<オーア-ポイント>
グランドキャニョン谷底往復;第3日目(2);トレッキング1日目(2);
下山開始
(アルパインツアー)
2017年2月28日(火)~3月7日(火)
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<ルート地図>
■サウスカイバブルート概念図
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■ルート地図
■プロフィールマップ
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<下山口からオーアーポイントまで>
■いきなりのジグザグ道
9時05分,いよいよトレッキングの開始である.
軽アイゼンを装着した私達は,先頭の現地ガイドのADMさんと最後尾のツアーリーダーのHDさんの間に挟まって,グランドキャニョンの谷底を目指して歩き出す.いよいよ登山(下山?)の開始である.
トレッキングの途中でラップタイムを計測したり,メモを取ったりしながら歩きたい私は,1番後ろから,気楽に歩く事にする.
下山口付近は広々とした平原になっているので,標高は低いような錯覚に陥るが,実は標高2,210メートルの高原である.丹沢と比較したら,どの山よりもずっと高い所に位置している.今はまだ3月初旬,それにここは海から遠く離れた高原である.寒いのは当然である.
登山口から歩き出すとすぐに残雪がカチカチに凍結したジグザグ道になる.残雪の表面は新雪に近い状態だが,その下が凍結しているので,とても滑りやすい.こんな道が暫くの間連続する.
<下山口付近の凍結したジグザグ道>
■断崖の残雪道
断崖をジグザグに刻みながら下り続ける.登山道(下山道?)の道幅は結構広いので危険ではないが,かなりの高度感がある.
ADMさんが,
「…断崖から落ちて死んだ人が何人もいます.気を付けて歩いて下さい…」
と私達に念を押す.
ADMさんの話によると,つい先日も若者がふざけて後ろに振り向いた途端に足を滑らせて崖から落下して死亡したとのこと.また,普通の登山と違って,下りが先なので体力が有り余ていて,ドシドシと下った揚げ句,膝を痛めてし動けなくなった人が沢山居る.自重して下山するように注意を受ける.
”なるほど,その通りだな”
と私も同感.
普通,登山と言えば,まずは山頂を目指して登る.下山するときの体力を温存しながら登り続けるのが登るのが普通である.ところが,ここではいきなりの下りである.確かに普通の登山とは勝手が違う.
<断崖の残雪道を下り続ける>
■素晴らしい展望
断崖を下りながら,ときどき立ち止まって,壮大な風景を楽しむ.
前方には,ヤバパイポイント(Yavapai Point)付近と思われる(違うかな?)断崖が屹立しているのが手に取るように広がっている.
断崖には水平に幾層もの地層が見えている.明らかに堆積岩である.凝灰岩(limestone)と砂岩(sandstone)が積み重なっている.
この壮大なグランドキャニョンの形成過程は大変興味深いが,ここで記述し始めると切りがなくなるので,後日,資料編で触れることにして,ひとまず先へ進むことにする.
<水平に何艘もの地層が重なる断崖>
■オーアーポイント(Ooh Aah Point)に到着
9時49分,オーアーポイント(Oo Aah Point)に到着する.変な名前である.日本語で標示しにくい,
AMDさんに,
「”Oho Aah”って! 一体何ですか?」
と伺う.
「…ここまで下ると一気に視界が広がって,あまりの壮大さにビックリして,”Ooh Aah”と思わず叫ぶんですよ.だから" Ooh Aah"なんですよ…」
なるほど!
私達は,ここで壮大な風景を堪能しながら休憩を取る.
前方には対岸のノースリムの断崖が広がっている.
ちなみに,下山口とオーア-ポイントの標高差は230メートル,水平歩行距離は1.4キロメートルである.
歩き出してからオーア-ポイントまでの所要時間は,44分(0.73h)である.
したがって,ザッと計算して,
水平歩行速度 1.1km/0.73h=1.37km/h
下降速度 230m/0.73h=315m/h
である.
”フム,フム,…なるほど! まあ,丁度良い歩行速度だ.これなら,私も途中で潰れずに無事歩けそうだ…”
近くの岩に腰掛けて,前方を眺める.足許のすぐ先に尖った岩が見えている.
AMDさんが,
「…これから,あの尖った岩の付近を通りますよ…」
と私達に説明する.
<ウーアァーポイントからの眺望>
<泥道を下ってシダーリッジへ>
■一気に谷を下る
オーアーポイントでの展望休憩を終えて,9時54分,再び下を山開始する.この辺りまで下ると,気温も少し上がるらしく.残雪がある場所が次第に途切れ途切れになり,代わりに泥んこ道になる.泥んこの色は赤茶色.フェライト(酸化鉄Fe2O3)が沢山含まれているようである.
ジグザグの急坂を一気に下り続ける.あいかわらず断崖沿いの高度感のある登山道が連続する.
<岩壁沿いのジグザグ道は泥んこだ>
■壮大なスペクタクル
10時10分頃.先ほど見えていた"とんがり岩”(名前は分からない)付近を通過する.素晴らしい眺望が前後左右に広がっている.
”なんという壮大なスペクタクル…!”
私は,この壮大な風景をデジカメに収めながら,
”やっぱり,無理をしでも,このツアーに参加して良かったナ”
と思う.
<△岩からの壮大なスペクタクル>
■シダーリッジに到着
10時23分,シダーリッジ(Ceder Ridge,標高差340メートル)に到着する.下山口から歩き出して1時間18分経過している.下山口からの歩行距離は2.4キロメートルである.
ここはちょっとした広場になっている.私達は広場の一角で休憩を取る.広場には鉄棒のようなものが設置されている.
”何だろう…? 何に使うの?”
用途は良く分からないが,何か干すんだろうか? それともミュールの手綱を縛り付けるところかな? まあ,何でもいいや.
<シダーリッジの広場>
■噛まれるな!
私が座っている場所の直ぐ近くに小さな看板が立っているのに気が付く.
”何が書いてあるんだろう?”
私は興味を持って近付いて見る.そこには”旅をお楽しみ下さい”と書いてある.さらにその下に”噛まれないように”という注意垣がある.リスや虫に噛まれないようにということである.
AMDさんの説明によると,グランドキャニョンには毒蛇,毒虫などが結構沢山居るようである.これから泊まるキャンプ場にも居るとのこと.ちょっと怖い話である.
<栗鼠や虫に噛まれるな>
■巨大な岩壁の縁を歩く
休憩を終えて,10時40分,シダーポイントから歩き出す.
この辺りまで降りてくると,標高も1,800メートル程度まで低くなっているので,残雪は殆ど見られなくなり,気温も温暖になる.
プロフィールマップでも明らかなように,暫くの間は登山道の下り勾配が緩やかな状態が続く.
10時50分頃,巨大な岩壁の下を通過する.すぐ前方に見えている岩の間を通過した先は,また広々とした見晴の良い平地が続く.
<岩の間を通過する>
■格好いい騎馬隊とすれ違う
10時58分,十数頭の馬(ミュールかな?)に乗って坂道を登ってくる観光グループとすれ違う.
彼らは,何とも格好いい.
背景のグランドキャニョンの山々が,さらに良い雰囲気を醸し出している.
”こんな風景,絵に描きたいな…”
と思うが.グループ登山なのでスケッチする余裕はない.ちょっと焦れったいがやむを得ない.
馬上の人達は,私達を見下ろしながら,”ハーイ”と陽気に声を掛けてくる.
私,何だか見下されているような気分になる.
ADMさんの説明によると,谷の途中まで馬で上下する(下上する?)ツアーが人気のようである.
”それにしても,格好いいなあ~”
<騎馬グループとすれ違う>
<平坦な稜線歩き>
■長閑な稜線道
暫くの間,長閑な稜線歩きが続く.進行方向の両側には素晴らしい風景が展開している.私は,歩きながら,これが峡谷の中なのかと思えるほど広大な風景である.
”さすがグランドキャノンだ…!!”
この感じは,リムだけを歩いていたのでは,決して味わえないだろう.私は思い切って今回の谷底トレッキングに参加して良かったと,つくづく思う.
<グランドキャノン内の尾根道を歩く>
■ようやく谷底が見え始める
11時30分頃.進行方向左手の遙か眼下に,グランドキャニョンの谷底が見え始める.ここから見る限り,谷底はまだまだ下の方である.
私は谷底の写真を撮りながら.
”あそこまで降りるのはまだまだ大変だな…”
と気を引き締める.
”それにしても凄い風景だな…何時か水彩画に仕上げなければ…”
ということで,数枚の写真を撮ると同時に,今見えている風景の概要をメモ帳に大急ぎで書き留める.
<漸く谷底が見え始める>
■赤い土の台地
10時40分頃,稜線の幅が一層広くなる.赤土の平地である.気温が随分と上がり,暑くも寒くもなく,心地よい雰囲気になる.先ほどまでの残雪が凍結したところを歩いていたのがウソのように思える.
先頭を行くADMさんが,
「…もうすぐスケルトンポイントに到着しますよ…」
と私達を促す.
<広々とした台地が続く>
<スケルトンポイント>
■空中の広場
11時46分,スケルトンポイント(Skeleton Point;標高1,590メートル)に到着する.
下山口から標高差で620メートル下ったことになる.下山口から谷底のブライトエンジェルキャンプグラウンドまでの標高差は1,430メートルあるので,まだ,半分も下山していないことになる.
暖かい日差しを一杯に受けた心地よいところである.眺望絶佳.時間さえ許せば,ここで暫く昼寝をしていたい場所である.
<スケルトンポイントに到着>
■スケルトンポイントという名称の由来
ADMさんに,
「…スケルトンポイントなんて,変な名前ですね…」
と軽い気持ちで問いかける.
これが切っ掛けで,ADMさんから,むごい話をきくことになる.
話はこうである.
…実は,ここで49頭の馬が谷へ落ちて死んだ.そのとき馭者が49頭の馬を1本の手綱で繋いでいた.普通は例え一頭が落ちても他の馬が道連れにならないような結び方をするが,このとき,馭者が上下間違えて手綱を繋いでしまった.運悪く1頭の馬が暴れ出した.その馬が足を踏み外して谷へ落ちてしまったが,間違えた手綱のために残りの馬も引きずられて全部谷へ落ちてしまった.谷へ落ちた馬は救いようがないので,そのまま放置された.何年か経って,馬の死体は朽ち果てて骨だけが残った.ここからこの骨が見えていたのが,スケルトンポイントという名前の由来だとのこと.
■ここでランチだ!
ADMさんが,
「…ここでランチタイムにしましょう…」
と私達を促す.
私達は思い思いの場所に陣取る.
ADMさんが,自分のリュックから食材を取り出す.なんと,ADMさんは私達全員のランチを一人で背負っていた.何となく申し訳ない気分になる.
ADMさんは,早速,ランチの準備を始める.ツナ,ハム,チーズの塊を取り出してナイフでスライスする,私達はベーグルにスライスされたハムとチーズを自分で挟み込む.
<「ここでランチにしましょう…」>
■ランチはハムを挟んだベーグル
下の写真が,今日のランチである.これで終わり.私は自分のリュックの上に,ツナとハムを挟んだベーグルを置いて,記録写真を撮る.
ベーグルは適度な歯応えがあって,なかなか美味しい.でも,ちょっと物足りない…が,オレ達は登山をしているんだ.だからこれで良いんだ.
”これから都連キング中の3日間の食事は,毎食,大体この程度だな…”
と気を引き締める.
<ランチはベーグル>
■記念写真
ランチが一段落したところで,記念のために集合写真を撮る.下の写真はその集合写真である.
向かって右端がツアーリーダーのHDさん.ADMさんがカメラのシャッターを押しているので,ADMさんは写っていない.
「私…?」
勿論写っている.でも,どの人物が私かは○秘ということにしておこう.後ろに写っている壮大なスペクタクルは,勿論本物である.セットではない.
12時25分,昼食を終えて,午後の部を開始する.
<スケルトンポイントで記念写真>
(つづく)
つづきの記事
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(執筆中)
「グランドキャニョン谷底往復」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5af65f36dc434f32b7f18600720f25c7
「グランドキャニョン谷底往復」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c18667bacc5d6d7634fb6ebe265177b2
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グランドキャニョン谷底往復;第3日目(2);トレッキング1日目(2);下山開始
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