<塔ノ岳山頂>
連日の悪天候の合間に登る丹沢:塔ノ岳(今年23回目)
(単独山行)
2016年8月28日(日) 曇一時霧雨
<ルート地図>
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■雨雲が低く垂れ込めているが…
このところ,私は毎週土曜日の丹沢塔ノ岳に登ることにしているが,どういう訳か最近は悪天候の土曜日が続いている.
昨日の土曜日(8月27日)も,2~3日前までの天気予報では曇だったので,よし塔ノ岳に行くぞと思っていたが,天気予報がだんだんに悪化して,前日夜の天気予報では,ついに日中雨といくことになる.
いくら何でも,最初から雨と分かっているのに塔ノ岳に行くようなことはしない.残念だが塔ノ岳詣では中止した.
ところが,私が住んでいる鎌倉では,朝までに少し雨が降っていたものの,日中は雨など全く降らなかった.でも,関東地方のあちこちで局所的な集通豪雨に見舞われていたことを,夕方になって知った.
明けて今日,日曜日.天気予報では,日中に限って曇ながら雨の心配はなさそうである.
”よぉ~しっ…! 丹沢へ行くぞ…!”
私は,何時ものように4時10分に自宅を出発する.自宅周辺の道路は先ほどまで降っていた雨でジトジトに濡れている.上空には分厚い雨雲が低く垂れ込めている.夜明けの時間が日毎に遅くなり,まだ外は真っ暗である.
気温がどの位有るのか分からないが,ヒンヤリとしている.半袖シャツのままでは,ちょっと寒いくらいである.
■富士山も矢倉岳も雲の中
大船5時10分発東海道本線下り初電に乗車する.座席に座れないことはないが,かなり混雑している.
電車が茅ヶ崎を過ぎる頃から,何時ものように眠くなる.でも,先日,小田原で下車すべき所を駅二つ向こうの根府川まで乗り越したことがあるので,極力寝ないようにしているが,ついついウトウトしてしまう.
小田原で小田急電鉄新宿行急行電車に乗り換える.世はすっかり明けているが,空は相変わらず分厚い雲ばかりである.嫌な天気だなあと思いながら,渋沢駅に向かう.
車窓から見える富士山と矢倉岳が重なる風景を,何時も楽しみにしているが,今日はかなり低い所まで雲が垂れ込めていて,富士山処か矢倉岳も雲の中である.
<車窓からの風景;近場の矢倉岳も雲の中>
■バス停で昼寝するネコ
6時11分に渋沢駅に到着する.バス停の前で,バスが到着するまで入念にストレッチを繰り返す.
渋沢6時48分発大倉行のバスに乗車する.乗客は10名ほど.随分と少ない.乗り合わせた常連は,三角髭のTDさんだけ.なんとも寂しい.
バスは7時丁度に大倉に到着する.
バス停のベンチで,お馴染みのネコが香箱を作ってスヤスヤと寝ている.どこででも気ままに寝ているネコに,ちょっとしたうらやましさを感じる.
7時03分,バス停大倉から歩き出す.
今回は歩き出しから完全な独り旅である.少々寂しい気もするが,逆に完全にマイペースで歩ける気楽さもある.
<バス停で昼寝するネコ>
■山ヒルに要注意
7時10分,登山口を通過する.簡易舗装の路面は,びしょびしょに濡れている.今日は山ヒルに要注意である.一応,山ヒル対策用の塩を少しばかり持参はしているが…
7時15分,克董窯を通過する.克董窯のすぐ先からは土道になる.濡れた礫や石がゴロゴロと転がる歩きにくい道が暫く続く.とにかく滑りやすいので歩きにくい.それに,この辺りから観音茶屋辺りまでが山ヒル銀座である.
私は足許に山ヒルが居ないか見ながら歩いているつもりだが,なにしろ私の眼はガチャ眼なので,山ヒルが居ても多分見落としてしまうだろう.まあ,山ヒルの災難に遭わないように祈るしかない.
7時19分,丹沢ベースを通過する.石ころ道を登り続ける.登山道の両側から夏草が登山道にはみ出すように繁茂している.こんなところが山ヒルに遭遇する確立が一番高いところである・
7時26分,進行方向右手の視界が広がるトラバース道に入る.晴れていれば太陽の光が真横から射し込む心地の良いところだが,今日は濃い霧が掛かっている.
気温はそれほど高くなさそうだが,湿度が極端に高いらしく,とにかく蒸し暑い.
7時27分,観音茶屋を通過する.
<トラバース道に入る>
■薄日が射し込む
観音茶屋から先のジグザグの登り坂を通過して,7時35分,高原の家分岐を通過する.
7時44分,何となく足許が明るくなっている.こぼれ日である.良く見ると,足許に自分の影が浮き出るように映っている.
さっそくデジカメを取り出して,自分の影を撮影する.
”この調子だと,ひょっとして晴れるかな…”
私は淡い期待を持ちながら登り続ける.
<登山道に自分の影が映る>
■雑事場ノ平
7時47分,尾根筋にある雑事場ノ平に到着する.ここに到着すると尾根越えに空気が少し動いている.それでも体中に纏わり付いている暑いベトベトを少しばかり剝ぎ取ってくれる.ホッとした気分になる.
雑事場ノ平に設置されているテーブルの表面が雨に濡れて鏡のように光っている.
ここから見晴茶屋に向けて杉林に囲まれた水平道が続く.今日は濃い霧が掛かっていて,すぐ先にある見晴茶屋も見通せない.
<雑事場ノ平>
■見晴階段
7時48分,見晴茶屋を通過する.
見晴茶屋から相模湾を見下ろす写真を撮りたかったが,一面に真っ白な霧が掛かっていて何も見えないので諦める.
すぐに見晴階段に差し掛かる.
例によって,定点観測用の写真を撮るが,濃い霧のために階段の上の方は全く見えない.
今日は独り旅の気安さから,他の人への気兼ねもなく,全くの自分のペースで登り続ける.
階段を登りながら,今日の自分の体調は,可もなく不可もない普通だなとおもう.
<見晴階段>
■モミジ坂
7時57分,見晴階段を登り切ってモミジ坂に差し掛かる.
相変わらず無風.蒸し暑い.すぐに汗が噴き出る.今日もやっぱり山登りに適したお天気ではないなと思いながら登り続ける.半ば惰性で足を動かしているだけ.
<モミジ坂>
■突如日の光が…
8時02分,突然,太陽の光がモミジ坂に射し込む.霧の中を通過する光線が何とも美しい.
私はすかさずデジカメを取り出して,写真に収める.写真を撮りながら,天気予報が外れて晴になることを期待する.
8時08分,ようやく,一本松を通過する.
一本松から先,暫くの間は平坦道が続く.ここだけは全速力で歩き続ける.
<日が射し込む>
■駒止階段
8時17分,駒止階段に差し掛かる.この階段を登らなければ先へ進めないので,階段をごくごくユックリペースで登り続ける.私の近場には登山者の姿が見えないので,余所様と競争することもなく,疲れないように注意しながら登り続ける.
8時22分,漸く駒止茶屋を通過する.
大倉から駒止茶屋までの所要時間は1時間19分.最近の私の標準時間より5分ほど余計に掛かっているが,まあやむを得ない.
<駒止階段>
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.大倉尾根の中で一番気分良く歩けるところである.
8時31分,晴れていれば富士山が良く見えるところに到着するが,辺り一面に雲が掛かっていて富士山はおろか近場の風景すら見えない.それでも,癪だから見えない富士山の写真を撮る.
8時32分,堀山の道標前を通過する.
近くの土手に,黄色い花が沢山咲いている.塔ノ岳常連のMTさんから,この花の名前はマルハタケブキだと教えて貰ったような気がするが,花の名前,間違っていないかな.とにかく,この花を見ると”秋近し”の感が深まる.
<見えない富士山> <マルハタケブキ>
■堀山の家
8時39分,小草平に到着する.堀山の家の温度計を見ると只今の気温は23℃.やっぱり,まだ,気温は高い.
堀山の家のオヤジ殿が外で作業をしている.私を見付けて,
「オハヨウ…」
と挨拶する.
私が到着してから,ほんの1分ほど後に三角髭のTDさんが到着する.TDさんは今回も堀山の家止まりだという.
堀山の家の女主人が出てくる.
「…今,下山の途中ですか?」
と私達に質問する.
「いえ,今登ってきたばかりですよ…まだ8時半ですよ」
「あら,そうでしたね…昨夜は泊まり込みで朝早くから仕事をしていたので,お昼頃かなとお勘違いしてしましました…」
私も,今日はここを終点にしようかと思い始める.
とにかく堀山の家に入り込んで,冷たいジュース250円也で喉を潤す.
改修工事が終わった堀山の家は,見違えるほど明るく綺麗になっている.TDさんもいろいろとお手伝いをしておられるようである.
新装なった壁には,沢山の写真が飾り付けられている.ディレクターはTDさんのようである.
「…FHさん,こちらの壁は貴方の絵を飾るために空けてありますよ…」
と私に絵を飾るように促す.
大変有り難いお言葉だが,私の絵は一番小さいものでもF20の大きさである.とても山まで運べる大きさではない.写真と違って複製はできないし,小さな絵を画くにしても,額縁を用意しなければならない.結構お金が掛かる.それに,絵が大きいのでスキャナーで読み込むこともできない.
”ならば,堀山の家に飾ることを目的として,F6程度の大きさの絵を1枚画けば良いじゃないか…”
ということになるが,今の私には神奈美展に年間5枚の絵を出すだけで,もう手一杯である.
「…スケッチでも良いよ」
と仰って頂いているが,私の名前が出る以上,あまりヘンチクリンな絵を飾るわけにもいかない,
皆様のご厚意は大変有り難いが,どうしたら良いのか,実は迷いに迷っている.
<堀山の家>
■萱場平
堀山の家で250円也の冷たいジュースを飲んでいる内に,ここからこのまま引き返すのも勿体ないな思い出す.そこで,8時50分,TDさんやなっちゃんにお礼を言ってから,堀山の家を出発する.
堀山の家で10分ほど休憩を取ったために,何だか足取りが軽くなったような気がする.
”では,まあ,取りあえず萱場平まで登るか…”
ということで,長い坂道をノロノロと歩き出す.
相変わらず無風で,湿度が高いまま,熱中症に罹る危険はやっぱり高いままである.
途中,何人かの若い者に追い抜かれるが,最近の私は,悟りきったのか,諦めたのか分からないが,誰に追い越されても気にならなくなっている.
相変わらずマイペースで牛歩を続けて,9時17分に萱場平に到着する.
実は坂を登っている間に,両足に微妙な疲労感があることに気が付いていた.というのも,昨年,足の膝を故障してから,念のため膝にサポ-ターを装着しているが,どうやらきつく締め付けすぎて,足に十分な血液が廻らなくなっているようである.そこで,萱場平で3分ほど休憩を取りながら,サポーターの締め付けを緩めてみる.結果的にはサポーターを装着している意味が殆どなくなるが,まあ,気休めにサポーターをしているだけということになる.
サポーターを緩めてから歩き出す.
すると,想像以上に足の調子が良くなる.
<萱場平>
■後七分坂
さきほど堀山の家から歩き出したときは,せめて萱場平まで登ろうと思っていたが,気が付くと私は花立山荘に向けて坂道を登り始めている.
でも,相変わらす蒸し暑いので,汗が噴き出るのに閉口しながら登り続ける.でも登りながら,
”ここから引き返そうかな…”
とずっと思い続けている.
9時42分,後七分坂(花立階段のこと)に到着する.
晴れていれば,花立階段の登り口から眺める富士山がなかなかなものだが,今日は富士山は雲の中である.ただ,雲の間から相模湾が良く見えている.
”これも一興だな…”
と思いながら数枚の写真を撮る.
丁度そのとき,常連のNMさんが花立階段に到着する.
「…おやFHさん…!」
NMさんは,先日連続10日間塔ノ岳に登り続けた塔ノ岳の女王である.とてもとても私ごときは,一緒に歩けないほど高速で山に登られる.
私は,
「…どうぞお先に…」
とMNさんに先を譲る.
「良いの…良いの,ユックリ登りましょう…」
とのことなので,一緒に後七分坂を登り始める…が,一緒に乗れたのは階段の中程まで.その先はNMさんが先になる.
<後七分坂を登る>
■花立山荘
後七分坂を8分掛けて登って,9時50分にようやく花立山荘に到着する.富士山は空藻に隠れていて全く見えない.
大倉からの所要時間は,途中,2時間47分.例え堀山の家で10分程アイドルタイムがあったとしても,実に遅い.堀山の家からの所要時間は丁度1時間.バカみたいに時間が掛かっている.
私よりちょっと先に花立山荘に到着したNMさんがベンチで休憩を取っている.
「…私足が遅いので,先に登っています…」
と挨拶して,花立山荘を通過する.
<花立山荘>
■花立山
ここから暫くの間,階段道が続く.結構しんどいところである.花立階段で私を追い越して行った男性が,私とほぼ同時に,花立山に向けて登り始めるが,階段を見上げてから,
「チッ…」
と舌打ちをして,苦笑いしながら踵を返して下山し始める.私にはこの男性の気持ちが良く分かるが,私はもう少しの辛抱と自分に言い聞かせながら登り続ける.
会談が終わってガレ場に入ったところで,後から登ってきた常連のMMさんが私を追い越して行く.
花立山荘から11分掛けて,花立山の山頂を通過する.
<花立山山頂>
■塔ノ岳山頂
10時05分,ようやく金冷シを通過する.
もうここまで来れば,塔ノ岳山頂は間近である.急いで登っても,ユックリ登ってもラップは5分と変わらないので,私はダラダラ登りをすることに決める.
途中で,どうでも良い写真を撮りながら,山頂直下の階段を登っているときに,花立山荘で休憩を取っていたNMさんが私に追い付く.
私は,
「…どうぞお先に…」
とNMさんに先を譲るが,
「良いの,良いの…」
ということなので,ジャストマイペースで登り続けて,10時27分,漸く塔ノ岳山頂に辿り着く.
山頂には来いガスが掛かっている.気温は19℃.一時より気温は大分落ち着いてきたが,まだ高温である.
大倉から山頂までの所要時間は休憩時間を含めて3時間22分.何とまあ情けない記録である.
花立山荘からの所要時間は33分.こちらは,まあ許せる範囲である.金冷シからの所要時間は18分,ちょっと気が緩んだかな.
<塔ノ岳山頂>
■ストレイキャット
私と同時に塔ノ岳山頂に到着したNMさんに,
「…山頂でちょっと写真を撮っています.後から尊仏山荘に入ります…」
とお断りしてから,霧の山頂の写真を数枚撮る.ひさびさに山頂まで登ったのに,眺望は全くない.残念.
山頂では数名の登山客が休憩を取っている.登山客の間に,何時ものようにストレイキャットが居る.前回合ったときより大分痩せてスマートになっているが,結構毛並みは良い.
<塔ノ岳山頂のストレイキャット>
■尊仏山荘
久々に尊仏山荘に入る.
小屋番はオーナーのHDさんと,TYさん.何時ものように300円也のお茶を所望する.先客は,花立山で私を追い越したMMさんと,NMさんのお二人だけ.
お茶を飲みながら小一時間ほど長い間ユックリと過ごす.あいにく華伊達美弥雄さん(ネコのミャ~君のこと)は不在.
「…ネコ元気ですか?」
と聞いてみる.
どうやら元気のようである.このネコ,今確か17才になっていると思う.人間に換算すれば多分100ぐらいに相当するだろう.今日は会えなかったが元気で何よりである.
MNさんから手作りのおやつを頂戴する.甘みと塩気の絶妙なバランスが素晴らしい.
<NMさんから頂戴したオヤツ>
■MMさんの花教室
11時12分,塔ノ岳山頂から下山開始.
MNさん,MMさんのお二人も一緒.本来MMさんは極めて俊足だが,今日は私達に花を教えてくれつとのことで,山頂から雑事場ノ平までは御一緒して貰う.
たまたま出会った若い女性も,MMさんの花教室に参加する・
道すがら,いくつかの花を教えて貰う…が,すぐに忘れそうだ.
<MMさんの花教室>
■やっと2枚の写真が残った
MMさんの花教室で色々教えて貰ったが,何とか写真が摂れたのはツルニンジンとツチアケビの2種類だけ(写真間違っているかな?).
私は出来の悪い生徒.MM先生に申し訳ない.
<ツルニンジン> <ツチアケビ>
■気楽な”ネコ生”
途中の山小屋には立ち寄らずに下山し続ける.
雑事場ノ平から,MMさんが猛スピードで私達2人を置き去りにする.それでも,NM三と私は,13時32分に無事大倉に下山する.
塔ノ岳山頂から大倉までの所要時間は2時間20分.途中の花教室で道草したにしては,まあ,まあの速度である.
バス停大倉のベンチで,例のネコがノンビリ昼寝をしている.食べては寝て,食べては寝ての気楽な"ネコ生”が,実にウラヤマシイ.多分,ノイローゼになるネコなんて居ないんだろうなと勝手に想像する.
<気楽なネコ生>
<ラップタイム>
7:03 大倉歩きだし
7:27 観音茶屋
7:48 見晴茶屋
8:22 駒止茶屋
8:39 小草平(堀山の家)(8:50まで休憩)
9:50 花立山荘
10:05 金冷シ
10:23 塔ノ岳山頂着
11:12 〃 発
11:20 金冷シ
11:36 花立山荘
12:06 小草平(堀山の家)
12:28 駒止茶屋
12:58 見晴茶屋
13:20 観音茶屋
13:38 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km
■累積登攀下降高度 1,269m
■登り所要時間(休憩時間を含む)
大倉発 7:02
塔ノ岳山頂着 10:23
(所要時間) 3時間21分(3.35h)
水平歩行速度 7.0km/3.35h=2.09km/h
登攀速度 1,269m/3.35h=378.8m/h
■下り所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳山頂発 11:02
大倉着 13:32
(所要時間) 2時間10分(2.17h)
水平歩行速度 7.0km/2.17h=3.23km/h
下降速度 1,269m/2.17h =584.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事(塔ノ岳)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8cdfa52f2885ab654e882a76502ac457
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
お断り;
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