<小諸城天守台>
善光寺街道;第1回;第2日目(7);小諸城趾;懐古園周遊(2);2日目の総括
(五十三次洛遊会)
2015年8月25日(火)~2016年8月27日(木)
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第2日目;2015年8月26日(水)(つづき) 曇やや蒸し暑い
<ルート地図>
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※再掲
<藤村詩碑と水の手展望台>
■藤村詩碑
酔月橋を渡って,16時丁度に藤村詩碑に到着する.有名な千曲川旅情のうたの一番が銅板に刻まれている.
私は物心が付いたことから,何回となくここを訪れている.懐かしい所である.もっとも,これがあの有名な千曲川旅情の歌だと認識したのは中学校に進学してからのことだが…
同じような形をしたもう一つの藤村詩碑が丸山晩霞の羽衣莊にも据えられているのを,幼少の頃見たことがある.
<藤村詩碑>
■水の手展望台からの眺望
次いで闘争詩碑のすぐ先にある水の手展望台に登る.以前は水の手展望台まで.危なっかしい石段を登たったが,もうかれこれ十数年前に手すり付きの安全な通路に変更されてしまった.安全にはなったものの,何となく風情が失われてしまったのが残念である.
水の手展望台から見下ろす千曲川の眺めは,何時見ても雄大である.小山敬三もここから眺めた風景を絵に残している.
今日はあいにく天気が悪いので,遠くまでは見通せないが,それはそれで幽玄な印象を受ける.
千曲川をボンヤリと見下ろしながら,自分はあっと言う間に老い耄れジジイになったが,故郷の山河は全く変わっていないなと,感傷的な気分になる.
そう言えば,幼少の頃は,この水の手展望台から,雄大な浅間連峰を見上げることができたが,今は辺りの木々がすっかり大きくなってしまい,山は全く見えなくなっている.
私は千曲川を見下ろしながら,これからどんな経路で動物園に向かおうかと思案する.動物園の入口に架かる白鶴橋が閉まるのが16時30分である.後25分ほどの間にどこをどう廻るかを頭の中のオンボロコンピュータで試行錯誤を繰り返す.
<水の手展望台から千曲川を望む>
<天守台に登る>
■高度感のある石垣の上
私は時間が押しているので,途中を端折ることにする.
水の手展望台から,馬場を斜めに横切って,天守台の石垣に向かう.この馬場は桜の名所で,秋の紅葉も見応えがあるところである.
そういえば,終戦直後,ここで競馬が行われたこともあったな…と当時のことを,また,懐かしく思い出す.
戦争中のある日,私は姉と一緒に,懐古園を散策した.馬場の真ん中で,丁度寅さんのような風体の野師の口上を信じて,なけなしの小遣いでこの薬を買った.
「凄い薬を買って良かったね…」
姉と私は,意気揚々と家に帰った.私の両親は医師.私達が買った薬を見て苦笑した.そのときの悔しさを今でも鮮明に思い出す.
石垣を廻り込むようにして,石垣で囲まれた本丸跡に入る.そこから自然石を積み重ねて作られた石段を登って石垣の上に出る.石垣の上は高度感があって,私には苦手なところである.石垣の上を歩いて天守台跡に向う.
<高度感のある石垣の上>
■天守台
16時12分,天守台に到着する.意外に狭い.
小諸市のパンフレットによると,ここには三層の天守閣があったが,寛永3年(1626年)に落雷によって焼失したという説がある.
昔は,天守台から浅間連峰を眺めることができたが,今は周囲の木々がすっかり大きくなってしまい,眺望は今ひとつである.
私は時計を見ながら,分刻みの行動予定を頭の中で組み立てる.
”あと,7分で白鶴橋まで行かなければ…”
<天守台>
■懐古神社
天守台から石段を下って,16時16分に懐古神社に到着する.
私は時計を見ながら,ちょっと立ち止まっただけで,懐古神社を素通りする.神社の脇に,この神社の由来を説明した案内板があるが,今回はパス.
<懐古神社>
■山本勘助の鏡石と池の鯉
懐古神社の前にある池を半周して,先ほどの天守台入口に戻る.
池の畔には山本勘助が愛用したという逸話のある鏡石がある.
池には沢山の鯉が泳いでいる.池の水が綺麗なためか,鯉も綺麗に見える.池の中から私達の姿が見えるのか,沢山の鯉が私達の方に寄ってくる.
近くに勝海舟筆の懐古園の碑があるが,見学を割愛する.
<山本勘助の鏡石のある池>
■富士見台
16時21分,白鶴橋の袂にある富士見台に到着する.白鶴橋を渡った先にある動物園の閉門時間まで後6分.
1分だけ富士見台に立ち寄る.
ここから千曲川の上流が見渡せる.極々条件が良いときに富士山が見える筈である.私も幼少の頃から何回となく,ここを訪れているが,よほど幸運に恵まれない限り,ここから富士山を眺めるのは無理のようである.
<富士見台>
■富士見台からの眺望
吾妻屋の脇から富士見台の眺望を楽しむ.眼下に見えるのは千曲川の流域である.南の方角を見ている.前方に見えているのは南佐久方面である.小淵沢に抜ける小海線はほぼ南に向けて走っている.
<富士見台からの眺望>
<動物園>
■白鶴橋を渡る
16時25分,白鶴橋を渡る.
橋の袂で,公園の係員から,もうすぐ閉園ですよと急かされる.
白鶴橋は深い谷に架けられた吊り橋である.橋の中央で谷底を覗いたどなたかが,
「…なるほどこれは天然の要害だ…」
と驚く.
幼少の頃.この谷間を下って千曲川まで水遊びに行った.夕方,ヒグラシの啼き声を聞きながら,この谷を登ったことをつい昨日のことのように思い出す.
”今,この谷,下れるのかな…”
私は,ついつい確かめたくなる.
<白鶴橋を渡る>
■動物園をざっと廻る
私は,5分で動物園をざっと見るつもりである.
動物園と言っても,ここは極々小規模.大都会の動物園のイメージとは大分違う.でも,ここは大正15年(1926年)に造立された長野県最古の由緒ある動物園である.昔は小諸町民の誇りでもあったところである.
山羊,ペンギン,クジャク,ニホンザル,川上犬などの檻をザッと見て回る.
<小動物の檻を見て回る>
■雨が降り出す
動物園を廻っている間に,また雨が本降りになる.ついていない.
今日は17時までに小諸義塾の校舎を見てしまいたい.私は時計を見ながら,ちょっとヤキモキしているが,皆さん意外に熱心に動物たちを見ている.その様子を見て,私は何も齷齪する必要はないな…今日見られないところはまた後で見ればいいなと腹を括る.とたんに焦る気分が楽になる.
<雨が降り出す>
■徴古館
16時32分に動物園を出る.
料金所脇を抜けて,16時35分に徴古館に入る.ここには小諸城ゆかりの武具,古文書,小諸城のジオラマなどが展示されている.
16時45分,徴古館を後にする.
<小諸義塾と惜別の歌碑>
■小諸義塾に到着
三の門の脇を通って,16時48分,小諸義塾に到着する.私の腹積もりの予定ピッタリである.私は内心で,
”シメ,シメ…やったぞ!”
と思っている.
<小諸義塾の校舎>
■小諸義塾を見学
小諸義塾のパンフレットを片手に,校舎内部を見学する.入口で係員が愛想良く私達を出迎える.
内部は意外に狭い感じである.もっとも体操の授業は近くの三の門の2階でやっていたとのことである.内部を見学していると,私にごく近い近隣の人の名前が掲載されているのに,今更ながら驚く.
閉館時間の17時ピッタリに見学を終える.この”ピッタリ感”が,案内役の私にとって何とも言えない快感である.
小諸義塾から外へ出たときに,17時を示すチャイムが鳴り出す.
「これで,今日予定していたコースが無事終わりました…」
と挨拶する.
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■惜別の歌碑
これから,直ぐ近くのホテルまで移動する.
序でに,小諸義塾前に設置されている「惜別の歌」の歌碑を見学する.作詞は島崎藤村.丁度17時のチャイムが鳴っているが,このチャイムのメロディーは,この惜別の歌である.
<惜別の歌歌碑>
■惜別の歌
惜別の歌のメロディーは,資料4参照.
なお,この歌は若菜集「高楼」の数節を再構成したものと言われる.
チャイムのメロディを聴いたときに,すぐにはこのメロディを思い出せなかったが,少し利いている内に,何となく思い出してくる.そういえば,高校生の頃,このメロディを口ずさんだような気がしてくる.
<惜別の歌>
<小諸グランドキャッスルホテル>
■ホテルに帰着
17時05分,今夜の宿泊ホテル「小諸グランドキャッスルホテル」に戻る.
次回,10月開催予定の善光寺街道巡りで,またこのホテルに宿泊するつもりである.
“…ならば”
ということで,受付で禁煙ルーム5室と喫煙ルーム1室の予約を早々としてしまう.
「代表者のお名前を書いて下さい…」
ということなので,少し戸惑いを感じながら,私が自分の住所,名前,電話番号などを記入する.
”プライバシィ…大丈夫かな”
と余計なことが気になる.
今夜の夕食の時間を予約する.18時30分から90分間と決まる.それまで自由時間である.
<小諸グランドキャッスルホテルに帰着>
■千曲川の夕景
まずは自室へ.まだ,夕食まで十分な時間がある.とりあえずは,4階にある温泉にユックリ入ろうと思う.何しろ入湯税300円也を支払っているんだから…
大浴場は,結構賑わっている.大浴場からの千曲川の眺めは最高である.眺めを堪能しながら,ゆっくりと温泉に浸かる.
大浴場から見た風景をデジカメに収めたかったが,それは無理.
浴場から自室に戻って,ほぼ同じ風景をデジカメに収める(下の写真).
先ほどまで降っていた雨は,何時の間にか上がっている.雲間から眩しい西日が窓一杯に照りつける.
”どうやら明日は天気に恵まれそうだな…”
<眩しい夕陽>
■楽しい夕食
18時25分,1階のロビーに降りる.
幹事役のお一人が私を見付けて,ホッとした様子である.
「…いつも早く顔を出すFHさんが居られないので,お部屋に電話しようと思いました…もうみんな揃っています.」
とのこと.
”おや,5分前でも遅かったかな…”
私,内心でビックリ.
”もっとも,私も,時々,チョンボするからな…心配をされるのも良く分かるよ.”
食堂に向かう.
”私達の石は,どこかな…”
と思っていると,近くの女性が,
「ここは指定席,6人ならばあちらでしょう…」
と言う.ホテルの係員かと思ったら宿泊客である.
”余計なことを…”
私は内心で”ムッ”とする.
ほどなく係員の案内で,所定の場所に着席する.
<所定の場所に着席>
■私のメニュー
さて,今夜の私のメニューは下の写真の通りである.
今夜もまた,飲めもしないのに,自動でビールをコップに入れる機械が面白くて,ビール一杯を賞味する.すぐに火照ってしまうのが分かっているのに…
ここのホテルの特徴は,ネーベンの豊富さである.例の9ヶ所の仕切りがあるお皿に食べたいものを取り分けていると,ついつい取りすぎになる.その辺を注意しながら取った結果がこれである.
私には栄養のことは良く分からないが,これで果たしてバランスが取れているだろうか.
…ま,そんなことはともかく,皆さんと雑談しながら楽しいひとときを過ごす.
これも私の私見だが…
夕食が満足できれば,今日一日は文句なしに満足である.
20時少し前にお開きにする.
<私の夕食>
■第2日目も充実していた
夕食の最後にコーヒーを賞味して,20時頃自室に戻る.まずはさしあたり,明日の出発に備えて,所持品を整理し,リュックに収める.
折角だから,もう一度,4階の大浴場で一風呂浴びようかと思ったが,それも面倒である.
まだ寝てしまうのには一寸早いかなと思ったが,ベッドに入って,テレビを見る(いや,眺める).でも東京とチャンネルが違うので,何となく疎外感があってすぐに見るのを止める.
そうこうしている内に,何時の間にか寝てしまう.
…という訳で,今日も“良かった,良かった”である.
<第1回2日目のラップタイム>
8:40 しなの鉄道信濃追分駅歩き出し
9:05 追分宿(中山道)
9:19 堀辰雄文学記念館
9:31 高札場跡・石尊山登山口
9:33 諏訪神社
9:42 泉洞寺(9:49まで参拝・見学)
9:56 分去れ(ここから善光寺街道)(10:00まで休憩)
10:02 シャーロックホームズ像
10:20 御代田町
11:13 濁川を渡る
11:35 高山家住宅
11:43 棚口神社(12:05まで昼食)
12:42 平原一里塚
12:45 金山神社
12:49 長龍寺
12:57 平原の黒松
13:10 白山神社・稲荷社
13:45 平原駅(14:08小諸行電車乗車)
14:13 小諸駅着歩き出し
14:20 小諸城趾・懐古園着(三の門)
14:45 藤村記念館(15:08まで見学)
15:12 酔月橋
15:16 鹿嶋神社
15:25 小山敬三美術館・小山敬三記念館(16:00まで)
16:00 藤村詩碑
16:03 水の手展望台
16:12 天守台
16:15 懐古神社
16:21 富士見台
16:25 白鶴橋(動物園)(16:32まで)
16:35 懐古館(16:45まで見学)
16:48 小諸義塾(17:00まで見学)
17:00 惜別の歌歌碑
17:05 小諸グランドキャッスルホテル着
[第1回2日目のウォーキング記録]
※小諸城趾・懐古園周遊は除く.
■水平歩行距離 10.5km
■累積登攀高度 50m
■累積下降高度 312m
■所要時間 (休憩時間込み)
平原駅発 8:40
ホテル着 13:45
(所要時間) 5時間05分(5.08h)
歩行速度 10.5km/5.08h=2.07km/h
[参考資料]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ『ちゃんと歩ける善光寺街道』五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1994,『今昔中山道独案内』日本交通公社
資料3;小諸市懐古園事務所「小諸城趾懐古園,その他多数.
資料4;http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/sekibetsu.html
(第2日目終わり)
(第3日目に続く)
第3日目の記事
↓
(執筆中)
「善光寺街道」の目次
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「善光寺街道」の索引
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【参考資料】
「善光寺西街道」の目次
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「善光寺西街道」の索引
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善光寺街道;第1回;第2日目(7);小諸城趾;懐古園周遊(2);2日目の総括
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