<新緑が心地よいモミジ坂>
初夏の緑陰を楽しむ丹沢:塔ノ岳(今年11回目)
(リハビリ山行3回目;萱場平往復)
2016年5月14日(土) 晴・やや蒸し暑い
<ルート地図>
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■とにかく出掛けちゃえ…
いきなり愚痴で始まるのは良くないが,現在の私の身辺には,いろいろと行事が重なっていて,正直なところ二進も三進も(ニッチモサッチモ)いかない毎日の連続である.正直なところ,今日の土曜日に塔ノ岳へ行っていても良いんだろうかと随分と迷う,
…というのも,明日の日曜日は某グループが桜木町で開催するスケッチ会に出席すると返事してしまっている.その上に月曜日は私が某大学の研究会でいろいろと説明をしなければならない.さらに来週も色々と行事が連続する.
特に月曜日の資料がまだ不完全である.
”どうしよう…”
こんなことを考えると,さすがに脳天気な私でも苛立ってくる.私ごとき棺桶に半分足を突っ込んでいる人間には苛立ちが一番良くない.
”こうなったら破れかぶれだ…! 今日は,断固,塔ノ岳へ行くぞ…後は野となれ山となれ”
ということで,何時もの土曜日のように4時10分に自宅を出発する.今日は多少雲が多いようだが,東の雲間の空が明るく光り始めている.まだ薄暗い住宅地の中を歩いていると,通りすがりの家の飼い犬が私に向かって,
「う~う~っ…ワン,ワン」
と吠え立てる.
正直なところ私は犬嫌いである.吠えられると石でもぶつけたくなるが,ジッと我慢の子である.私がその家の前を通過すると,イヌは吠えるのをやめる.
今度は,頭上でカラスが,私を馬鹿にしているような感じで,
「カア,カア,…」
とぬかしやがる.カラスまで私を馬鹿にする.
山道を下って,4時40分頃,大船駅前に到着する.この頃になると夜もすっかり明けて,眩しい朝日が当たり始める.
■富士山と矢倉岳
例により東海道本線下り1番列車に乗車する.4人掛けボックス席を1人で占有する優雅な旅である.小田原で小田急線急行電車に乗り換える.
電車が新松田駅に近付く頃,私はいつも富士山と矢倉岳が気になり始める.
”今日は,富士山と矢倉岳が重なった写真が,うまい具合に摂れるかな…”
今日はよく晴れてはいるが,何となくガスが掛かっていて折角の富士山も薄らとしか見えない.それでも富士山が見えるのはラッキーである.早速,まずは富士山と矢倉岳が並んでいるところの写真を撮る.これは,まあ,何となく富士山が写っているようである.つぎに,富士山と矢倉岳が重なっているところを写真に撮る…が,後で調べると矢倉岳は移っているものの富士山は青空に溶け込んでいて,ほとんど写っていない.
”サノバビッチ…!”
諦めるしかない.
<富士山と矢倉岳>
■バス停大倉;ネコのさばる
渋沢6時45分発大倉行臨時バスが出る.臨時バスは結構混雑している.乗り合わせた常連は,男性は毎日登山のTGさん,三角髭のTDさん,KIさん,YSさん,女性はIIJさん.ISIさんは奥穂へ出掛けるとかで不在.何時もの土曜日に比較すると少々寂しい.
バスは6時55分頃,バス停大倉に到着する.
ドングリハウスのベンチでは,顔なじみのネコがノンビリ日向ぼっこをしている.近くに登山者が居ても微動すらしない.こういうところがネコの良いところである.
今日の私は,まだリハビリ登山3回目.今日の目的地は萱場平と決めている.したがって塔ノ岳山頂の尊仏山荘で「みゃ~君」には会えない.今日の所は,この大倉の名物ネコの写真を撮って良しとしておこう.
<バス停大倉のネコ>
■大倉から歩き出す
7時00分,バス停大倉から歩き始める.最初はTGさん,YSさんと一緒.でも,すぐに歩行速度が私には速すぎると感じる.
「私,後からユックリ歩きます…」
とお伝えして,歩き出した直後に脱落する.
私にとって,歩き出しの最初の30分間がとても大切,ここで妙に力んでしまうと後が続かないだけでなく,汗をかきすぎて熱中症になる可能性が高くなるからである.
大倉から歩き出してすぐの所の勾配は,なまじ道路が舗装してあるから気にしない人が多いかも知れないが結構急な上りである.ここを良い調子でノぼっべしまうとすぐに息切れを起こしてしまう.私は慎重に,慎重に,ゆっくり,ゆっくりマイペースで登り続ける.
7時05分,登山口を通過,杉林の中の路になる.前方を見ると,一般の登山者に混じって何人かの塔ノ岳常連の後ろ姿も見えている.ただ,私の歩行速度が遅いので,常連の皆さんとの距離は次第に広がっていく.
このところ雨が降っていないので,登山道の路面はほどよい程度の乾いている.これならば,多分,山ヒルのことは心配しないで済みそうである.
<杉林の中の登山道に入る>
■朝日が真横から射し込む
ユックリペースながら,歩き進むにつれて,高度も次第に高くなる.やがて,朝日が真横から射し込むトラバース道に差し掛かる.
この辺りは,大倉尾根の中でも私が特に好きなところの一つである.
”今日は素晴らしい天気だな…”
と嬉しくなってくる.
この辺りまで来ると,私の身体のエンジンに油が旨く回り始めるので,歩くのも次第に楽になる.今日は気温が高いので,滴るような汗は絶対にかかないようにしなければならない.そんなこともあって,自分の体調を一層気にしながら登り続ける.
<朝日が射し込むトラバース道>
■観音茶屋
7時25分,観音茶屋に到着する.
まだ朝が早いためか,開店していない.
”今日は,帰りに立ち寄ろうかな…”
と思いながら通過する.
観音茶屋を過ぎると,登山道の勾配が急になる.暫くの間はジグザグ道が連続する.
ときどき若い人に追い抜かれるが,独り旅の気安さから,気ままに歩き続ける.これがまた,良いんだなと思う.
<開店前の観音茶屋>
■見晴茶屋
7時43分,雑事場ノ平を通過する.
雑事場のベンチでは,さきほど私の猛スピードで追い抜いて行った若者2~3人が,汗ビッショリのまま休憩を取っている.身体に無理が利く若者が羨ましい.
7時45分,見晴茶屋に到着する.山荘の主人がテラスの椅子に腰掛けて本を読んでいる.
毎度のことながら.見晴茶屋から相模湾を見下ろした風景をデジカメに収める.
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
どういう訳か,私より先を歩いていた三角髭のTDさんが,何時の間にか私の後ろに居る.
「ありゃ~っ…! どこを廻ってこられたんですか…」
と伺う.
「えへへ…色々ありまして手…」
とTDさんが言葉を濁す.
今の私にはTDさんと一緒に歩くだけのパワーはない.
「とうぞお先に…」
とTDさんに先を譲る・
例によって,階段下から階段を見上げた写真を撮る.とにかく,新緑が美しい.
階段を登り始めてから,
”あれ~ぇ…今日は意外に体調が良いな…”
と気が付く.出だしの歩き方をセーブしたからであろう.
とにかく,別に苦もなく,TDさんの後ろに付いて歩ける.これは正直なところ嬉しい.
<見晴階段>
■駒止階段
TDさんと一緒に見晴階段を登りきって,モミジ坂もTDさんの後ろに付いて登る.
7時03分,一本松を通過する.大倉から一本松までの所要時間は1時間03分.リハビリ登山にしては,そんなに悪いラップとも言えない.むしろマアマアのラップである.
一本松のベンチでは相変わらず沢山の若者が休憩を取っている.
ここから駒止階段までは平坦道なので,もちろん私もそれなりの速度で歩ける.
やがて駒止階段に差し掛かる.
ここも案外平気で登れる.もちろんYDさんと同じペースである.階段の途中で,男性に追い付く,この方は疲労しているのか歩調が乱れていて一寸危なっかしい.
追い抜きざまに,
「あれ! YSさん!」
と気が付く.大倉から毎日登山のTGさんと一緒に登っておられたので,てっきりずっと前を歩いているとばかり思っていた.多分,ペース配分がちょっと悪かったので,私などが追いつけたんだろう.申し訳ないが,そのまま先に行かせてもらう.
<駒止階段>
■朧な富士山
8時17分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間17分.う~ん…ちょっと時間が掛かりすぎだな.マイペースで登って,せめて1時間10分くらいで登れるだけの体力が欲しい.
駒止茶屋から先は平坦道である.
「平坦なところは十分御一緒できますので,一緒に歩きましょう…」
ということで,引き続きTDさんと一緒に大倉の尾根道を歩く.
「ここはFHさんのお気に入りの所ですよね…」
とTDさんが言う.
「良くご存じで…そうなんです.大倉の尾根道はできるだけユックリ歩くことにしているんです…」
平坦道に通じる木道を歩いているときに,下山してくるKSさんにバッタリ会う.
「やあ,やあ,FHさん」
と例により握手.今日もKSさんからエネルギーを頂戴する.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.
勿論,ここで数枚の写真を撮るが,どれひとつきちんと写ったものはない.肉眼ではおぼろげながら富士山が見えているのだが…
<大倉の尾根道から富士山を望む>
■小草平
8時37分,TDさんと一緒に小草平に到着する.
「堀山の家」の軒先にツルしてある温度計は17.5℃を指している.湿度がどの程度か分からないが,とにかく今日は蒸し暑くて,登山としての条件は余り良くない.
私達が小草平に到着すると同時にKIさんがどこからともなく現れる.
堀山の家の前では,先週に引き続き,UIさんが土木工事をしている.大変な肉体労働である.暫くの間,UIさんと雑談.ただ,オヤジ殿がまだ堀山の家に到着していないので,小屋には入らずに,今日の最終目的地に定めた萱場平を目指して歩き出す.
ここからは,TDさん,KIさんと御一緒する.どうやら私の巡航速度でもお二方に付いて行けそうである.
「今日は何処まで登るの?」
とKIさんが私に聞く.
「今日はリハビリ3回目なので,萱場平まで.次は花立山荘まで,その次は塔ノ岳まで登るつもりです…」
「シロヤシオの見頃は,多分,2瞬間後ぐらいですよ…」
とのこと.
私も,2週間後までには,是非,塔ノ岳山頂まで登りたいなと思っている.
<小草平に到着>
■戸沢分岐
8時40分頃,小草平を出発する.
私は,相変わらず,TDさん,KIさん,お二方のすぐ後ろに付いて,小草平からの急坂を登り続ける.とにかく,お二方に付いて行けるだけでも,リハビリ中の私には嬉しいことである.
ただ,もう少しで戸沢分岐というところで,さすがに私もお二方に付いて歩くのがしんどくなる.
8時57分,やっと戸沢分岐に到着する.このときお二人は戸沢分岐から萱場平への階段を半分ぐらい登られている.
<戸沢分岐手前>
■本日の終点;萱場平
8時59分,萱場平に到着する.
まだ疲労感が全くないので,いっそのこと花立山荘まで登ってしまおうかと随分迷う.でも,リハビリで後戻りすることがあったら困るので,今日は断固ここで終わりと自分に言い聞かせる.
萱場平の奥の方のベンチに座って,数分休憩を取った後,下山しようと思う.
大倉と萱場平の標高差は872メートルである.大倉から萱場平までの所要時間は小草平での休憩時間を含めて,1時間57分である.ということは1時間当たり447メートル登っていることになる.447m/hなら決して遅いというわけではない.この数字を見て私は幾分安心する.
<萱場平>
■萱場平から下山開始
私が下山開始したときに,YSさんが萱場平に到着する.
YSさんが萱場平で休憩を取るというので,また萱場平に戻って,一緒に休憩を取る.
9時07分,私は休憩を終えて下山開始.
丁度そのとき,後のバスで大倉に到着したMGさんとTDさんが萱場平に到着する.
「私,各駅停車で先に下山しています…」
とお二人に挨拶してから,下り続ける.
「各駅停車」とは下山途中で開店している山小屋に全部立ち寄るという意味である.
萱場平からの下山なら,時間は十分にある.新緑を楽しみながら,ノンビリ,ユックリと下る.
<新緑を楽しみながら下山>
■再び堀山の家へ
9時27分,小草平に到着する.小草平のベンチは休憩を取る登山客で一杯である.
UIさんが,相変わらず外で作業をしている.私の顔を見るなり,
「あれっ! もう萱場平まで行ってきたの? 随分早いね」
と驚く.私としては随分ユックリのつもりだったのに…
「萱場平まで往復したのに,涼しい顔をしていますね…」
言われた私はそうかなと不思議に思う.堀山の家から萱場平までの距離は大したことないのに…
私は,堀山の家でコーヒーでも飲んで行こうかと思ったが,まだお湯が沸いていないとのこと.
9時45分,オヤジ殿に,
「また,来ます…」
と挨拶して,小草平を出発する.
■観音茶屋に立ち寄る
新緑の堀山の尾根道は,十分に楽しみながら,ユックリ,ユックリと歩く.途中富士山が見えるかなと期待したが,先ほどよりさらに厚い雲が掛かっていて,富士山は全く見えない.
10時07分,駒止茶屋に到着.駒止茶屋は開いていない.
そのまま通過.
10時40分,見晴茶屋を通過する.見晴茶屋は多分開店しているだろうと思うが,何となく入りにくいのでそのまま通過する.
10時55分,観音茶屋に到着する.女主人が,下山してくる登山客に,
「お帰りなさい…」
と声を掛けている.
私も観音茶屋に立ち寄って,200円也のジュースで喉を潤す.
暫くの間,女主人と雑談.
11時05分,観音茶屋を出発する.
■バス停大倉
その後はバスの時間と睨めっこしながら,下山し続ける.
11時23分,登山口を通過して自動車道路に出る.
”今日は随分と早いお帰りだな…”
と改めて思う.それもその筈,途中で下山したのだから…
道端に並ぶ無人スタンドを覗きこみながらバス停大倉へ向かう.
「おや…FHさん!」
バス停近くの無人スタンドを覗いているときに,不意に声を掛けられる.ImIさんである.
「あれ,ImIさん…ひょっとしたら堀山の家か観音茶屋でお会いできるかと思っていましたが…」
「今日は,林道歩きをしてきました…なかなか足の筋肉が付かなくて…」
とこぼす.ImIさんもリハビリに苦労されているようである.
■眠くて眠くて…
渋沢12時00分発小田原行の電車に乗車する.座席に座るとすぐに眠くなる.電車の中での居眠りは実に気持ちが良いが,小田原で下車するのが大変で困ったものだ.
小田原12時33分発上の東京ラインの電車に乗り換える.小田原市発の電車である,4人掛け1ボックスを1人で占領するが,またすぐに居眠りを開始する.居眠りをしている内に,大船に到着する.
半分居眠りをしているような状態で下車.
どうも眠気が摂れないので,大船駅構内のBecker'sでコーヒーを賞味する.勿論,五十三次洛遊会の方から頂戴した50円引きの券を有り難く使用させて貰う.
コーヒーを飲んでいる内に,スッキリと目覚める.
電車の中で,こんなに眠くなるのは,やっぱり身体が疲れているからだろう.
でも,まあ,リハビリ登山は順調と言えそうなので,良かった,良かった,としておこう.
<ラップタイム>
7:00 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:45 見晴茶屋
8:17 駒止茶屋
8:37 堀山の家(小草平)(8:40まで休憩)
8:57 萱場平着
9:05 〃 発
9:27 堀山の家(小草平)(9:45まで休憩)
10:07 駒止茶屋
10:40 見晴茶屋
10;55 観音茶屋(11:05まで休憩)
11:31 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 5.4km(片道)
■累積登攀下降高度 872m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7;00
小草平着 8:57
(所要時間) 1時間57分(1.95)
水平歩行速度 5.4km/1.95h=2.77km/h
登攀速度 872m/1.95h=447m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
小草平発 9:05
大倉着 11:31
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
水平歩行速度 5.4km/2.42h=2.23km/h
下降速度 872m/2.42h=360m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/377fee49fb562da9ac5caf26f9f4c9c5
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
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初夏の緑陰を楽しむ丹沢:塔ノ岳(今年11回目)
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