<霧の花立山>
小雨の中,ヒルを気にしながら登る丹沢;塔ノ岳(今年37回目)
(常連と前後しながら…)
2013年7月20日(土) 小雨後曇
■余り天気は良くなさそうだ
先週の土曜日はメチャメチャ暑かったが,今日,土曜日は先週ほどの暑さではなさそうである.
今朝も自宅のある山の尾根から大船駅までブラブラと歩いて行こうかと思っていたが,ついつい二度寝して,“ハッ”と目が覚めたときには,もう4時を過ぎていた.大船まで歩くんなら,4時10分頃には出掛けないと忙しい.では,仕方がないなということで,湘南モノレールの初電を利用する.
もう,夏至を過ぎてから,1ヶ月近く経っているので,朝,明るくなるのが心なしか遅くなったような気がする.
5時10分に家を出る.夜半に雨が降ったらしく路面が濡れている.でも,今日の天気予報は終日曇なので,雨には会わないと思いながら,小田原経由で小田急線渋沢駅へ向かう.車窓から丹沢方面の山を眺めると,雨雲が山麓まで低く垂れ込めている.
渋沢駅で大倉行1番バスに乗車する.バスが5分ほど遅れたこともあって,登山客で超満員である.でも,最盛期のように臨時バスはでないようである.車内を見回すとご常連も沢山乗車しておられる.韋駄天のTGさん,編集長のYKさん,TTさん,KIさん,MTさん,SKさん,YDさん,Hさん,HNさん,STさん,HMさん,NGさん,YUさんなど,まさにオールスターキャストである.
■ヒルが出そうなベタベタ道
7時08分,沢山のご常連さんと相前後して大倉から歩き出す.霧雨が降っている.雨具を着るほどの雨ではないが,こんな天気の日に登るのはちょっとイヤだなと躊躇する.居合わせたNGさんが,
「まあ,大した雨ではないでしょう…そのうちに止むでしょう」
と私を慰めるように言う.
路面はベタベタに濡れている.手持ちの寒暖計では気温23℃.湿度は正確には分からないが,もの凄く高いことは確かである.
“やっぱり,今日も蒸し暑いな…熱射病には注意しながら登らなければ…”
と自分自身を戒める.
“よぉ〜しっ! 今日も公園を歩くような気分でリラックスして登ろう”
登山道に入る前に,もう一般の登山客,数名に追い抜かれる.あんなスピードで登ったら早晩リタイアだなと思いながら,道を譲る.登山道はベタベタに濡れている.今日は山ヒルに遭遇しやすい日のようである.
登山道に入って間もなく,SSさん,TGさん,YGさん,KIさん,YDさん,MTさんなどのご常連に合流する.
<登山道は雨でベタベタ;一般登山者に追い抜かれる> <程なく数人の常連に追い抜かれる>
■私の足は三浦大根
暫くの間,私もご常連グループに吸収されて,一緒に登り続ける.
実は,今日の私は,暑さを和らげるために,半袖のシャツに,すね丸出しの半ズボン姿である.私が師事した山岳ガイドからは,長袖,長ズボンで登山するように教えられているが,暑くて仕方がないので,この教えを破っていることになる.
私のすぐ後ろを歩いている常連の女性から,
「FHさんの足は,さすがに山を歩いておられるので,素晴らしいですね…」
と褒められる.私は予期しない足などを褒められたので,少々戸惑う.
「いや飛んでもない! スが入って干からびた三浦大根ですよ…美味しくないですよ」
とドギマギしながら咄嗟に答える.すると,
「三浦大根ではなく,かまくら野菜でしょう」
という答えが返ってくる.
なるほど! 確かに私は鎌倉の住民である.
…ま,それはともかく,丹沢ベース付近の“山ヒル銀座”を,ヒルが居ないか注意しながら通過する.山ヒルに会えなければそれはそれでラッキー,もし山ヒルを見付けたら,是非,写真に撮りたいなと思っている.
でも,今日はヒルには全く出会わなかった.
■見晴階段
7時52分,見晴山荘を通過する.そして,大倉尾根最初の難所,見晴階段に差し掛かる.丁度雨雲の中に入ったのか,辺り一面に濃い霧が掛かっている.坂の上の方は濃い霧で全く見えない.それでも,儀式として見えない坂の写真を撮る.
私の目の前には,常連さん数名の後ろ姿が見えている.でも,さきほど観音茶屋を過ぎた辺りで,私をもの凄い勢いで追い抜いて行ったSKさんとHGさんは,もうずっと上の方を歩いているらしくて,私の視界から完全に消えている.
気温はそんなに高くはないが,湿度が高く無風である.どんなに自重して歩いていても,汗が止めどもなく流れる.私はハイドレーションシステムを使っているので,歩きながらも少しずつ水を飲むように心掛けている.そして,ときどきは梅干しを口に入れて塩分を補給する.
<濃い霧の見晴階段>
■霧の尾根道
8時27分,一本松を通過する.
相変わらず霧雨が降っている.路面は濡れたまま.視界も悪い.殆ど無風なので,スッキリ感がないまま,駒止階段に差し掛かる.その間,沢山の若手登山者に追い抜かれる.
駒止階段に差し掛かると,私の先を行く常連グループとの距離が開き始める.私はだんだんと遅れ気味になるが,これは仕方がないことと諦める.
8時22分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間14分.ちょっと時間が掛かりすぎているが,
“まあ,こんなところが妥当かな…他の常連さんが速すぎるんだよ”
と自分に言い聞かせる.
堀山の平坦な尾根に差し掛かる.平らな所はそれなりに歩行速度を上げるのが私の歩き方である.程なく,KIさん,MTさん,NYさんなどのグループに追い付く.
「堀山の家から花立山荘までは40分ほど掛けてユックリ登ります…そのかわり,平らな所では,とりあえず,先に行かせてもらいます」
ということで,先に行かせてもらう.
晴れていれば富士山が見えるはずの場所では,儀式として見えない富士山の写真を撮る.もちろん変哲もない数本の木が写っているだけ,
“こんな写真を撮るなんてバカみたい”
私は自嘲するが,こんな馬鹿な習慣が止められない.
<霧の堀山の尾根道> <富士山は雲の中>
■萱場平
8時37分,堀山の家を通過する.
私は,ずっと先を登っているSKさん,TGさんのグループと,私よりすぐ後ろのKIさん,MTさん,YDさん達のグループとの間に挟まって登っているようである.
堀山の家から先も,ごくごくユックリのペースで疲労を感じないように留意しながら登り続ける.その間に,沢山の若い登山者に追い抜かれる.追い抜かれるたびに少々癪に障るが,所詮,若い人と同じペースで登ろうなんて考えるのが馬鹿げている.
“身の程を知れ!”
と天の声.
戸沢分岐に差し掛かる頃,後ろからヒタヒタと迫ってくる足音に気がつく.そろそろKIグループに追い付かれたかと思って,道を譲る.すると私より1本か2本遅いバスで来られた韋駄天のMGさんである.勿論,すぐに道を空けて先に行ってもらう.
「今日,帰りに渋沢駅でお茶しましょう…」
とMGさんに誘われる.もちろん大賛成.
「行きましょう…行きましょう」
8時57分,萱場平を通過する.
雨は何時の間にか止んでいるが,相変わらず濃い霧が立ちこめている.私の前後には誰も居ない.
木道の間に大きく成長したアザミはますます元気である.
<萱場平>
■花立山荘
長い階段道をマイペースで登り続ける.時々後ろから足音が聞こえるので,ご常連かな思いながら道を譲るが,私を追い越して行くのは,若手の登山者ばかりである.なかなかご常連が現れないのでヤキモキする.
やがて後7分坂に差し掛かる.相変わらずの霧で視界が利かない上に,結構,蒸し暑い.どうしても意気消沈.でも,ユックリながら階段を登り続けて,9時18分に漸く花立山荘に到着する.
大倉からの所要時間は2時間10分,堀山の家〜は41分.ちょっと遅いが,でも,まあ,この時期としては,私にとってそう遅いラップでもない.
霧の中で,もっとずっと先を歩いておられるかと思っていたSKさんとTGさんが,ヌッと現れる.大変ビックリする.お二人は,どうやら,途中で2回ほど休憩を取られていたようである.
ここからお二人の後に付いて登り続ける.
花立山荘を過ぎてすぐのところで,ご常連で写真家のIHさんが下ってくるのにバッタリ.
IHさんは,最近,丹沢をテーマにした写真集を出版されている.
<写真家のIHさんとバッタリ>
■塔ノ岳山頂・尊仏山荘
花立山に登る途中でSKさんが立ち止まる.SKさんと同行されているTGさんも一緒に立ち止まられたので,私は一足先に行かせてもらう.
9時29分,花立山山頂を通過する.続いて,9時35分に金冷シを通過する.例のセミのような虫の鳴き声が聞こえ始める.ここまで来れば,もう山頂に到着したのと同じである.私は周囲の風景を写真に撮りながら,ゆっくり,ゆっくりと登る.
途中,何かを調べておられるYUさんとバッタリ.
「おや,何か調べ物ですか…」
で先に行かせてもらう.
9時49分,塔ノ岳山頂に到着する.
山頂では,戸沢分岐付近で私を追い越したMGさんが,石の上に腰を下ろして私たちの到着を待っている.私もMGさんの隣に腰を下ろす.程なく,ご一緒していた常連の皆様も次々に山頂に到着する.
山頂の気温は20℃.風は殆どないが,ほどほどに涼しくて気持ちがよい.
大倉からの所要時間は2時間41分.前回登った水曜日よりは3分余計に掛かっている.
大倉へ降りてから食事を摂るというMGさんは,尊仏山荘には立ち寄らずに,そのまま下山開始.たまたま居合わせている常連さんと一緒に尊仏山荘に入る.
尊仏山荘の今日の小屋番はオーナーのHさんと若手のFYさん.何時ものように300円也のお茶を所望する.お茶を飲みながらしばし雑談.やがて私たちより5〜6分遅れてKIさん,MTさん,FTさんのお三方も山荘に到着する.
まだ時間が早いためか,山荘には常連以外の客は居ない.
<霧の塔ノ岳山頂>
■途中から走るように下山
10時18分,私はSKさん,TGさん,それに山頂で休憩を取っていたNYさんと一緒に下山開始.
尊仏山荘入口近くで,同じバスに乗られていたNGさんとすれ違う.
私たちはSKさんを先頭にやや速い速度で下り続ける.
戸沢分岐を過ぎた頃,尊仏山荘の小屋番WDさんが登ってくる.WDさんと,山ヒル対策で立ち話をする.まずは,WDさんが,靴の足首のところに山ヒル除けのテープを巻いているのに注目.
“なるほど,このテープで山ヒルが靴を伝って登ってくるのを防ぐのか”
これから,私も真似しようと思う.
<山ヒル対策で雑談>
■ネーチャーコールズミー
11時15分,堀山の家を通過する.今日から学校が夏休みになったのか,中学・高校の生徒さんの集団が次々に登ってくる.
下り続けて,標高が下がるにつれて,気温が上がってムシムシ感が次第に強くなるる.
見晴山荘を過ぎる頃,急に腹が痛くなり,無性にトイレに行きたくなる.そして,観音茶屋を過ぎる辺りから我慢しきれなくなり,同行の皆さんにお断りして,半ば走るようにして下山.12時19分に大倉に到着する.すぐにトイレに駆け込む.
トイレで用事を済ませた途端に,これまでの腹痛が収まり,先ほどまでの慌てようが嘘のように落ち着く.
私より先に下山したMGさんとYDさんが,ベンチに座っている.靴を洗った後,私もお二人に合流する.
■渋沢駅近くでお茶
一同,渋沢13時12分発大倉行バスに乗車する.
渋沢駅南口近くの某喫茶店で,暫くの間,ティーパーティ.つまり雑談.私は400円也のホットコーヒーを賞味する.特にこれと言った話題はないが,とりとめのない雑談もまた楽しい.
私は,ときどき,街道歩き,山旅,同窓生などのグループとお茶をすることがあるが,それぞれのグループに特徴があるのが面白い.
渋沢でのお茶は,これで3回ぐらいになるが,沢山の常連の中で“渋沢でお茶”のサブグループが出来かけているようである.これも面白い成り行きだなと思っている.
少々余談になるが……
リプナックという人の著書に『ネットワーキング』という題名の本がある.お茶を飲みながら,この本の内容を思い出す…が,ここで,杓子定規でつまらない話題に筆を走らせるのは止めておこう.
<400円也のコーヒー> <暫くの団欒>
■心地よいシャワー
14時30分頃,ティーパーティは終了する.
渋沢駅から小田急電車へ,小田原で特別快速高崎行電車に乗り換えて,15時30分過ぎに大船に到着する.私には,電車の中の冷房が利きすぎていて,とても居心地が悪かった.大船駅からまた冷房の利いたバスに乗るのは嫌だったが,今日は時間が押しているので,やむなくバスを利用して帰宅する.
早速,シャワーを浴びて汗でべたべたな身体を洗い流す.乾いた着物に着替えると生き返ったような気分になる.
今日も,良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:52 見晴山荘
8:22 駒止茶屋
8:37 堀山の家
9:18 花立山荘
9:35 金冷シ
9:49 塔ノ岳山頂着(20.0℃)
10:18 〃 発
10:30 金冷シ
10:43 花立山荘
11:15 堀山の家
11:30 駒止茶屋
11:52 見晴山荘
12:05 観音茶屋
12:19 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:49
(所要時間) 2時間41 分(2.68h)
水平歩行速度 7.0km/2.68=2.61km/h
登攀速度 1269m/2.68h=473.5m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:18
大倉 着 12:19
(所要時間) 2時間01分(2.02h)
水平歩行速度 7.0km/2.02h=3.46km/h
下降速度 1269m/2.02h=628.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9d9d916665d9fd0c3811bdd752bf593e
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)
↧
小雨の中,ヒルを気にしながら登る丹沢;塔ノ岳(今年37回目)
↧