Quantcast
Channel: 中高年の山旅三昧(その2)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2690

富士山にも山ネコ「ミャ~」にも会えない丹沢;塔ノ岳(今年27回目)

$
0
0

                                  <塔ノ岳山頂からの眺望>

 富士山にも山ネコ「ミャ~」にも会えない丹沢;塔ノ岳(今年27回目)
            (リハビリ単独山行)
      2015年12月16日(水) 雲多いが晴

■今日は水曜日,でも塔ノ岳だ
 今週は今日までが温かくて,明日からはぐっと寒くなるとのことである.いよいよ本格的な冬の到来かな.それに12月も中旬ともなると,何とはなしに忙しげな気分になってくる.そういえは,年賀状の準備もまだ全くしていない.今日辺りが年金の支給日なので,入金があり次第,年賀状を購入しようかなと思い始める.ここ数年,今年こそ年賀状のやり取りをやめようと,毎年のように思っているが,何とも決断が付かないまま,また今年も年賀状を出すことになりそうである.
 年の瀬が押し迫ってくると,何かとろくでもない仕事が湧いてくる.今週末の土日もヤボ用があって,塔ノ岳に登っている暇がない.
 ”ならば,塔ノ岳は水曜日の今日,登るしかないな…”
と一昨日辺りから私は思案してきた.
 そして今日,水曜日.
 例によって,出発前の「行く」「行かない」の葛藤が始まる.早朝,3時半頃,「行く」「行かない」はともかく,山登用の衣服を着用する.すると不思議なもので,山の服装になった途端に,
 ”…ん,じゃあ~…出掛けるか”
と踏ん切りが付く.
 4時10分,自宅を出発する.外は真っ暗,ポツン,ポツンと街灯が付いている住宅地を抜けて,山を下る真っ暗な階段道を慎重に降りる.1ヶ月ほど前まではコーロギが鳴いていた道である.

■大倉から歩き出す
 大船駅5時10分発初電熱海行に乗車する.土曜日に比較すると乗客は半分ぐらい.私は4人掛け1ボックスを1人で占領する.列車が走り出した途端に居眠りを始める.小田原で小田急電車に乗り換えて,6時11分に渋沢駅に到着する.大倉行バス停には私が一番乗りである.その頃,ようやく東の空が白み始める.私はストレッチをしながら,バスの到着を待つ.
 平日の大倉行一番バスは,土曜日とは比較にならないほど空いている.乗り合わせた常連は毎日登山のTGさん,キャベツのTZさん,三角髭のTDさん,MTさんなど.バスは7時丁度に大倉に到着する.
 支度を終えて,7時08分,TGさんと一緒にバス停大倉から歩き出す.TGさんが私に,
 「チンタラ,チンタラ登りましょう…」
と言ってくれるが,とてもではないが軟弱者の私は,TGさんには付いていけない.
 「私,今日は塔ノ岳山頂まで3時間10分を目標に,ユックリ歩きますので,どうぞ先に行って下さい…」
ということで,TGさんに先に行ってもらう.
 7時12分,登山口に到着する.登山口付近の紅葉は,まだまだ綺麗である.この辺りでは,まだ,TGさんの後ろ姿が直ぐそばに見えているが,歩き進む内に,TGさんの後ろ姿が段々と小さくなっていく.
 
<TGさんと一緒に登山開始><登山道入口付近の紅葉>

■雑木林に射し込む朝日
 登山道入口付近の雑木林の朝日が当たっている.何とも清々しく気持ちの良い風景である.私は思わず足を止めて,写真を何枚も撮る.
 昨日までの雨のためか,足許は濡れていて滑りやすい.

<雑木林に射し込む朝日>

■朝日いっぱいの坂道
 7時22分,丹沢ベースを通過する.石を敷き詰めた滑りやすい道は,濡れているととても歩きにくい.私は膝を庇いながら慎重に登り続ける.
 やがて石を敷き詰めた道が終わって,普通の土道に変わる.歩いていてホッとするところである.7時26分,朝日が真横から射し込むトラバース道に入る.路面には枯葉が絨毯のようにビッシリ落ちている.
 私は,何時も,ここまで登ると何か天井が抜けたような開放的な気分になる.
 今日は平日.私の前後には登山者は誰も居ない.それこそ誰にも惑わされずにマイペースで登り続ける.

<朝日が真横から射し込むトラバース道>

■観音茶屋から見晴茶屋へ
 7時31分,観音茶屋を通過する.
 私は温度計を持っていないので,正確な気温は分からないが,今日は,どうも蒸し暑い感じがする.歩行ピッチを少し上げただけで,すぐに汗ばんでくる.
 ”これはまずいぞ…”
という訳で,私は歩きながら何回も自分の歩行ピッチを修正する.
 7時49分,見晴茶屋に到着する.
 見晴茶屋の前から,冬の風物詩,光る海の写真を撮るが,今回もやっぱり上手く撮れない.残念である.

<見晴茶屋から相模湾を見下ろす>

■見晴階段
 引き続き見晴階段に差し掛かる.
 例によって,階段下から見晴階段を見上げた写真を撮る.階段の中腹を登っているTGさんの後ろ姿が小さく見えている.
 私は急いで登って,TGさんに追い付きたいという衝動に駆られるが,そんなことをしたらたちまちの内にバテてしまい,頂上まで登れなくなるのは必定である.私は,ともすれば焦り勝ちになる気持ちを抑える.

<見晴階段を登る>

■しんどい駒止階段
 この辺りまで登ると,今日の自分の体調が正確に分かるようになる.今日の私の体調は,まあ,まあ,というところだろう.
 ”この調子だと,大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は3時間10分くらいかな…10時15分ぐらいには尊仏山荘に入れるかな…”
と胸算用である.
 長いモミジ坂を登り切って,8時07分,一本松を通過する.大倉から歩き出して丁度1時間である.今の私では,まあ,こんな程度だろうなと思う.一本松上の休憩所で休憩を取っている人はだれもいない.もし土曜日なら,溢れるほどの人がここで休憩を取っているのに…
 モミジ坂の紅葉の見頃は既に終って,今は枯木ばかりになっている.
 8時19分,駒止階段に差し掛かる.ここは大倉尾根で,見晴階段に続く第2の難所である.階段を見上げると,これを登るのかと,思わずため息が出るが,一段,一段,ユックリと登るしかない.
 階段を何とか登り切って,8時25分,駒止茶屋の前を通過する.
 大倉から駒止茶屋までの所要時間は,1時間17分.
 ”…おや,1時間20分を切っている.前回より大分良いな…”

<駒止階段>

■堀山の尾根道
 いよいよ堀山の尾根道である.ほぼ平らな道が続くので,歩いていてもとても気分が良いところである.
 例により,富士山が見える場所で立ち止まる.私は富士山が見えても見えなくても,ここで写真を撮ることにしている.
 今日は上空が良く晴れているのに,富士山方面には薄雲が湧き上がっていて,残念ながら富士山は殆ど見えない.暫く立ち止まって富士山方面を凝視すると,富士山の山麓が少し見えるような見えないような…曖昧である.
 8時35分,堀山の道標を通過する.

<堀山の尾根道で見えない富士山を撮る>

■小草平
 堀山の道標を過ぎると下り坂になる.ここだけはピッチを上げて一気に下る.そして,その反動のようなシンドイ坂道を登って,8時45分,小草平に到着する.
 今日は平日なのに,堀山の家が開いている.もっとも営業しているかどうかは分からない.
 どうやら何か修理中のようである.
 堀山の家の温度計は10.5℃を指している.やっぱり,今日は気温が高いようである.
 ここからも相変わらず富士山は見えない.私は休憩を取らずにそのまま小草平を通過する.

<小草平>

■萱場平
 長い登り坂が連続する.
 だれも追い越さず,また,誰にも追い越されずに,全くのマイペースで登り続ける.標高が高くなるにつれて,何時の間にか蒸し暑さも感じなくなっている.長い階段道が連続する.この辺りは,ただ,ただ,ペースを崩さないように気を付けながら登る続けるしかない.
 9時06分,やっと萱場平に到着する.柔らかい日差しが萱場平いっぱいに射し込んでいる.
 ”ここで日光浴しながら,昼寝しているのも悪くないな…”
と”ふと”思うが,勿論,休憩を取らずに通過する.
 木道を通過して水平道を進むと,一箇所,泥んこの所がある.この一寸した泥んこ道のお陰で登山靴が汚れてしまう.

<萱場平>

■後七分坂に到着
 萱場平を通過して道幅がやけに広い上り階段に差し掛かる.
 9時14分,下山してくる2本ストックのYZさんとすれ違う.YZさんは相変わらず好調のようである.
 さらに登り続けて,9時22分,ようやく跡七分坂(花立階段)の下に到着する.
 ここでも,見えない富士山の写真を撮る.そして,やおら急階段を登り始める.正直なところ,私にはこの階段が一番辛くて嫌な所である.

<後七分坂に到着>

■シンドイ階段
 階段を黙々と登り続ける.上を見ると,まだあんなにあるのかと意気消沈するので,なるべく足許だけを眺めながら登り続ける.
 ”もうそろそろ階段も終わりだろう…”
と想像しながら,上目使いでそっと上を見る.まだ,20段ぐらい残っている.ウンザリ.
 それでも,9時31分,ようやく花立山荘に辿り着く.後七分坂を9分掛けて登ったことになる.
 
<残りわずかな花立階段>                          <花立山荘に到着>

■花立山荘
 大倉から花立山荘までの所要時間は,2時間23分.怪我の前は2時間10分程度だったので.相変わらず遅い!
 小草平からの所要時間は46分.こちらも怪我の前より6分ほど余計に掛かっている.
 ”リハビリ中なので,まあこんなところだな…”
と割り切って,休憩を取らずにそのまま登り続ける.

<花立山荘から富士山方面を望む>

■花立山山頂
 花立山荘から花立山山頂の途中まで続く階段道がくせ者である.途轍もなく高い段差の階段道が暫く続く.私にとっては,ここが大倉尾根最大の難所である.もうダメ!…と思いながらも,ノソノソと登り続けて,9時43分,ようやく花立山山頂に到着する.
 花立山荘から花立山山頂まで登るのに13分も要している.ここはせいぜい10分ぐらいで登れるところなのに…体力の減退は如何ともし難い.
 今日の花立山からの眺望は,余り良くない.富士山や南アルプス方面は雲に遮られて殆ど視界がない.前方に塔ノ岳がよく見えている.
 写真を数枚撮っただけで,花立山山頂を通過する.

<花立山山頂>

■塔ノ岳山頂
 9時48分,金冷シを通過する.
 ここまで来れば,塔ノ岳山頂まで登ったのと大差ない.ユックリ,ノンビリ登っていれば,どんなに時間が掛かっても20分もあれば間違いなく塔ノ岳山頂に到着する.
 冷たい風が吹いている.山麓では蒸し暑く感じていたが,今は焼けに寒い.勿論,汗はとっくに引っ込んでいる.
 金冷シから先は,とくに写真を撮りたい風景もないので,半ば惰性で登り続ける.そして,10時07分,塔ノ岳山頂に到着する.冷たい風が山頂を吹き抜けている.でも,山頂での儀式だけは済ませたい.私は大急ぎで,山頂からの景色を数枚の写真に収める.ただ,残念ながら富士山はまだ雲の中である(冒頭の写真).
 大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,2時間59分.たった1分とはいえ,3時間を切っているのは,リハビリ中の私には大変な励みになる.もっともアナログ時計を使っているので,1分なんて誤差の内である.そんなことは重々承知しているが,それはそれとして,正直なところ,嬉しい.
 ”多寡が1分,去れど1分…”
 ちなみに,花立山荘から塔ノ岳山頂までの所要時間は36分.元気なときは30分だったので,まだ改善の余地はある.金冷シからは18分.ここも,以前は15分で登っていたところである.
 冷たい風の中で2~3人の登山者が休憩を取っている.尊仏山荘の見ると窓越しに常連さんが何人か座っているのが見える.山荘に立ち寄ると,どうしても下山時間が遅くなるので,山荘には立ち寄らずに,このまま下山してしまおうかとも思ったが,一寸ばかり小腹が空いているので,温かいところでオニギリの1つでも腹に入れたい.私は意を決して,一寸だけ尊仏山荘に立ち寄ることにする.

<塔ノ岳山頂>

■尊仏山荘
 私が尊仏山荘に入る.
 私ノ顔を見た小屋番,オーナーのHDさんや水曜日の常連の男性が一斉に,
 「オー…」
と驚いたような声を上げる.
 すでに毎土曜日は塔ノ岳に登るようにしているが,水曜日に塔ノ岳に登るのは,今年3月以来のことである.驚かれるのは無理もない.
 まるで黄泉の国から亡霊でも登ってきたかのような感じなんだろう.
 ところで,今日は小屋番がHDさんなので,私は華伊達美弥雄さん(ネコのこと)と会うのを,即座に諦める.
 山荘の温度計は外気温7.1℃.体感温度に比較して,意外と暖かである.
 私が山荘に入るのと,入れ替わるように,TGさんが山荘から下山を開始する.
 400円也のコーヒーを所望する.山で味わう熱々のコーヒーは実に美味しい.コーヒーを賞味していると,ご常連からいきなり,私の年令を聞かれる.この常連のお父さんが私より1歳上とのこと.
 トウネントッテ×2で還暦を3歳ほど超えた私は,良く年令のことを聞かれるようになったなと感じている.私は何となく塔ノ岳に登っているだけで,平素,自分の年令のことなど,あまり念頭にない.でも,年令を聞かれる度に,現実に引き戻されたような気分になり,良い年をして山に登っているのは妙なことなのかなと勘違いしそうになる.
 10時20分頃,遅いバスで来られたTTさんが,山荘に到着する.
 
<尊仏山荘に入る>                             <美味しいコーヒー>

■ユックリと下山
 私は大倉13時22発の路線バスに乗りたいなと思う.
 膝を悪くするまでは,塔ノ岳から大蔵バス停までの所要時間は2時間足らずだったが,今は膝に負担を掛けないように下山するために,2時間30分程度は見ておきたい.逆算して,10時27分に塔ノ岳山頂から下山を開始する.
 自分でももどかしいほど時間を掛けてユックリ,ユックリと下山し続ける.もちろんダブルストックを使って,体重のいくらかでも手の方に負担させるようにしている.
 私とほぼ同じ時間に,MTさんが山荘を出発する.もちろん,瞬く間にMTさんは私の視界から消えている.
 山頂直下の階段を下っているときに,登って来るキャベツのTZさんとすれ違う.すれ違いざまに,TZさんが,
 「…随分速いですね.私,丹沢山まで行ってきます…」
と言う.
 ”丹沢山までか…TZさんのスタミナが羨ましいな…”
と思いながら,お別れする.
 10時46分,花立山荘を通過する.後七分坂を慎重に下る.階段を過ぎて,ガレ場を下っているときに,後ろから来たTTさんに追い抜かれる.
 11時36分,堀山の家を通過する.堀山の家の温度計は22℃を指している.
 11時55分,駒止茶屋に到着する.やや疲労感がある私は,駒止茶屋のベンチに2分ほど座って,疲れを癒す.
 駒止茶屋を通過して,一本松方面に向かう.登りのときはあまり気がつかなかったが,モミジ坂より低い所では,何カ所か紅葉が美しいところがある.

<山麓の紅葉>

■バス停大倉
 駒止茶屋に到着したときに,
 ”ここから急げば12時52分のバスに間に合うな…”
と,フト思う.でも,無理をしてまた足の怪我をしたら元も子もないので,それだけは避けたい.
 私は意識的に下山速度をさらに落として,12時40分,観音茶屋を通過する.観音茶屋は,勿論,平日はお休みである.
 12時57分,紅葉が美しい登山口を通過する.登山口からバス停大倉までに並んでいる野菜売りの無人スタンドには,沢山のニンジンが置かれている.今,ニンジンが旬の時なのだろう.
 13時03分,ようやくバス停大倉に到着する.

<登山口付近の紅葉>

■疲労したが満足
 予定通り大倉13時22分発の路線バスに乗車する.さきほど尊仏山荘で一緒になった常連の皆さんは,1本前の12時52分発のバスに乗車したらしく,車内を見廻しても顔見知りの姿は全くない.
 渋沢駅で13時36分発小田原行の電車にはタッチの差で乗り遅れる.その後,小田原,大船での乗り継ぎも余り良くなく.帰宅したのは15時半頃になってしまう.
 早速,PCメールを開く.登山中に数十通の着信メールがあるが,全部読むのは面倒なので,大切そうなものだけ拾い読みする.
 少々早めに風呂を準備して,ユックリと入浴する.気分最高.
 久々の平日登山.空いていてユックリ堪能することができた.

<ラップタイム>

 7:08  大倉歩きだし
 7:31  観音茶屋
 7:42  見晴茶屋
 8:25  駒止茶屋
 8:45  堀山の家(小草平)
 9:31  花立山荘
 9:48  金冷シ
10:07  塔ノ岳山頂着
10:27     〃   発
10:41  金冷シ
10:46  花立山荘
11:36  小草平(堀山の家)
11:55  駒止茶屋
12:25  見晴茶屋
12:40  観音茶屋
13:03  大倉着

[山行記録] 

■水平歩行距離      7.0km

■累積登攀下降高度   1,269m

■登り所要時間(休憩時間を含む)
 大倉発             7:08   
 塔ノ岳山頂着          10:07
 (所要時間)       2時間59分(2.98h)
 水平歩行速度     7.0km/2.98h=2.35km/h
 登攀速度        1,269m/2.98h=426m/h

■下り所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳山頂発        10:27
 大倉着            13:03
 (所要時間)       2時間36分(2.60h)
 水平歩行速度     7.0km/2.60h=2.96km/h
  下降速度        1,269m/2.60h =488m/h
                                                                          (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e427d5b518fcab92afe9f5921190871d
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2690

Trending Articles