<神代公園の噴水>
風薫る調布;布田大神・深大寺・神代植物園を廻る(後編)
(五十三次洛遊会定例会)
2016年5月24日(火) 晴
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http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/fa6297c7e6b53a2de7a8126023005ff0
<ルート地図>
■深大寺散策マップ ※現地で配布されている地図を引用
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■神代植物公園案内図 ※現地で配布されている地図を引用
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<深大寺で昼食>
■深大寺参道入口に到着
私達は,11時16分に水生植物園から歩き出す.深大寺通りを西へ少し歩いて,11時19分,深大寺参道入口に到着する.
参道入口から参道を眺める.今回の深大寺参拝は,私にとって初めての経験だが,入口から眺める風景は,何時か見たような錯覚に陥る.多分,ここからの眺めは観光案内やいろいろな本で紹介されている筈である.それを見ていた私には,実際に自分の眼で同じ風景を見たときに,懐かしい気分になってしまったに違いない.
緑陰豊かな参道の両側には蕎麦屋や土産屋が建ち並ぶ.沢山の観光客が楽しそうに歩いている.実に平和な風景である.
案内役hのHTさんが,
「では,まずは昼食にしましょう…各自,自由に食事をして,12時頃,ここに集まることにしましょう…」
と提案する.
<深大寺参道>
■蕎麦屋「嶋田屋」に入る
結局2人を除く残りの14人は一団となって,参道を彷徨く.
「…どこの蕎麦屋にしようか…」
と言いながら,まずは参道入口近くにある蕎麦屋を覗いてみる.ここでは,予約客でいっぱいと断られる.断られると,ちょっと気分が悪い.
あちこちの蕎麦屋を覗きながら,ぶらぶらと参道を歩く.そして参道の奥まったところにある「嶋田屋」という蕎麦屋を覗く.すると店員が,
「どうぞ,どうぞ…さあ,入って,入って…」
とボデーランゲージと一緒に私達を招き入れる.
「ここにしようか…」
と私達は魔法に掛かったように店内に導かれる.
お店の前に,一遍上人を連想させる老人の坐像が置かれている.とても気になる.店に入ったら,この坐像は誰か聞こうと思っていたが,蕎麦を食べた途端に,聞くのを忘れてしまった.
<蕎麦屋「嶋田屋」の前で>
■深大寺蕎麦を味わう
私達は6人掛けのテーブル2組に,男性6人,女性6人が分かれて座る.私が何時も感じるのは,面白いことに,このグループは,必ずといってよいほど男性と女性が別れて座る習性がある.
そして,ここからは私の邪推だが,概して女性群の方が男性群に比較して高価で上等なものを注文しているようである.
”女性の方が”へそくり”の額が多いんだろうな…”
と私は勝手に判断している.
もっとも,どこかのテレビ番組で,男性より女性の方が約2倍の金額のへそくりを持っていると言っていた.
”多分,わが家でも,オレよりかみさんの方が自由になるお金を沢山持っているに違いない…”
私は,折角の蕎麦を食べながら碌でもないことを連想する.
私が注文したのは,一番安い"ざるそば”.850円也.
急いで言い訳を書くが…
この”ざるそば”,お小遣いがなくて安いのにしたわけではない.私はそば処の信州で生まれ育った.そのためか,一番蕎麦が美味しいと感じるのは”もりそば”か”ざるそば”だと確信しているからである.
私は新婚時代に調布に住んでいた.そんなことが縁で,何時か有名な深大寺蕎麦を食べてみたいなと思い続けてきた.それが,40年以上経過した今日,奇しくも実現した.
”なるほど!…これが深大寺蕎麦か!”
こんな想いを込めて,しみじみと蕎麦を味わう.
<「ざるそば」を賞味する>
<ボランティアガイド付きで深大寺参拝>
■ボランティアガイドTMさん
12時丁度に,参道入口でボランティアガイドのTMさんと落ち合う.
案内役のHTさんが,予めボランティアにガイドの予約をしていたのだ.有り難い話である.
TMさんのガイドは,明快で分かりやすい.A3の用紙数枚に,大きな字と図表を使って要点を纏めている.それを紙芝居風に使って,私達に説明する.
私は元教師なので,TMさんの紙芝居風にとても感心してしまう.そこで,TMさんの許可を得て,サンプル写真を1枚撮らせて貰う.私も真似しようと思う.ただ,営業妨害になる恐れがあるので,その内容をここで披露するわけにはいかない.
YNさんは,まず深大寺の地図の前に立って,これから案内するコースの概要を説明する.
<ボランティアガイドのTMさん>
■まずは参道
TMさんの後をつけてぞろぞろと歩く.私達のグループ以外の人も1~2人混じっているが,別に構わない.ケチを付ける気はさらさらない.邪魔にならない限り,一緒にどうぞである.
まずは,鬼太郎の人形が立っている「鬼太郎茶屋」.東南アジアで「鬼太郎」が放映されるようになってから,東南アジアからの観光客が,沢山,この店を訪れるようになったという.
さきほど,私達が何気なく入った「嶋田屋」もなかなかの老舗のようである.
12時15分,参道を通り抜けて,深大寺境内に入る.
<妖怪のレリーフ> <鬼太郎茶屋>
■石柱と山門
山門脇に「天台宗別格本山浮岳山深大寺」と刻字された石柱が立っている.
山門を潜る.以下全ての説明文はボランティアガイドの説明から引用したものである(聞き違い,記録間違いがあるかもしれない).
この山門は約300年前,元禄8年(1695年)に建立されたもので,慶応元年(1865年)にあった大火でも焼けずに残った.深大寺最古の建造物である.
<石柱> <山門>
■本堂と常香楼
下の写真の手前に移っているのが常香楼である.この常香楼は天保4年(1833年)に建立されたもので,なかなか凝った造るになっている.慶応元年の大火で焼失は免れたが,本堂が側が焼けて炭になっている.
本堂は慶応元年の大火で焼失したが,大正年間に再建されたものである.本尊は宝冠阿弥陀如来像である.
本堂に向かって右側に写っている木がムクロギ(無患樹)とのこと.堅い実がなるので,この実は鬼退治,厄払いに効能がある.
左側の木がナンジャモンジャである.
<本堂と常高楼>
■鐘楼と梵鐘
続いて鐘楼を見学する.
元々あった梵鐘は国重要文化財.鋳造は永和2年(1376年)に鋳造される.都内で3番目に古い鐘だが,近年になってヒビが入っていることが分かり,釈迦堂内に安置されたという.
現在の梵鐘は二代目.
梵鐘の下に丸い蓋が3枚あるが,蓋の下には孔が開いている.この孔は梵鐘の音に共鳴して,梵鐘の音を一層美しくする装置だとのこと.
私は,鎌倉の寺で,このような装置がある鐘楼は見たことがない.
<鐘楼と梵鐘> <共鳴装置>
■高濱虚子像と歌碑
12時46分,高濱虚子歌碑の前に集まる.
この歌碑には,
”遠山に
日の当たりたる
枯野かな”
という虚子16歳のときに詠んだ歌が彫られている.
ガイドの説明によると,高濱虚子は生涯の間に沢山の詩を読んだが,1歳のときに詠んだこの詩が最高の出来だと言っていたようである.
私はこの詩を読んで,すぐに連想したのがゲーテの「旅人の夜の歌」である.
”山々の頂に Uber allen Gipfeln
憩いあり. Ist Ruh,
木々のこずえに In allen Wipfeln
そよ風の気配もなし. Spurest du
森に歌う小鳥もなし. Kaum einen Hauch;
待てよかし,やがて Die Vogelein schweigen im Walde,
なれもまた憩わん” Ruhest du auch.
(高橋健二[訳]) (Goethe)
今や私も老境に達している.何かにつけてこのゲーテの詩を連想する.いくら高名の高濱虚子でも16歳の若さでは,まさか老境の心情を理解していたとは思えないが,私にはゲーテの詩と連動して,妙に心の中で引っかかる.
なお,高濱虚子は大東亜戦争中に,私の生まれ故郷である小諸に疎開していた.そんな縁もあって,小諸にも高濱虚子縁の遺構が沢山ある.
<高濱虚子像> <歌碑>
■元三大師堂
12時54分,元三大師堂を詣でる.
ここは神代期厄除け信仰の中心となる場所である.慶応元年の大火で焼失後,慶応3年(1863年)に再建された.
元三大師像が安置されている.元三大師(慈恵大師像)は延暦寺18代座主.この像は鎌倉時代末期か南北朝時代の作(案内パンフレトより引用).
<元三大師堂>
■国重要文化財の梵鐘
平成になってからヒビが見つかった国重要文化財の梵鐘はガラス張りの部屋の隅に置かれている.光が反射して,写真が上手く撮れないが,何となく凡小らしいものが写っている.
私が,ガイドのTNさんに,
「…戦争中,供出を良く逃れましたね…」
と伺う.
「良く古いことをご存じですね…」
とTNさんが言う.妙なところで私が古い人間であることがばれる.
「実は昭和天皇が,この梵鐘の音を聞いて,『良い音色だね』と誉めたそうです.陛下が誉めた梵鐘を鋳つぶすことはできないということで,供出を免れたと言われています…」
「なるほど!」
ここで,TNさんとはお別れである.
<国重要文化財の梵鐘>
<神代植物園散策>
■深大寺から神代植物園へ
深大寺の参拝を終えて,13時04分,開山堂北口から沢山の観光客が往来する狭い道に出る.私達は観光客の流れに逆らわないようにユックリと歩く.
13時07分,神代植物公園深大寺門入口に到着する.
入場券自動販売機で65歳以上お一人250円也の入場券を購入して,園内に入る.
<緑滴る遊歩道を歩く> <深大寺植物園入口>
■雑木林の中を散策しながら"ばら園”へ
園内に入ってから,雑木林を抜けてバラ園入口まで,全員一緒に適当な径路を辿って歩く.
13時27分,バラ園入口の休憩所に到着する.案内役のHTさんが,
「…ハイッ! 13時45分まで自由行動としましょう.短すぎますか?」
と提案する.勿論異論などない.
<雑木林の中を散策> <バラ園入り口に到着>
■素晴らしい"ばら”
私は,"ばら”のことなど全く分からない.でも.そんなちんぷんかんの私でも園内の"ばら”の美しさ,見事さには圧倒される.
”ばら”の品種など全く分からないが,美しいなと感じた花は片っ端からデジカメに収める.その内の何枚かを披露しておこう.解説抜きで…
<バラ園周遊>
■絵になる風景
ばら園の中を一回りしてみる.
バラ園の端に大きなオブジェが置かれている.そのオブジェの向こうに大きな休憩所が見える.
”ウン…なかなか絵になるな…”
と思いながら,この風景をデジカメに収める.
遠目で休憩所の中で同行の皆さんが休憩を撮っているのが見える.
<巨大なオブジェと休憩所>
■休憩所からの展望
園内を半周しながら休憩所に向かう.
休憩所から大温室の方を眺めた風景は,ヨーロッパの庭園を連想させる.
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■集合後大温室へ
それにしても蒸し暑い,
私は集合時間の少し前,13時42分,集合場所に戻る.私より前に戻って居られる方も居る.あまりに蒸し暑いので,冷たい物を味わいながら,皆さんが集まるのを待つ.
定刻の1分前,13時14分に全員が集まる.例によって,このグループは極めてパンクチュアルである.
全員が揃ったところで,HTさんの先導で大温室に向かって,散策を開始する.
14時01分,大温室に到着する.
<休憩中に冷たい物> <大温室に到着> ※写真の人物は無関係
■温室内は大賑わい
温室内はさぞかし蒸し暑いだろうと思ったが,むしろ外より涼しいくらいである.
私は温室といえばフラワーセンター大船の温室しか知らないが,ここの温室の超巨大さにまずは驚かされる.
”さすがに東京都は金持ちだな…”
と神奈川県民の私は,思わずひがんでしまう.
ひがむなどどうでもいいが,温室内が大盛況なのに驚く.
<大賑わいの大温室>
■仕上げはコーヒーブレーク
園内を一回りしてから,14時30分,正門付近で,一旦,解散とする.
希望者だけ近くのグリーンサロンでお茶しようということになる.結局,全員がお茶.ところが,グリーンサロンは先客が沢山居て,纏まった席が取れない.またもや,当グループの特性で女尊男卑.女性群はサロン内で,男性群は外のテーブルに座る.
私は,大船に比較すると少々お高いコーヒーを賞味する.
<グリーンサロン> <外でコーヒー>
<調布駅経由で帰宅>
■歩いて調布駅へ
コーヒーブレークを終えて,15時10分,正門前で,再び解散する.
希望者だけ,HTさんを先導役に調布駅まで歩くことにする.バスに乗る人はほんの2~3人,大半の方が歩く方を選択する.
何処をどう歩いたのか,とてもトレースしきれないが,往路で歩いたところや歩かなかったところを右に左に曲がりながら,布田天神前を通過する.ここから先は往路を通って,15時58分,調布駅に到着する.
■新宿経由で帰宅
私は一人になって,調布16時07分発準特急新宿行に乗車する.新宿駅では湘南新宿ラインが発車する1番線に辿り着くまで,迷路のような構内に惑わされる.
新宿から湘南新宿ライン逗子行の電車に乗車する.
17時36分,大船駅に到着.路線バスを利用して,18時前に無事帰宅する.
こうして,ここ数日間,毎日のようにあちらこちらと出歩いていた.明日から2~3日は,少し落ち着いて仕事をしようと反省する.
<ラップタイム>
9:57 調布駅から歩き出し
10:04 甲州街道
10:07 布多天神社(10:15まで参拝)
10:33 青果市場(10:43まで見物)
10:45 橋場橋を渡る
10:50 湯守の里
11:02 深大寺東参道
11:04 神代植物園水生植物園(11:16まで休憩)
11:19 深大寺着(昼食;参拝)
13:04 〃 発
13:07 神代植物公園着
15:10 〃 発
[散策記録]
■水平歩行距離 8.8km
■累積登攀高度 41m
■累積下降高度 41m
■所要時間 (休憩時間込み)
調布駅発 9:57
〃 着 15:24
(所要時間) 5時間27分(5.45h)
水平歩行速度 8.8km/5.45h=1.61km/h
(おわり)
[参考資料]
資料1;http://www.chofu-7fukujin.com/ebisushin/
資料2;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%83%E5%A4%9A%E5%A4%A9%E7%A5%9E%E7%A4%BE
「中央沿線の旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/676b3220e83e1124da39f4bee7a1c870
「中央沿線の旅」の次回の記事
(なし)
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風薫る調布;布田大神・深大寺・神代植物園を廻る(後編)
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