閑話休題;胆石症闘病記(6);第2日目(1);いよいよ胆石症手術だ
2016年3月29日(火) 晴
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<手術当日の朝>
■今日は朝食抜きだ
早朝4時頃,気分良く目覚める.どうやら,昨夜はとても良く眠れたようである.ここは病院である.やたらに早起きをして,ウロウロするのも憚られるので,ベッドの中でまた眠ったり起きたりしながら退屈な時間を過ごす.
6時30分,看護師が部屋の電気を点し,カーテンを開ける.続いて,検温,血圧測定,動脈血酸素飽和度をチェックする.
今日は手術日である.
看護師から,
「…今日は手術日なので,朝食はなしです.毎朝飲んでいるお薬があったら,ごく少量の水で飲んで下さい」
と注意を受ける.
■早朝のシャワー
7時40分頃,看護師が部屋に入ってくる.
「…担当のTNです.どうぞ宜しく…」
と私に丁寧に挨拶する.
以後,入院中に何回もTNさんが担当してくれる日があったが,常に控えめで,熱心にサポートしてくれる.私は内心で,TNさんは素晴らしい看護婦さんだなと思っている.
「…今日は最初にシャワーを浴びて頂きます…」
という.
「洗剤をお持ちでしょうか…」
と私に聞く.
「いえ,持っていません」
「では,こちらで用意致します.1本100円ですが宜しいでしょうか…」
もう,こうなったら,良いですよとしか言いようがない.
看護師さんが用意してくれた繊細は「ビオレu」の小ちいさなボトルである.ボトルには「赤ちゃんの肌にも使える汗や汚れをやさしく落とす」と書いてある.以後,私は,入院中,ずっとこのボトル入り洗剤を使い続ける.
私はTNさんの先導で,浴室に連れて行かれる.
まだ,病院内の配置が頭に入っていないので,どこをどう通ったのか全く分からないが,とにかく浴室に到着する.
浴室は.畳2畳より少し狭い脱衣所兼物置のようなスペースと,その先が浴室の2室になっている.
浴室の洗い場にはカランが3ヶ所ある.何故か真ん中のカランは故障中である.
浴槽は4人程度ならユックリは入れるほどの大きさである.
私は脱衣所にある椅子に座らされる.そしてYNさんから,
「…どうぞ着衣を脱いで下さい…」
と促される.
いくら私が老い耄れでも男性である.若い女性の看護師の前で裸になるなんて…随分勇気が要るし,照れくさい.
「ちょっと恥ずかしいな…」
と照れながら,私は指図通りスッポンポンになる.
前を隠そうにも,タオルすら持っていない.
■エロ部の草刈り
続いて浴室にある椅子に誘導される.
「では,こちらに座って下さい…」
全裸では,全く以てハズカシイが,そんなこと言っていられない.指示に従うしかない.
私は素直に指示通り,椅子に座る.
看護師は,腰掛けたままの私の全身をビオレuを使って洗う.
全身を洗い終わると,
「手術の邪魔になりますので,下半身の毛を剃らせて頂きます…」
いわゆるエロ部の体毛をカットするというのである.
いくら私が八十路のオイボレとは言え,歴とした男性(でもないか!)である.内心で,
”ありゃりゃ…えらいことになったな…”
とうろたえる.
でも,看護師は平然としている.
”もう,どうにでもなれ…”
である.
看護師は電動バリカンを使って,臍から下の体毛をサッパリと刈り込んでしまう.
今まで藪の中でひっそりと隠れていた出来の悪い愚息が,いきなり日の前の藪がなくなってビックリ,しぼんだまま照れている.
私も,あらためて,こんな姿になった愚息周辺の藪に哀れみを感じる.
”可哀相に…これでは,藪が元の茂みに戻るまで,銭湯や温泉には行けないな…”
刈り取られた雑草は,そのまま浴槽の床に落ちている.白髪混じり雑草は如何にも哀れである.
”う~ん…,それにしても,随分と白髪になったな,頭だけでなく,こんなところも白髪になるのか…”
私は妙なことに気が付いて感心する.
頭の毛は加齢とともに薄くなるのに,エロ部の毛はそれほど薄くなったように思えない.こちらは女性ホルモンの支配下にあるんだろうか…なんて,馬鹿なことを連想している.
これで一連の行事は終わりである.
「では,着衣を来て下さい…」
と看護師に促される.
私は,浴室の床に刈り取られたままになっている雑草の行方が気になる.このまま流したら下水が詰まるんじゃないかって…
<厄介な点滴が始まる>
■ちょっと痛いですよ
TNさんに誘導されて自室に戻る.
丁度,NHKの朝の連続ドラマが始まるところである.
暫くして,KBさんという看護師が現れる.
「では,点滴を始めます…」
ということで,右手の手首と肱の間の静脈を手探りする.そして,
「一寸痛いですよ…」
と言いながら,ちょっと太めの注射針を静脈に差し込む.
差し込んだ注射針を絆創膏で固定しながら,
「…随分,筋肉質ですね…」
という.
これまで筋肉質なんて言われたことがない私は,ちょっと意外な感じがする.
でも,平素,入院中の高齢者の皆様と比較すれば,確かに私は筋肉質かも知れない.というのも,私は日頃から登山を趣味としているから筋肉質になっているんだろう.
準備が終わると,点滴が始まる.大きな透明な袋に500立方センチメートルほどの透明な液体が入っている.そこから管の中を,「ぽたり,ぽたり,…」と,超スローで,液体が落ちるのが見える中継点を経由してして体内に送り込まれている.
「これ,一体何の点滴ですか…?」
と看護師に伺う.
「栄養剤です,手術前後はご飯が食べられないので,点滴で栄養を補給するんです…」
とのこと,
私はベッドに横になったまま,ポタリ,ポタリと落ちてくる点滴を眺めつづける.
この厄介な点滴を見ていると,
”やっぱり,オレは病人なんだ…”
と自分が本当に病人なのだとあらためて自覚させられる.
”こんなポタリ,ポタリでは何時お仕舞いになるか分からないな…”
午前中,ずっと点滴が続く.ちょっと手足を動かすと点滴の管が邪魔をする.
”ああ…嫌だな!”
何時の間にか,点滴用のポールには,赤い字の「禁飲食」のタグがぶら下がっている.このタグを見ると,ますます自分が情けなくなる.
<禁飲食のタグ>
■入院中,ずっと点滴が続くようだ
随分と時間が掛かったが,漸く点滴が終わる.
”やっと,終わったぞ…!”
私は内心で歓喜の雄叫びをあげる.これまで入院したことのない私は,これで点滴から解放されると早合点したのである.
早く点滴の管を外してもらいたいので,すぐさまベッドの脇にあるナースコールのボタンを押す.
ところが,すぐに現れた看護師は,先ほどの点滴と同じ大きさの袋を,新たに付け替えられる.
点滴が終わったと思っていた私は,意外な展開にビックリする.
「点滴,終わりじゃないんですか?」
と看護師に聞く.
看護師は,平然とした口調で,
「入院中は.ほぼ点滴を続けることになりますよ…」
とつれない.
ガックリ落胆,こんな筈じゃなかったのに…
私は,
「トイレに行くときは,点滴,どうするんですか」
と真顔で質問する.
「点滴の袋が下げてあるポールを持ったまま歩いて下さい…」
「なるほど…!」
そう言えば,ポールをゴロゴロ転がしながら歩いている患者を良く見掛ける.ここで,私は,自分が置かれている現実を再認識する.
”ああ…情けないことになったなぁ…”
これが,点滴に対する率直な第一印象である.それにしても,こんなポールを引きずって歩くなんて…何となく気恥ずかしいな.
病院内で見かけるコロコロ転がしの患者さんは,今の私と同じような立場の方々だったんだ.これまで,何となく自分とは全く違った病弱の方々だと思っていたのに…自分もお仲間入りとは…
”それにしても,面倒なことになったな…”
これを持って移動する
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摘出した胆石
■麻酔医先生
13時10分,看護師から,
「手術開始時間が,予定より早くなりました…」
という連絡を受ける.
麻酔担当の先生が病室に現れる.長身で格好良い先生である.
「麻酔担当の○○です」
○○先生からは,麻酔に万全を期すという主旨の挨拶を受ける.私は,
「どうぞよろしくお願いします」
と挨拶する.
○○先生のお名前は,伺った途端に忘れてしまう.
<いよいよ手術開始>
■きつい靴下
13時47分,看護師の指導で,今着ている上下セパレートの着衣を脱いで,アッパッパー形式の手術衣に着替える.
ついで,やけにきつい靴下を,無理矢理…という感じで履貸せてもらう.この靴下をはくと踝から脹ら脛付近までが心地よく締め付けられている.
「どうして,こんなきつい靴下を履くんですか…」
と看護師に伺う.
きつい靴下を履くのは,どうやら血栓防止のためのようである.いわゆるエコノミー症候群防止ということらしい.
■手術室へ;まな板の鯉になる
14時頃,看護師に先導されて,点滴棒を引っ張りながら,手術室に入る.
手術室に入る.ちょっと薄暗くて広い部屋である.周囲には色々な機材が置いてある.部屋の真ん中に黒色のベッドが置いてある.このベッドが手術台である.
看護師に誘導されながら,手術台の上に仰向けになって寝転ぶ.
”こう言うのをまな板の鯉っていうのか!”
私は寝転びながら,こんなことを思い続けている.
主治医のDT先生が現れる.
先生は,私の顔を覗き込むようにして,
「…FHさん,頑張りましょう…」
と私を励ます.
励まされた私は,勿論,嬉しいし,有り難いなと思う,
でも,麻酔を掛けられて,昏睡状態になる私が,何をどうやって頑張ったら良いのかが分からない.
やがて,点滴をしている血管に染みるような鈍くて冷たい痛みが走る.多分,何か薬を点滴の中に入れたのだろう.
私は,直感的に,この染みるような鈍い痛みの正体は麻酔薬だと思う.
「麻酔なんかに絶対かからないぞ…かかって堪るか!」
と一生懸命眼を開けて意識があることを確かめ続ける.
…が,程なく麻酔が効いてきて意識を失う.私は自分が意識を失ったことすら分からない.
(つづく)
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(執筆中)
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