂道>
■見晴茶屋
7時42分,ようやく見晴茶屋の前を通過する.
朝日が見晴茶屋に当たっている.茶屋の前から相模湾を見下ろす.薄い霧が一面に掛かっていて,海と空が渾然一体になって光っている.
見晴茶屋からの風景を写真に撮ったが,画面全体が真っ白に撮れているだけで,面白くもなんともない.
<鈍い朝日を浴びる見晴茶屋>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
例によって,階段下から階段を見上げた写真を撮る.何時もの土曜日に比較すると,画面に写っている登山客の後ろ姿は随分と少ない.
私は息切れしないように注意しながら,ユックリ,ユックリと坂道を登る.登山靴が重たいなと感じながら…
見晴階段をようやく登りきって,モミジ坂に差し掛かる.気勢が上がらないまま半ば惰性で登り続けて,8時丁度に一本松に到着する.
大倉から一本松までの所要時間は1時間02分.
”ありゃっ! 気勢が上がらない割には,まあ,まあ,のラップじゃないか!”
私自身,もっと,もっと,時間が掛かっているなと思っていたが,ほぼいつも通りのラップなので逆にビックリする.
<見晴階段>
■駒止茶屋
一本松からの水平道を通過して,駒止階段に差し掛かる.
この辺りから,登山道の両側に残雪が見え始める.階段を登るにつれて残雪の量が増えていく.
8時15分,ようやく駒止茶屋に到着する.重い登山靴が堪えたらしく,階段道に多少時間が掛かったらしく,大倉からの所要時間は1時間18分.何時もより3分ほど余計に時間が掛かっている.
<駒止茶屋付近から残雪が増える>
■残雪の堀山の尾根
駒止茶屋から先は,完全に真冬の状態になる.階段道は踏み固められた雪が凍結していて,かなり滑りやすくなっている.これでは,そう簡単に速歩で歩くわけにも行かないので,一歩一歩慎重に歩き続ける.
”これでは,仮に塔ノ岳山頂まで登っても,所要時間は3時間をオーバーするのが確実だな”
と覚悟する.
<滑りやすい木道>
■小草平(堀山の家)
やがて富士山が良く見える場所に投薬する.
8時23分,下山してくるKSさんとすれ違う.
「やあ,やあ,FHさん…暫くぶり」
と私に話しかけながら握手.私は何時ものようにKSさんから勇気をもらう.
「山頂は偉い雪ですよ…特に下りはアイゼンなしでは無理ですよ…」
とのこと.
残念ながら,富士山はおろか近場の山の分厚い雲に覆われていて.殆ど何も見えない.でも儀式として,ここで見えない富士山の写真を撮る.
8時26分,堀山の標識の前を通過する.今日は,ここから先の下り坂も速度を上げずにユックリ歩く.そして,8時34分,ようやく小草平の堀山の家に到着する.堀山の家の玄関前に設置されている温度計は2℃を指している.
小草平では休憩を取らずにそのまま登り続ける.
<堀山の家>
■萱場平
小草平から先の坂道に差し掛かる.
登るにつれて,雪が徐々に深まっている.特に木道や木の階段が滑りやすいので,注意をしながら坂道を登り続ける.
8時57分,漸く萱場平に到着する.もう,大倉から2時間近く掛かっている.体調が良くて雪道でなければ.後七分坂(花立階段)をもう少しで登りきって,そろそろ花立山荘に到着する時間である.
”この雪じゃ,仕方ねえな…!”
と私の体内に巣喰っているもう一人の私が,めずらしく同情する.
<残雪の萱場平>
■花立山荘で食事
アイゼンを履いたら,断然歩き易くなる.なにも無理をしてアイゼンなしで登る必要はないなと改めて思う.
半ば雪に埋もれた花立階段を,惰性で登り続ける.一段登る度に登山靴の重さが堪える.
”オレの足も随分弱くなったな”
と実感しながら,諦めたような,悟ったような気分で階段を登る.そして,9時28分,漸く花立山荘に辿り着く.このとき,大倉を歩き出してから2時間30分も経過している.小草平からの所要時間は54分も掛かっている.アイゼン装着のロスタイム5分を考慮しても,平素41~42分で登っている所なので,今回は.やっぱりシンドイなと思う.
花立階段を登っている途中で,シャリバテ気味になる.朝,ちゃんと食事をしているのに…
シャリバテでは仕方がない.私は山荘前の雪だらけのベンチの片隅に腰を下ろして,パン1切れを急いで食べる.そして,9時35分,花立山荘を出発する.
<雪の花立階段>
■花立山から先は完全な雪山
花立階段からシンドイ足を引きずりながら,花立山を登る.途中の階段は半ば雪の中である.幸いなことに今日は無風.歩いていると,寒いというより,むしと暑いぐらいである.
階段からガレ場に入ると視界が開けるはずだが,今日はタップリの雪でどこまでが階段で,どこからがガレ場か全く分からない.ただただ雪の急斜面を登っている感じである.辺り一面に霧がかかっていて,残念ながら視界は張ったくない.
9時44分,ようやく花立山を通過する.
花立山から先は,雪が一段と深まる.人一人やっと通れるほどの雪の溝ができている.その溝を辿ってノソノソと歩き続ける.ときどき下山してくる人とすれ違うのに難儀する.
今日はアイゼンを装着しているので,難所の馬の背の下りも難なく通過して,9時52分,金冷シに到着する.
金冷シから先はさらに雪が深まる.周囲の木の枝には雪が残っていて,樹氷の用に見えている.周囲の残雪風解が見事なので,ラップタイムのことはさておいて,写真を撮りながら登り続ける.
<金冷シから先は一段と雪が深まる>
■霧と残雪の山頂付近
塔ノ岳山頂に近付くと霧が深くなる.どうやら分厚い雲の中を登っているようである.
金冷シから先の階段道は,勿論,大量の雪に埋もれている.階段は見えないし,霧で見通しが利かないし,
”私は一体何処を歩いているんだろう…”
金冷シから最初の階段と思われる所を通過して,緩い下り坂に差し掛かる.この坂のお陰で,最初の階段が終わって2番目の階段に差し掛かっていることが分かる.2番目の階段はやや勾配が急な登り坂に変わっている.気分的には随分と楽に登れる.
ところが,山頂直下の階段道は随分と急な登り坂になっている.
<霧が深まる>
■塔ノ岳山頂
塔ノ岳山頂直下の階段道も完全に雪の中である.
もう少しで山頂という所で,下山し始めたAIさんとNNさんの2人とすれ違う.
「私も山頂まで行ってきます…今日はこんな状態なので12時40分のバスには間に合いそうもないので,13時10分のバスを目標に下山します…」
と伝えて,お二人とお別れする.
10時12分,漸く,塔ノ岳山頂に到着する.山頂には先ほど私を追い越したHIさんが居られる.
「やっと(塔ノ岳山頂に)到着しました.随分暖かいですね.何度ぐらいでしょうか…」
とHIさんに挨拶.
「…8℃ありますよ…もう一度確かめてみましょう」
と言いながら,HIさんはわざわざ温度計を見に行く.
「やっぱり8℃ありますよ…」
とのこと.
1~2分雑談後,HIさんは私より一足先に下山開始.
私は儀式として霧で待った君通しのない山頂からの風景をデジカメに収める.
今日の大倉からのラップタイムは3時間12分,いくら雪道だとはいえ,"何をか言わん哉”
まあ,何とか塔ノ岳山頂まで登ったことで良しとしよう.
<霧と深雪の塔ノ岳山頂>
■雪の急斜面を慎重に下る
私も,下山の支度をしてから,すぐに下山しようと思う.
登りでは使わなかったストックをリュックから取り出す.手袋は…まあ,いいや.
10時18分,塔ノ岳山頂から下山開始.
山頂付近の急坂は,アイゼンを履いていても,ちょっと緊張する.
”周囲に人が居なければ,尻制動でス~ッと滑り降りるのに…”
とちょっと残念がる.
急坂を下って,10時35分,金冷シを通過する.
途中で,名前は失念したが,たまに会う常連さんとバッタリ.
「…お元気そうですね.相変わらず毎週登っておられるんですか…」
と私に話しかける.
「はい,雨でなければ週一登っています」
と答える.
「へえ~…,毎週ですか!」
と呆れ顔である.
私は常連とバスの中で週一ではちょっと足りないと話したばかりなので奇妙な感じを受けながら,この方とお別れする.
後は順調に下り続けて,萱場平でアイゼンを脱着する.
■下界は春爛漫
時間が押しているので,どこの山草にも立ち寄らずに下山し続ける.
萱場平から下は,雪が融けて大変な泥んこである.道幅一杯に泥水が貯まっているところやグチャグチャの田圃のような道が随所にあり,靴は泥だらけになる.
時間が押しているので,何処の山小屋にも立ち寄らずに下山し続ける.
堀山の尾根道からモミジ坂に差し掛かる頃から,周囲の雰囲気が春めいてくる.
12時44分,克董窯を通過する.つい先日まで花が見事だった子当画家は,今,新緑がとても綺麗である.やっぱり今は春だなと実感する.つい先ほどまでの大雪はウソのようである.
<新緑の克董窯>
■無事帰宅
12時52分,バス停大倉に到着する.TGさん,AIさん,NNさんは12時41分のバスで帰られたようである.
私は大倉発13時10分のバスに乗車する.カモ見知りの常連は誰も居ない.
バスが渋沢駅に到着してから,駅ビル1階のミスタードーナッツを覗いてみる.常連は誰も居ないことを確かめてから,小田急電車小田原行に乗車する.
小田原駅から特別快速高崎行に乗り換える.14時33分に大船に到着する.路線バスの接続が良くて15時前に帰宅する.
きょうは何時もの山行より大分疲れた感じがするが,無事,山頂まで往復できて,”良かった,良かった”である.
<ラップタイム>
6:58 大倉歩きだし
7:28 観音茶屋
7:42 見晴茶屋
8:15 駒止茶屋
8:34 堀山の家(大岩の手前で軽アイゼン装着)
9:28 花立山荘(食事)
9:52 金冷シ
10:12 塔ノ岳山頂着
10:18 〃 発
10:35 金冷シ
10:55 花立山荘(萱場平でアイゼン脱着)
11:33 堀山の家
11:55 駒止茶屋
12:18 見晴茶屋
12:32 観音茶屋
12:52 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 6:58
塔ノ岳山頂着 10:12
(所要時間) 3時間14分(3.23h)
水平歩行速度 7.0km/3.23h=2.17km/h
登攀速度 1,269m/3.23h=393/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 10:16
大倉着 12:52
(所要時間) 2時間34分(2.57)
水平歩行速度 7.0km/2.57h=2.72km/h
下降速度 1,269m/2.57h=494m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/205d7df8c4f9a90cdda23605c99d8f95
「丹沢の山旅」の次回の記事
なし
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季節外れの大雪と超泥んこの丹沢;塔ノ岳(今年10回目
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